69 / 120
5
4
しおりを挟む
「……え?」
何か言っていただろうか?
奇襲されてしまった為、その時の明確な記憶がない。
「あんたが黒高の新しい頭って話。」
「……。」
「聞こえなかった?」
「逆に聞くけど……私がそんな風に見える?こんな人畜無害な女子生徒が武蔵野先輩を倒せたと思う?」
質問を質問で返すという禁じ手。
しかし、今回は非常に効果的なものであった。
「……まぁ、その……。」
「あはは、正直に答えてくれて良いよ。」
「うん、見えない。」
きっぱりと答える蝶華。
「あはは、だよね。」
自分から誘導した。
しかし、少しムカッとする華子であった。
「と、いうことは事実無根ってことか……。」
ふむ。
考え込む蝶華。
「……。」
心の中で謝罪する華子。
確かに、一見双葉を倒せるとは思えない自身の姿。
しかし、その実彼を倒した張本人である。
結果として嘘をついてしまった。
「……ちなみに、ちなみになんだけどさ……。」
一人言なのか、華子へ向けたものなのか分からないほど小さな声。
「……?」
彼女の続く言葉を待つ華子。
「もし、あんたが黒校の頭に会うことがあったら言ってほしいんだけど……。」
「うん。」
万が一。
端から彼女は期待していないのだろう。
そんな様子で蝶華は言っているように見える。
それならば、もしかしたら話し半分で聞いていても良いかもしれない。
「白辰は今のところ黒龍と戦争をするつもりはないって伝えてくれない?」
真っ直ぐと華子を見つめる彼女。
その視線と声は、とても嘘をついているようには見えなかった。
「……え?」
前言撤回。
これは集中して聞かざるを得ない内容のようだ。
「私達は……いえ、こちらの頭は現時点でそちらと事を構えたくないそうだから。」
現段階での話だ。
つまり、今後どうなるかは皆の動きによるということだ。
「そ、そうなんだ……。」
「恥ずかしいことだけど、なんであいつらがあんたを襲ったのか分からなくて……。」
「……。」
彼女の言葉を信じるのであれば、彼らは一部の暴徒化した白辰生徒ということになる。
しかし、その一部というのがどれほどの規模なのかは分からない。
それでも、彼女の発言には華子を喜ばすものがあった。
「誰が法螺を吹いたのか……すぐに追求する予定ではあるけど……。」
「……。」
「あ、あの……?」
相槌がなくなった。
心配になる蝶華。
何か言っていただろうか?
奇襲されてしまった為、その時の明確な記憶がない。
「あんたが黒高の新しい頭って話。」
「……。」
「聞こえなかった?」
「逆に聞くけど……私がそんな風に見える?こんな人畜無害な女子生徒が武蔵野先輩を倒せたと思う?」
質問を質問で返すという禁じ手。
しかし、今回は非常に効果的なものであった。
「……まぁ、その……。」
「あはは、正直に答えてくれて良いよ。」
「うん、見えない。」
きっぱりと答える蝶華。
「あはは、だよね。」
自分から誘導した。
しかし、少しムカッとする華子であった。
「と、いうことは事実無根ってことか……。」
ふむ。
考え込む蝶華。
「……。」
心の中で謝罪する華子。
確かに、一見双葉を倒せるとは思えない自身の姿。
しかし、その実彼を倒した張本人である。
結果として嘘をついてしまった。
「……ちなみに、ちなみになんだけどさ……。」
一人言なのか、華子へ向けたものなのか分からないほど小さな声。
「……?」
彼女の続く言葉を待つ華子。
「もし、あんたが黒校の頭に会うことがあったら言ってほしいんだけど……。」
「うん。」
万が一。
端から彼女は期待していないのだろう。
そんな様子で蝶華は言っているように見える。
それならば、もしかしたら話し半分で聞いていても良いかもしれない。
「白辰は今のところ黒龍と戦争をするつもりはないって伝えてくれない?」
真っ直ぐと華子を見つめる彼女。
その視線と声は、とても嘘をついているようには見えなかった。
「……え?」
前言撤回。
これは集中して聞かざるを得ない内容のようだ。
「私達は……いえ、こちらの頭は現時点でそちらと事を構えたくないそうだから。」
現段階での話だ。
つまり、今後どうなるかは皆の動きによるということだ。
「そ、そうなんだ……。」
「恥ずかしいことだけど、なんであいつらがあんたを襲ったのか分からなくて……。」
「……。」
彼女の言葉を信じるのであれば、彼らは一部の暴徒化した白辰生徒ということになる。
しかし、その一部というのがどれほどの規模なのかは分からない。
それでも、彼女の発言には華子を喜ばすものがあった。
「誰が法螺を吹いたのか……すぐに追求する予定ではあるけど……。」
「……。」
「あ、あの……?」
相槌がなくなった。
心配になる蝶華。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
深海の星空
柴野日向
青春
「あなたが、少しでも笑っていてくれるなら、ぼくはもう、何もいらないんです」
ひねくれた孤高の少女と、真面目すぎる新聞配達の少年は、深い海の底で出会った。誰にも言えない秘密を抱え、塞がらない傷を見せ合い、ただ求めるのは、歩む深海に差し込む光。
少しずつ縮まる距離の中、明らかになるのは、少女の最も嫌う人間と、望まれなかった少年との残酷な繋がり。
やがて立ち塞がる絶望に、一縷の希望を見出す二人は、再び手を繋ぐことができるのか。
世界の片隅で、小さな幸福へと手を伸ばす、少年少女の物語。
ペア
koikoiSS
青春
中学生の桜庭瞬(さくらばしゅん)は所属する強豪サッカー部でエースとして活躍していた。
しかし中学最後の大会で「負けたら終わり」というプレッシャーに圧し潰され、チャンスをことごとく外してしまいチームも敗北。チームメイトからは「お前のせいで負けた」と言われ、その試合がトラウマとなり高校でサッカーを続けることを断念した。
高校入学式の日の朝、瞬は目覚まし時計の電池切れという災難で寝坊してしまい学校まで全力疾走することになる。すると同じく遅刻をしかけて走ってきた瀬尾春人(せおはると)(ハル)と遭遇し、学校まで競争する羽目に。その出来事がきっかけでハルとはすぐに仲よくなり、ハルの誘いもあって瞬はテニス部へ入部することになる。そんなハルは練習初日に、「なにがなんでも全国大会へ行きます」と監督の前で豪語する。というのもハルにはある〝約束〟があった。
友との絆、好きなことへ注ぐ情熱、甘酸っぱい恋。青春の全てが詰まった高校3年間が、今、始まる。
※他サイトでも掲載しております。
居候高校生、主夫になる。〜娘3人は最強番長でした〜
蓮田ユーマ
青春
父親が起こした会社での致命的なミスにより、責任と借金を負い、もう育てていくことが出来ないと告白された。
宮下楓太は父親の友人の八月朔日真奈美の家に居候することに。
八月朔日家には地元でも有名らしい3人の美人姉妹がいた……だが、有名な理由は想像とはまったく違うものだった。
愛花、アキラ、叶。
3人は、それぞれが通う学校で番長として君臨している、ヤンキー娘たちだった。
※小説家になろうに投稿していて、アルファポリス様でも投稿することにしました。
小説家になろうにてジャンル別日間6位、週間9位を頂きました。
ギャルゲーをしていたら、本物のギャルに絡まれた話
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
赤木斗真は、どこにでもいる平凡な男子高校生。クラスに馴染めず、授業をサボっては図書室でひっそりとギャルゲーを楽しむ日々を送っていた。そんな彼の前に現れたのは、金髪ギャルの星野紗奈。同じく授業をサボって図書室にやってきた彼女は、斗真がギャルゲーをしている現場を目撃し、それをネタに執拗に絡んでくる。
「なにそれウケる! 赤木くんって、女の子攻略とかしてるんだ~?」
彼女の挑発に翻弄されながらも、胸を押し当ててきたり、手を握ってきたり、妙に距離が近い彼女に斗真はドギマギが止まらない。一方で、最初はただ面白がっていた紗奈も、斗真の純粋な性格や優しさに触れ、少しずつ自分の中に芽生える感情に戸惑い始める。
果たして、図書室での奇妙なサボり仲間関係は、どんな結末を迎えるのか?お互いの「素顔」を知った先に待っているのは、恋の始まり——それとも、ただのいたずら?
青春と笑いが交錯する、不器用で純粋な二人。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる