はりぼてスケバン

あさまる

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数日が経過した。
幸いにも、丸雄の怪我の具合は好転して行った。
しかし、未だに入院生活のままではあった。
そのせいで、彼女の隣にいるのは彼ではなく、亥玄であった。

最初こそ違和感のあるものであったが、あの入学式を越えた彼女にとってはそんなものは些末なものであった。
すぐに馴染んでしまったのだ。

女子生徒の中心である三花。
彼女に屈することのない華子。
それだけでなく、一匹狼であった亥玄と行動を始めたことにより、彼女の知名度は瞬く間に上がっていった。

その余波は、白辰高校にまで届いていた。
幸か不幸か。
彼女は時の人となった。

丸雄が入院して数日が経過したある日。
亥玄と下校するのが当たり前になっていた華子。
しかし、彼は昼休み前、早々に教室を後にしてしまった。
理由は聞けず仕舞いであった。

久しぶりに一人になってしまった華子。
しかし、今は彼女に軽々しく絡もうとする者はいない。

教室にいながらもゆっくりと昼食を食べることが出来た。
余った時間で何かしようか。
そんなことを思う余裕すら、今の華子にはあった。

余裕だからだろうか。
暇だからだろうか。
普段の彼女ならしないであろう行動をしてしまう。

席を立ち、歩き出す。
その目的地は、クラスメイトの女子がいる席だ。
彼女は以前、三花に口答えしていた者だ。
あれ以来、彼女は一人でいる。
グループから外されたのだろう。

表立って何かされているわけではない。
しかし、その表情が、彼女の現状を物語っていた。


「ね、ねぇ。」
第一声が大事だ。
そんな気持ちが強くなり過ぎ、どもってしまう華子。

「っ!?な、なに……?」
突然彼女に声をかけられた。
ビクッ、と驚く。

「あー、えっと……。」
しまった。
後悔する華子。
勢いに任せて声をかけてしまった。
しかし、彼女に話すようなものはない。

何か話題があるはずだ。
その一心で、必死に脳内の棚を開けては閉めてを繰り返す。

「話しかけらて悪いんだけど……私、ちょうどあんたに聞きたいことがあったんだ……良い?」

脳内PCに急激な負荷のかかっている状態の華子。
そんな彼女へ質問が向かう。

「う、うん。良いよ。なに?」
何でも答えられるわけではない。
しかし、彼女とも友好的な関係を築けるかもしれないという淡い期待を胸に、極力答えられるものは答えようと考えている華子。
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