はりぼてスケバン

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「あぁ……そうだな……？うん？そうか？そうだな、あぁ、そうだな。」

先ほどまでと立場が逆転した。
そうして、二人は踵を返すのであった。

「あ、あのー……鯉崎君？」

「どうした？」

「今日はどうしたの？」

時は進み、昼休み。
一人で昼食を食べようとしていた華子。
しかし、そんな彼女の横には亥玄がいた。

もちろん、いつもはいない。
それならば、なぜ今日は一緒にいるのか。
彼女には疑問でしかなかった。

「お前は危なっかしいからな。俺が一緒にいてやる。」
さも当たり前なように彼が言う。

「……は？」

「ほら、昼を食べるんだろ？」

「……。」

一緒にいてやる。
そんなことを頼んだ覚えはない。
余計なお世話だ。
苦笑いしてしまう華子。

「それだけで足りるのか？」
華子の弁当を見て亥玄が言う。
しかし、彼女の弁当は多いというわけではないが、決して少ないというわけでもない。
極々平均的な量のはずだ。

「う、うん……。」

「もっと食え。そんなのじゃいざという時に動けないぞ。」

「あはは……。」

「肉だ、肉を食え！」

「……あはは……はぁ……。」
うるさい。
これ以上にないほどやかましい。
騒々しいことこの上ない。

彼はこれほど口うるさいキャラだっただろうか？
もっとクールだったはずだ。
そんな印象がガラガラと音を立てて崩れる華子であった。

彼に対してそう思っていたのは彼女だけではなかった。
二人に向けられる好奇の目。
そして、ヒソヒソ話。

恥ずかしい。
穴があったら入りたい。

「どうした？もう良いのか？ほら、もっと食え！俺の分も良いぞ？」

「も、もー！大丈夫だよー！」


華子の声は、教室を飛び出して廊下まで響き渡るのであった。


「……それで、この先どうするの？……兄さん。」

「うーん……どうしようねぇ……。」

「……。」
ため息。
心底呆れたようだ。

「しょうがないだろー？双葉が落ちて次が出てこないんだからさー。」

「それをどうにかするのが兄さんの仕事でしょ？」

「うーん、ぐうの音も出ないなっ！」
曇りない声。
いっそ清々しいものであった。

「……まぁ、私は白辰のルールでやらせもらうから……。」
その開き直りに少しの苛立ちを感じつつ、電話越しの声が宣言した。

「あぁ。」

「……兄さんも……。」

「あぁ、こっちのやり方でやらせてもらう。」