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「え、あ、ちょっ!?こ、鯉崎君!?」
「落ち着けっ!大丈夫だ!もう、大丈夫だ!」
混乱。
気づいた時には華子は立ち上がっていた。
正確には立たされていたのだった。
そして、彼女は今一切動けない。
亥玄の胸に抱かれていた。
慌てる彼女に何度も大丈夫だと呟く。
「だ、大丈夫!大丈夫だからっ!」
「本当か?」
「う、うん……ほ、本当。」
「……。」
彼女をジッと見る亥玄。
顔を近づけ、あと少しで触れてしまうほどの距離になっている。
いつも喧嘩に明け暮れている。
しかし、心司や丸雄もそうだが、彼もまた顔が整っている。
「あ、あのっ!」
顔が熱くなるのを感じる華子。
こんな時でもこのように反応してしまうのが恥ずかしい。
「……そうか、大丈夫なのか。」
ゆっくりと彼女の身体を離す。
「と、取り乱してごめん……。」
「いや、それは大丈夫なんだが……大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。ごめんね。」
「あぁ。」
無言になる。
気まずい。
先に動いたのは亥玄であった。
歩き出す。
彼につられ、華子もまた歩き出した。
幸い、その後白辰高校の生徒からの襲撃はなかった。
歩いているうちに冷静になりつつあった華子。
色々な疑問があり、彼に聞けるような状態になっていた。
「えっと、その……さっき襲って来た人達……白辰?高校だっけ?」
「あぁ、そうだな。」
「それって生徒会長と武蔵野先輩が休戦協定結ぼうとしてたとこ?」
「……よく知ってるな、そうだ。」
驚きの表情。
やや目が大きくなる亥玄。
「やっぱそうなんだ。」
「……お前、尾谷と付き合いあるのか?」
「え?ま、まぁ……一応。」
付き合いというほど仲が良いかは分からない。
流れで彼と知り合っただけだ。
「そうか……なら、知ってるかもしれないな。」
「え?」
「お前、武蔵野をやった奴のこと何か聞いてないか?前あいつに聞いたんだけど教えてくれなかったんだ。」
「え、えっと……わ、分からないかなー……。」
ドキリ。
ヒヤッとする華子。
「そうか……。」
目に見えてしょんぼりする亥玄。
「ち、ちなみになんだけどね?」
「……?」
これは好奇心だ。
決して双葉を倒したのが自分であると名乗ることはない。
しかし、彼がどうするのかが気になっただけだ。
「もし、私が知ってるって言ったら……ど、どうする?」
「落ち着けっ!大丈夫だ!もう、大丈夫だ!」
混乱。
気づいた時には華子は立ち上がっていた。
正確には立たされていたのだった。
そして、彼女は今一切動けない。
亥玄の胸に抱かれていた。
慌てる彼女に何度も大丈夫だと呟く。
「だ、大丈夫!大丈夫だからっ!」
「本当か?」
「う、うん……ほ、本当。」
「……。」
彼女をジッと見る亥玄。
顔を近づけ、あと少しで触れてしまうほどの距離になっている。
いつも喧嘩に明け暮れている。
しかし、心司や丸雄もそうだが、彼もまた顔が整っている。
「あ、あのっ!」
顔が熱くなるのを感じる華子。
こんな時でもこのように反応してしまうのが恥ずかしい。
「……そうか、大丈夫なのか。」
ゆっくりと彼女の身体を離す。
「と、取り乱してごめん……。」
「いや、それは大丈夫なんだが……大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。ごめんね。」
「あぁ。」
無言になる。
気まずい。
先に動いたのは亥玄であった。
歩き出す。
彼につられ、華子もまた歩き出した。
幸い、その後白辰高校の生徒からの襲撃はなかった。
歩いているうちに冷静になりつつあった華子。
色々な疑問があり、彼に聞けるような状態になっていた。
「えっと、その……さっき襲って来た人達……白辰?高校だっけ?」
「あぁ、そうだな。」
「それって生徒会長と武蔵野先輩が休戦協定結ぼうとしてたとこ?」
「……よく知ってるな、そうだ。」
驚きの表情。
やや目が大きくなる亥玄。
「やっぱそうなんだ。」
「……お前、尾谷と付き合いあるのか?」
「え?ま、まぁ……一応。」
付き合いというほど仲が良いかは分からない。
流れで彼と知り合っただけだ。
「そうか……なら、知ってるかもしれないな。」
「え?」
「お前、武蔵野をやった奴のこと何か聞いてないか?前あいつに聞いたんだけど教えてくれなかったんだ。」
「え、えっと……わ、分からないかなー……。」
ドキリ。
ヒヤッとする華子。
「そうか……。」
目に見えてしょんぼりする亥玄。
「ち、ちなみになんだけどね?」
「……?」
これは好奇心だ。
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しかし、彼がどうするのかが気になっただけだ。
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