はりぼてスケバン

あさまる

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誰のせいだ?
決まっている。
華子だ。
彼女が全てを滅茶苦茶にした。

携帯電話を確認する。
双葉からの返事はない。
手がかりがない。

「……こうなったらもう、全部滅茶苦茶にしてやる……!全部……全部あいつのせいなんだからっ……!」
歯軋りをし、そのまま校舎を去る三花であった。
その瞳には強い憎しみが籠っていた。


「……さてさて、それで?鼬原一派の調子はどうだい?」

生徒会室。
そこへ訪れた丸雄と華子。
すでにいた心司が二人へと質問をした。
その声は、純粋な好奇心だけでなく、何か含んだものがあった。

「ど、どうと言われましても……。」
何一つ進展はない。
むしろ、進展してほしくない。
衰退していてほしい。
それが華子の考えだ。

「いやー……正直なところ、あんまり上手くいかないっすねー。」
苦笑いの丸雄。
彼はこの勢力を伸ばし、いつかは黒龍高校を統一したいようだ。

「そ、そっかぁ……。」
期待した通りか。
それとも期待外れであったのか。
どちらなのか分からない心司の言葉。

「でもでも!悪くないニュースもあるんすよ?」
丸雄が言う。

「……え?そうなん?教えてよ、教えてよ、シバ犬ちゃん。」
悪くないニュース。
これは是非とも聞いてみたい。
心司が彼へ好奇心をぶつける。

「はいっす!一年の鯉崎ってやつ、生徒会長さん、ご存知っすか?」

「おぉ、知ってるよー知ってる、知ってる!」
うんうん。
ニコニコと笑みを浮かべながら頷く心司。

そうか。
亥玄はやはり有名人だったのか。
二人のやりとりに、改めて亥玄のことを思い出した華子。

「何と!今日はちゃんと出席したんすよ!」
ズビシッ!
まるで決め台詞かのように丸雄が勢い良く言う。

「お、おぉ!」
驚きの声を上げる心司。

「そうなんすよ、そうなんすよ!凄いっすよね!?」

「……おぉ?」
最初、吉報であると聞く前から思い込んでいた為、彼のリアクションは良いものであった。
しかし、よくよく聞いてみると、大したものではなかった。
その為、困惑の声を上げてしまう心司であったのだ。

「……?」
同じく困惑する華子。

二人とも、彼の次の言葉を待った。
もしかすると、ここから大逆転の何かがあるのかもしれない。
だからこそ、待ったのだ。

「出席したってことはっすよ?うちの一派に入る可能性が出てきたってことっすよ!これは良い兆しっすよ!」
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