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世間的に言えば華子が正常であり、彼女の言葉は正論だろう。
しかし、恐らく黒龍高校の常識で言えば丸雄の価値観の方が合っているのだろう。
きっとこの先、こんなことで驚いていてはやっていけないだろう。
いい加減こんなことにも慣れなければいけない。
甘かった。
華子はもうすっかり馴染んでいたと勘違いしたことを恥じた。
その感性こそズレつつある。
今の自分が正しいことに胸を張るべきなのだ。
黒龍高校に染まりつつある証拠であったが、今の彼女にはそれが分からなかった。
「じゃあ、乗って下さいっす。」
自転車に跨がる丸雄。
「うん、ありがとう。」
彼の後ろに乗り、礼を言う華子。
進み出した自転車。
社会のルールに反した二人乗り。
しかし、彼女はもうそんなことを気にしていないようであった。
「三花……これからどうするの?」
「……。」
一方、三花達もまた、帰宅途中であり、今はコンビニの前にいた。
昼間よりは少数になっているとはいえ、ぞろぞろと屯する彼女らはあまり良い印象を持たれていない。
店を利用する者達も見て見ぬフリはするものの、内心不満を持っていた。
「まさか亥玄が絡んでくるとは思わなかったね……。」
「……。」
先ほどから取り巻きの言葉に不機嫌そうに無反応の三花。
双葉の権力があれば、こんな問題はすぐに解決出来たはずだ。
それに、丸雄のこともそうだ。
彼が言えば、今頃付き合えていたはずだ。
考えれば考えるほど苛立ちが募る。
「あっ……そうだ……。」
もっと単純に考えれば良かった。
三花はこの状況を打破する案を思い付いた。
「三花?」
「簡単だよ、お兄を倒した奴をうちら側に取り込めば良いんだよ。」
双葉を倒した正体不明の女子生徒。
現段階で、次期黒龍高校の頭最有力候補は彼女だ。
そんな人物を仲間に出来れば自身の権力はまた復活する。
そうなれば、これ以上華子を野放しにせずに済む。
問題は一つ。
彼女が正体不明ということだ。
それさえ解決出来れば問題はなくなる。
万が一拒絶されても人数で勝る三花達。
どうとでもなる。
そうなれば、明日から本格的に彼女を探していこう。
心に決める三花であった。
手始めに、双葉に彼女の容姿等、聞けることを聞き出してしまおう。
彼は今、どこにいるか分からない。
しかし、三花が連絡をすれば返ってくるのでさほど心配していなかった。
しかし、恐らく黒龍高校の常識で言えば丸雄の価値観の方が合っているのだろう。
きっとこの先、こんなことで驚いていてはやっていけないだろう。
いい加減こんなことにも慣れなければいけない。
甘かった。
華子はもうすっかり馴染んでいたと勘違いしたことを恥じた。
その感性こそズレつつある。
今の自分が正しいことに胸を張るべきなのだ。
黒龍高校に染まりつつある証拠であったが、今の彼女にはそれが分からなかった。
「じゃあ、乗って下さいっす。」
自転車に跨がる丸雄。
「うん、ありがとう。」
彼の後ろに乗り、礼を言う華子。
進み出した自転車。
社会のルールに反した二人乗り。
しかし、彼女はもうそんなことを気にしていないようであった。
「三花……これからどうするの?」
「……。」
一方、三花達もまた、帰宅途中であり、今はコンビニの前にいた。
昼間よりは少数になっているとはいえ、ぞろぞろと屯する彼女らはあまり良い印象を持たれていない。
店を利用する者達も見て見ぬフリはするものの、内心不満を持っていた。
「まさか亥玄が絡んでくるとは思わなかったね……。」
「……。」
先ほどから取り巻きの言葉に不機嫌そうに無反応の三花。
双葉の権力があれば、こんな問題はすぐに解決出来たはずだ。
それに、丸雄のこともそうだ。
彼が言えば、今頃付き合えていたはずだ。
考えれば考えるほど苛立ちが募る。
「あっ……そうだ……。」
もっと単純に考えれば良かった。
三花はこの状況を打破する案を思い付いた。
「三花?」
「簡単だよ、お兄を倒した奴をうちら側に取り込めば良いんだよ。」
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現段階で、次期黒龍高校の頭最有力候補は彼女だ。
そんな人物を仲間に出来れば自身の権力はまた復活する。
そうなれば、これ以上華子を野放しにせずに済む。
問題は一つ。
彼女が正体不明ということだ。
それさえ解決出来れば問題はなくなる。
万が一拒絶されても人数で勝る三花達。
どうとでもなる。
そうなれば、明日から本格的に彼女を探していこう。
心に決める三花であった。
手始めに、双葉に彼女の容姿等、聞けることを聞き出してしまおう。
彼は今、どこにいるか分からない。
しかし、三花が連絡をすれば返ってくるのでさほど心配していなかった。
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