はりぼてスケバン

あさまる

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スキンシップの一種だ。
まだ出会ってから日は浅い。
しかし、彼には少なからず心を開いている華子であった。

「えへへ……。えっと、鯉崎は今年の一年生で一番強いって噂の奴っすよ。……確か姐さんと同じクラスだったはずなんすけど、教室で見たことないんすか?」

「え?そうなの?……見たことないなぁ……。」
そう言って、さらに記憶を辿る華子。

少数の生徒達。
室内にいる彼らの中に、亥玄はいなかったはずだ。
つまり、丸雄のように普段はどこかをふらついているということになる。

「でも確か、入学式の日にやってたクラス内ランキングに参加してたはずなんすけど……。」

「え、なにそれ知らないんだけど……。」
何だそれは。
初耳だ。

クラス内ランキング。
毎日登校していた華子。
しかし、彼女はそんなものな開催していたことに気づいていなかった。
それどころか存在すら知らなかったのだ。

それではなぜろくに教室にいない彼がそんなことを知っているのだろう?
不思議に思う華子。

「あれ?姐さん知らないっすか?あんなに大々的にやってたのに……。」
ニヤニヤ。
どこか小馬鹿にした笑みを浮かべる丸雄。

「え?……あ、もしかして……。」
華子には一つ、心当たりがあった。
それは、入学式後に教室内でやっていた乱闘だ。

担任教師である飛鳥もお手上げな無秩序な空間。
あれが件のクラス内ランキングというものなのだろうか?

「そこで圧倒的に強い奴がいたはずっすよ!」

「……ごめん。私、興味なくてプリント貰ったらそのまま帰っちゃった……。」

「っ!?」
信じられない。
あり得ない。
そんな感情が溢れ出し、目と口を見開き驚愕を顔全体で表す丸雄。
彼はつい足を止めてしまった。

「……え?ふ、藤柴くん?」
かつてない彼の表情に戸惑う華子。
彼と同じく停止。

戸惑いと戸惑い。
それらがぶつかり合うおかしな空間が生まれてしまった。

その混沌な中、先に口を開いたのは丸雄であった。
しかし、依然として歩を進めようとはしない。

「そ、それじゃあ……。」
彼の声がやや震えている。

「……?」

「それじゃあ、姐さんは入学式の日に何を楽しみに登校したんっすか!?」

「普通に入学式だったから登校したんだよ!?」
楽しみも何もない。
新一年生として入学する為のものであったから出席したのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
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