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05 Love Affair
Love Affair 14
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「このサークル、大丈夫かなぁ」
「え? どうしてですか?」
「今日のえみちゃん、なんだか川島君にすごいモーションかけてたじゃない」
「…」
みさとさんも、わたしと同じことを感じてたんだ。
彼女は続けた。
「あんまりサークル活動に恋愛とかを持ち込んでほしくないのよね。色恋沙汰でサークル崩壊、なんてことになりかねないじゃない?」
「そうですね。色恋が絡むと、ふつうじゃいられなくなりますからね~」
「ふふ。もしかしてさつきさんも、川島君が好きなの?」
みさとさんはそう言って、軽くウインクする。
「え、えっ? どうしてです?」
「だってあなた、集会の間じゅう、川島君とえみちゃんのこと見てたじゃない。やきもきしたような目で」
「えっ? …あの、えっと」
「いいわよ。川島君、けっこういい男だし、高校時代の同級生だったあなたが好きだったとしても、別におかしくないしね。でも、えみちゃんもいるし… 複雑よね」
う…
すっかり見透かされてる。
わたしは真っ赤になってうつむいた。
蘭さんにも、川島君のことを好きだと疑われていたし、自分の気持ちは完璧に隠していたつもりだったのに、回りからはもう、バレバレなのかなぁ。
「えみちゃんってトラブルメーカーだから、この先もサークルの中を引っ掻き回すような気がするの。可愛い子なんだけどねぇ」
「みさとさんは、川島君のこと、どう思ってるんですか?」
「あたし? あたしは、まぁ… 好き。かな」
「好きなんですか?」
「あ。ちょっと意味合い、違うかなぁ。
あたしの場合、恋愛感情っていうよりは、サークルの仲間として好きなの」
「友達として好き、ってことですか?」
「そうね。同じ専門学校の同級生だしね。昼休みとかいっしょにごはん食べに喫茶店行って、創作の話ししたりするし、休みの日にふたりで、美術館に行ったりもしたけど…」
「それって、デートなんじゃないですか?」
「やっぱりそう見えるかなぁ。でも、そんなつもりじゃないのよ。
川島君、才能あるし、なんでも気軽に話せるし、このまま友達の方がいいかなって、思ってるの。
だからあたしのことは、心配しなくていいわよ」
「そん… 心配だなんて」
「ぶっちゃけ、川島君にはえみちゃんより、さつきさんの方がお似合いだと思うのよ。だから応援してるわ。手伝えることがあったら協力するわよ」
「あ、ありがとうございます」
「やぁね。敬語やめてよ。同い年なんだし」
そう言ってみさとさんは微笑む。ん~、いい人だな。
「あたし次の駅で降りるけど、さつきさんは?」
「わたしはそのふたつ先」
「そう… ね。もし時間あるなら、どこかでお茶しない? もっとさつきさんと話してみたいな。小説の話とかもね」
「いいですね」
意気投合したわたしたちは、次の駅で降りて、みさとさんのお気に入りの喫茶店で長い時間、同人誌や小説の話とか、学校の話とか、お互いの恋の話なんかまでしゃべっていた。
みさとさんは、表面的にはふんわりしていて頼りない感じだけど、中身は案外しっかりしていて、わたしの話も親身になって聞いてくれる。
専門学校でのこともあれこれ話してくれて、知らない川島君の一面も暴露してくれて、それはとっても新鮮。
今日は蘭さんの件で落ち込んでしまったけど、みさとさんという新しい友達ができたおかげで、気持ちも少しは上向いてきた。
つづく
「え? どうしてですか?」
「今日のえみちゃん、なんだか川島君にすごいモーションかけてたじゃない」
「…」
みさとさんも、わたしと同じことを感じてたんだ。
彼女は続けた。
「あんまりサークル活動に恋愛とかを持ち込んでほしくないのよね。色恋沙汰でサークル崩壊、なんてことになりかねないじゃない?」
「そうですね。色恋が絡むと、ふつうじゃいられなくなりますからね~」
「ふふ。もしかしてさつきさんも、川島君が好きなの?」
みさとさんはそう言って、軽くウインクする。
「え、えっ? どうしてです?」
「だってあなた、集会の間じゅう、川島君とえみちゃんのこと見てたじゃない。やきもきしたような目で」
「えっ? …あの、えっと」
「いいわよ。川島君、けっこういい男だし、高校時代の同級生だったあなたが好きだったとしても、別におかしくないしね。でも、えみちゃんもいるし… 複雑よね」
う…
すっかり見透かされてる。
わたしは真っ赤になってうつむいた。
蘭さんにも、川島君のことを好きだと疑われていたし、自分の気持ちは完璧に隠していたつもりだったのに、回りからはもう、バレバレなのかなぁ。
「えみちゃんってトラブルメーカーだから、この先もサークルの中を引っ掻き回すような気がするの。可愛い子なんだけどねぇ」
「みさとさんは、川島君のこと、どう思ってるんですか?」
「あたし? あたしは、まぁ… 好き。かな」
「好きなんですか?」
「あ。ちょっと意味合い、違うかなぁ。
あたしの場合、恋愛感情っていうよりは、サークルの仲間として好きなの」
「友達として好き、ってことですか?」
「そうね。同じ専門学校の同級生だしね。昼休みとかいっしょにごはん食べに喫茶店行って、創作の話ししたりするし、休みの日にふたりで、美術館に行ったりもしたけど…」
「それって、デートなんじゃないですか?」
「やっぱりそう見えるかなぁ。でも、そんなつもりじゃないのよ。
川島君、才能あるし、なんでも気軽に話せるし、このまま友達の方がいいかなって、思ってるの。
だからあたしのことは、心配しなくていいわよ」
「そん… 心配だなんて」
「ぶっちゃけ、川島君にはえみちゃんより、さつきさんの方がお似合いだと思うのよ。だから応援してるわ。手伝えることがあったら協力するわよ」
「あ、ありがとうございます」
「やぁね。敬語やめてよ。同い年なんだし」
そう言ってみさとさんは微笑む。ん~、いい人だな。
「あたし次の駅で降りるけど、さつきさんは?」
「わたしはそのふたつ先」
「そう… ね。もし時間あるなら、どこかでお茶しない? もっとさつきさんと話してみたいな。小説の話とかもね」
「いいですね」
意気投合したわたしたちは、次の駅で降りて、みさとさんのお気に入りの喫茶店で長い時間、同人誌や小説の話とか、学校の話とか、お互いの恋の話なんかまでしゃべっていた。
みさとさんは、表面的にはふんわりしていて頼りない感じだけど、中身は案外しっかりしていて、わたしの話も親身になって聞いてくれる。
専門学校でのこともあれこれ話してくれて、知らない川島君の一面も暴露してくれて、それはとっても新鮮。
今日は蘭さんの件で落ち込んでしまったけど、みさとさんという新しい友達ができたおかげで、気持ちも少しは上向いてきた。
つづく
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