252 / 259
level 27
「きわどいことまでやって誘惑したんですか?」
しおりを挟む
「やっほー、美月さん。
しばらくイベント来てなかったけど、元気だった?
大学の前期日程試験、終わったばかりでしょ。
受験の合間にブライズメイドだなんて、大変だろうけど、美月さんだったらこなせそうな気がするわぁ」
恋子さんが遅れてやってきて、優花さんから手渡されたブライズメイドのドレスを見て、歓声をあげる。
「へぇ~~。これがあたしたちが着る衣装かぁ。背中が編み上げになってて可愛いじゃん。
それで、ブライズメイドはあたしと桃李さんと、美月さんの三人?」
「そうよ。なんだかんだでこのメンツなら、気心知れてて居心地いいし、美少女率が高いしね」
「確かに。コスプレで合わせした仲だしね」
そう言いながら、恋子さんはドレスに着替える。
頭のてっぺんで髪を結び、おでこを出しているせいで、太い眉が強調されて、いつもよりさらに気が強そうに見える。
「そうそう。ずっと美月さんに訊こうと思ってたことがあるんだけど」
鏡に向かって髪を整えていた恋子さんは、唐突に切り出した。
「美月さん、ヨシキさんと別れたんだって?」
「…」
一瞬、桃李さんと優花さんの顔がこわばった。
そんなことにはお構いなく、恋子さんは続ける。
「ヨシキさんから聞き出したのよ。あなたたち、つきあってたんだって?」
「ええ。去年の夏からセンター試験の一週間前まで」
平然とした顔で答えるわたしに、恋子さんは大きくうなづく。
「ふぅ~ん。どうりで、ね」
「どうりで、って?」
「どんなにあたしがモーションかけても、ヨシキさん、全然なびかないんだもん。けっこー、きわどいことまでやって誘惑したんだけどな」
きわどい誘惑って、、、
恋子さんがどんな手を使ったのか、なんとなく想像できる。
唖然としているわたしに、恋子さんはあっけらかんと言った。
「ま。美月さんがカノジョだったんじゃ、それも納得だわ」
「ヨシキさん、わたしたちのことをペラペラ喋ったんですか?」
「カマかけてやったのよ。『美月さんから直接聞いた』って。そしたらやっと、認めたわ。
あいつ、意外と口が固くて、自分のこととか全然話さないでしょ。
ヨシキさんってチャラそうに見えるけど、意外と闇を抱えてる感じなのよね~。
ってか、自分の暗い過去をおちゃらけて、誤魔化してる道化の臭いがする。
まあ、そこがある種の魅力なんだけどね」
「わたしももう、その『暗い過去』の一部になったと思います」
「あはは、そっか~。まあ、あたしも、美月さんの次ってのは、なにかと較べられてやりにくいだろうから、ヨシキさんのことは諦めるわ」
「恋子さん…」
「大丈夫だって。あたし、切り替え早い方だから。
あと、この話はここにいる四人だけのオフレコよ。絶対ネットとかに流しちゃダメだからね。
ただでさえヨシキさん、ネットで叩かれてるのに、これ以上ネタを投下するの可哀想だし、美月さんにしても、変なスキャンダルで、清純イメージ壊されるの、マイナスにしかならないでしょ」
「恋子さんは、そこまでヨシキさんと美月姫のこと、考えてくださってたんですね~(=⌒▽⌒=)
桃李、感謝の嵐ですヾ(*´∀`*)ノ」
「だって、友達じゃん。当然でしょ」
さらりと恋子さんが言った。
『友達』か…
なんだか、ジンとくる言葉。
わたし、人からそういう風に言われたことなんて、今までなかったから。
そのときだった。
コツコツとブライズルームのドアがノックされたかと思うと、カジュアルなシャツとパンツにジャケットを羽織ったの男の人が、勢いよく入ってきた。
「ちぃ~っす。この度はおめでとうございまっす。前撮りと当日の撮影を担当させてもらいます、カメラマンヨシキっす。よろしくお願いしゃ~~っス!!」
つづく
しばらくイベント来てなかったけど、元気だった?
大学の前期日程試験、終わったばかりでしょ。
受験の合間にブライズメイドだなんて、大変だろうけど、美月さんだったらこなせそうな気がするわぁ」
恋子さんが遅れてやってきて、優花さんから手渡されたブライズメイドのドレスを見て、歓声をあげる。
「へぇ~~。これがあたしたちが着る衣装かぁ。背中が編み上げになってて可愛いじゃん。
それで、ブライズメイドはあたしと桃李さんと、美月さんの三人?」
「そうよ。なんだかんだでこのメンツなら、気心知れてて居心地いいし、美少女率が高いしね」
「確かに。コスプレで合わせした仲だしね」
そう言いながら、恋子さんはドレスに着替える。
頭のてっぺんで髪を結び、おでこを出しているせいで、太い眉が強調されて、いつもよりさらに気が強そうに見える。
「そうそう。ずっと美月さんに訊こうと思ってたことがあるんだけど」
鏡に向かって髪を整えていた恋子さんは、唐突に切り出した。
「美月さん、ヨシキさんと別れたんだって?」
「…」
一瞬、桃李さんと優花さんの顔がこわばった。
そんなことにはお構いなく、恋子さんは続ける。
「ヨシキさんから聞き出したのよ。あなたたち、つきあってたんだって?」
「ええ。去年の夏からセンター試験の一週間前まで」
平然とした顔で答えるわたしに、恋子さんは大きくうなづく。
「ふぅ~ん。どうりで、ね」
「どうりで、って?」
「どんなにあたしがモーションかけても、ヨシキさん、全然なびかないんだもん。けっこー、きわどいことまでやって誘惑したんだけどな」
きわどい誘惑って、、、
恋子さんがどんな手を使ったのか、なんとなく想像できる。
唖然としているわたしに、恋子さんはあっけらかんと言った。
「ま。美月さんがカノジョだったんじゃ、それも納得だわ」
「ヨシキさん、わたしたちのことをペラペラ喋ったんですか?」
「カマかけてやったのよ。『美月さんから直接聞いた』って。そしたらやっと、認めたわ。
あいつ、意外と口が固くて、自分のこととか全然話さないでしょ。
ヨシキさんってチャラそうに見えるけど、意外と闇を抱えてる感じなのよね~。
ってか、自分の暗い過去をおちゃらけて、誤魔化してる道化の臭いがする。
まあ、そこがある種の魅力なんだけどね」
「わたしももう、その『暗い過去』の一部になったと思います」
「あはは、そっか~。まあ、あたしも、美月さんの次ってのは、なにかと較べられてやりにくいだろうから、ヨシキさんのことは諦めるわ」
「恋子さん…」
「大丈夫だって。あたし、切り替え早い方だから。
あと、この話はここにいる四人だけのオフレコよ。絶対ネットとかに流しちゃダメだからね。
ただでさえヨシキさん、ネットで叩かれてるのに、これ以上ネタを投下するの可哀想だし、美月さんにしても、変なスキャンダルで、清純イメージ壊されるの、マイナスにしかならないでしょ」
「恋子さんは、そこまでヨシキさんと美月姫のこと、考えてくださってたんですね~(=⌒▽⌒=)
桃李、感謝の嵐ですヾ(*´∀`*)ノ」
「だって、友達じゃん。当然でしょ」
さらりと恋子さんが言った。
『友達』か…
なんだか、ジンとくる言葉。
わたし、人からそういう風に言われたことなんて、今までなかったから。
そのときだった。
コツコツとブライズルームのドアがノックされたかと思うと、カジュアルなシャツとパンツにジャケットを羽織ったの男の人が、勢いよく入ってきた。
「ちぃ~っす。この度はおめでとうございまっす。前撮りと当日の撮影を担当させてもらいます、カメラマンヨシキっす。よろしくお願いしゃ~~っス!!」
つづく
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
還暦妻と若い彼 継承される情熱
MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。
しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。
母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。
同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。
清掃員と僕の密やかな情状
MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。
青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。
肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。
44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる