182 / 259
level 20
「過激なポーズを次々と繰り出していきました」
しおりを挟む
振り返って見ると、ふたりとも色違いのコルセット風のミニのワンピース。パニエたっぷりのふわふわのフレアスカートから出た脚には、シュシュのようなガーターリング。
完全にわたしとダブっている。
同じボーカロイドグループ、『candyunit』の『スウィートデビル』のコスプレだ。
特に魔夢さんの方は、わたしと同じキャラクター。
一瞬、緊張が走る。
このふたりはわたしのことを、あまりよく思っていない。
しかも今日は、思いっきりキャラが被ってるし、、、
「見たわよ、CM。美月さんすごい!
はじめてお会いしたときから、あなたってただ者じゃないって思ってたけど、やっぱりね~」
「なんでもモデル事務所に所属してるんですって? 森田美湖の秘蔵っ子だとか。尊敬します~」
猫なで声を出しながら、ふたりは親しげにわたしに近づいてきて、笑みを浮かべた。
な、なんなの?
このフレンドリーな態度?!
あまりの豹変っぷりに、思わずたじろぐ。
「今日は同じキャラだし、いっしょに写真撮りませんか?」
ふたりは口を揃えて言った。
「え? ええ…」
なんだか意外。
以前はわたしのことなんか、眼中にないような態度だったのに。
わたしがOKすると、魔夢さんと百合花さんは大きな一眼レフをバッグから取り出し、嬉々として写真を撮りはじめた。
肩を寄せてきて頬をくっつけたり、からだに腕をまわしてきたりと、やたら馴れ馴れしい。
その光景に引きつけられたのか、他のカメコも集まってきて、囲み撮影になってきた。
負けたくない!
立ちポーズをとっていた百合花さんの前に回り込んだわたしは、ひざまづいて立て膝になり、からだのラインを強調するように腰をぐっと入れて彼女の背中に手を回し、その大きな胸に頬を当てて、小悪魔っぽく、目の前のカメラの列を熱く見つめた。
“カシャカシャカシャ…”
レンズが一斉にわたしの方を向く。
構えられたカメラのピントが、百合花さんではなく、わたしに合うのがわかる。
いつ聞いても気持ちいい音。
思わず恍惚となり、わたしはおしりに手を当て、さらに過激なポーズを次々と繰り出していった。
うしろから撮られたって気にしない。
ちゃんとパンチラ防止用のスパッツでガードしてるし、そんな布切れ、『見たいなら見れば』って感じ。
これ見よがしにわたしは脚を広げると、背中をそらしておしりをぐっと突き出し、思いっきりセクシーなポーズをとった。
“カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ…”
シャッター音が一段と高まる。
ん~。
快感!
「は~い。もう終了で~す。カウントかけま~す! 3、2、1、はいっ。解散で~す!」
頃合いを見計らって、スタッフがカウントかけてくる。
それを合図に囲み撮影は終了した。
魔夢さんと百合花さんと別れたあとも、他のレイヤーたちが次々とやってきては、わたしとのツーショを求めてきた。
「以前やってた『散華転生』のお市さまコス、いつか外ロケ合わせでやって頂けませんか? 美月さまと合わせ撮影するのが、わたしの夢なんです~♪」
「今度スタジオ借りてボカロ合わせしようと思うんですけど、美月さんにもぜひぜひコラボして頂きたいんですぅ♪」
そう言って、撮影会に誘ってくるレイヤーもいる。
そんな大勢のレイヤーやカメコの人垣の向こうに、チラリと小さな人影が目に入った。
それは、桃李さんだった。
同じ『candyunit』のボカロコスを纏って、遠慮がちに人垣の隙間から、チラチラとこちらを覗いてる。
どうやらわたしに話しかけたそう。
そういえばここ数回、イベント会場で彼女を見かけなかったな。
つづく
完全にわたしとダブっている。
同じボーカロイドグループ、『candyunit』の『スウィートデビル』のコスプレだ。
特に魔夢さんの方は、わたしと同じキャラクター。
一瞬、緊張が走る。
このふたりはわたしのことを、あまりよく思っていない。
しかも今日は、思いっきりキャラが被ってるし、、、
「見たわよ、CM。美月さんすごい!
はじめてお会いしたときから、あなたってただ者じゃないって思ってたけど、やっぱりね~」
「なんでもモデル事務所に所属してるんですって? 森田美湖の秘蔵っ子だとか。尊敬します~」
猫なで声を出しながら、ふたりは親しげにわたしに近づいてきて、笑みを浮かべた。
な、なんなの?
このフレンドリーな態度?!
あまりの豹変っぷりに、思わずたじろぐ。
「今日は同じキャラだし、いっしょに写真撮りませんか?」
ふたりは口を揃えて言った。
「え? ええ…」
なんだか意外。
以前はわたしのことなんか、眼中にないような態度だったのに。
わたしがOKすると、魔夢さんと百合花さんは大きな一眼レフをバッグから取り出し、嬉々として写真を撮りはじめた。
肩を寄せてきて頬をくっつけたり、からだに腕をまわしてきたりと、やたら馴れ馴れしい。
その光景に引きつけられたのか、他のカメコも集まってきて、囲み撮影になってきた。
負けたくない!
立ちポーズをとっていた百合花さんの前に回り込んだわたしは、ひざまづいて立て膝になり、からだのラインを強調するように腰をぐっと入れて彼女の背中に手を回し、その大きな胸に頬を当てて、小悪魔っぽく、目の前のカメラの列を熱く見つめた。
“カシャカシャカシャ…”
レンズが一斉にわたしの方を向く。
構えられたカメラのピントが、百合花さんではなく、わたしに合うのがわかる。
いつ聞いても気持ちいい音。
思わず恍惚となり、わたしはおしりに手を当て、さらに過激なポーズを次々と繰り出していった。
うしろから撮られたって気にしない。
ちゃんとパンチラ防止用のスパッツでガードしてるし、そんな布切れ、『見たいなら見れば』って感じ。
これ見よがしにわたしは脚を広げると、背中をそらしておしりをぐっと突き出し、思いっきりセクシーなポーズをとった。
“カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ…”
シャッター音が一段と高まる。
ん~。
快感!
「は~い。もう終了で~す。カウントかけま~す! 3、2、1、はいっ。解散で~す!」
頃合いを見計らって、スタッフがカウントかけてくる。
それを合図に囲み撮影は終了した。
魔夢さんと百合花さんと別れたあとも、他のレイヤーたちが次々とやってきては、わたしとのツーショを求めてきた。
「以前やってた『散華転生』のお市さまコス、いつか外ロケ合わせでやって頂けませんか? 美月さまと合わせ撮影するのが、わたしの夢なんです~♪」
「今度スタジオ借りてボカロ合わせしようと思うんですけど、美月さんにもぜひぜひコラボして頂きたいんですぅ♪」
そう言って、撮影会に誘ってくるレイヤーもいる。
そんな大勢のレイヤーやカメコの人垣の向こうに、チラリと小さな人影が目に入った。
それは、桃李さんだった。
同じ『candyunit』のボカロコスを纏って、遠慮がちに人垣の隙間から、チラチラとこちらを覗いてる。
どうやらわたしに話しかけたそう。
そういえばここ数回、イベント会場で彼女を見かけなかったな。
つづく
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説


今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


変態ドM社長は女神の足元にかしずく
雪宮凛
恋愛
モデルとして活躍する彩華は、マネージャーと共に訪れたバーである男と出会う。
彼は、瀬野ホールディングスグループ二代目社長、瀬野智明。
偶然の出会いをきっかけに、二人の歪な関係が始まる――。
タグに目を通し、大丈夫な方だけご覧ください。
※他の投稿サイト様(ムーンライトノベルズ様、メクる様、プチプリンセス様)にも、同じ作品を転載しています。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる