あいつに惚れるわけがない

茉莉 佳

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「わたしの抵抗は征服本能を覚醒させたようです」(性表現あり)

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「…寒い。すっかり冷えちゃった」

はだしの足元を、凍えた風が吹き抜ける。
背筋にゾクっと冷気が走り、カチカチと歯が震える。
芦ノ湖畔のホテルの中庭をあてなく彷徨い、これまでのことを振り返っていたわたしは、寒さで現実に引き戻された。

「もう、戻らなきゃ。ヨシキさんが心配するかも」

そう呟いたわたしは、急ぎ足で中庭を横切ってホテルに入り、わたしたちの部屋へ向かった。
カードをかざしてロックを解除し、そっとドアを開けて、なかの様子をうかがってみる。
さっきと変わらない姿で、ヨシキさんははだかのままベッドに横たわって、寝息を立てていた。

いくらエアコンが効いているとはいえ、このままじゃ風邪を引いてしまう。
ガウンを脱いでベッドに潜り込みながら、わたしはヨシキさんにも毛布をかけてあげる。

「ん、、、」

その拍子に、ヨシキさんが小さく声を漏らした。

「凛子ちゃん、、、 なんか、足が冷たいな」
「ちょっと、外に出てて」
「ふぅん、、、 オレが、あっためてやるよ」

ふにゃふにゃした寝ぼけ声を出しながら、ヨシキさんはわたしに腕を回してきた。

「あったかい」

心が安らぐぬくもりに、思わず言葉がこぼれる。

「、、だろ。もっと熱くしてやるよ」

そう言いながらヨシキさんは、からだをひねってわたしの上にのしかかり、無造作にショーツに指を入れてきた。

「、、、いや。そんな気分じゃない」
「いいじゃん。愛してるよ」

寝ぼけ声で、瞳もうつろなまま、ヨシキさんはわたしの花芯をいじりはじめる。
さっきまで寒風に晒されて、これまでの出来事を省みていたわたしは、身も心も冷えきっていて、エッチなんてする気が起きない。

「やめて。痛いです」
「すぐ気持ちよくなるよ」
「いや」

両脚を固く閉じたわたしは、邪険にヨシキさんの肩を押しのけようとした。
しかし、男の人のからだはやっぱり重くて、びくともしない。

「やめてください」
「大丈夫だって」

ショーツに入れられた指を払おうとするわたしの腕を掴み、ヨシキさんは組み敷くように押さえつけて、愛撫を続けた。
無理やり太腿をこじ開け、自分のからだを入れてくる。

「もう、、 いやだってば!」
「凛子ちゃんの怒った顔もいいな」

本気で抵抗したけど、やっぱり力では敵わない。
わたしの自由を完全に奪ったヨシキさんは、自分の唾液で秘部を濡らすと、すっかり昂まったモノを、ずっぷりと埋め込んできた。
なかは乾いたままなので、動く度にギチギチと擦れてくる。

「うぅ、、、痛っ、、」
「すぐによくなるよ」
「いっ、、、 いや」

どんなにあらがっても、ヨシキさんのからだはビクともしない。
両脚を宙に浮かせられてるせいで、下半身にも力が入らない。
腕も動かせないよう、万歳した形で掴まれてしまった。
まるで柔道の固技かためわざのように、がっちりと押さえ込まれたわたしは、ヨシキさんのされるがままになるしかなかった。

「どうした凛子ちゃん。抵抗はもう終わり?」

気がつくと、ヨシキさんはギラギラした瞳でわたしを見つめていた。
口元には微かに笑みが浮かんでる。
どうやらわたしの抵抗は、ヨシキさんの征服本能を覚醒させたようだ。

つづく
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