150 / 259
level 17
「どうしてそんなに清々しく笑えるのですか!」
しおりを挟む
「そのことはもう、ブログにも書きましたけど、今度、みっこさんの所属しているモデル事務所に、入れてもらえることになりました」
「モデル事務所に? すっご~い、美月さん!」
「特待生として、みっこさんが推薦してくれるそうです」
「へぇ~! 森田美湖直々の推薦なんだ!」
「それに、ある大きな広告にわたしを起用してくれるらしくて、もうすぐポスターやCM撮りなんですよ」
「ほんとに?! なんのCM出るの? あたし絶対チェックする!」
「それはわたしもまだ知らないんです。決まったらまた、ブログに書きますね」
「美月さん、ブログはじめたんだ」
「ええ、最近。でも、まだ使い方がよくわからなくて」
「アドレス教えてよ。今度フレンド申請するから」
「ありがとうございます」
興奮した様子の恋子さんを横目で見ながら、わたしはほくそ笑んだ。
『ブログに書いた』なんて、嘘。
だからもし、例の掲示板に今言ったことが書き込まれたりすれば、出所は恋子さんということになる。
彼女が面従腹背しているのなら、ここから尻尾を掴めるかもしれない。
ちょっと卑怯なやり方かもしれないけど、そのくらいしないと犯人を炙り出せないだろう。
「そう言えば、今日はヨシキさん、見ないね」
わたしの謀りごとなど知らず、恋子さんは周りを見渡しながら言った。
『ヨシキさん』という言葉で、わたしは鬱な現実に引き戻される。
やっぱり来ていないのか、、、
あんな人のことなんかどうでもいいと思いながらも、つい、わたしの視線は、ヨシキさんの姿を探していた。
来れば腹が立つだろうし、来なければ不安になる。
どんなに忘れようとしても、ヨシキさんのことはやっぱり、気になる存在。。。
「おっ。今日は『散華転生』じゃん。新コスだな」
とその時、聞き慣れたチャラい声が背中で響いた。
振り向くと、ヨシキさんがカメラを抱えて立っている!
たった一週間しか離れていなかったのに、もう何年も会わなかったみたい。
あんなに会いたかった、、、
ううん。
見たくもなかった顔。
あんな別れ方をしたっていうのに、どうしてこの人、まるで何ごともなかったかのように、平然と話しかけてくることができるの?
「久し振りだな美月ちゃん。元気だった? 写真撮ってもいい?」
まるで屈託のない笑顔で、ヨシキさんはわたしを見つめ、真っ白な歯を光らせた。
さっ、、、
爽やか過ぎる!
この一週間を、わたしは鬱々と過ごしていたというのに、この人、どうしてこんなに清々しく笑えるの?
ヨシキさんにとってわたしの存在って、そんなに軽いものだったの?
それとも、なにも考えていないの?
バカなの?
“バシッ”
気がついたら、わたしの右手は思いっきり、ヨシキさんの頬をはたいていた。
「…ぃ、って~、、、」
「全然元気じゃありません。撮影なんか、してくれなくて結構です!」
「オレが撮らないで、いったいだれが美月ちゃんを撮るんだ!?」
「ヨシキさんでなくても、写真撮ってくれる人はたくさんいます!」
頬を押さえるヨシキさんを尻目に、踵を返してわたしはその場を立ち去る。
恋子さんはうろたえながら、わたしとヨシキさんを交互に見て、結局ヨシキさんの方に留まって、わたしからぶたれた頬を撫でながら、慰めている。
ふん。
女の友情なんて、結局そんなものよ!
恋子さんには、なんの期待もしてないし、、、
つづく
「モデル事務所に? すっご~い、美月さん!」
「特待生として、みっこさんが推薦してくれるそうです」
「へぇ~! 森田美湖直々の推薦なんだ!」
「それに、ある大きな広告にわたしを起用してくれるらしくて、もうすぐポスターやCM撮りなんですよ」
「ほんとに?! なんのCM出るの? あたし絶対チェックする!」
「それはわたしもまだ知らないんです。決まったらまた、ブログに書きますね」
「美月さん、ブログはじめたんだ」
「ええ、最近。でも、まだ使い方がよくわからなくて」
「アドレス教えてよ。今度フレンド申請するから」
「ありがとうございます」
興奮した様子の恋子さんを横目で見ながら、わたしはほくそ笑んだ。
『ブログに書いた』なんて、嘘。
だからもし、例の掲示板に今言ったことが書き込まれたりすれば、出所は恋子さんということになる。
彼女が面従腹背しているのなら、ここから尻尾を掴めるかもしれない。
ちょっと卑怯なやり方かもしれないけど、そのくらいしないと犯人を炙り出せないだろう。
「そう言えば、今日はヨシキさん、見ないね」
わたしの謀りごとなど知らず、恋子さんは周りを見渡しながら言った。
『ヨシキさん』という言葉で、わたしは鬱な現実に引き戻される。
やっぱり来ていないのか、、、
あんな人のことなんかどうでもいいと思いながらも、つい、わたしの視線は、ヨシキさんの姿を探していた。
来れば腹が立つだろうし、来なければ不安になる。
どんなに忘れようとしても、ヨシキさんのことはやっぱり、気になる存在。。。
「おっ。今日は『散華転生』じゃん。新コスだな」
とその時、聞き慣れたチャラい声が背中で響いた。
振り向くと、ヨシキさんがカメラを抱えて立っている!
たった一週間しか離れていなかったのに、もう何年も会わなかったみたい。
あんなに会いたかった、、、
ううん。
見たくもなかった顔。
あんな別れ方をしたっていうのに、どうしてこの人、まるで何ごともなかったかのように、平然と話しかけてくることができるの?
「久し振りだな美月ちゃん。元気だった? 写真撮ってもいい?」
まるで屈託のない笑顔で、ヨシキさんはわたしを見つめ、真っ白な歯を光らせた。
さっ、、、
爽やか過ぎる!
この一週間を、わたしは鬱々と過ごしていたというのに、この人、どうしてこんなに清々しく笑えるの?
ヨシキさんにとってわたしの存在って、そんなに軽いものだったの?
それとも、なにも考えていないの?
バカなの?
“バシッ”
気がついたら、わたしの右手は思いっきり、ヨシキさんの頬をはたいていた。
「…ぃ、って~、、、」
「全然元気じゃありません。撮影なんか、してくれなくて結構です!」
「オレが撮らないで、いったいだれが美月ちゃんを撮るんだ!?」
「ヨシキさんでなくても、写真撮ってくれる人はたくさんいます!」
頬を押さえるヨシキさんを尻目に、踵を返してわたしはその場を立ち去る。
恋子さんはうろたえながら、わたしとヨシキさんを交互に見て、結局ヨシキさんの方に留まって、わたしからぶたれた頬を撫でながら、慰めている。
ふん。
女の友情なんて、結局そんなものよ!
恋子さんには、なんの期待もしてないし、、、
つづく
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。



今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる