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「どんなにきつく力を込めても足りません」(性表現あり)
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花芯をめくるようにヨシキさんの指がうごめき、からだの奥がジンジンとしびれて、もうなにも考えられない。
まるで泉が湧き出すように、からだが潤っていくのだけはわかる。
そうしているうちに、ヨシキさんがわたしの脚の間に自分のからだを入れて、熱いものを押しつけてきた。
ゆっくりゆっくりと、大きな塊がわたしのなかへ進んでくる。
ほんの少しずつ、でも無理矢理押し広げられ、自分じゃない別のものが、からだのいちばん深いところまで、めりこんでくる感覚。
怖いけど、もう戻れない。
歯を食いしばって、わたしはヨシキさんを受け入れた。
熱い!
思わずビクンと、からだがのけぞる。
焼き火箸を刺されたみたいに、からだの奥が熱くなって膨れ上がり、わたしは思わず呻き声を上げた。
「ううっ。いっ、痛っ。ヨシキさん?!」
「凛子ちゃん… やっぱり、はじめて?」
「う、うう…」
言葉にならない唸り声を発しながら、わたしは眉をひそめて瞳を閉じる。
「感激だよ、凛子ちゃん。すごく可愛いよ」
「ううっ… ううぅ」
「もっと力抜いて」
「そん… 無理」
押し寄せる痛みの波と、そのなかでときおり、チカチカときらめく色とりどりの光の束。
なに?
なんなの? この感覚。
言葉なんかで表現できない。
異次元へトリップするみたい。
混沌とした意識のなかで、わたしは薄目を開けて、からだの上にのしかかり、蠢いているヨシキさんを見た。
はじめて目にする、よろこびに浸っているみたいな、切なげな表情。
額には、うっすらと汗が滲んでいて、頬もわずかに紅潮している。
一瞬も逸らすことなく、ヨシキさんはわたしを悩ましげに見つめていた。
この瞬間の、すべてを記憶にとどめておこうとするかのように。
「凛子、ちゃん」
「ぅ… うう…」
「いちばん奥まで、届いたよ」
「ほん… とう。ですか…」
「オレ、最高に幸せだよ。凛子ちゃんとこうして、ひとつになれて」
「ヨシキ… さん」
「あったかい。凛子ちゃんのなか」
これまで見せたこともなかったやさしい微笑みを浮かべ、ヨシキさんは耳元でささやき、深いキスをした。
「ぅ… ヨシ、キ… さん」
「すっごい可愛いよ。凛子ちゃん」
「あっ…」
「もっと凛子ちゃんを、感じたい」
どのくらい経ってからだろうか。
ヨシキさんは少しずつ、本当にゆっくりゆっくりと、腰を動かしはじめた。
からだを密着させたまま、円を描いてゆく。
一周するごとに僅かずつ円は大きくなって、下腹部全体を揺らす感じ。
そうしているうちに痛みも薄れてきて、からだのなかにいるヨシキさんを、次第に感じることができるようになってきた。
わたしのなかに、好きな人がいる。
自分に足りなかったものを、いっぱいに満たしてくれている。
愛おしい。
好きだという気持ちが溢れ出て、止まらない。
涙が出そう。
「わたしも、ヨシキさんを感じます」
「凛子ちゃん」
「好きです。もっと… 感じさせてください」
「オレも好きだよ。もうなにも考えられないくらい」
「ヨシキさん…」
「凛子ちゃんはオレのすべてだ。ずっとずっと、こうしてような」
「ぁ…ヨシキさん。ヨシキさん。ヨシキさん… ああ…」
うわごとみたいに名前を繰り返しながら、わたしはヨシキさんの首に腕を回し、思いっきり抱きしめた。
どんなにきつく力を込めても、足りない。
もっと彼のこと、包み込みたい。
わたしのすべてで、受け入れていたい。
ヨシキさんのすべてがほしい。
ひとつになりたい。
この世に生を受けて17年と9ヶ月あまり。
それは、はじめて芽生えた感情だった。
つづく
まるで泉が湧き出すように、からだが潤っていくのだけはわかる。
そうしているうちに、ヨシキさんがわたしの脚の間に自分のからだを入れて、熱いものを押しつけてきた。
ゆっくりゆっくりと、大きな塊がわたしのなかへ進んでくる。
ほんの少しずつ、でも無理矢理押し広げられ、自分じゃない別のものが、からだのいちばん深いところまで、めりこんでくる感覚。
怖いけど、もう戻れない。
歯を食いしばって、わたしはヨシキさんを受け入れた。
熱い!
思わずビクンと、からだがのけぞる。
焼き火箸を刺されたみたいに、からだの奥が熱くなって膨れ上がり、わたしは思わず呻き声を上げた。
「ううっ。いっ、痛っ。ヨシキさん?!」
「凛子ちゃん… やっぱり、はじめて?」
「う、うう…」
言葉にならない唸り声を発しながら、わたしは眉をひそめて瞳を閉じる。
「感激だよ、凛子ちゃん。すごく可愛いよ」
「ううっ… ううぅ」
「もっと力抜いて」
「そん… 無理」
押し寄せる痛みの波と、そのなかでときおり、チカチカときらめく色とりどりの光の束。
なに?
なんなの? この感覚。
言葉なんかで表現できない。
異次元へトリップするみたい。
混沌とした意識のなかで、わたしは薄目を開けて、からだの上にのしかかり、蠢いているヨシキさんを見た。
はじめて目にする、よろこびに浸っているみたいな、切なげな表情。
額には、うっすらと汗が滲んでいて、頬もわずかに紅潮している。
一瞬も逸らすことなく、ヨシキさんはわたしを悩ましげに見つめていた。
この瞬間の、すべてを記憶にとどめておこうとするかのように。
「凛子、ちゃん」
「ぅ… うう…」
「いちばん奥まで、届いたよ」
「ほん… とう。ですか…」
「オレ、最高に幸せだよ。凛子ちゃんとこうして、ひとつになれて」
「ヨシキ… さん」
「あったかい。凛子ちゃんのなか」
これまで見せたこともなかったやさしい微笑みを浮かべ、ヨシキさんは耳元でささやき、深いキスをした。
「ぅ… ヨシ、キ… さん」
「すっごい可愛いよ。凛子ちゃん」
「あっ…」
「もっと凛子ちゃんを、感じたい」
どのくらい経ってからだろうか。
ヨシキさんは少しずつ、本当にゆっくりゆっくりと、腰を動かしはじめた。
からだを密着させたまま、円を描いてゆく。
一周するごとに僅かずつ円は大きくなって、下腹部全体を揺らす感じ。
そうしているうちに痛みも薄れてきて、からだのなかにいるヨシキさんを、次第に感じることができるようになってきた。
わたしのなかに、好きな人がいる。
自分に足りなかったものを、いっぱいに満たしてくれている。
愛おしい。
好きだという気持ちが溢れ出て、止まらない。
涙が出そう。
「わたしも、ヨシキさんを感じます」
「凛子ちゃん」
「好きです。もっと… 感じさせてください」
「オレも好きだよ。もうなにも考えられないくらい」
「ヨシキさん…」
「凛子ちゃんはオレのすべてだ。ずっとずっと、こうしてような」
「ぁ…ヨシキさん。ヨシキさん。ヨシキさん… ああ…」
うわごとみたいに名前を繰り返しながら、わたしはヨシキさんの首に腕を回し、思いっきり抱きしめた。
どんなにきつく力を込めても、足りない。
もっと彼のこと、包み込みたい。
わたしのすべてで、受け入れていたい。
ヨシキさんのすべてがほしい。
ひとつになりたい。
この世に生を受けて17年と9ヶ月あまり。
それは、はじめて芽生えた感情だった。
つづく
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