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level 7
「コスプレの先輩として負けられません」
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level 7
昨夜は夜中まで長電話して、真夏だというのにお風呂にも入らず眠落ちしてしまったせいで、髪はベタついて気持ち悪いし、肌の調子も心なしか張りがない。
こんな状態でイベントに行って、ヨシキさんに会うのはイヤだ。
だけど、桃李さんや恋子さんに、今日のイベントで会う約束をしていたし、なによりヨシキさんには、やっぱり会いたい。
優花さんと性的な話をしたせいか、なんだかからだがむずむずしてきて、ヨシキさんに会いたくて会いたくて、なにかに突き動かされるような衝動が、心を支配している。
しばらく悩んだわたしはベッドから飛び起き、急いでシャワーを浴び、支度を整えた。
イベント会場へ着いたのは、もうお昼を過ぎた頃だった。
「美月姫キタ━━━(° ∀゚° )━━━!!
今日もお会いできて、桃李嬉しいです~ ☆キャーーー(≧▽≦)ーーーッッ☆!」
更衣室から会場に出るとすぐに、桃李さんが目ざとくわたしを見つけて、絵文字言葉全開で駆け寄ってきた。
「遅かったわね。美月姫w」
彼女のうしろから、ピョコンと顔を出したレイヤーさんは…
「ええっ? 優花さんっ?!」
「凛子ちゃん。あ、コスプレネームは美月梗夜さんだったね。よろしくね。あたし、コスプレイヤーの『ソリン』でぇす♪」
「優… いえソリンさん。そのコスプレは…」
突然のできごとに驚いているわたしに悪戯っぽく微笑み、優花さんは衣装を見せびらかすように、クルリと回ってみせた。
ダークレッドの短いボレロの下には、胸元の開いたカットソーを着ていて、編み上げのコルセットで締め上げている。
ウエストからアンダーバストのラインがぴっちりと出ていて、胸のふくらみがとても強調され、とってもセクシー。
全体的におとなっぽくてシックな色づかいだけど、その分、ミニのプリーツスカートとニーハイソックスとの間からのぞく絶対領域が、まぶしくて色っぽく感じる。
「びっくりしたぁ? 今日から江之宮憐花ちゃんのクラスを担当する、『リア恋plus』の新任英語教師、『茜レイラ』です。よろしくね」
「優… ソリンさん、いつからコスプレなんてはじめたんですか?」
「今日デビューしたばっかりよ。凛子ちゃんがコスプレはじめたって聞いて、あたしもやっと勇気が出たの。
だけど、こんな奇抜でエロっぽい服着て人前に出れるなんて、なんかドキワクしてくるね」
「…」
驚きのあまり声も出せないでいるわたしに、桃李さんが嬉しそうに言った。
「素敵な『茜レイラ』さんをハケーンして、お写真お願いしたんですぅ。そしたら美月姫とお知り合いって言うじゃないですか!
桃李もう嬉しくって♪
だからふたりして美月姫が来るのを、お待ちしてたんですよ~ ヾ(*´∀`*)ノ」
「さっそくみんなで写真撮ろうよ。合わせっての? やってみたいわ。キメポーズもばっちり研究してきたんだから」
「わぁい ヾ(*´∀`*)ノ
わたしのキスデジちゃんの出番ですぅ。はい、こっち向いてくださ~い♪」
桃李さんは嬉しそうに、相変わらず小さなからだに似合わない大きな一眼レフを構え、撮影をはじめた。
優花さんは今日がはじめてのコスプレとは思えないほど、ポージングが上手い。
『茜レイラ』は帰国子女のちょっとセクシー系な英語教師という設定で、『リア恋plus』のなかではお色気担当キャラだけど、コスプレイヤーソリンさんもそれにふさわしい妖艶なポーズを、惜しげもなくどんどん繰り出してくる。
わたしも負けられない。
半月程度とはいえ、コスプレでは優花さんよりわたしの方が、先輩なんだ。
これまでの研究とレッスンの成果を、発揮しなきゃ。
つづく
昨夜は夜中まで長電話して、真夏だというのにお風呂にも入らず眠落ちしてしまったせいで、髪はベタついて気持ち悪いし、肌の調子も心なしか張りがない。
こんな状態でイベントに行って、ヨシキさんに会うのはイヤだ。
だけど、桃李さんや恋子さんに、今日のイベントで会う約束をしていたし、なによりヨシキさんには、やっぱり会いたい。
優花さんと性的な話をしたせいか、なんだかからだがむずむずしてきて、ヨシキさんに会いたくて会いたくて、なにかに突き動かされるような衝動が、心を支配している。
しばらく悩んだわたしはベッドから飛び起き、急いでシャワーを浴び、支度を整えた。
イベント会場へ着いたのは、もうお昼を過ぎた頃だった。
「美月姫キタ━━━(° ∀゚° )━━━!!
今日もお会いできて、桃李嬉しいです~ ☆キャーーー(≧▽≦)ーーーッッ☆!」
更衣室から会場に出るとすぐに、桃李さんが目ざとくわたしを見つけて、絵文字言葉全開で駆け寄ってきた。
「遅かったわね。美月姫w」
彼女のうしろから、ピョコンと顔を出したレイヤーさんは…
「ええっ? 優花さんっ?!」
「凛子ちゃん。あ、コスプレネームは美月梗夜さんだったね。よろしくね。あたし、コスプレイヤーの『ソリン』でぇす♪」
「優… いえソリンさん。そのコスプレは…」
突然のできごとに驚いているわたしに悪戯っぽく微笑み、優花さんは衣装を見せびらかすように、クルリと回ってみせた。
ダークレッドの短いボレロの下には、胸元の開いたカットソーを着ていて、編み上げのコルセットで締め上げている。
ウエストからアンダーバストのラインがぴっちりと出ていて、胸のふくらみがとても強調され、とってもセクシー。
全体的におとなっぽくてシックな色づかいだけど、その分、ミニのプリーツスカートとニーハイソックスとの間からのぞく絶対領域が、まぶしくて色っぽく感じる。
「びっくりしたぁ? 今日から江之宮憐花ちゃんのクラスを担当する、『リア恋plus』の新任英語教師、『茜レイラ』です。よろしくね」
「優… ソリンさん、いつからコスプレなんてはじめたんですか?」
「今日デビューしたばっかりよ。凛子ちゃんがコスプレはじめたって聞いて、あたしもやっと勇気が出たの。
だけど、こんな奇抜でエロっぽい服着て人前に出れるなんて、なんかドキワクしてくるね」
「…」
驚きのあまり声も出せないでいるわたしに、桃李さんが嬉しそうに言った。
「素敵な『茜レイラ』さんをハケーンして、お写真お願いしたんですぅ。そしたら美月姫とお知り合いって言うじゃないですか!
桃李もう嬉しくって♪
だからふたりして美月姫が来るのを、お待ちしてたんですよ~ ヾ(*´∀`*)ノ」
「さっそくみんなで写真撮ろうよ。合わせっての? やってみたいわ。キメポーズもばっちり研究してきたんだから」
「わぁい ヾ(*´∀`*)ノ
わたしのキスデジちゃんの出番ですぅ。はい、こっち向いてくださ~い♪」
桃李さんは嬉しそうに、相変わらず小さなからだに似合わない大きな一眼レフを構え、撮影をはじめた。
優花さんは今日がはじめてのコスプレとは思えないほど、ポージングが上手い。
『茜レイラ』は帰国子女のちょっとセクシー系な英語教師という設定で、『リア恋plus』のなかではお色気担当キャラだけど、コスプレイヤーソリンさんもそれにふさわしい妖艶なポーズを、惜しげもなくどんどん繰り出してくる。
わたしも負けられない。
半月程度とはいえ、コスプレでは優花さんよりわたしの方が、先輩なんだ。
これまでの研究とレッスンの成果を、発揮しなきゃ。
つづく
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