54 / 70
9th sense
9th sense 9
しおりを挟む
そんなあたしの気持ちを見透かすように、下級霊は意外な言葉を口にした。
<酒井あずさ。
それでもおまえは航平を、自分のものにしてぇんだろ?!>
<え? そ、、、そりゃ、そうだけど、、、>
なに?
なにか救いの手があるっての?
思わず期待に胸がふくらむ。
<ケケケケケッ。
ふざけんな!
おまえはなあ、もう頭からつま先まで怨念で凝り固まって、醜い姿に変わり果てちまってるんだよ!>
<…>
なんなのよ!
人を期待させておいて、突き落とすなんて。
追い打ちをかけるように、下級霊は叫んだ。
<酒井あずさ。おまえはそんな醜い姿を、航平の前に晒してぇのか?!
今さらどのツラ下げて、航平の前に出られるってんだ。ちゃんちゃらおかしいぜ!>
<おかしいぜ!>
<おかしいぜ!!>
<やーい。怨霊! 怨霊!!>
<醜い女め~>
こだまのように、下級霊たちの嘲笑う声が、あたり一面から響いてきた。
気がつけば、玄関や天井は下級霊たちでいっぱいになってた。
なんか、、、
頭んなか、パニック!
いったいあたしはどうしたら、、、
<だけどな、ひとつだけ方法がある>
<えっ?>
<航平とおまえが交合れる方法よ!>
黒い影はそう言って、にやりと笑った。
いや。
ただの影だから、笑ったかどうかわからない。
だけど、そいつの感情が直接あたしのなかに入ってきて、不気味な笑顔を浮かべたのだ。
それは、一筋の希望だった。
今のあたしには、その希望にすがるしかない。
せっぱ詰った声で、あたしは訊いた。
<そ、それって、どんな方法なの?!>
<ケケケ。簡単に教えられるかよ!>
<そんな、、、>
<ま、いいぜ。おまえはオレたちの嫌いなあの女を、屠ってくれたからな。その礼に特別に教えてやるぜ>
<あの女?>
<如月摩耶よ。
あいつはいけねぇ。
闇に屈することのねえ、ヤなやつだった。
それを始末してくれたんだからな>
<べっ、別にあたしは、殺したくて殺したんじゃ、、、>
<ケケ。そんなのどうでもいい。
とにかく、オレたちゃおまえの味方だぜ>
<味方、、、>
<だから教えてやる。なに、簡単なことよ。
要するに、航平のヤツを、こっちの世界に引っ張ってくりゃいいだけさ>
<こっちの世界に?
、、ってことは、航平くんを死、、、>
<そうさ!
ヤツを殺っちまうのさ!>
<でも、死んでみんなが幽霊になるわけじゃないんでしょ?>
<そうだ。
幽霊ってのはふつー、この世に執着や未練があるやつか、自分が死んだことを自覚できない程、突然死したやつがなるもんだ。
だからよ。
航平には突然に、悲惨な死に方をさせりゃいいのさ!>
<そんな…>
<死んで天界に昇るまでには、わずかな時間がある。航平の魂が肉体から離れた瞬間をねらって、おまえが闇の世界に引きずり込むんだ。そうすりゃ航平はおまえのもんさ>
<でも、それじゃ、航平くんは、、、>
<おまえ、ひとりぼっちで寂しいんだろ?!
今の真っ暗闇の世界は。
だが、航平がくれば、ふたりっきりで楽しく交合っていけるぜ。永遠にな>
<、、、>
<そうだそうだ!>
<殺せ! 殺せ!>
<航平を引きずり込め~!>
<闇に堕とせ~!>
下級霊たちはいっせいに囃し立てた。
どうしよう、、、
ほんとにあたしにはもう、航平くんを殺すしか、道はないの?
それしか航平くんに気持ちを打ち明ける方法は、ないの?
つづく
<酒井あずさ。
それでもおまえは航平を、自分のものにしてぇんだろ?!>
<え? そ、、、そりゃ、そうだけど、、、>
なに?
なにか救いの手があるっての?
思わず期待に胸がふくらむ。
<ケケケケケッ。
ふざけんな!
おまえはなあ、もう頭からつま先まで怨念で凝り固まって、醜い姿に変わり果てちまってるんだよ!>
<…>
なんなのよ!
人を期待させておいて、突き落とすなんて。
追い打ちをかけるように、下級霊は叫んだ。
<酒井あずさ。おまえはそんな醜い姿を、航平の前に晒してぇのか?!
今さらどのツラ下げて、航平の前に出られるってんだ。ちゃんちゃらおかしいぜ!>
<おかしいぜ!>
<おかしいぜ!!>
<やーい。怨霊! 怨霊!!>
<醜い女め~>
こだまのように、下級霊たちの嘲笑う声が、あたり一面から響いてきた。
気がつけば、玄関や天井は下級霊たちでいっぱいになってた。
なんか、、、
頭んなか、パニック!
いったいあたしはどうしたら、、、
<だけどな、ひとつだけ方法がある>
<えっ?>
<航平とおまえが交合れる方法よ!>
黒い影はそう言って、にやりと笑った。
いや。
ただの影だから、笑ったかどうかわからない。
だけど、そいつの感情が直接あたしのなかに入ってきて、不気味な笑顔を浮かべたのだ。
それは、一筋の希望だった。
今のあたしには、その希望にすがるしかない。
せっぱ詰った声で、あたしは訊いた。
<そ、それって、どんな方法なの?!>
<ケケケ。簡単に教えられるかよ!>
<そんな、、、>
<ま、いいぜ。おまえはオレたちの嫌いなあの女を、屠ってくれたからな。その礼に特別に教えてやるぜ>
<あの女?>
<如月摩耶よ。
あいつはいけねぇ。
闇に屈することのねえ、ヤなやつだった。
それを始末してくれたんだからな>
<べっ、別にあたしは、殺したくて殺したんじゃ、、、>
<ケケ。そんなのどうでもいい。
とにかく、オレたちゃおまえの味方だぜ>
<味方、、、>
<だから教えてやる。なに、簡単なことよ。
要するに、航平のヤツを、こっちの世界に引っ張ってくりゃいいだけさ>
<こっちの世界に?
、、ってことは、航平くんを死、、、>
<そうさ!
ヤツを殺っちまうのさ!>
<でも、死んでみんなが幽霊になるわけじゃないんでしょ?>
<そうだ。
幽霊ってのはふつー、この世に執着や未練があるやつか、自分が死んだことを自覚できない程、突然死したやつがなるもんだ。
だからよ。
航平には突然に、悲惨な死に方をさせりゃいいのさ!>
<そんな…>
<死んで天界に昇るまでには、わずかな時間がある。航平の魂が肉体から離れた瞬間をねらって、おまえが闇の世界に引きずり込むんだ。そうすりゃ航平はおまえのもんさ>
<でも、それじゃ、航平くんは、、、>
<おまえ、ひとりぼっちで寂しいんだろ?!
今の真っ暗闇の世界は。
だが、航平がくれば、ふたりっきりで楽しく交合っていけるぜ。永遠にな>
<、、、>
<そうだそうだ!>
<殺せ! 殺せ!>
<航平を引きずり込め~!>
<闇に堕とせ~!>
下級霊たちはいっせいに囃し立てた。
どうしよう、、、
ほんとにあたしにはもう、航平くんを殺すしか、道はないの?
それしか航平くんに気持ちを打ち明ける方法は、ないの?
つづく
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
『 ゆりかご 』 ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる