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9th sense
9th sense 5
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えっ?
この未希って子には、霊と交信する能力があるっていうの?
如月みたいに!
あたしの期待は一気にふくらむ。
この子を通して、航平くんにあたしの気持ちを伝えられるかもしれない。
あたしが航平くんのこと、だれよりも好きだってことを!
「じゃあ、そろそろはじめようぜ。航平、おまえも座れよ」
そう言って和馬くんはテーブルにつき、航平くんを手招きする。
小さなテーブルを囲むように、四人は座った。
みんなの準備が整ったのを見て、小島未希は鞄から大きなボードを取り出し、テーブルの上に広げた。
ボードの真ん中には赤いインクで十字架が書かれてる。
その横には『yes』『no』の文字。十字架の下に数字が0から9まで並んでいて、さらにその下には、五十音の文字が描かれてる。
「それでは、はじめます。これからは精神をこのボードに集中してください」
そう言いながら小嶋未希は、十字架の上に西洋の古いコインを置いた。
これって、、、
「これ、、、 『コックリさん』ってヤツじゃないのか?」
あたしの気持ちを代弁するように、航平くんが言った。
そうよ。
これは『コックリさん』よ。
『マリアさま』とか、『エンジェルさま』なんてバリエーションもあるみたいだけど、鳥居を十字架に変えただけで、これはコックリさんの一種よ。
そういえばあたしが小学生の頃、クラスで流行ったことがあった。
紙の上に十円玉を置いて、みんなで指を乗せて、『コックリさんコックリさん。教えてください』って質問すると、十円玉が勝手に動き出していろいろ答えるって遊び。
『狐の霊が降りてくる』とか『集団催眠状態になる』とかいろいろ言われてたけど、あまりにもみんなヒートアップしすぎて、休み時間にはいつもだれかがやってて人だかりができて、ヒステリーみたいになる子まで出たんで、とうとう学校から『コックリさん禁止令』が出たんだ。
こんな幼稚な遊びで、あたしと交信できるってわけ?!
「静かに! これから先は、話をしてはいけません」
航平くんをたしなめると、小嶋未希はみんなに指図する。
「両手をテーブルに乗せて、隣の人と手を重ねて下さい」
そう言いながら小嶋未希は、自分の前に置かれた和馬くんと航平くんの手の上に、右手を重ねた。
みんなが手をつなぎ終えると、自分の左手の人差し指を、十字架に置かれたコインに静かに乗せる。
彼女のやり方は、ふつうのコックリさんとはちょっと違ってた。
ふつうならみんなの指を乗せるんだけど、小嶋さんはひとりでやるつもりらしい。
アイマスクをつけながら、警告する様に彼女は厳しい口調で言う。
「いいですか。
これは遊びじゃありません。
本物の降霊術です。
なにがあっても絶対に、つないだ手を離したり、この場から逃げ出さないようにしてください。
でないと、命の保証はできません」
アイマスクで目を覆った彼女は、大きく息を吸い込むと、厳かな声で言った。
「今から酒井あずささんの霊を召還します。
精神を集中して、黙祷して下さい」
みんな緊張と不安で、一気に固くなる。
ミクの顔には明らかに、後悔の色が浮かんでた。
「あと、わたしは目隠しをしているので、文字盤を読むことができません。
中島くん、コインが動いたら、その文字を読んでください」
「お、おう、、」
戸惑いながら和馬くんが返事をする。
小嶋未希は眉間にしわを寄せ、呪文のようにつぶやきはじめた。
「全知全能の天使さま。全知全能の天使さま。
どうぞ酒井あずささんの霊を、ここに召還してください、、、」
『召還』って、、、
なんだかほんとっぽい響き。
ちょっとワクワクしてきた。
「酒井あずささん。酒井あずささん、、 そこにいるならお返事ください。
酒井あずささん、、、」
小嶋未希はずっと、あたしの名を呼び続ける。
、、、感じる。
彼女の霊力を。
如月に較べればはるかに弱いけど、この子が『見える』ってのは、まんざら嘘でもなさそう。
つづく
この未希って子には、霊と交信する能力があるっていうの?
如月みたいに!
あたしの期待は一気にふくらむ。
この子を通して、航平くんにあたしの気持ちを伝えられるかもしれない。
あたしが航平くんのこと、だれよりも好きだってことを!
「じゃあ、そろそろはじめようぜ。航平、おまえも座れよ」
そう言って和馬くんはテーブルにつき、航平くんを手招きする。
小さなテーブルを囲むように、四人は座った。
みんなの準備が整ったのを見て、小島未希は鞄から大きなボードを取り出し、テーブルの上に広げた。
ボードの真ん中には赤いインクで十字架が書かれてる。
その横には『yes』『no』の文字。十字架の下に数字が0から9まで並んでいて、さらにその下には、五十音の文字が描かれてる。
「それでは、はじめます。これからは精神をこのボードに集中してください」
そう言いながら小嶋未希は、十字架の上に西洋の古いコインを置いた。
これって、、、
「これ、、、 『コックリさん』ってヤツじゃないのか?」
あたしの気持ちを代弁するように、航平くんが言った。
そうよ。
これは『コックリさん』よ。
『マリアさま』とか、『エンジェルさま』なんてバリエーションもあるみたいだけど、鳥居を十字架に変えただけで、これはコックリさんの一種よ。
そういえばあたしが小学生の頃、クラスで流行ったことがあった。
紙の上に十円玉を置いて、みんなで指を乗せて、『コックリさんコックリさん。教えてください』って質問すると、十円玉が勝手に動き出していろいろ答えるって遊び。
『狐の霊が降りてくる』とか『集団催眠状態になる』とかいろいろ言われてたけど、あまりにもみんなヒートアップしすぎて、休み時間にはいつもだれかがやってて人だかりができて、ヒステリーみたいになる子まで出たんで、とうとう学校から『コックリさん禁止令』が出たんだ。
こんな幼稚な遊びで、あたしと交信できるってわけ?!
「静かに! これから先は、話をしてはいけません」
航平くんをたしなめると、小嶋未希はみんなに指図する。
「両手をテーブルに乗せて、隣の人と手を重ねて下さい」
そう言いながら小嶋未希は、自分の前に置かれた和馬くんと航平くんの手の上に、右手を重ねた。
みんなが手をつなぎ終えると、自分の左手の人差し指を、十字架に置かれたコインに静かに乗せる。
彼女のやり方は、ふつうのコックリさんとはちょっと違ってた。
ふつうならみんなの指を乗せるんだけど、小嶋さんはひとりでやるつもりらしい。
アイマスクをつけながら、警告する様に彼女は厳しい口調で言う。
「いいですか。
これは遊びじゃありません。
本物の降霊術です。
なにがあっても絶対に、つないだ手を離したり、この場から逃げ出さないようにしてください。
でないと、命の保証はできません」
アイマスクで目を覆った彼女は、大きく息を吸い込むと、厳かな声で言った。
「今から酒井あずささんの霊を召還します。
精神を集中して、黙祷して下さい」
みんな緊張と不安で、一気に固くなる。
ミクの顔には明らかに、後悔の色が浮かんでた。
「あと、わたしは目隠しをしているので、文字盤を読むことができません。
中島くん、コインが動いたら、その文字を読んでください」
「お、おう、、」
戸惑いながら和馬くんが返事をする。
小嶋未希は眉間にしわを寄せ、呪文のようにつぶやきはじめた。
「全知全能の天使さま。全知全能の天使さま。
どうぞ酒井あずささんの霊を、ここに召還してください、、、」
『召還』って、、、
なんだかほんとっぽい響き。
ちょっとワクワクしてきた。
「酒井あずささん。酒井あずささん、、 そこにいるならお返事ください。
酒井あずささん、、、」
小嶋未希はずっと、あたしの名を呼び続ける。
、、、感じる。
彼女の霊力を。
如月に較べればはるかに弱いけど、この子が『見える』ってのは、まんざら嘘でもなさそう。
つづく
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