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8th sense
8th sense 6
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「ほんとはミクが、ずっと、航平くんのこと、想ってたってことも」
え?
ちょ、、、
それ。
どういうこと?
「ミクは立派だよ。
ほんのちょっと、、、
あずさの方が、航平くんを好きになるのが早かっただけなのに。
自分の気持ちを抑えて、ずっとあずさの恋、応援してたんだもんね」
「ん、、、」
ひとこと言うと、ミクは電車の方を見た。
下りの普通電車が、スピードを落としながら近づいてくる。
「でも、、、 わたしって、汚い」
「え?」
ミクの言葉に、萌香は意外そうに首を傾げる。
淋しそうな顔で、ミクは続けた。
「航平くんへの想いを紛らそうと、他の人ともつきあってみたけど、、、
やっぱりダメ。
いつでも航平くんのことが頭にチラついて、航平くんと較べて、だれともちゃんとつきあえなかった。
わたしって、バカだよね。卑怯だよね」
「はたから見てて痛々しかった。あの頃のミクは」
「ん」
「、、、やっぱ辛いよね。自分に嘘つくのって」
「ん」
「あずさがいなくなって、やっとミクも自分の気持ちに、正直になれたわけだし」
え?
なにそれ?
あたしがいなくなって、よかったとでも言いたいの?
萌香だけは今でも、あたしの味方だと思ってたのに、、、
ひどいっ!
「そんな言い方、しないで!」
責めるような厳しい瞳で、ミクは萌香を見た。
その瞬間、銀色の電車が踏切を横切っていき、ふたりの長い髪をグシャグシャにかき乱した。
「、、、ごめん。そんな意味じゃないわ。
わたしだって、あずさがいなくなって悲しいし、淋しいんだよ。
ただ、ミクの気持ちはずっと知ってたから、あずさが航平くんのことをミクに話す度に、ハラハラしてた。
なのにミクは、笑って話聞いてて。
あずさにも親身になってアドバイスしてあげてた。
ミクの犠牲がなきゃ、わたしたちとっくに、ケンカ別れしてたと思う」
「そう、、、 かも」
「だからわたし、和馬くんにお願いして、ミクと航平くんのこと、セッティングしてもらったのよ」
えっ?
航平くんとミクを図書館で引き合わせた件は、裏で萌香が糸を引いてたってわけ?
てっきり、和馬くんの余計なおせっかいだと思ってたのに。
遮断機が上がると、止まった時が動き出したように、クルマも人もいっせいに動き出す。
踏切のなかへ、ふたりも足を踏み出した。
雑踏に紛れながら、萌香は続ける。
「あずさが死んだあと、和馬くんから『航平くんが落ち込んでる』って聞いて、、、
航平くんがあずさのこと好きだったって、そのとき初めて知ったの。
『航平を元気づける方法ないか』って和馬くんから聞かれて、ミクなら航平くんのこと、慰めてあげられるだろうと思ったんだけど、、、」
「わたしが、せっかちだったのかもしれない」
ミクはそう言ってうつむいた。
「航平くんのなかには、今でもあずさがいるの。
それを思い知らされちゃった」
肩を落とすミクに、萌香は励ますように言う。
「今はしかたないよ。
あずさが死んで、まだ三ヶ月しかたってないし。
だけどそのうち航平くんも、ミクの真剣な想いに気づいてくれると思うよ。
いつまでも、死んだ人のこと想ってても、しかたないしね。
だから、元気だしなよ!
わたしも応援してるから!」
「、、、そうね」
淋しさを吹き払うように、ミクは顔を上げて、笑顔を作った。
、、、許せない。
ふたりしてあたしに、ずっと隠しごとしてたわけ?
ミクだけじゃなく、萌香もあたしのこと、裏切ってたっていうの?
あたしなんか、いない方がよかったんだ?!
あたしが死ぬこと、ミクも萌香も望んでたんだ!
ふたりとも親友だったのに。
一生の友達だって思ってたのに。
こんな形で裏切られるなんて。
許せない。ふたりとも、、、
絶対!
、、、恨んでやる。
呪ってやる!
、、、、、、、そしてあたしは真っ黒な闇の世界に、ブラックアウトしていった。
つづく
え?
ちょ、、、
それ。
どういうこと?
「ミクは立派だよ。
ほんのちょっと、、、
あずさの方が、航平くんを好きになるのが早かっただけなのに。
自分の気持ちを抑えて、ずっとあずさの恋、応援してたんだもんね」
「ん、、、」
ひとこと言うと、ミクは電車の方を見た。
下りの普通電車が、スピードを落としながら近づいてくる。
「でも、、、 わたしって、汚い」
「え?」
ミクの言葉に、萌香は意外そうに首を傾げる。
淋しそうな顔で、ミクは続けた。
「航平くんへの想いを紛らそうと、他の人ともつきあってみたけど、、、
やっぱりダメ。
いつでも航平くんのことが頭にチラついて、航平くんと較べて、だれともちゃんとつきあえなかった。
わたしって、バカだよね。卑怯だよね」
「はたから見てて痛々しかった。あの頃のミクは」
「ん」
「、、、やっぱ辛いよね。自分に嘘つくのって」
「ん」
「あずさがいなくなって、やっとミクも自分の気持ちに、正直になれたわけだし」
え?
なにそれ?
あたしがいなくなって、よかったとでも言いたいの?
萌香だけは今でも、あたしの味方だと思ってたのに、、、
ひどいっ!
「そんな言い方、しないで!」
責めるような厳しい瞳で、ミクは萌香を見た。
その瞬間、銀色の電車が踏切を横切っていき、ふたりの長い髪をグシャグシャにかき乱した。
「、、、ごめん。そんな意味じゃないわ。
わたしだって、あずさがいなくなって悲しいし、淋しいんだよ。
ただ、ミクの気持ちはずっと知ってたから、あずさが航平くんのことをミクに話す度に、ハラハラしてた。
なのにミクは、笑って話聞いてて。
あずさにも親身になってアドバイスしてあげてた。
ミクの犠牲がなきゃ、わたしたちとっくに、ケンカ別れしてたと思う」
「そう、、、 かも」
「だからわたし、和馬くんにお願いして、ミクと航平くんのこと、セッティングしてもらったのよ」
えっ?
航平くんとミクを図書館で引き合わせた件は、裏で萌香が糸を引いてたってわけ?
てっきり、和馬くんの余計なおせっかいだと思ってたのに。
遮断機が上がると、止まった時が動き出したように、クルマも人もいっせいに動き出す。
踏切のなかへ、ふたりも足を踏み出した。
雑踏に紛れながら、萌香は続ける。
「あずさが死んだあと、和馬くんから『航平くんが落ち込んでる』って聞いて、、、
航平くんがあずさのこと好きだったって、そのとき初めて知ったの。
『航平を元気づける方法ないか』って和馬くんから聞かれて、ミクなら航平くんのこと、慰めてあげられるだろうと思ったんだけど、、、」
「わたしが、せっかちだったのかもしれない」
ミクはそう言ってうつむいた。
「航平くんのなかには、今でもあずさがいるの。
それを思い知らされちゃった」
肩を落とすミクに、萌香は励ますように言う。
「今はしかたないよ。
あずさが死んで、まだ三ヶ月しかたってないし。
だけどそのうち航平くんも、ミクの真剣な想いに気づいてくれると思うよ。
いつまでも、死んだ人のこと想ってても、しかたないしね。
だから、元気だしなよ!
わたしも応援してるから!」
「、、、そうね」
淋しさを吹き払うように、ミクは顔を上げて、笑顔を作った。
、、、許せない。
ふたりしてあたしに、ずっと隠しごとしてたわけ?
ミクだけじゃなく、萌香もあたしのこと、裏切ってたっていうの?
あたしなんか、いない方がよかったんだ?!
あたしが死ぬこと、ミクも萌香も望んでたんだ!
ふたりとも親友だったのに。
一生の友達だって思ってたのに。
こんな形で裏切られるなんて。
許せない。ふたりとも、、、
絶対!
、、、恨んでやる。
呪ってやる!
、、、、、、、そしてあたしは真っ黒な闇の世界に、ブラックアウトしていった。
つづく
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