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7th sense
7th sense 7
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「オレ、、、 やっぱり、できない」
「えっ?」
「酒井さんのことが、頭にチラついて、、、」
「…」
「今は、まだ無理」
「…」
航平くんの背中を、穴が開くほど見つめてたミクだったが、無言のままからだを起こすと、大きなため息をついてうなだれた。
そのまま航平くんに背を向けて、ずれたブラを元に戻し、ボタンをとめて乱れた制服を整えた。
背中を向けあったまま、ふたりはなにもしゃべらなかった。
あたしはミクの顔をのぞきこんだ。
ミクったら、、、
泣きそうな顔になってる。
「ごめん。ミクちゃん」
「、、、ん。いいの」
ようやく航平くんが、口を開く。
ミクも、航平くんの方を振り向いた。
無理矢理取り繕ったような、明るい笑顔。
「航平くん、あずさのこと、ずっと好きだったんだもんね。
仕方ないよ。
わたしの方こそ、無理矢理押しかけてきて、ゴメンね」
「いや、、、
ミクちゃんの気持ちは、すごい嬉しいんだよ。
オレだって、君のこと、好きだし、、、
だけどもうちょっと、時間がほしい」
「時間…」
「なんてのかな、、、
まだ酒井さんが、オレのすぐ近くにいるみたいで、、、 吹っ切れないんだ」
え?
航平くん。
あたしの存在に、気づいてくれてたの?!
やった!
そばに憑いてた甲斐があった!
「、、、そっか。
あずさ、幸せ者だね。
いつまでもずっと、航平くんに想われてるなんて」
もう一度くるりと背を向けてそう言うと、ミクは鞄を手にして立ち上がったが、部屋のドアノブに手をかけたまま、しばらくじっとしてた。
ポタポタと、ミクの足下に雫がこぼれる。
桃の果汁、、、
じゃない。
「ミク、ちゃん?」
「、、、ごめん。航平くん。
じゃあ、わたしもう帰るから。
航平くんも早く、からだ治してね」
慌てるようにドアを開け、足早に階段を駆け下りると、ミクは靴を履く。
航平くんもミクのあとを追った。
帰れ帰れ!
あたし、ミクに勝ったんだ!
「ミクちゃん!」
玄関ドアに手をかけたミクを、航平くんは呼び止めた。
しかしミクは、振り向かないまま応える。
「ごめん。
わたし今、みっともない顔してるから」
そう言って、ミクはドアを開けて外に出た。
航平くんも裸足のまま玄関を飛び出すと、ミクに追いつき、肩に手をかけて振り向かせた。
うつむいたまま、ミクはイヤそうにからだをよじる。
「、、、離して」
「ミクちゃん、、」
「航平くん、ほんとにごめん。
なんか今、すっごい混乱してる。
わけわかんなくなってるの。
だから今は、ひとりにしといて」
「でも、、、」
「明日また、学校で会おうね。
そのときまでに、わたしも気持ち、整理しとくから。じゃあ、、、」
そう言い残して、ミクは航平くんの腕を振りほどき、小走りに駆けてく。
航平くんはその後ろ姿を、じっと見つめてるだけだった。
ミクめ、、、
ざまぁ。
航平くんはやっぱりあたしが好きなんだ。
あとはあたしの気持ちをちゃんと伝えるだけ。
ラブレター、、、
なんとしても渡さなきゃ!
つづく
「えっ?」
「酒井さんのことが、頭にチラついて、、、」
「…」
「今は、まだ無理」
「…」
航平くんの背中を、穴が開くほど見つめてたミクだったが、無言のままからだを起こすと、大きなため息をついてうなだれた。
そのまま航平くんに背を向けて、ずれたブラを元に戻し、ボタンをとめて乱れた制服を整えた。
背中を向けあったまま、ふたりはなにもしゃべらなかった。
あたしはミクの顔をのぞきこんだ。
ミクったら、、、
泣きそうな顔になってる。
「ごめん。ミクちゃん」
「、、、ん。いいの」
ようやく航平くんが、口を開く。
ミクも、航平くんの方を振り向いた。
無理矢理取り繕ったような、明るい笑顔。
「航平くん、あずさのこと、ずっと好きだったんだもんね。
仕方ないよ。
わたしの方こそ、無理矢理押しかけてきて、ゴメンね」
「いや、、、
ミクちゃんの気持ちは、すごい嬉しいんだよ。
オレだって、君のこと、好きだし、、、
だけどもうちょっと、時間がほしい」
「時間…」
「なんてのかな、、、
まだ酒井さんが、オレのすぐ近くにいるみたいで、、、 吹っ切れないんだ」
え?
航平くん。
あたしの存在に、気づいてくれてたの?!
やった!
そばに憑いてた甲斐があった!
「、、、そっか。
あずさ、幸せ者だね。
いつまでもずっと、航平くんに想われてるなんて」
もう一度くるりと背を向けてそう言うと、ミクは鞄を手にして立ち上がったが、部屋のドアノブに手をかけたまま、しばらくじっとしてた。
ポタポタと、ミクの足下に雫がこぼれる。
桃の果汁、、、
じゃない。
「ミク、ちゃん?」
「、、、ごめん。航平くん。
じゃあ、わたしもう帰るから。
航平くんも早く、からだ治してね」
慌てるようにドアを開け、足早に階段を駆け下りると、ミクは靴を履く。
航平くんもミクのあとを追った。
帰れ帰れ!
あたし、ミクに勝ったんだ!
「ミクちゃん!」
玄関ドアに手をかけたミクを、航平くんは呼び止めた。
しかしミクは、振り向かないまま応える。
「ごめん。
わたし今、みっともない顔してるから」
そう言って、ミクはドアを開けて外に出た。
航平くんも裸足のまま玄関を飛び出すと、ミクに追いつき、肩に手をかけて振り向かせた。
うつむいたまま、ミクはイヤそうにからだをよじる。
「、、、離して」
「ミクちゃん、、」
「航平くん、ほんとにごめん。
なんか今、すっごい混乱してる。
わけわかんなくなってるの。
だから今は、ひとりにしといて」
「でも、、、」
「明日また、学校で会おうね。
そのときまでに、わたしも気持ち、整理しとくから。じゃあ、、、」
そう言い残して、ミクは航平くんの腕を振りほどき、小走りに駆けてく。
航平くんはその後ろ姿を、じっと見つめてるだけだった。
ミクめ、、、
ざまぁ。
航平くんはやっぱりあたしが好きなんだ。
あとはあたしの気持ちをちゃんと伝えるだけ。
ラブレター、、、
なんとしても渡さなきゃ!
つづく
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