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6th sense
6th sense 4
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「うわっ!!」「きゃぁ~~~っ!!!」
航平くんとミクは、同時に叫び声を上げた。
なかから出てきたのはもちろん、ボロボロになった血まみれのラブレター。
ふたりとも顔が引きつり、目玉が飛び出しそうなくらい目を剥いてる。
まるで恐怖マンガみたいな顔。
「なっ、、、 なんなのよぉ。これ! 如月さんっ?!」
手にしてたラブレターをおぞましそうに放り出すと、恐怖に震える声でミクは如月に訊いた。
「それは… 酒井さんが、生前書いていた、浅井さんへのお手紙で…」
「航平くんへの手紙ぃ?」
「それをお渡しする日に、酒井さんは事故に遭われて…」
「確かに、そんな話もしてたけど…
でもなんで、それをあなたが持ってるのよ?!」
「そ、それは…」
「如月さん。これはいった、いどういうことだよ?」
航平くんも如月を問い詰める。
恐怖と怒りで、ミクは声を震わせて怒鳴った。
「如月さん!
こんな酷いいたずら、やめてよね!
『あずさはまだ教室にいる』だの『席がなくて彷徨ってる』だの、変なことばかり言って。頭おかしいんじゃない?!
あずさをネタにしないで!
あずさはわたしの親友だったのよ!
あなた、あずさに恨みでもあったの?!
なんなの、この気持ちの悪い手紙!?
死んでまでこんな悪質な嫌がらせしないでっ!!」
「如月さん。ちゃんと説明しろよ!」
興奮したミクは、目にいっぱい涙をためて喚き、航平くんも軽蔑に満ちた瞳で、如月のことを睨みつける。
ふたりの迫力に気圧されて、如月はなにも言えず、オロオロと立ちすくんでるだけ。
あ~~~!
もう、じれったいっ!!
ったく、見ちゃいられないんだからっ!!
「いたずらなんかじゃらいわよ!
あらしからの、ほんろのラブレラーらんらから!」
如月摩耶がいきなり態度を豹変させて、ふたりに喰ってかかった。
いや、違う。
これはあたしの、、、
酒井あずさの言葉だ!
如月のあまりのふがいなさに、あたしは思いあまって、彼女に突進していった。
いつもなら人のからだはすり抜けるのに、如月とぶつかった瞬間、彼女のなかにめり込んでいくような感覚に襲われる。
一瞬目の前が真っ赤になり、細胞が、そして筋肉や内蔵がフラッシュバックしていく。
あたし、、、
如月摩耶に乗り移ったの?!
久し振りに感じる、血と肉のぬくもり。
からだが地面にめり込みそうな気がする。
これは、、、 重力の感触だ。
物理の法則に縛られた肉体は、霊のときみたいに自由自在に動けない。
生きてる人間って、いろいろ枷が多いんだな。
<酒井さん、酒井さん! これだけは… これだけはダメです。今すぐ出ていって下さい!>
頭の中に、直接訴えてくる声が聞こえてくる。
如月の意識だろうか?
あたし自身も、この予期しないできごとにまごついてた。
つづく
航平くんとミクは、同時に叫び声を上げた。
なかから出てきたのはもちろん、ボロボロになった血まみれのラブレター。
ふたりとも顔が引きつり、目玉が飛び出しそうなくらい目を剥いてる。
まるで恐怖マンガみたいな顔。
「なっ、、、 なんなのよぉ。これ! 如月さんっ?!」
手にしてたラブレターをおぞましそうに放り出すと、恐怖に震える声でミクは如月に訊いた。
「それは… 酒井さんが、生前書いていた、浅井さんへのお手紙で…」
「航平くんへの手紙ぃ?」
「それをお渡しする日に、酒井さんは事故に遭われて…」
「確かに、そんな話もしてたけど…
でもなんで、それをあなたが持ってるのよ?!」
「そ、それは…」
「如月さん。これはいった、いどういうことだよ?」
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恐怖と怒りで、ミクは声を震わせて怒鳴った。
「如月さん!
こんな酷いいたずら、やめてよね!
『あずさはまだ教室にいる』だの『席がなくて彷徨ってる』だの、変なことばかり言って。頭おかしいんじゃない?!
あずさをネタにしないで!
あずさはわたしの親友だったのよ!
あなた、あずさに恨みでもあったの?!
なんなの、この気持ちの悪い手紙!?
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「如月さん。ちゃんと説明しろよ!」
興奮したミクは、目にいっぱい涙をためて喚き、航平くんも軽蔑に満ちた瞳で、如月のことを睨みつける。
ふたりの迫力に気圧されて、如月はなにも言えず、オロオロと立ちすくんでるだけ。
あ~~~!
もう、じれったいっ!!
ったく、見ちゃいられないんだからっ!!
「いたずらなんかじゃらいわよ!
あらしからの、ほんろのラブレラーらんらから!」
如月摩耶がいきなり態度を豹変させて、ふたりに喰ってかかった。
いや、違う。
これはあたしの、、、
酒井あずさの言葉だ!
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いつもなら人のからだはすり抜けるのに、如月とぶつかった瞬間、彼女のなかにめり込んでいくような感覚に襲われる。
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あたし、、、
如月摩耶に乗り移ったの?!
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