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4th sense
4th sense 4
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みんな思い思いに店内を回って、食べ物を選ぶ。
航平くんはといえば、ドリンク棚から麦茶のペットボトルを取ると、まっすぐレジに向かい、ドリンクをカウンターに置きながら、
「お好み棒と唐揚げ棒塩味下さい」
と告げた。
「今日も部活お疲れさま。航平くんはマヨネーズたっぷりだったわね」
レジのアラフォーのおばさんが、気安い感じで話しかけ、航平くんは照れ笑いした。
ふうん。
航平くんたち、常連なんだ。
コンビニの駐車場に座り込み、三人はスナック菓子やお好み棒をガツガツと貪った。
、、、ったく。
男子って、よくこんなとこで食べられるわよね~。
それにしてもみんな、すごい食欲。
やっぱり部活帰りはおなか空くんだろな。
「…にしても航平、そろそろあんなムチャな練習やめろよ。先輩たちもドン引きしてるぞ」
春巻きを食べてた中島和馬くんが、諭すように航平くんに言った。
その声が聞こえてないのか、航平くんはそっぽ向いたまま、お好み棒を頬張ってる。
「レギュラー決めるのはまだ先だろ。それまでに潰れっちまったら意味ないぞ?
なぁ、航平。おまえだけが辛いわけじゃねぇんだよ。
もう終わったことじゃん。早く忘れようぜ。
あずさちゃんは死んだ。
もう、いないんだ」
「…しつこく蒸し返すなよ」
苛立った口調で、航平くんは和馬くんを睨む。
隣の男子も、横から口を出してきた。
「航平。おまえの気持ち、わかるよ」
「坂本、、、」
「酒井に告るつもりだったんだろ?!」
「…」
あたしのこと、航平くんたちはどんな風に話すんだろ?
ドキドキしながら、みんなの会話に聞き耳立てる。
坂本くんは続けた。
「『2年になっても同じクラスになれた! これはもう運命だ』って、航平喜んでたもんな。
酒井って明るくて可愛いし、かなりモテるし」
「そうそう。あずさちゃんって男子に人気あったよな。気は強かったけど明るかったし」
「だよな。おれの知ってるだけで、三人くらいは想ってたかもな」
「顔だって、メッチャ可愛いかったじゃん」
「だよな」
「胸もけっこうデカかったし」
「そこ、ポイントだな、って。横からチャチャ入れんな和馬。
だから、そんな酒井にふさわしい男になるために、航平はバトのレギュラーの座掴もうとしてたんだよな」
「まあ、な」
「それが、まさかの事故で死んじゃって、、、 もう永久に告れなくなっちゃって」
「…」
「だけど航平。いつまで後悔してても、しかたないじゃん。
和馬の言うとおり、どんなに悲しんだって、酒井が生き返るわけじゃないし、一刻も早く忘れて、もっと前向きに生きろよ」
「…わかってるよ!」
やりきれない怒りをぶつけるように、航平くんは食べ終わったお好み棒のカスを、荒っぽくゴミ箱へ投げ込んだ。
「いちいちダメ押しみたいに言うなよ。オレだって、頑張ってんだよ!」
そう言って、グビグビと麦茶をのどの奥に流し込むと、航平くんは空になったペットボトルを、グシャリと握りつぶした。
「おまえらの言うことはわかるよ。オレだって、早く忘れた方がいいと思ってる。
もう少し、時間くれよ」
え?
忘れるって、、、
あたしのことを?!
やだ、、、
そんなのイヤ!!
航平くんだけには、あたしのこと、いつまでも覚えておいてほしいのにっ!!!
コンビニをあとにした三人は、私鉄の駅の改札前で別れ、それぞれ帰途についた。
電車を降りた航平くんは、すっかり陽が落ちた住宅街を、自分の家に向かう。
あたりはすっかり夜の帳に囲まれてて、道端の水銀灯が、チカチカと揺らめいてる。
夜は怖い。
垣根の間や暗い路地、家と家の隙間にできた暗闇が、生きてるときよりもいっそう恐ろしく感じる。
『人は簡単に、闇に支配され、堕ちてしまう』
如月摩耶が言ってたように、この暗闇から、得体の知れない悪意ある霊魂の気配が漂ってくる。
そいつらが闇の底から、あたしを引きずり込もうと狙ってる気がする。
つづく
航平くんはといえば、ドリンク棚から麦茶のペットボトルを取ると、まっすぐレジに向かい、ドリンクをカウンターに置きながら、
「お好み棒と唐揚げ棒塩味下さい」
と告げた。
「今日も部活お疲れさま。航平くんはマヨネーズたっぷりだったわね」
レジのアラフォーのおばさんが、気安い感じで話しかけ、航平くんは照れ笑いした。
ふうん。
航平くんたち、常連なんだ。
コンビニの駐車場に座り込み、三人はスナック菓子やお好み棒をガツガツと貪った。
、、、ったく。
男子って、よくこんなとこで食べられるわよね~。
それにしてもみんな、すごい食欲。
やっぱり部活帰りはおなか空くんだろな。
「…にしても航平、そろそろあんなムチャな練習やめろよ。先輩たちもドン引きしてるぞ」
春巻きを食べてた中島和馬くんが、諭すように航平くんに言った。
その声が聞こえてないのか、航平くんはそっぽ向いたまま、お好み棒を頬張ってる。
「レギュラー決めるのはまだ先だろ。それまでに潰れっちまったら意味ないぞ?
なぁ、航平。おまえだけが辛いわけじゃねぇんだよ。
もう終わったことじゃん。早く忘れようぜ。
あずさちゃんは死んだ。
もう、いないんだ」
「…しつこく蒸し返すなよ」
苛立った口調で、航平くんは和馬くんを睨む。
隣の男子も、横から口を出してきた。
「航平。おまえの気持ち、わかるよ」
「坂本、、、」
「酒井に告るつもりだったんだろ?!」
「…」
あたしのこと、航平くんたちはどんな風に話すんだろ?
ドキドキしながら、みんなの会話に聞き耳立てる。
坂本くんは続けた。
「『2年になっても同じクラスになれた! これはもう運命だ』って、航平喜んでたもんな。
酒井って明るくて可愛いし、かなりモテるし」
「そうそう。あずさちゃんって男子に人気あったよな。気は強かったけど明るかったし」
「だよな。おれの知ってるだけで、三人くらいは想ってたかもな」
「顔だって、メッチャ可愛いかったじゃん」
「だよな」
「胸もけっこうデカかったし」
「そこ、ポイントだな、って。横からチャチャ入れんな和馬。
だから、そんな酒井にふさわしい男になるために、航平はバトのレギュラーの座掴もうとしてたんだよな」
「まあ、な」
「それが、まさかの事故で死んじゃって、、、 もう永久に告れなくなっちゃって」
「…」
「だけど航平。いつまで後悔してても、しかたないじゃん。
和馬の言うとおり、どんなに悲しんだって、酒井が生き返るわけじゃないし、一刻も早く忘れて、もっと前向きに生きろよ」
「…わかってるよ!」
やりきれない怒りをぶつけるように、航平くんは食べ終わったお好み棒のカスを、荒っぽくゴミ箱へ投げ込んだ。
「いちいちダメ押しみたいに言うなよ。オレだって、頑張ってんだよ!」
そう言って、グビグビと麦茶をのどの奥に流し込むと、航平くんは空になったペットボトルを、グシャリと握りつぶした。
「おまえらの言うことはわかるよ。オレだって、早く忘れた方がいいと思ってる。
もう少し、時間くれよ」
え?
忘れるって、、、
あたしのことを?!
やだ、、、
そんなのイヤ!!
航平くんだけには、あたしのこと、いつまでも覚えておいてほしいのにっ!!!
コンビニをあとにした三人は、私鉄の駅の改札前で別れ、それぞれ帰途についた。
電車を降りた航平くんは、すっかり陽が落ちた住宅街を、自分の家に向かう。
あたりはすっかり夜の帳に囲まれてて、道端の水銀灯が、チカチカと揺らめいてる。
夜は怖い。
垣根の間や暗い路地、家と家の隙間にできた暗闇が、生きてるときよりもいっそう恐ろしく感じる。
『人は簡単に、闇に支配され、堕ちてしまう』
如月摩耶が言ってたように、この暗闇から、得体の知れない悪意ある霊魂の気配が漂ってくる。
そいつらが闇の底から、あたしを引きずり込もうと狙ってる気がする。
つづく
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