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3rd sense
3rd sense 7
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「あなた… どうしてそれを」
「あ… 酒井さんからお話しをうかがっていて… 生前に」
「話しを。あなたに?」
「はい。酒井さんとは最近お友達になって、好きな人のことをよく話してもらっていました。気持ちをしたためたお手紙を書いていて、いつか渡そうと、制服の胸ポケットに入れていたことも」
「そう。そうなの… ガサツなあずさにも、あなたみたいなおしとやかで綺麗なお友達もいたのね。あの子ったら、なんにも話してくれないんだから」
お母さん~、、、
本人の目の前で『ガサツ』はないだろ、ガサツは、、、
あたしの突っ込みにも気づかず、母は如月を玄関に招き入れながら言った。
「こんなところじゃなんだから、どうぞ上がって」
如月ナイス。
案外機転が利くヤツ。
あのままじゃ、アブないヘンな人としか思われなかったから、『友達設定』ってのはいいかも。
「では、お邪魔いたします」
両手を揃え、深々とお辞儀して、如月は靴を脱ぎ、玄関に上がってクルリと外を向くと、きちんと正座をして靴を揃えた。
ほんと如月って、仕草に品があって礼儀正しいんだな。
感心しながら、あたしも彼女に続いてうちに上がった。
リビングに如月を通した母は、ティーカップをテーブルの上に置きながら話しはじめた。
「今ちょうど、娘の部屋を整理していたところなのよ」
え?
あたしの部屋を??
「リップとかマスカラとかのコスメや、イヤリングや指輪とかのアクセサリーとかもたくさん出てきてね。ついこないだまでお人形遊びしてたと思っていたのに、あずさもいつの間にか大人になってたんだなって。
好きな人とかできて、ラブレターなんか書くようになっていたんだと思うと、なんだか胸が熱くなってしまって、、、」
そう言いながら母は鼻をすすり、目頭に手を当てた。
ち、ちょっと待ってよお母さん。
無断であたしの部屋に入って、あたしのもの勝手にいじったってこと??
お母さんだからって、それは許せない!
人のプライバシーを踏みにじらないでよっ!!
「それで。あなたの言ってるお手紙。確かに、制服の内ポケットに入ってはいたんだけど…」
隣で憤慨するあたしに構わず、母は申し訳なさそうに言った。
「ほんとはあまり、お見せしたくないのよ」
<えっ? どうして?!
夜更かしして書き上げた超大作のラブレターなのにっ。ちゃんと如月に預けてよ。お母さんっ!
それ、どうしても航平くんに渡さなきゃいけないんだからっ!!>
思わずあたしは声を上げた。
が、もちろん母に届くはずもない。
代弁するように、如月が母に頼んだ。
「お願いします。酒井さんは多分、その手紙のことがとても気になっていたのだと思います。だからわたしが、どうしても確認しておきたいんです」
「そう? まあ、いいんだけど… ショック受けないでね」
そう言って母はわたしの部屋に引っ込んだが、すぐに戻ってきて、一通の封筒を如月の前に置いた。
ラブレターを入れたあたしの薄ピンクの可愛い封筒とは違う、会社で使ってるような大きな茶封筒。
「そのなかに入ってるわ」
そう言って母は目を背け、口元を手で覆った。
つづく
「あ… 酒井さんからお話しをうかがっていて… 生前に」
「話しを。あなたに?」
「はい。酒井さんとは最近お友達になって、好きな人のことをよく話してもらっていました。気持ちをしたためたお手紙を書いていて、いつか渡そうと、制服の胸ポケットに入れていたことも」
「そう。そうなの… ガサツなあずさにも、あなたみたいなおしとやかで綺麗なお友達もいたのね。あの子ったら、なんにも話してくれないんだから」
お母さん~、、、
本人の目の前で『ガサツ』はないだろ、ガサツは、、、
あたしの突っ込みにも気づかず、母は如月を玄関に招き入れながら言った。
「こんなところじゃなんだから、どうぞ上がって」
如月ナイス。
案外機転が利くヤツ。
あのままじゃ、アブないヘンな人としか思われなかったから、『友達設定』ってのはいいかも。
「では、お邪魔いたします」
両手を揃え、深々とお辞儀して、如月は靴を脱ぎ、玄関に上がってクルリと外を向くと、きちんと正座をして靴を揃えた。
ほんと如月って、仕草に品があって礼儀正しいんだな。
感心しながら、あたしも彼女に続いてうちに上がった。
リビングに如月を通した母は、ティーカップをテーブルの上に置きながら話しはじめた。
「今ちょうど、娘の部屋を整理していたところなのよ」
え?
あたしの部屋を??
「リップとかマスカラとかのコスメや、イヤリングや指輪とかのアクセサリーとかもたくさん出てきてね。ついこないだまでお人形遊びしてたと思っていたのに、あずさもいつの間にか大人になってたんだなって。
好きな人とかできて、ラブレターなんか書くようになっていたんだと思うと、なんだか胸が熱くなってしまって、、、」
そう言いながら母は鼻をすすり、目頭に手を当てた。
ち、ちょっと待ってよお母さん。
無断であたしの部屋に入って、あたしのもの勝手にいじったってこと??
お母さんだからって、それは許せない!
人のプライバシーを踏みにじらないでよっ!!
「それで。あなたの言ってるお手紙。確かに、制服の内ポケットに入ってはいたんだけど…」
隣で憤慨するあたしに構わず、母は申し訳なさそうに言った。
「ほんとはあまり、お見せしたくないのよ」
<えっ? どうして?!
夜更かしして書き上げた超大作のラブレターなのにっ。ちゃんと如月に預けてよ。お母さんっ!
それ、どうしても航平くんに渡さなきゃいけないんだからっ!!>
思わずあたしは声を上げた。
が、もちろん母に届くはずもない。
代弁するように、如月が母に頼んだ。
「お願いします。酒井さんは多分、その手紙のことがとても気になっていたのだと思います。だからわたしが、どうしても確認しておきたいんです」
「そう? まあ、いいんだけど… ショック受けないでね」
そう言って母はわたしの部屋に引っ込んだが、すぐに戻ってきて、一通の封筒を如月の前に置いた。
ラブレターを入れたあたしの薄ピンクの可愛い封筒とは違う、会社で使ってるような大きな茶封筒。
「そのなかに入ってるわ」
そう言って母は目を背け、口元を手で覆った。
つづく
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