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最終回〜 恋ができないわけがない
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あの夜から、もう1ヶ月、、、
季節は少しずつ秋めいてきて、栞里ちゃんの中学校でも新学期がはじまってるし、ぼくの大学生活最後の夏休みも、もうすぐ終わる。
栞里ちゃんとはほとんど毎日、メールかメッセージで連絡をとり合ってる。
『今日は学校でこんな事があったよ。こんな事したよ』
なんでもない日常の些細な出来事を、栞里ちゃんは綴ってくる。
ぼくも、ふだんの出来事の他に、新しい漫画やイラストのネタ(全年齢限定)なんかを、見せたりしてる。
学校裏サイトはしばらく、栞里ちゃんの噂話でもちきりだった。
『死檻のやつ、ブログイメチェンしてる。なにがあったんだ?』
『あのフレンドって何者? 彼氏?』
『記事が時々閲覧できる様になったな』
こんな、トイレの落書きみたいなサイトなんて、もう気にもしてないかの様に、栞里ちゃんはブログに楽しいできごとを綴る様になり、そういう記事は一般公開する様にしていた。
そんな彼女をからかうのがつまらなくなったのか、裏サイトでの誹謗中傷も、少しずつ収まっていった。
栞里ちゃんは、やっぱり強い。
自分の力で前向きに進むパワーがある。
ぼくなんかがいなくても、ちゃんとやっていける。
ちょっと掲示板に悪口書かれて凹む様なヘタレな自分の方が、むしろ支えられてる気がする。
そんな事を彼女にこぼすと、『お兄ちゃんがいたから、それができる様になったんだよ』って言われた。
8歳も年下の中学生から慰められるなんて、、、
彼女ができても、やっぱりヘタレは変わんないな、自分、、、 orz
同人誌即売イベントに参加する時、栞里ちゃんは必ず手伝いに来てくれる。
本が売れた時の『握手会』も、すっかりうちのサークルの定番イベントになってしまって、夏コミ合わせで作った本も早々と在庫がなくなり、増刷しなきゃいけないくらいだった。
最近は彼女自身も、コスプレにハマッてきた。
『別の自分に変身できるのがいい』
って言って髪を伸ばしはじめ、ウィッグをつけたりメイクもあれこれ試したり、ゲーム画面を見てポージングを研究したりと、より高瀬みくに近づいてきた感じだ。
『リア恋plus』だけじゃなく、人気ボーカロイドキャラの『初音ミク』もやる様になったけど、、、
さすがにあのロングツインテは、、、 もっ、萌える!!
だけどぼくは、会場内では彼女の写真を撮らない様にした。
自分的に、恋人が他の男に写真撮られてるのを見るのって、やっぱり愉快じゃない。
だから、撮影したい時は、ロケ場所を探して出かけたり、コスプレ専用のスタジオを借りたりして、ふたりだけでじっくり撮る事にしてる。
栞里ちゃんもその辺は心得てるみたいで、ぼく以外のカメコと個人撮影はしない。
誘われても、全部お断りしてるのだ。
個人撮影は、ぼくだけの特権。
そんなスペシャル感が、『恋人同士なんだな~』って実感できるかな。
『オレもそろそろ、ちゃんと彼女作って、おまえみたいに育ててみようかな。なんか育成ゲームみたいで、萌えるじゃん』
と、ヨシキはぼくたちの事を茶化すが、育てられてるのは、実はぼくの方な気がする(笑)。
ぼくの服は栞里ちゃんが選んでくれるし、髪型なんかも彼女の意見を尊重してる。
オタクの自分より栞里ちゃんの方が、ずっとファッションに詳しいし、センスもいい。
ダイエットもさせられて、少しずつ男を磨かされてる感じ。
やっぱり、痩せるとからだも軽くなるし、服のラインも綺麗に見えるし、彼女にも気に入ってもらえるしで、いいことだらけかも。
人はだれでも、一生の間にひとつは、自分だけの物語を作れるという。
よくわかった。
現実から逃げ出せば、物語もはじまらないって事が。
ぼくには漫画。オタクというアイデンティティしかない。
それでも全然、いいんだ。
ヨシキから叱咤激励され、ヘタレながらもなんとか前向きになれたから、デブサキモヲタなぼくでも、こうして栞里ちゃんと恋ができた。
ぼくと栞里ちゃんの物語は、まだはじまったばかりだ(と思いたい)けど、新しい、素晴らしいステージが、目の前にはいくつも続いてるはずだ。
そう信じて、ぼくは次のステージをめざす。
栞里ちゃんといっしょに、、、
END
2012.7.28 初稿
2016.8.15 改稿
2018.1.14 改稿
2019.9.04 改稿
あの夜から、もう1ヶ月、、、
季節は少しずつ秋めいてきて、栞里ちゃんの中学校でも新学期がはじまってるし、ぼくの大学生活最後の夏休みも、もうすぐ終わる。
栞里ちゃんとはほとんど毎日、メールかメッセージで連絡をとり合ってる。
『今日は学校でこんな事があったよ。こんな事したよ』
なんでもない日常の些細な出来事を、栞里ちゃんは綴ってくる。
ぼくも、ふだんの出来事の他に、新しい漫画やイラストのネタ(全年齢限定)なんかを、見せたりしてる。
学校裏サイトはしばらく、栞里ちゃんの噂話でもちきりだった。
『死檻のやつ、ブログイメチェンしてる。なにがあったんだ?』
『あのフレンドって何者? 彼氏?』
『記事が時々閲覧できる様になったな』
こんな、トイレの落書きみたいなサイトなんて、もう気にもしてないかの様に、栞里ちゃんはブログに楽しいできごとを綴る様になり、そういう記事は一般公開する様にしていた。
そんな彼女をからかうのがつまらなくなったのか、裏サイトでの誹謗中傷も、少しずつ収まっていった。
栞里ちゃんは、やっぱり強い。
自分の力で前向きに進むパワーがある。
ぼくなんかがいなくても、ちゃんとやっていける。
ちょっと掲示板に悪口書かれて凹む様なヘタレな自分の方が、むしろ支えられてる気がする。
そんな事を彼女にこぼすと、『お兄ちゃんがいたから、それができる様になったんだよ』って言われた。
8歳も年下の中学生から慰められるなんて、、、
彼女ができても、やっぱりヘタレは変わんないな、自分、、、 orz
同人誌即売イベントに参加する時、栞里ちゃんは必ず手伝いに来てくれる。
本が売れた時の『握手会』も、すっかりうちのサークルの定番イベントになってしまって、夏コミ合わせで作った本も早々と在庫がなくなり、増刷しなきゃいけないくらいだった。
最近は彼女自身も、コスプレにハマッてきた。
『別の自分に変身できるのがいい』
って言って髪を伸ばしはじめ、ウィッグをつけたりメイクもあれこれ試したり、ゲーム画面を見てポージングを研究したりと、より高瀬みくに近づいてきた感じだ。
『リア恋plus』だけじゃなく、人気ボーカロイドキャラの『初音ミク』もやる様になったけど、、、
さすがにあのロングツインテは、、、 もっ、萌える!!
だけどぼくは、会場内では彼女の写真を撮らない様にした。
自分的に、恋人が他の男に写真撮られてるのを見るのって、やっぱり愉快じゃない。
だから、撮影したい時は、ロケ場所を探して出かけたり、コスプレ専用のスタジオを借りたりして、ふたりだけでじっくり撮る事にしてる。
栞里ちゃんもその辺は心得てるみたいで、ぼく以外のカメコと個人撮影はしない。
誘われても、全部お断りしてるのだ。
個人撮影は、ぼくだけの特権。
そんなスペシャル感が、『恋人同士なんだな~』って実感できるかな。
『オレもそろそろ、ちゃんと彼女作って、おまえみたいに育ててみようかな。なんか育成ゲームみたいで、萌えるじゃん』
と、ヨシキはぼくたちの事を茶化すが、育てられてるのは、実はぼくの方な気がする(笑)。
ぼくの服は栞里ちゃんが選んでくれるし、髪型なんかも彼女の意見を尊重してる。
オタクの自分より栞里ちゃんの方が、ずっとファッションに詳しいし、センスもいい。
ダイエットもさせられて、少しずつ男を磨かされてる感じ。
やっぱり、痩せるとからだも軽くなるし、服のラインも綺麗に見えるし、彼女にも気に入ってもらえるしで、いいことだらけかも。
人はだれでも、一生の間にひとつは、自分だけの物語を作れるという。
よくわかった。
現実から逃げ出せば、物語もはじまらないって事が。
ぼくには漫画。オタクというアイデンティティしかない。
それでも全然、いいんだ。
ヨシキから叱咤激励され、ヘタレながらもなんとか前向きになれたから、デブサキモヲタなぼくでも、こうして栞里ちゃんと恋ができた。
ぼくと栞里ちゃんの物語は、まだはじまったばかりだ(と思いたい)けど、新しい、素晴らしいステージが、目の前にはいくつも続いてるはずだ。
そう信じて、ぼくは次のステージをめざす。
栞里ちゃんといっしょに、、、
END
2012.7.28 初稿
2016.8.15 改稿
2018.1.14 改稿
2019.9.04 改稿
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