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10th stage
正面から向き合わないといけない
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えっ?
栞里ちゃん、ブログのフレンド、承認してくれたの?
『拒否る』って言ってた割に、こんなに早くOKしてくれるなんて!
嬉しくなって、ぼくはさっそく栞里ちゃんのブログにアクセスしてみた。
、、、あれ?
さっきまで髑髏やら十字架やらで、おどろおどろしかったブログのデザインが、クラシックな鍵やシャンデリア、ドアなんかが並んだアンティーク風の、ガーリーな可愛いデザインに変わってる。
ブログタイトルも『Death Jail』から『next stage』に変わってるし。
『チェンジ』という、一番新しい記事のタイトルを、ぼくはクリックした。
2017-08-21 00:51
☆チェンジ
今から気持ちをチェンジ。
ブログのイメージもタイトルもチェンジ。
新しい自分になって、新しい人生の第一歩を踏み出す。
それができる気がする。
たった4行だったけど、希望に満ちて、新しい舞台に登る栞里ちゃんの表情が、目に浮かぶ様。
この記事は、全体公開だった。
って事は、そんな自分の新しい姿を、全世界の人に見せたいって事か。
全体公開はまだ、これひとつしかないけど、少しずつ増えてくんだろうな。
明かりの落ちた駅の隅のベンチに腰を降ろし、ぼくはそれより前の、『フレンド限定』の記事をクリックした。
うん。
ちゃんとコンテンツが表示されるぞ!
『フレンド限定』記事は、削除されたり、改稿されている様ではなかった。
って事は、なにも飾らない、素の栞里ちゃんの本音って事。
そこにぼくだけが入れるっていう、優越感。
これぞ、彼氏の特権!
、、、などと、浮かれる気持ちとうらはらに、正直、読むのはちょっと怖い。
だけど、『正面から向き合う』ってぼくは決めたんだ。
もう逃げない。
ぼくはいちばん最近の記事をクリックした。
2017-08-21 00:12
☆無題
お兄ちゃんはあたしの家まで送ってくれるって言う。
絶対終電に間に合わないのに、大丈夫って言ってくれる。
「世界で一番好きだよ!」って、
「ずっとずっと、大事にしてあげたい」って、
言ってくれた!
嬉しい。
こんな汚れきったあたしに、そんなこと言ってくれるなんて。
今日、お兄ちゃんに会えたのは、奇跡。
願いがかなって、ほんとによかった。
あたしは新しいステージにあがれる。
もう、ボッチじゃない。
これは、さっき電車のなかで書いてたブログだ。
ぼくの言葉に、栞里ちゃんはこんなに喜んでくれたんだ。
嬉しい。
幸せな気分に浸りながら、次のひとつ前の記事をクリックする。
2017-08-20 18:38
☆無題
嘘つき!!!!!!!
嘘つき嘘つき!!!!!!!嘘つき!
嘘つき!!嘘つき!!!嘘つき!!嘘つき!
嘘つき!嘘つき!
嘘つき!!!嘘つき!!!嘘つき!嘘つき!!
嘘つき嘘つき嘘つき!
嘘つき!嘘つき!!!!!!嘘つき!嘘つき!
嘘つき!!!嘘つき!!!!嘘つき!!!嘘つき嘘つき!
嘘つき嘘つき!
嘘つき!!
嘘つき!嘘つき!!!!嘘つき!
嘘つき!嘘つき!!!嘘つき!!!!!!!
えっ?!
こっ、これは、、、
そうか。
ぼくに見捨てられたと思って、絶望して服を投げ捨てたあとの記事。
あのときの恐怖が甦ってきて、背筋が凍える。
つづけさまに、ぼくは記事をクリックしていった。
ぼくの知らない栞里ちゃんが、次々と現れる。
ぼくの事を信じられると思って、自分の話を打ち明けようと決心した時の気持ち。
イベント会場での、コスプレの思い出や感想。
恋人と思ってた電話の相手がゲームキャラで、気が抜けたり安心したりした事。
会場でぼくに会えて、嬉しさと不安の入り交じった複雑な気持ち。
行こうかどうか迷って、不安な思いで辿り着いたイベント会場。
、、、なんか。
読み進めるに従って、気持ちがドンドン沈んでいく。
そういえば、どうして逆読みなんてしてるんだ、自分?
これじゃ、ビッチになろうとしてた家出娘の栞里ちゃんに、戻ってくだけじゃないか。
そう気づいて、ぼくは一気にページを遡った。
ブログは去年の冬くらいから書きはじめたみたいだったけど、iPhoneのバッテリー残量の事もあり、とりあえず、ふたりが出会った夜の記事から読みはじめた。
*作者註
<これより先は、ミノルと出会ってからの、佐倉栞里のブログが中心になります。
主人公のミノルは栞里の行動と思考に、正面から向き合おうとします。
ブログには極めて赤裸々で性的な記述が多々あり、ビッチな栞里に対して嫌悪感を抱く可能性もあります。
そういう内容を好まない方は、ここから次回の最終章、『precious stage』へ飛ぶ事をお勧めします>
つづく
栞里ちゃん、ブログのフレンド、承認してくれたの?
『拒否る』って言ってた割に、こんなに早くOKしてくれるなんて!
嬉しくなって、ぼくはさっそく栞里ちゃんのブログにアクセスしてみた。
、、、あれ?
さっきまで髑髏やら十字架やらで、おどろおどろしかったブログのデザインが、クラシックな鍵やシャンデリア、ドアなんかが並んだアンティーク風の、ガーリーな可愛いデザインに変わってる。
ブログタイトルも『Death Jail』から『next stage』に変わってるし。
『チェンジ』という、一番新しい記事のタイトルを、ぼくはクリックした。
2017-08-21 00:51
☆チェンジ
今から気持ちをチェンジ。
ブログのイメージもタイトルもチェンジ。
新しい自分になって、新しい人生の第一歩を踏み出す。
それができる気がする。
たった4行だったけど、希望に満ちて、新しい舞台に登る栞里ちゃんの表情が、目に浮かぶ様。
この記事は、全体公開だった。
って事は、そんな自分の新しい姿を、全世界の人に見せたいって事か。
全体公開はまだ、これひとつしかないけど、少しずつ増えてくんだろうな。
明かりの落ちた駅の隅のベンチに腰を降ろし、ぼくはそれより前の、『フレンド限定』の記事をクリックした。
うん。
ちゃんとコンテンツが表示されるぞ!
『フレンド限定』記事は、削除されたり、改稿されている様ではなかった。
って事は、なにも飾らない、素の栞里ちゃんの本音って事。
そこにぼくだけが入れるっていう、優越感。
これぞ、彼氏の特権!
、、、などと、浮かれる気持ちとうらはらに、正直、読むのはちょっと怖い。
だけど、『正面から向き合う』ってぼくは決めたんだ。
もう逃げない。
ぼくはいちばん最近の記事をクリックした。
2017-08-21 00:12
☆無題
お兄ちゃんはあたしの家まで送ってくれるって言う。
絶対終電に間に合わないのに、大丈夫って言ってくれる。
「世界で一番好きだよ!」って、
「ずっとずっと、大事にしてあげたい」って、
言ってくれた!
嬉しい。
こんな汚れきったあたしに、そんなこと言ってくれるなんて。
今日、お兄ちゃんに会えたのは、奇跡。
願いがかなって、ほんとによかった。
あたしは新しいステージにあがれる。
もう、ボッチじゃない。
これは、さっき電車のなかで書いてたブログだ。
ぼくの言葉に、栞里ちゃんはこんなに喜んでくれたんだ。
嬉しい。
幸せな気分に浸りながら、次のひとつ前の記事をクリックする。
2017-08-20 18:38
☆無題
嘘つき!!!!!!!
嘘つき嘘つき!!!!!!!嘘つき!
嘘つき!!嘘つき!!!嘘つき!!嘘つき!
嘘つき!嘘つき!
嘘つき!!!嘘つき!!!嘘つき!嘘つき!!
嘘つき嘘つき嘘つき!
嘘つき!嘘つき!!!!!!嘘つき!嘘つき!
嘘つき!!!嘘つき!!!!嘘つき!!!嘘つき嘘つき!
嘘つき嘘つき!
嘘つき!!
嘘つき!嘘つき!!!!嘘つき!
嘘つき!嘘つき!!!嘘つき!!!!!!!
えっ?!
こっ、これは、、、
そうか。
ぼくに見捨てられたと思って、絶望して服を投げ捨てたあとの記事。
あのときの恐怖が甦ってきて、背筋が凍える。
つづけさまに、ぼくは記事をクリックしていった。
ぼくの知らない栞里ちゃんが、次々と現れる。
ぼくの事を信じられると思って、自分の話を打ち明けようと決心した時の気持ち。
イベント会場での、コスプレの思い出や感想。
恋人と思ってた電話の相手がゲームキャラで、気が抜けたり安心したりした事。
会場でぼくに会えて、嬉しさと不安の入り交じった複雑な気持ち。
行こうかどうか迷って、不安な思いで辿り着いたイベント会場。
、、、なんか。
読み進めるに従って、気持ちがドンドン沈んでいく。
そういえば、どうして逆読みなんてしてるんだ、自分?
これじゃ、ビッチになろうとしてた家出娘の栞里ちゃんに、戻ってくだけじゃないか。
そう気づいて、ぼくは一気にページを遡った。
ブログは去年の冬くらいから書きはじめたみたいだったけど、iPhoneのバッテリー残量の事もあり、とりあえず、ふたりが出会った夜の記事から読みはじめた。
*作者註
<これより先は、ミノルと出会ってからの、佐倉栞里のブログが中心になります。
主人公のミノルは栞里の行動と思考に、正面から向き合おうとします。
ブログには極めて赤裸々で性的な記述が多々あり、ビッチな栞里に対して嫌悪感を抱く可能性もあります。
そういう内容を好まない方は、ここから次回の最終章、『precious stage』へ飛ぶ事をお勧めします>
つづく
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