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9th stage
美少女の流す涙は汚くなんかない
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「うん。お兄ちゃんは、そうじゃなかった。ずっと優しかった。
あたしの事ちゃんと考えてくれて、エッチしようとはしなかった。それがすっごく嬉しかったの」
「え?」
「この人、『他の男とは違うな』って、思ったの」
「…」
「あたし、バカだった。
お兄ちゃんと原宿で別れて、なんだかムシャクシャしてて、他の男に拾われて、ホテル行って、それが自分の事しか考えてない最低の自己中男で、、、 その時やっとはじめて、お兄ちゃんのいい所に気がついた」
「…」
ぼくを見つめる栞里ちゃんの瞳から、涙が一粒、こぼれ落ちた。
思いを巡らす様に黙ってた彼女は、唇を震わせながら、ようやくひと言、つぶやいた。
「…戻りたい」
「え?」
「家出する前に戻って、もう一度、やり直したい」
「…」
「あたし… バカだった」
「…」
「ビッチになんか、なるんじゃなかった」
「…」
「汚れたくなかった」
「…」
「綺麗なからだで、お兄ちゃんと出会いたかった」
「…」
「お兄ちゃんに、あたしのバージン、あげたかった」
「…」
「……」
栞里ちゃんの瞳からは、どんどん涙が溢れてきて、それ以上言葉をつなげられない。
ぼくも感激で喉が詰まって、なにも言えない。
『バージンあげたい』なんて、、、
なんて嬉しい言葉なんだろう。
そりゃ、栞里ちゃんはもうバージンじゃない。
だけど、そんなのはもう、どうでもいい。
その気持ちだけで、じゅうぶんすぎる。
思わず栞里ちゃんを抱きしめる。
両腕のなかにすっぽりと収まった、柔らかくて暖かなからだを感じながら、何回も繰り返す。
「汚れてなんかない! 汚れてなんかない! 栞里ちゃんは汚れてなんかないよ! すっごい綺麗だよ! 今の栞里ちゃんが、ぼくは好きなんだよ!! ちっとも汚なくなんかないよ!!!」
家出もせず、バージンのままの栞里ちゃんと、どこかで出会ったとしたら、、、
ぼくは彼女の事を『すっごい可愛い子だなぁ』と思って振り向くだろうけど、きっと彼女はぼくの存在さえ気づかず、ただすれ違うだけだったに違いない。
そしてぼくも、栞里ちゃんの事はすぐに忘れて、今までと同じヲタ生活に戻っていく事だろう。
過去があるから、人は現在がある。
どんな過去を栞里ちゃんが背負ってたとしても、その道程があるからこそ、今、こうして彼女が、ぼくの腕のなかにいるんだ!
何百万分の一かの選択肢の末に、こうして栞里ちゃんと出会えたんだ。
それは、ギャルゲーよりも選択肢が多いのに、攻略本もマニュアルもないゲーム。
なのにこうして、恋ができた!
だからぼくは、栞里ちゃんの過去を否定したりできないし、むしろ感謝しなきゃいけないんだ!
ふたりはベッドの上で、いつまでも抱き合ってた。
もちろんぼくは、栞里ちゃんをこうやって抱きしめてても、エッチに持ち込むってわけじゃなかった。
そりゃあ、こんなに可愛くて、華奢で、それでいて、ふくよかな触り心地で、しかもすっごくいい匂いを漂わせてて、その香りが本能中枢をグジャグジャにかき回してるのに、ムラムラこないわけがない。
だけど、『彼女を守る』とか宣言しちゃって、彼女からも『エッチしようとしなかったのが嬉しい』なんて言われてしまい、なんだかタイミングを逃したみたいだ。
栞里ちゃんの言う様に、やっぱり男って、エッチの事しか考えてないのかもしれない。
ぼくだって、例外じゃない、、、orz
やっぱりぼくって、間抜けでヘタレ。
まあ、こうして栞里ちゃんとつきあえたんだから、それでもいいか、、、
「お兄ちゃん。ずっと、ここにいさせてくれる?」
しばらくして顔を上げ、涙で赤く腫らした目で見つめながら、栞里ちゃんは含む様な笑みを浮かべ、ぼくに訊いた。
「あたし、お兄ちゃんのお嫁さんになる。だから一生、ここにいていい?」
「ぇ、、、 えええ~~~~っ???」
「ダメ?」
「そっ、そんな事ないけど、、、」
いきなりなんて事言うんだ!
つづく
あたしの事ちゃんと考えてくれて、エッチしようとはしなかった。それがすっごく嬉しかったの」
「え?」
「この人、『他の男とは違うな』って、思ったの」
「…」
「あたし、バカだった。
お兄ちゃんと原宿で別れて、なんだかムシャクシャしてて、他の男に拾われて、ホテル行って、それが自分の事しか考えてない最低の自己中男で、、、 その時やっとはじめて、お兄ちゃんのいい所に気がついた」
「…」
ぼくを見つめる栞里ちゃんの瞳から、涙が一粒、こぼれ落ちた。
思いを巡らす様に黙ってた彼女は、唇を震わせながら、ようやくひと言、つぶやいた。
「…戻りたい」
「え?」
「家出する前に戻って、もう一度、やり直したい」
「…」
「あたし… バカだった」
「…」
「ビッチになんか、なるんじゃなかった」
「…」
「汚れたくなかった」
「…」
「綺麗なからだで、お兄ちゃんと出会いたかった」
「…」
「お兄ちゃんに、あたしのバージン、あげたかった」
「…」
「……」
栞里ちゃんの瞳からは、どんどん涙が溢れてきて、それ以上言葉をつなげられない。
ぼくも感激で喉が詰まって、なにも言えない。
『バージンあげたい』なんて、、、
なんて嬉しい言葉なんだろう。
そりゃ、栞里ちゃんはもうバージンじゃない。
だけど、そんなのはもう、どうでもいい。
その気持ちだけで、じゅうぶんすぎる。
思わず栞里ちゃんを抱きしめる。
両腕のなかにすっぽりと収まった、柔らかくて暖かなからだを感じながら、何回も繰り返す。
「汚れてなんかない! 汚れてなんかない! 栞里ちゃんは汚れてなんかないよ! すっごい綺麗だよ! 今の栞里ちゃんが、ぼくは好きなんだよ!! ちっとも汚なくなんかないよ!!!」
家出もせず、バージンのままの栞里ちゃんと、どこかで出会ったとしたら、、、
ぼくは彼女の事を『すっごい可愛い子だなぁ』と思って振り向くだろうけど、きっと彼女はぼくの存在さえ気づかず、ただすれ違うだけだったに違いない。
そしてぼくも、栞里ちゃんの事はすぐに忘れて、今までと同じヲタ生活に戻っていく事だろう。
過去があるから、人は現在がある。
どんな過去を栞里ちゃんが背負ってたとしても、その道程があるからこそ、今、こうして彼女が、ぼくの腕のなかにいるんだ!
何百万分の一かの選択肢の末に、こうして栞里ちゃんと出会えたんだ。
それは、ギャルゲーよりも選択肢が多いのに、攻略本もマニュアルもないゲーム。
なのにこうして、恋ができた!
だからぼくは、栞里ちゃんの過去を否定したりできないし、むしろ感謝しなきゃいけないんだ!
ふたりはベッドの上で、いつまでも抱き合ってた。
もちろんぼくは、栞里ちゃんをこうやって抱きしめてても、エッチに持ち込むってわけじゃなかった。
そりゃあ、こんなに可愛くて、華奢で、それでいて、ふくよかな触り心地で、しかもすっごくいい匂いを漂わせてて、その香りが本能中枢をグジャグジャにかき回してるのに、ムラムラこないわけがない。
だけど、『彼女を守る』とか宣言しちゃって、彼女からも『エッチしようとしなかったのが嬉しい』なんて言われてしまい、なんだかタイミングを逃したみたいだ。
栞里ちゃんの言う様に、やっぱり男って、エッチの事しか考えてないのかもしれない。
ぼくだって、例外じゃない、、、orz
やっぱりぼくって、間抜けでヘタレ。
まあ、こうして栞里ちゃんとつきあえたんだから、それでもいいか、、、
「お兄ちゃん。ずっと、ここにいさせてくれる?」
しばらくして顔を上げ、涙で赤く腫らした目で見つめながら、栞里ちゃんは含む様な笑みを浮かべ、ぼくに訊いた。
「あたし、お兄ちゃんのお嫁さんになる。だから一生、ここにいていい?」
「ぇ、、、 えええ~~~~っ???」
「ダメ?」
「そっ、そんな事ないけど、、、」
いきなりなんて事言うんだ!
つづく
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