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7th stage

死の檻は何人たりとも寄せつけない

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『死檻(栞里ちゃんの事?)のヤツ、また今日も先生に媚び売ってたし。成績いいのはヒイキ』
『先生も男だから、あわよくばヤレると思ってんじゃね? あんな貧乳女のどこがいいんだwww』
『死檻ブログハケーンw でもマイフレンドひとりもいない。ここでもボッチwwwww』
『あいつ、\助(援交の事?)やってるって。男と歩いてるの見たヤツいる』
『え? いくら? オレ買いたいかも。死檻タン即ハボかわゆす。ハァハァ』
『やめとけ。ちょっとばかり顔可愛くても、みんなにやられてるよな汚ま○こだぞ。ビョーキ移されるのがオチ』
『こえーな。いっしょにプール入れない』
『死檻ビッチ認定wwwwww』
『ビッチ汚まん○死檻クラスのバイキンタヒね』


いくら裏サイトだからって、、、
書き込んだ人間が特定されないからって、、、 

ひとりの女の子をみんなで寄ってたかって、そこまで攻撃する事ないだろ。
これじゃ栞里ちゃんが可哀想過ぎる。

もちろん、叩かれてるのは栞里ちゃんひとりじゃなく、ほかにも何人かいた。
わずかに反論や擁護のレスもあったが、その後は倍返しの様に、叩き返されてる。

まるで無法地帯。

もしかして、リアルではふつうに接してる様なクラスメイトも、裏サイトに書き込んでるんだろうか?
栞里ちゃんが人間不信になるのも、あたりまえだ!
なんか、、、
こっちまで、涙が出てきた…

それにしても、、、

このカキコのどこまでが、ホントの事なんだろ?
『ビッチ』なんて言われてるけど、こんなにあどけなくて清楚な美少女が、処女じゃないなんて、信じられない。
栞里ちゃんのブログにリンク貼られてたけど、そこで栞里ちゃんはどんな事書いてるんだろ?
気になって、ぼくはリンクを辿ってみた。

『Death Jail』

そのブログのタイトルだった。
直訳すると『死の監獄』。
黒地に髑髏どくろやら十字架の模様の入った、オドロオドロしい背景。
『死檻』って裏サイトの当て字からとってるのか?
自虐的なネーミングだ。

プロフィールを見ると、ニックネーム欄には『Death Jail』とあり、生年月日は7月24日となってるが、それ以外の欄は全部空白だった。
続いて更新履歴を見てみる。
数時間おきに記事が並んでて、結構マメに一日何回もブロクを書き込んでるみたいだ。
最新記事はこの電車に乗ってる時。つい10分程前だった。

そうか!

出会った時から、栞里ちゃんはしょっちゅうスマホになにか打ち込んでたけど、それはここのブログ書いてたんだ!
謎がひとつ解けたぞ!
ぼくはさっそく、その最新記事をクリックしてみた。

『この記事はマイフレンドさん限定です』

画面にはそんな通知が出てくる。
、、、見れないのか。
次の記事をクリックしてみる。

『この記事はマイフレンドさん限定です』

これもかダメか、、、

ぼくは次々に記事をクリックした。

『この記事はマイフレンドさん限定です』

どの記事をクリックしても、どれも『マイフレンド限定』で、読む事はできない。
かなり過去にまで遡ってみたけど、ひとつとしてぼくが読める記事はなかった。
とりあえず申請をして、『マイフレンド』にならなきゃ、栞里ちゃんのブログは読めないんだな。
けっこうガードが固いかも。

そう考えながら、ぼくはもう一度トップ画面に戻って、マイフレンド欄を見てみた。
しかし、そこは空欄になってて、ひとりのマイフレンドもいなかった。

???

記事はすべて『マイフレンド限定』で、マイフレンドはひとりもいない。
これじゃあ、だれもブログを読めないし、そんなブログを書く意味、あるんだろうか?
そいうえば、裏サイトでは『申請してもみんな拒否られる』ってカキコがあったっけ。
だれも信じず、だれにも心を許さず、自分の世界にだれも寄せつけず、栞里ちゃんはひとりで戦ってるのか?

なんだか哀しすぎる。
淋しすぎる、、、

「う… ん」

電車が揺れてスマホが座席のシートに滑り落ち、栞里ちゃんが目を醒した。
ハッとしてブログを閉じる。栞里ちゃんは寝ぼけ声で訊いた。

「ここ、どこらへん?」
「も、もうすぐうちの近くの駅だよ」
「そっか。やっとお兄ちゃんだね」

少し弾んだ声でそう言って、栞里ちゃんはぼくを見て軽く微笑んだ。
それは嬉しい事なんだけど、ぼくの心の中には、重たい『なにか』が芽生えはじめてた。

だれにも心を開いてない彼女が、いったいぼくになんの話があるんだろうか?
重い話なんだろうか?
彼女いない歴=年齢のキモブサデブオタクなぼくが、そんなものを抱えていけるんだろうか?

つづく
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