43 / 77
6th stage
未成年は18禁本を見ちゃいけない
しおりを挟む
サークルスペースではヨシキが店番してて、麗奈ちゃんもまだいたが、ふたりとも栞里ちゃんのコスプレ姿を見て、驚いた様子。
「きゃ~~っ、可愛い~~♪ 高瀬みくちゃんね! 似合ってる~♪」
真っ先に嬌声を上げたのは、麗奈ちゃんだった。
「あ、栞里ちゃん。こっちはコスプレイヤーの美咲麗奈さん。そこに座ってるのが、ぼくの相方のヨシキ」
ふたりにも栞里ちゃんを紹介する。
麗奈ちゃんに会わせると、どんな事を吹き込まれるかわからないから不安だけど、行きがかり上、しかたがない。
「はじめまして。ヨシキって言います。栞里ちゃんは今日がコスプレデビュー? すごく可愛いね」
ヨシキは優しく微笑みかける。栞里ちゃんは恥ずかしそうに頬を赤らめ、うつむいた。
おいおいヨシキ。
あまりカッコいいキメ顔で、栞里ちゃんを見つめるんじゃない!
彼女がおまえに惚れてしまったら、どうするんだよぉ。
こいつに栞里ちゃんを会わせるのも、別の面で不安だ、、、orz
「その衣装すっごい可愛いよね~。あたしも欲しいんだけど、値段が高くって買えないの。いいな~。羨ましいな~。ちょっと見せてよ。参考にしたいし」
栞里ちゃんの着ている『高瀬みくスーパーアイドルデート服』をあちこち触りながら、麗奈ちゃんが妬ましげに話しかける。栞里ちゃんは戸惑っている様子。
「ど、どうも…」
「すっごいスカート短いよね。アンダースコートはちゃんと穿いてる? パンツ狙いのヤツとか多いから、ローアングルで撮るカメコには気をつけてね。初心者はその辺のガードが甘いから、狙われやすいのよ」
「え? ええ…」
馴れ馴れしく栞里ちゃんの腕に手を回して、麗奈ちゃんはコスプレのアドバイスなんかはじめた。
「すっごいこだわりの激しいオタクなカメコは、ポーズ指示が細かいから、あんまり気にしないでテキトーにスルーしていいわよ」
「はぁ、、、」
「ねえねえ、あとであたしのボカロの衣装も着てみない?」
「え?」
「せっかくだからいろいろ着てみようよ。服の取り替えっこしよ~よ。可愛いと思うよ~」
「…」
「あたしのボカロ服。オーダーメイドで作った特注品なのよ。あ、でも栞里ちゃんじゃ、胸がかなり余りっちゃうか」
「…」
「はははは。そのかわり、ウエストと尻はガバガバなんじゃね?」
どう応えていいかわからずうろたえてる栞里ちゃんに、ヨシキが横からチャチャを入れてきた。
さりげなく栞里ちゃんの体型ディスって、マウント取る麗奈ちゃんも黒いけど、ヨシキの切り返しも毒があるな、、、
って、この険悪な雰囲気を、なんとかしないと; ;
「ミノル。オレもう留守番飽きた。そろそろカメコに戻りたいぞ。おまえと栞里ちゃんで、ここの売り子やってくれ」
カメラを持って立ち上がったヨシキは、ぼくたちに席を譲ると、麗奈ちゃんのおしりをパシッと叩いた。
「麗奈。撮影行こうぜ。おまえのそのデカパイと尻、サイコーだよ。もっと撮らせろよ。うんとエロい感じで」
「やんっ。もうっヨシキったら。バカ!」
そう言ってお尻を押さえた麗奈ちゃんは、まんざらでもない様子で、撮影スペースへ向かうヨシキのあとを追った。
「じゃ。あとよろしくな」
そう言ってヨシキは振り向き、ニヤリと笑う。
そうか。
『撮影に行く』ってのは、ぼくたちの事を思ってのことか。
今の流れがまずいのを察して、ヨシキは麗奈ちゃんを連れ出してくれたんだ。
ふたりを引き離してくれて、助かった。
栞里ちゃんといっしょに、まったり売り子もできるし。
サンキュ、ヨシキ。
「な、なんか、初対面なのにゴメンね。変な奴らで」
栞里ちゃんに椅子を勧めながら、ぼくは彼女をうかがった。
イベント自体にまだ慣れてない彼女は、左右のスペースを見回したり、テーブルの上の本を眺めたりと、落ち着かない様子。
「ううん。ちょっとびっくりしたけど…」
「しばらくここで売り子でもして、イベントの雰囲気に慣れるといいよ」
「うん」
「売り子っていっても、そんなに難しい事ないから。お客さんからお金受け取って、この紙袋に本を入れて渡すだけ。本の値段は値札に書いてるから。
あ、このノベルティとペーパーもいっしょに入れてね。ポスカは1枚150円だけど、10枚以上まとめ買いした人には、1枚120円に割引するんだよ」
テーブルに並べられた本やグッズを指差し、ぼくはだいたいの流れを説明した。
「…これ。お兄ちゃんが描いた本?」
山積みになった本を一冊手に取って、栞里ちゃんは訊きながらパラパラめくる。
ヤバい!
それはR-18指定の、『リア恋plus_高瀬みく』触手系陵辱本!
今まで描いたヤツでいちばんエロく、鬼畜度の高い本だ!!
18歳未満の栞里ちゃんが見ちゃいけない!!!
「………」
案の定、パタンと本を閉じてテーブルに戻した栞里ちゃんは、真っ赤になってうつむいた。
「……エロい」
ひと言そうつぶやくと、咎める様にジトっとぼくを見る。
「ごっ、ごめん」
「…ま。いいけど」
「一応18禁本だから、栞里ちゃんは中身見ないで売ってね」
「…そうする」
なんか気まずい。
ぼくがこんなエロマンガを描いて売ってるのを、栞里ちゃんに知られるのって。
つづく
「きゃ~~っ、可愛い~~♪ 高瀬みくちゃんね! 似合ってる~♪」
真っ先に嬌声を上げたのは、麗奈ちゃんだった。
「あ、栞里ちゃん。こっちはコスプレイヤーの美咲麗奈さん。そこに座ってるのが、ぼくの相方のヨシキ」
ふたりにも栞里ちゃんを紹介する。
麗奈ちゃんに会わせると、どんな事を吹き込まれるかわからないから不安だけど、行きがかり上、しかたがない。
「はじめまして。ヨシキって言います。栞里ちゃんは今日がコスプレデビュー? すごく可愛いね」
ヨシキは優しく微笑みかける。栞里ちゃんは恥ずかしそうに頬を赤らめ、うつむいた。
おいおいヨシキ。
あまりカッコいいキメ顔で、栞里ちゃんを見つめるんじゃない!
彼女がおまえに惚れてしまったら、どうするんだよぉ。
こいつに栞里ちゃんを会わせるのも、別の面で不安だ、、、orz
「その衣装すっごい可愛いよね~。あたしも欲しいんだけど、値段が高くって買えないの。いいな~。羨ましいな~。ちょっと見せてよ。参考にしたいし」
栞里ちゃんの着ている『高瀬みくスーパーアイドルデート服』をあちこち触りながら、麗奈ちゃんが妬ましげに話しかける。栞里ちゃんは戸惑っている様子。
「ど、どうも…」
「すっごいスカート短いよね。アンダースコートはちゃんと穿いてる? パンツ狙いのヤツとか多いから、ローアングルで撮るカメコには気をつけてね。初心者はその辺のガードが甘いから、狙われやすいのよ」
「え? ええ…」
馴れ馴れしく栞里ちゃんの腕に手を回して、麗奈ちゃんはコスプレのアドバイスなんかはじめた。
「すっごいこだわりの激しいオタクなカメコは、ポーズ指示が細かいから、あんまり気にしないでテキトーにスルーしていいわよ」
「はぁ、、、」
「ねえねえ、あとであたしのボカロの衣装も着てみない?」
「え?」
「せっかくだからいろいろ着てみようよ。服の取り替えっこしよ~よ。可愛いと思うよ~」
「…」
「あたしのボカロ服。オーダーメイドで作った特注品なのよ。あ、でも栞里ちゃんじゃ、胸がかなり余りっちゃうか」
「…」
「はははは。そのかわり、ウエストと尻はガバガバなんじゃね?」
どう応えていいかわからずうろたえてる栞里ちゃんに、ヨシキが横からチャチャを入れてきた。
さりげなく栞里ちゃんの体型ディスって、マウント取る麗奈ちゃんも黒いけど、ヨシキの切り返しも毒があるな、、、
って、この険悪な雰囲気を、なんとかしないと; ;
「ミノル。オレもう留守番飽きた。そろそろカメコに戻りたいぞ。おまえと栞里ちゃんで、ここの売り子やってくれ」
カメラを持って立ち上がったヨシキは、ぼくたちに席を譲ると、麗奈ちゃんのおしりをパシッと叩いた。
「麗奈。撮影行こうぜ。おまえのそのデカパイと尻、サイコーだよ。もっと撮らせろよ。うんとエロい感じで」
「やんっ。もうっヨシキったら。バカ!」
そう言ってお尻を押さえた麗奈ちゃんは、まんざらでもない様子で、撮影スペースへ向かうヨシキのあとを追った。
「じゃ。あとよろしくな」
そう言ってヨシキは振り向き、ニヤリと笑う。
そうか。
『撮影に行く』ってのは、ぼくたちの事を思ってのことか。
今の流れがまずいのを察して、ヨシキは麗奈ちゃんを連れ出してくれたんだ。
ふたりを引き離してくれて、助かった。
栞里ちゃんといっしょに、まったり売り子もできるし。
サンキュ、ヨシキ。
「な、なんか、初対面なのにゴメンね。変な奴らで」
栞里ちゃんに椅子を勧めながら、ぼくは彼女をうかがった。
イベント自体にまだ慣れてない彼女は、左右のスペースを見回したり、テーブルの上の本を眺めたりと、落ち着かない様子。
「ううん。ちょっとびっくりしたけど…」
「しばらくここで売り子でもして、イベントの雰囲気に慣れるといいよ」
「うん」
「売り子っていっても、そんなに難しい事ないから。お客さんからお金受け取って、この紙袋に本を入れて渡すだけ。本の値段は値札に書いてるから。
あ、このノベルティとペーパーもいっしょに入れてね。ポスカは1枚150円だけど、10枚以上まとめ買いした人には、1枚120円に割引するんだよ」
テーブルに並べられた本やグッズを指差し、ぼくはだいたいの流れを説明した。
「…これ。お兄ちゃんが描いた本?」
山積みになった本を一冊手に取って、栞里ちゃんは訊きながらパラパラめくる。
ヤバい!
それはR-18指定の、『リア恋plus_高瀬みく』触手系陵辱本!
今まで描いたヤツでいちばんエロく、鬼畜度の高い本だ!!
18歳未満の栞里ちゃんが見ちゃいけない!!!
「………」
案の定、パタンと本を閉じてテーブルに戻した栞里ちゃんは、真っ赤になってうつむいた。
「……エロい」
ひと言そうつぶやくと、咎める様にジトっとぼくを見る。
「ごっ、ごめん」
「…ま。いいけど」
「一応18禁本だから、栞里ちゃんは中身見ないで売ってね」
「…そうする」
なんか気まずい。
ぼくがこんなエロマンガを描いて売ってるのを、栞里ちゃんに知られるのって。
つづく
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
ぼくたちのたぬきち物語
アポロ
ライト文芸
一章にエピソード①〜⑩をまとめました。大人のための童話風ライト文芸として書きましたが、小学生でも読めます。
どの章から読みはじめても大丈夫です。
挿絵はアポロの友人・絵描きのひろ生さん提供。
アポロとたぬきちの見守り隊長、いつもありがとう。
初稿はnoteにて2021年夏〜22年冬、「こたぬきたぬきち、町へゆく」のタイトルで連載していました。
この思い入れのある作品を、全編加筆修正してアルファポリスに投稿します。
🍀一章│①〜⑩のあらすじ🍀
たぬきちは、化け狸の子です。
生まれてはじめて変化の術に成功し、ちょっとおしゃれなかわいい少年にうまく化けました。やったね。
たぬきちは、人生ではじめて山から町へ行くのです。(はい、人生です)
現在行方不明の父さんたぬき・ぽんたから教えてもらった記憶を頼りに、憧れの町の「映画館」を目指します。
さて無事にたどり着けるかどうか。
旅にハプニングはつきものです。
少年たぬきちの小さな冒険を、ぜひ見守ってあげてください。
届けたいのは、ささやかな感動です。
心を込め込め書きました。
あなたにも、届け。
月の女神と夜の女王
海獺屋ぼの
ライト文芸
北関東のとある地方都市に住む双子の姉妹の物語。
妹の月姫(ルナ)は父親が経営するコンビニでアルバイトしながら高校に通っていた。彼女は双子の姉に対する強いコンプレックスがあり、それを払拭することがどうしてもできなかった。あるとき、月姫(ルナ)はある兄妹と出会うのだが……。
姉の裏月(ヘカテー)は実家を飛び出してバンド活動に明け暮れていた。クセの強いバンドメンバー、クリスチャンの友人、退学した高校の悪友。そんな個性が強すぎる面々と絡んでいく。ある日彼女のバンド活動にも転機が訪れた……。
月姫(ルナ)と裏月(ヘカテー)の姉妹の物語が各章ごとに交錯し、ある結末へと向かう。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
浴槽海のウミカ
ベアりんぐ
ライト文芸
「私とこの世界は、君の深層心理の投影なんだよ〜!」
過去の影響により精神的な捻くれを抱えながらも、20という節目の歳を迎えた大学生の絵馬 青人は、コンビニ夜勤での疲れからか、眠るように湯船へと沈んでしまう。目が覚めるとそこには、見覚えのない部屋と少女が……。
少女のある能力によって、青人の運命は大きく動いてゆく……!
※こちら小説家になろう、カクヨム、Nolaでも掲載しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる