弟を好きになりました

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小学校中学年編

遊園地デート

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 弟を遊園地に連れていくことを告げると、母さんはいつも悪いわねとお小遣を多めにくれた。
 父も母も働くのが好きだけど、実は俺が一人だった時はそれなりに面倒を見てくれていた。普通の家庭より、仲睦まじくしていたと思う。
 俺が小学校高学年になり、ようやく手が離れた、さあ仕事だ、となった時、律が産まれた。
 今までの反動で働こうとした時にまた育児。もうどうにもならなかったらしい。
 だから俺は、弟の面倒は俺が見なきゃいけないと思った。
 そんないきさつがあるから、もし俺と律の関係を知ったら両親は怒る前に自分達のせいだと気に病むだろう。
 だから絶対にばれちゃいけない。凄く仲のいい、ちょっとブラコン入ったただの兄弟。
 幸い俺も律もどちらかといえばさわやかな見た目なので、手をつないで歩いていたとしても仲のいい兄弟ね、で済むわけだ。
 この前の夏祭りでもそうだったけど、それが遊園地であっても同じこと。
 
「おにーちゃん、おにーちゃん、にゃんこの着ぐるみさん!」
「よーし。写真撮ってやるな。一枚いいですかー?」
 
 着ぐるみが頷く。
 
「やったー! 撮って撮ってー!」
 
 律がはしゃぐ。俺はデジカメを構える。
 律アルバムに久しぶりにいっぱい追加できる。
 アレな写真も撮りたいけど、気付いた時には先にぐったり沈み込んでてそれどころじゃないからな。
 それにもうオカズにはできない……。何故なら一人で抜いたりする余裕がまったくないからだ。
 無駄打ちしたら今度こそ力尽きてしまう。
 
 見た目的にはその辺りの小4より幼く見えるくらいなのに、ダメな兄ちゃんのせいでいろいろ覚えてしまった。
 好奇心旺盛な年頃だからいつ何を言い出されるか、俺はかなりヒヤヒヤしてる。
 学校の友達にはあまり言うなって言ってるけど、絶対自慢してるとも思うし。
 だから余計に最後まではできない。いや、そうじゃなくてもしちゃダメだ。
 
 俺は律と着ぐるみの写真を何枚か撮るふりをして、数枚は単体の写真を撮った。
 はー……。可愛い。可愛いなあ、俺の律。
 
 お礼を言って、その場を離れ、次に何が乗りたいか聞くとゴーカートを指した。
 こんな可愛い外見でもしっかり男の子なんだな。
 俺は乗らずに律の写真だけを撮っていた。
 初めて乗るのに器用なもんだな。
 あのハンドル握ってる手でいつもは俺の……。
 いかんいかん! こんなところで勃てるのはヤバすぎる。
 最近そればっかりだったから、頭の中がエロモードだ。
 ……よく考えたらこうなる前からそうだけど。
 
 律はそんなそぶり見せないよな。切り替えが上手いのかも。
 俺、こんなところまで不器用なんだなぁ……。
 
 それから、二人で乗れる絶叫系や物語を見られるアトラクションを周り、やっぱり最後は……観覧車。
 
「凄い、高いねー」
「そうだな。いい景色だ」
 
 二人並んで、夕暮れになってきた空と、地上を眺める。
 
「人が蟻さんみたい」
 
 並んで座ってるから、少しだけ傾いているけど幸い俺も律も高いのは苦手じゃない。
 
「お兄ちゃん」
「ん? っ……」
 
 キスされた。最近は聞かずにしてくるようになった。
 けど、こんなとこで。観覧車の中でキスとか。凄い恋人同士みたいで嬉しいけど、律からしてくれるとは思わなかった。
 
「急にどうした?」
「あれ」
 
 見れば少し下にある観覧車の中で、カップルがキスをしていた。
 
「するものなのかなーって」
 
 可愛い。ぎゅーしたい。
 でも結構外から見えるんだな。さすがにまずいか。
 
「……お兄ちゃん、勃ってるよ」
 
 ううっ、身体が正直過ぎる。
 
「どうしよ、その……。しようか?」
「っ、まずい、こんな場所じゃ」
「でもお兄ちゃんなら下つく前になんとかなるよね?」
「…………」
 
 どうせ早いさ、俺は……。
 
「パンツ汚れたらまずいし、大体外から見えっ……律!?」
 
 律が身体を屈めて、俺の腿に頭を乗せるみたいにした。
 
「こうしてれば判らないって」
 
 ジッとファスナーの開く音。
 律の小さな口唇の中に飲み込まれる熱。
 まっ……、そんなの教えてない! さすがに、現実でそんなことさせるのは罪悪感があって……。
 
「律、何でっ……」
「だって汚れたら困るでしょ?」
「でも、きっ、汚いか……っあ、あっ」
「ん、お兄ちゃんのおっきい……」
 
 そんなアダルトビデオみたいな台詞……!
 
「やっ、も……出るっ」
 
 なんとか忠告はしたけどギリギリだった。
 早いにもほどがあるぅぅう!
 
「うぇ、苦い……」
「ハンカチ、律、この中に」
 
 律がぐいっと口唇を拭う。
 あれ……。そういえば何で喋って。
 
「な、なんか飲んじゃった。これ、飲んでも平気だった?」
 
 俺が平気じゃない、また勃つ!
 というか匂いでばれないか、これ。
 下までまだ時間があるからミントのガムを二人で噛んでおこう。
 律の口の中もすっきりするだろうし。
 
「平気だけど、これ噛んで。お口あってして」
「あ」
 
 開けられた口に粒状のガムを放り込む。
 
「……あのね、お兄ちゃん」
「何?」
「その、僕も……勃っちゃった……」
 
 恥ずかしそうにする律に俺もまた勃ちそうになったけど、それどころじゃない。
 さすがにもうここじゃできそうにないし……。地面につくまでに間に合わないかも。
 
「僕具合悪くなったふりしてるから、おんぶしてって?」
 
 あ、そうか……。確かにそれなら。
 
「さすが律! かしこい」
「へへー」
 
 だがここからが……。地獄の始まりだった。
 
 背中に感じる律の体温。押し当てられる小さな屹立。
 しかも揺れると擦れるのか、たまに耳元で小さく喘ぐ。
 これ、なんて拷問?
 俺は駅につくまでずっと念仏を唱えていた。
 しかも気付いたら律、寝てた。
 
 ……遊園地も割りと、危険がいっぱいだった。 
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