7 / 76
小学校低学年編
小1バレンタイン
しおりを挟む
今日はバレンタインデーだ。毎年、もらってきたと言っては弟にあげている。
実際もらえたりもするけど、そんなチョコを弟に食べさせる訳にはいかないから。
高級チョコを買って家に帰ると、テーブルの上に山積みのチョコレートが置いてあった。
女の子は早熟だからか、幼稚園の頃よりずっと数が増えている。
弟は確かに可愛い。凄く可愛い。そこらの女の子より全然可愛いのに、何で女の子にこんなにもてるんだろう。兄ちゃんは訳が判りません。
でも小1は小1だな。安っぽいチョコばっかりだ。これなら俺のが一番……って。何小1女子と張り合ってるんだかなぁ、俺……。
まさか男からのチョコとか入ってないよな。
「あれ、お兄ちゃん帰ってきたの?」
弟がダイニングにひょっこりと顔を出した。俺はその小さい身体をぎゅっと抱きしめる。
「うん。ただいま~」
頬を擦り寄せて、匂いを嗅ぐ。
……よし、チョコの匂いはしないな! こんなにいっぱいあるから、さすがにもうひとつくらいは食べてしまったと思ったけど……良かった。
「律、もてもてだな。チョコいっぱいもらってきたんだね」
「うん。なんか今年は女の子がたくさんくれた」
「……女の子、だけ?」
「え? バレンタインは女の子のお祭りでしょ?」
何言ってるの? って目で見られた。
良かった。今年はセーフか……。
「ほら、俺がもらってきたチョコもあげるよ。これ、好きだろ?」
「ありがとう! お兄ちゃんのもらってくるチョコ、凄く美味しくて大好き」
嬉しそうに、にこにこ笑ってる。可愛い可愛い律。
この顔が見たくて、女の子に混じって何時間も並んで、有名店でチョコを買ってきてるんだ。
……いつか。いつか、俺からだよって言える日、来るかな。
君は弟だし、俺は兄だし、言えるはずもないんだけどそんなことをふっと思う。
でももし言ってしまったら、君はどんな顔をする?
軽蔑する? 喜ぶ? 兄ちゃんなんか嫌いになっちゃうかな。
でも、いつか……耐えきれずに言ってしまう日が来るのかもしれない。
弟がチョコレートを身体に塗りたくって、お兄ちゃん、食べて! とか言ってくれる日は……。
……まあ、永遠にこないだろうな。
実際もらえたりもするけど、そんなチョコを弟に食べさせる訳にはいかないから。
高級チョコを買って家に帰ると、テーブルの上に山積みのチョコレートが置いてあった。
女の子は早熟だからか、幼稚園の頃よりずっと数が増えている。
弟は確かに可愛い。凄く可愛い。そこらの女の子より全然可愛いのに、何で女の子にこんなにもてるんだろう。兄ちゃんは訳が判りません。
でも小1は小1だな。安っぽいチョコばっかりだ。これなら俺のが一番……って。何小1女子と張り合ってるんだかなぁ、俺……。
まさか男からのチョコとか入ってないよな。
「あれ、お兄ちゃん帰ってきたの?」
弟がダイニングにひょっこりと顔を出した。俺はその小さい身体をぎゅっと抱きしめる。
「うん。ただいま~」
頬を擦り寄せて、匂いを嗅ぐ。
……よし、チョコの匂いはしないな! こんなにいっぱいあるから、さすがにもうひとつくらいは食べてしまったと思ったけど……良かった。
「律、もてもてだな。チョコいっぱいもらってきたんだね」
「うん。なんか今年は女の子がたくさんくれた」
「……女の子、だけ?」
「え? バレンタインは女の子のお祭りでしょ?」
何言ってるの? って目で見られた。
良かった。今年はセーフか……。
「ほら、俺がもらってきたチョコもあげるよ。これ、好きだろ?」
「ありがとう! お兄ちゃんのもらってくるチョコ、凄く美味しくて大好き」
嬉しそうに、にこにこ笑ってる。可愛い可愛い律。
この顔が見たくて、女の子に混じって何時間も並んで、有名店でチョコを買ってきてるんだ。
……いつか。いつか、俺からだよって言える日、来るかな。
君は弟だし、俺は兄だし、言えるはずもないんだけどそんなことをふっと思う。
でももし言ってしまったら、君はどんな顔をする?
軽蔑する? 喜ぶ? 兄ちゃんなんか嫌いになっちゃうかな。
でも、いつか……耐えきれずに言ってしまう日が来るのかもしれない。
弟がチョコレートを身体に塗りたくって、お兄ちゃん、食べて! とか言ってくれる日は……。
……まあ、永遠にこないだろうな。
0
お気に入りに追加
378
あなたにおすすめの小説
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
旦那様、お仕置き、監禁
夜ト
BL
愛玩ペット販売店はなんと、孤児院だった。
まだ幼い子供が快感に耐えながら、ご主人様に・・・・。
色々な話あり、一話完結ぽく見てください
18禁です、18歳より下はみないでね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる