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小学校低学年編
弟が小学生になりました
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いつでも、にーちゃ、にーちゃ、と俺のあとをついてきた弟は、小学校に上がってからちょっと生意気になった。
送り迎えも必要なくなったし、このまま兄離れをするのかと思うと寂しくて仕方ない。
もう、元気の出るおまじないもしてくれないのかな。
俺なんか必要ないのかな。
もうそろそろ、部屋を分けて欲しいとか……言い出すかな。
まだ早いよ。早い。そういうのは中学校に入ってからだと思ってた。
「お兄ちゃん、ご飯だって……。って、何泣いてるのっ?」
「え……」
夕日が目に眩しくて、弟を送り迎えしていた時のことを思い出して、うっかり泣いてしまっていたらしい。
目を擦りながら、俺よりも大分下にある弟の頭をぽんぽんと撫でる。
「ちょっと目にゴミが入っただけなんだ、気にしないで」
「虐められてるなら、僕が守ってあげるからね!」
弟は相変わらず可愛かった。
俺を守るなんて言っちゃってさあ。そんな小さな身体で。
時って残酷だよなあ。これから君はますます大きくなって、そうしたらこんな可愛いことも言ってくれなくなるんだろう。兄なんて、いらなくなってしまうんだろう。
俺は君がいくら大きくなってもきっと、ずっと大好きなのに。
成長を見守ることができるのは、凄く嬉しい。
「元気の出るおまじないは?」
「もうしない」
「……そう」
嬉しいけれど、凄く悲しかった。君が大人になっていくのは、寂しいよ。
「でも、ゴミが入っているといけないから」
「うわっ……」
腕を引っ張られて、目をぺろりと舐められた。
「取れた?」
「うっ、うん、取れました」
「おかしなお兄ちゃん」
弟はくすりと笑って、部屋を出て行った。
可愛い弟の成長は、嬉しくて、寂しくて、そしてちょっとドキドキする。
送り迎えも必要なくなったし、このまま兄離れをするのかと思うと寂しくて仕方ない。
もう、元気の出るおまじないもしてくれないのかな。
俺なんか必要ないのかな。
もうそろそろ、部屋を分けて欲しいとか……言い出すかな。
まだ早いよ。早い。そういうのは中学校に入ってからだと思ってた。
「お兄ちゃん、ご飯だって……。って、何泣いてるのっ?」
「え……」
夕日が目に眩しくて、弟を送り迎えしていた時のことを思い出して、うっかり泣いてしまっていたらしい。
目を擦りながら、俺よりも大分下にある弟の頭をぽんぽんと撫でる。
「ちょっと目にゴミが入っただけなんだ、気にしないで」
「虐められてるなら、僕が守ってあげるからね!」
弟は相変わらず可愛かった。
俺を守るなんて言っちゃってさあ。そんな小さな身体で。
時って残酷だよなあ。これから君はますます大きくなって、そうしたらこんな可愛いことも言ってくれなくなるんだろう。兄なんて、いらなくなってしまうんだろう。
俺は君がいくら大きくなってもきっと、ずっと大好きなのに。
成長を見守ることができるのは、凄く嬉しい。
「元気の出るおまじないは?」
「もうしない」
「……そう」
嬉しいけれど、凄く悲しかった。君が大人になっていくのは、寂しいよ。
「でも、ゴミが入っているといけないから」
「うわっ……」
腕を引っ張られて、目をぺろりと舐められた。
「取れた?」
「うっ、うん、取れました」
「おかしなお兄ちゃん」
弟はくすりと笑って、部屋を出て行った。
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