3 / 16
第三話
しおりを挟む
「あー多聞ってそんな感じだよねー」
他人に自分のことを話すと、大体軽い調子でそんな答えが返ってくる。
俺は、へらっと笑いながら無言で煙草をふかす。
長男は不器用ながらも父に料理の腕を買われて跡取りとして安定し、三男は勉学に優れていることをひけらかすことなく選択肢の多い将来が安定し、何となくで生きてきた次男は仕事も人間関係も安定せず、いい年になっても先の分からない未来を何となく生きている。
ふと、目が覚めると昨日の服のまま布団に潜り込んでいたようで、ワイシャツに皺が寄っていた。もそもそと体を起こし、ワイシャツを脱いで、小型冷蔵庫を開けてミネラルウォーターのペットボトルを取り出す。
ペットボトルを手に、窓を開けて外の空気を浴びた。二階建ての古びたアパートの一室から見下ろす世界は、昔自分が描いていた世界とはまるで違っていた。近所の野良猫同士が見合って威嚇している姿に、毎日同じ道をゆっくりとカート押しながら歩いているどこかの老人、隣の一軒家に住まう不登校の少年。
「おーい、恵太。またさぼりかよ?」
俺の声にびくっと体を震わせて、頭上を見上げる少年の目には怯えの光が宿っていた。
「さぼるなら、制服着ない方がいいんじゃねぇの?」
「―—―う、うるさい!」
恵太はそのままどこかに走って行ってしまった。金石恵太は塾を家族経営している金石家の次男坊で、俺と同じ、何物にもなれなかった中学生だ。いや、むしろ制服を着て毎日のように学校に行くように見せかけて近所の公園などをうろうろしているところは、俺よりもたちが悪いのかもしれない。
小学生の内は、楽しそうに友人たちと遊んでいるところを何度も見かけたことがあったが、中学生になってからは一人で帰ってくることが多く、友人たちと遊ぶこともなくなったようだった。
コンビニの夜勤終わりに、制服姿で公園のベンチに座っているところを何度も見かけたことがあるし、バンド仲間と打ち合わせした後に所在無さげにコンビニのイートインコーナーでぼんやりとしている姿も見かけたことがある。学校をサボりがちなことや、夜に家を抜け出していることを親は知らないはずはないだろう。承知の上で、どう対応したらいいのか分からずに放置しているのかもしれない。
俺は恵太のように親を困らせたりすることはなかった。別に、自慢することではないけれど、問題を起こすタイプではなかった。ただ、学校のルールは自分に合わないルールだったので、それは自分の思うがままにねじ曲げた。髪は染めたし、極力授業には出ていたが、あまりノートも取らなかったので成績は散々だった。
両親は、三者面談で今後の進路のことについて訊かれても「本人の意向に任せていますので」で終わり、偏差値が50にも満たない近所の県立高校を受験する日に、息子の進路を知るという徹底的に他人主義を貫く始末だった。
別に、自分は親から愛されていないんだ、と漫画でならここでぐれて不良グループとつるんだりするのかもしれない。単に、両親は「惣菜の金剛」の経営を守ることに手いっぱいで、一貫性のない行動をする息子の行動にまで意識が行き渡らなかったのだろうと今では思う。
親父は毎日遅くまでキッチンで何かを考えこんでいるようだったし、母はため息ばかりついて終始イライラしているようだった。まだ、祖父が生きている時に大人たちが話しているところをたまたま聞いたことがあった。親父は文学青年だったらしく、本当は大学の文学部に進んで研究をしたかったらしい。だが、祖父が長年の立ち仕事で腰を悪くし、願書を提出する前に親父の夢は頓挫した。祖母は父が小さい頃に病気で亡くなっていたらしく、祖父と親父とパートさんで店を営んでいたようだった。
そんな親父は兄貴に店を継いでほしいとは一言も口にしていない。兄貴は小さい頃から親父の料理する姿を目を輝かせて見ていたし、兄貴の夢が「惣菜の金剛」で働くことなんだろう。
広見はどう思っているかは知らないが、俺はやりたくないことはやりたくないし、親の夢を押し付けられて長年我慢して働いて、そのまま人生を終えるなんて考えるだけで吐き気がしてくる。
ふと時計を見ると、昼近くなっており、昨夜から何も腹に入れていないことに気が付いた。バイトの時間まで数時間あるので、今からシャワーを浴びて夕飯含めて飯を食いに行こうと思い立った。近くに安くて旨くてボリュームがある定食屋がある。家を出てこのアパートに越してきた時から通っている店だった。
「いらっしゃいませー!あら、たもっちゃん。帰ってきたの?」
「あーうん、昨夜帰ってきたわ。何かがっつりしたもん食べたいんだけど」
「あら、じゃあスタミナ定食食べてく?ご飯は大盛でいいのよね?」
「うん、頼むわ」
スタミナーおおもりーと定食屋のおばちゃんが厨房のおっちゃんに声をかけた。おっちゃんは寡黙であまり喋ることはないが、俺に気づくと、お疲れというようにこくっと頷いた。
カウンターの席が空いていたので座ると、カウンターの奥に見知った顔を見つけ息をのんだ。
「……珠里(じゅり)じゃねぇ?」
俺の声に、大口でとんかつを食べようとした顔がこちらを向いた。
太眉に長い黒髪を一つに結んで、黒ぶちの眼鏡をかけた女性が驚いた顔を見せている。
「多聞、くん?」
「うん、久しぶり。家、この辺だったっけ?」
珠里はそのまま大口でとんかつを放りこみ、むしゃむしゃと咀嚼し、飲み込んでからこちらに向き合った。
「2年ぶり、くらいだよね?家はちょっと離れているかな。久々に、このお店のご飯食べたくて来てみたの」
珠里は俺がバンドで慰問コンサートで訪れた介護施設で働いていた。俺の二つ上で、まだ施設に入ったばかりだったのかよく叱られて何度も頭を下げていた。だけど、じいちゃんばあちゃんたちからは大層な支持を受けていて、あちこちから珠里ちゃん珠里ちゃんと名前を呼ばれていた。
化粧気のない、地味女という印象だったが、今まで付き合ったことのタイプの女性で新鮮だなという理由で声を掛けた。珠里が休みの時や仕事終わりの時に一緒に映画に行ったり、ご飯を食べたりした。でも、俺も珠里も大して金がなかったせいか、珠里の家で珠里の作ってくれたご飯を二人で食べたりしていた。珠里はリクエストしたものは大抵作ってくれた。小さい頃から両親が共働きで、年の離れた妹と祖母の世話もしていたので、よく自分でご飯を作っていたらしい。
俺の実家が惣菜屋だと話すと、食べてみたいと話してはいたが、両親に紹介する間もなく別れた。純粋で、俺よりもなんぼか出来た人間の珠里に臆したというのが一番の理由だと思う。自分の思うままに生きていく、という同じ指標を辿っているはずなのに、珠里は眩しすぎた。
「珠里は、元気にしてる?まだあの施設で働いてんの?」
「うん、今年で3年目。多聞くんのバンドは?」
「まだ何とか細々と活動してるよ」
「良かった!また多聞くんの歌、聞きたいなぁって思ってたの」
珠里は笑顔でそう話した。あんたに飽きた、そんな酷い理由で別れを告げたのに、何でこんな笑顔で受け答えしてくれるんだろう。
「あ、あとね、私ね、今度結婚することになったの」
「……へぇ、良かったじゃん。年上?」
「うん、一つ上の、同じ施設に働いている人。多聞くんと違ってお腹とか大分でちゃったりしてるけど、とても優しい人なの」
「良かった。幸せになれよ。じゃあ結婚祝いに、今日は俺が奢るよ」
「え?悪いよ!」
「いいって、珠里の前途を祝して、俺からの気持ちってことで」
俺よりも、ちゃんとした仕事をして、珠里を敬ってくれる優しい男性と出会えて幸せいっぱいの元カノに、俺は精一杯祈りを込めてそう話した。
それと同時に、俺じゃあ幸せにしてやれないなという気持ちにもなった。
自分の気持ちに正直に生きていこうと決めた。親のようにならないよう、思うがままに生きていこうと。
なのに、どうしてこんなにも気持ちに不自由しているのか。
生活が不安定だからか、自分の生き方に自信が持てないからなのか、一瞬でも幸せにしてやりたいと思った女性が自分とは違う男性と人生を共にするからなのか、思い当たることが多すぎて分からなかった。
「たもっちゃん、スタミナ大盛だよ」
おばちゃんの声と同時に、目の前ににんにくの香ばしい香りが漂った。
俺は箸に手を伸ばした時、珠里が「でも、会えてよかった」と呟いたので手を止めた。
「結婚する前に、多聞くんに会えないかなぁって思って、ここに何度か通ってたの。会えて良かった。私、幸せになるねって伝えたかったの」
そうそう、珠里は律儀な女性でもあった。その律義さも、自分の不安定さを助長させるようで、苦しかったんだ。
「珠里の飯、めっちゃ美味しいからさ。ますます旦那になる男も太っちゃうんじゃねぇの?」
「うーん、それなんだよね。ダイエットメニューも色々考えてるんだけど―――」
ははっと声を上げながら、俺は不安な気持ちをかき消すようにご飯を口にかっこんだ。
他人に自分のことを話すと、大体軽い調子でそんな答えが返ってくる。
俺は、へらっと笑いながら無言で煙草をふかす。
長男は不器用ながらも父に料理の腕を買われて跡取りとして安定し、三男は勉学に優れていることをひけらかすことなく選択肢の多い将来が安定し、何となくで生きてきた次男は仕事も人間関係も安定せず、いい年になっても先の分からない未来を何となく生きている。
ふと、目が覚めると昨日の服のまま布団に潜り込んでいたようで、ワイシャツに皺が寄っていた。もそもそと体を起こし、ワイシャツを脱いで、小型冷蔵庫を開けてミネラルウォーターのペットボトルを取り出す。
ペットボトルを手に、窓を開けて外の空気を浴びた。二階建ての古びたアパートの一室から見下ろす世界は、昔自分が描いていた世界とはまるで違っていた。近所の野良猫同士が見合って威嚇している姿に、毎日同じ道をゆっくりとカート押しながら歩いているどこかの老人、隣の一軒家に住まう不登校の少年。
「おーい、恵太。またさぼりかよ?」
俺の声にびくっと体を震わせて、頭上を見上げる少年の目には怯えの光が宿っていた。
「さぼるなら、制服着ない方がいいんじゃねぇの?」
「―—―う、うるさい!」
恵太はそのままどこかに走って行ってしまった。金石恵太は塾を家族経営している金石家の次男坊で、俺と同じ、何物にもなれなかった中学生だ。いや、むしろ制服を着て毎日のように学校に行くように見せかけて近所の公園などをうろうろしているところは、俺よりもたちが悪いのかもしれない。
小学生の内は、楽しそうに友人たちと遊んでいるところを何度も見かけたことがあったが、中学生になってからは一人で帰ってくることが多く、友人たちと遊ぶこともなくなったようだった。
コンビニの夜勤終わりに、制服姿で公園のベンチに座っているところを何度も見かけたことがあるし、バンド仲間と打ち合わせした後に所在無さげにコンビニのイートインコーナーでぼんやりとしている姿も見かけたことがある。学校をサボりがちなことや、夜に家を抜け出していることを親は知らないはずはないだろう。承知の上で、どう対応したらいいのか分からずに放置しているのかもしれない。
俺は恵太のように親を困らせたりすることはなかった。別に、自慢することではないけれど、問題を起こすタイプではなかった。ただ、学校のルールは自分に合わないルールだったので、それは自分の思うがままにねじ曲げた。髪は染めたし、極力授業には出ていたが、あまりノートも取らなかったので成績は散々だった。
両親は、三者面談で今後の進路のことについて訊かれても「本人の意向に任せていますので」で終わり、偏差値が50にも満たない近所の県立高校を受験する日に、息子の進路を知るという徹底的に他人主義を貫く始末だった。
別に、自分は親から愛されていないんだ、と漫画でならここでぐれて不良グループとつるんだりするのかもしれない。単に、両親は「惣菜の金剛」の経営を守ることに手いっぱいで、一貫性のない行動をする息子の行動にまで意識が行き渡らなかったのだろうと今では思う。
親父は毎日遅くまでキッチンで何かを考えこんでいるようだったし、母はため息ばかりついて終始イライラしているようだった。まだ、祖父が生きている時に大人たちが話しているところをたまたま聞いたことがあった。親父は文学青年だったらしく、本当は大学の文学部に進んで研究をしたかったらしい。だが、祖父が長年の立ち仕事で腰を悪くし、願書を提出する前に親父の夢は頓挫した。祖母は父が小さい頃に病気で亡くなっていたらしく、祖父と親父とパートさんで店を営んでいたようだった。
そんな親父は兄貴に店を継いでほしいとは一言も口にしていない。兄貴は小さい頃から親父の料理する姿を目を輝かせて見ていたし、兄貴の夢が「惣菜の金剛」で働くことなんだろう。
広見はどう思っているかは知らないが、俺はやりたくないことはやりたくないし、親の夢を押し付けられて長年我慢して働いて、そのまま人生を終えるなんて考えるだけで吐き気がしてくる。
ふと時計を見ると、昼近くなっており、昨夜から何も腹に入れていないことに気が付いた。バイトの時間まで数時間あるので、今からシャワーを浴びて夕飯含めて飯を食いに行こうと思い立った。近くに安くて旨くてボリュームがある定食屋がある。家を出てこのアパートに越してきた時から通っている店だった。
「いらっしゃいませー!あら、たもっちゃん。帰ってきたの?」
「あーうん、昨夜帰ってきたわ。何かがっつりしたもん食べたいんだけど」
「あら、じゃあスタミナ定食食べてく?ご飯は大盛でいいのよね?」
「うん、頼むわ」
スタミナーおおもりーと定食屋のおばちゃんが厨房のおっちゃんに声をかけた。おっちゃんは寡黙であまり喋ることはないが、俺に気づくと、お疲れというようにこくっと頷いた。
カウンターの席が空いていたので座ると、カウンターの奥に見知った顔を見つけ息をのんだ。
「……珠里(じゅり)じゃねぇ?」
俺の声に、大口でとんかつを食べようとした顔がこちらを向いた。
太眉に長い黒髪を一つに結んで、黒ぶちの眼鏡をかけた女性が驚いた顔を見せている。
「多聞、くん?」
「うん、久しぶり。家、この辺だったっけ?」
珠里はそのまま大口でとんかつを放りこみ、むしゃむしゃと咀嚼し、飲み込んでからこちらに向き合った。
「2年ぶり、くらいだよね?家はちょっと離れているかな。久々に、このお店のご飯食べたくて来てみたの」
珠里は俺がバンドで慰問コンサートで訪れた介護施設で働いていた。俺の二つ上で、まだ施設に入ったばかりだったのかよく叱られて何度も頭を下げていた。だけど、じいちゃんばあちゃんたちからは大層な支持を受けていて、あちこちから珠里ちゃん珠里ちゃんと名前を呼ばれていた。
化粧気のない、地味女という印象だったが、今まで付き合ったことのタイプの女性で新鮮だなという理由で声を掛けた。珠里が休みの時や仕事終わりの時に一緒に映画に行ったり、ご飯を食べたりした。でも、俺も珠里も大して金がなかったせいか、珠里の家で珠里の作ってくれたご飯を二人で食べたりしていた。珠里はリクエストしたものは大抵作ってくれた。小さい頃から両親が共働きで、年の離れた妹と祖母の世話もしていたので、よく自分でご飯を作っていたらしい。
俺の実家が惣菜屋だと話すと、食べてみたいと話してはいたが、両親に紹介する間もなく別れた。純粋で、俺よりもなんぼか出来た人間の珠里に臆したというのが一番の理由だと思う。自分の思うままに生きていく、という同じ指標を辿っているはずなのに、珠里は眩しすぎた。
「珠里は、元気にしてる?まだあの施設で働いてんの?」
「うん、今年で3年目。多聞くんのバンドは?」
「まだ何とか細々と活動してるよ」
「良かった!また多聞くんの歌、聞きたいなぁって思ってたの」
珠里は笑顔でそう話した。あんたに飽きた、そんな酷い理由で別れを告げたのに、何でこんな笑顔で受け答えしてくれるんだろう。
「あ、あとね、私ね、今度結婚することになったの」
「……へぇ、良かったじゃん。年上?」
「うん、一つ上の、同じ施設に働いている人。多聞くんと違ってお腹とか大分でちゃったりしてるけど、とても優しい人なの」
「良かった。幸せになれよ。じゃあ結婚祝いに、今日は俺が奢るよ」
「え?悪いよ!」
「いいって、珠里の前途を祝して、俺からの気持ちってことで」
俺よりも、ちゃんとした仕事をして、珠里を敬ってくれる優しい男性と出会えて幸せいっぱいの元カノに、俺は精一杯祈りを込めてそう話した。
それと同時に、俺じゃあ幸せにしてやれないなという気持ちにもなった。
自分の気持ちに正直に生きていこうと決めた。親のようにならないよう、思うがままに生きていこうと。
なのに、どうしてこんなにも気持ちに不自由しているのか。
生活が不安定だからか、自分の生き方に自信が持てないからなのか、一瞬でも幸せにしてやりたいと思った女性が自分とは違う男性と人生を共にするからなのか、思い当たることが多すぎて分からなかった。
「たもっちゃん、スタミナ大盛だよ」
おばちゃんの声と同時に、目の前ににんにくの香ばしい香りが漂った。
俺は箸に手を伸ばした時、珠里が「でも、会えてよかった」と呟いたので手を止めた。
「結婚する前に、多聞くんに会えないかなぁって思って、ここに何度か通ってたの。会えて良かった。私、幸せになるねって伝えたかったの」
そうそう、珠里は律儀な女性でもあった。その律義さも、自分の不安定さを助長させるようで、苦しかったんだ。
「珠里の飯、めっちゃ美味しいからさ。ますます旦那になる男も太っちゃうんじゃねぇの?」
「うーん、それなんだよね。ダイエットメニューも色々考えてるんだけど―――」
ははっと声を上げながら、俺は不安な気持ちをかき消すようにご飯を口にかっこんだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
妹の妊娠と未来への絆
アソビのココロ
恋愛
「私のお腹の中にはフレディ様の赤ちゃんがいるんです!」
オードリー・グリーンスパン侯爵令嬢は、美貌の貴公子として知られる侯爵令息フレディ・ヴァンデグリフトと婚約寸前だった。しかしオードリーの妹ビヴァリーがフレディと一夜をともにし、妊娠してしまう。よくできた令嬢と評価されているオードリーの下した裁定とは?
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる