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After Story 1
翠葵SIDE 2
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許婚ではなくなったが、友達に変わりはない。
友情を深め、親友になった。
Ωになった星流は男女関係なく沢山の欲情した視線を向けられる様になった。
星流を魔の手から守る為俺は身体を鍛えた。
Ωだと信じていた時は星流の為に可愛くあろうと考えていたから必要なかったが、今は星流を様々な弊害から守る強い力が要る。
毎日走り込みをし、色々なスポーツに手を出し、ジムにも通いながら筋肉を付け、運動能力を無理矢理上げた。
沢山試した結果、弓道が一番やり甲斐を感じた為高校入学後は弓道部に入った。
背も伸び、顔付きも女顔から一般的な男顔になった俺に対し、星流は物凄く可愛らしく華奢になった。
日に日に可愛くなっていくのだから、毎日俺は心配が絶えない。
因みに一人称はβ性を受け入れた時から俺に変えた。
Ωである星流の騎士になる、そう決めた時、少しでも格好良くありたいと考えたからだ。
弓道部に入ってるから登下校は一緒に出来ないが、部活動以外では出来るだけ側に居る事にした。
一緒に居た時間が多かったからか、互いに依存しているのは自覚している。
だが、離れたくない。
なので星流が側を離れたいと思わない限りはずっと一緒に居るつもりだが、多分その時が来ても俺は離れられないだろう。
どうか少しでも長く俺の隣に居て欲しい。
願わくば、このまま死ぬまで一緒に。
いつもと同じ朝、部室の前で星流と合流し教室に向かう。
他愛ない会話をしていたら突然聞こえた声。
「おはよう」
廣瀬禅。確か1つ上の先輩だ。
同じ学校に在籍しているとはいえ、学年が違うと殆ど接触はない。
先輩の目線は星流に向かっている。
知り合いなのか?
取り敢えず
「おはようございます」
星流と二人で挨拶を返すと、爽やかな笑みを浮かべたまま先輩は通り過ぎた。
コレを境に先輩はやたらと星流の前に現れる様になった。
甘ったるくて不思議な匂い。
星流は先輩の体臭を香水臭いと言ったが、俺には全く分からない。
汗の臭いも香水・柔軟剤・整髪料等の匂いもしない。寧ろ無臭に近い。
毎日休み時間毎に逢いに来る先輩。
星流にしか感知出来ない香り。
なんか嫌な予感がする。
眉目秀麗・頭脳明晰・運動神経抜群な彼は教師にも生徒にも一目置かれているαだ。
対して星流はΩで物凄く可愛い。
まさか先輩は星流と番になりたいと考えてるのでは?
そう考えずにいられない位甘くて優しい微笑みを彼は星流に向けている。
嫌だ、星流だけは止めてくれ。
人気がある先輩は沢山の人から好意を寄せられている。
選り取り見取りなら別に星流じゃなくても良いじゃないか。
俺には星流しか居ない。
ずっとずっと、幼い頃から好きだった。
愛しているんだ。
番になれなくても側には居られる。
反対されても星流がΩである限り子供も作れるし結婚も出来る。
俺達が一緒に居られる未来はまだ途絶えてはいないんだ。
今はまだ親友で構わない。
もし星流が俺を好きになってくれたら、選んでくれたら、俺は星流を一生離さないし幸せにすると誓う。
だから頼むお願いだ。神様でも誰でも良い。どうか俺から星流を奪わないでくれ。
どんな形でも構わない。
星流に愛されたいんだ。
自分以外の誰かの物になって欲しくない。
必死に呪う様に願ったのに、嫌な予感は当たる物で
(なんで?)
星流は先輩と付き合う事になった。
先輩の恋人になった星流は明らかに変化を遂げた。
元々中性的な顔立ちと身体付きだったが、より綺麗に可愛らしく華奢になった。
そしてΩの性質だろうか。αである先輩に星流は付き従う様になった。
先輩が側に居ない時は見た目以外今迄と変わらない。
一緒に話をしたりと側に居る事が出来る。
だが、休み時間毎に牽制の如く先輩が現れると、フラフラ吸い寄せられるみたいに星流は其方に向かう。
俺と話す時に先輩の話題は出ない。
付き合い始めって普通惚気けたりするもんじゃないのか?
もし俺が星流と恋人になれたら絶対嬉しくて誰かに惚気けてしまう。
星流は違うのか?
今の星流は何か変な感じだ。
先輩を嫌いな感じはしない。
隣に居る時はボーってしてるし、心此処に在らずって感じになっている。
呼ばれたり視界に入ると、授業中や邪魔にならない時以外は殆どの確率で近付き一緒に居る。
よく手を繋いでいるし、見せ付ける様に肩や腰を抱かれている時もある。
恐らく星流は気付いていないが、常に最低1ヶ所は見える所にキスマークがある。
どれ位の頻度かは分からないが、所有印が消えない程度には星流は先輩に抱かれているのだろう。
一度だけ触れた唇。
甘くて痺れる様な幸せを感じた。
もし星流と先輩が番になったら、俺は二度と星流に性的に触れる事は叶わなくなるだろう。
番、それはαとΩの間にのみ結ばれる結婚に近い契約。
番を結んだΩは番相手のαにしか性的に触れる事が出来ない。
番同士は触れ合うとこの上ない幸福に満たされるが、番以外から触れられると吐き気・苦痛・不快感に襲われる。
因みにまだ星流は先輩の番にはなっていない。
嗚呼、何故俺はαじゃないのだろうか。
何故俺は星流の運命の番じゃない?
こんなにも焦がれるのは星流だけ。
星流しか要らない。
星流だけが居れば良い。
この世界に居るのが俺と星流だけだったら良かったのに。
愚かな考えが頭の中を占める。
せめて星流が先輩が好きで堪らない、大好きって、毎日幸せそうにしてくれてたら諦めがつく。
まぁそれはそれで傷付くから見たくはないのだが。
でも今の星流から恋するオーラは見えないのだ。
なぁ、星流。今、幸せか?
先輩の隣で熱に浮かされた様な表情をしている星流を見ながら、そう思わずにはいられなかった。
友情を深め、親友になった。
Ωになった星流は男女関係なく沢山の欲情した視線を向けられる様になった。
星流を魔の手から守る為俺は身体を鍛えた。
Ωだと信じていた時は星流の為に可愛くあろうと考えていたから必要なかったが、今は星流を様々な弊害から守る強い力が要る。
毎日走り込みをし、色々なスポーツに手を出し、ジムにも通いながら筋肉を付け、運動能力を無理矢理上げた。
沢山試した結果、弓道が一番やり甲斐を感じた為高校入学後は弓道部に入った。
背も伸び、顔付きも女顔から一般的な男顔になった俺に対し、星流は物凄く可愛らしく華奢になった。
日に日に可愛くなっていくのだから、毎日俺は心配が絶えない。
因みに一人称はβ性を受け入れた時から俺に変えた。
Ωである星流の騎士になる、そう決めた時、少しでも格好良くありたいと考えたからだ。
弓道部に入ってるから登下校は一緒に出来ないが、部活動以外では出来るだけ側に居る事にした。
一緒に居た時間が多かったからか、互いに依存しているのは自覚している。
だが、離れたくない。
なので星流が側を離れたいと思わない限りはずっと一緒に居るつもりだが、多分その時が来ても俺は離れられないだろう。
どうか少しでも長く俺の隣に居て欲しい。
願わくば、このまま死ぬまで一緒に。
いつもと同じ朝、部室の前で星流と合流し教室に向かう。
他愛ない会話をしていたら突然聞こえた声。
「おはよう」
廣瀬禅。確か1つ上の先輩だ。
同じ学校に在籍しているとはいえ、学年が違うと殆ど接触はない。
先輩の目線は星流に向かっている。
知り合いなのか?
取り敢えず
「おはようございます」
星流と二人で挨拶を返すと、爽やかな笑みを浮かべたまま先輩は通り過ぎた。
コレを境に先輩はやたらと星流の前に現れる様になった。
甘ったるくて不思議な匂い。
星流は先輩の体臭を香水臭いと言ったが、俺には全く分からない。
汗の臭いも香水・柔軟剤・整髪料等の匂いもしない。寧ろ無臭に近い。
毎日休み時間毎に逢いに来る先輩。
星流にしか感知出来ない香り。
なんか嫌な予感がする。
眉目秀麗・頭脳明晰・運動神経抜群な彼は教師にも生徒にも一目置かれているαだ。
対して星流はΩで物凄く可愛い。
まさか先輩は星流と番になりたいと考えてるのでは?
そう考えずにいられない位甘くて優しい微笑みを彼は星流に向けている。
嫌だ、星流だけは止めてくれ。
人気がある先輩は沢山の人から好意を寄せられている。
選り取り見取りなら別に星流じゃなくても良いじゃないか。
俺には星流しか居ない。
ずっとずっと、幼い頃から好きだった。
愛しているんだ。
番になれなくても側には居られる。
反対されても星流がΩである限り子供も作れるし結婚も出来る。
俺達が一緒に居られる未来はまだ途絶えてはいないんだ。
今はまだ親友で構わない。
もし星流が俺を好きになってくれたら、選んでくれたら、俺は星流を一生離さないし幸せにすると誓う。
だから頼むお願いだ。神様でも誰でも良い。どうか俺から星流を奪わないでくれ。
どんな形でも構わない。
星流に愛されたいんだ。
自分以外の誰かの物になって欲しくない。
必死に呪う様に願ったのに、嫌な予感は当たる物で
(なんで?)
星流は先輩と付き合う事になった。
先輩の恋人になった星流は明らかに変化を遂げた。
元々中性的な顔立ちと身体付きだったが、より綺麗に可愛らしく華奢になった。
そしてΩの性質だろうか。αである先輩に星流は付き従う様になった。
先輩が側に居ない時は見た目以外今迄と変わらない。
一緒に話をしたりと側に居る事が出来る。
だが、休み時間毎に牽制の如く先輩が現れると、フラフラ吸い寄せられるみたいに星流は其方に向かう。
俺と話す時に先輩の話題は出ない。
付き合い始めって普通惚気けたりするもんじゃないのか?
もし俺が星流と恋人になれたら絶対嬉しくて誰かに惚気けてしまう。
星流は違うのか?
今の星流は何か変な感じだ。
先輩を嫌いな感じはしない。
隣に居る時はボーってしてるし、心此処に在らずって感じになっている。
呼ばれたり視界に入ると、授業中や邪魔にならない時以外は殆どの確率で近付き一緒に居る。
よく手を繋いでいるし、見せ付ける様に肩や腰を抱かれている時もある。
恐らく星流は気付いていないが、常に最低1ヶ所は見える所にキスマークがある。
どれ位の頻度かは分からないが、所有印が消えない程度には星流は先輩に抱かれているのだろう。
一度だけ触れた唇。
甘くて痺れる様な幸せを感じた。
もし星流と先輩が番になったら、俺は二度と星流に性的に触れる事は叶わなくなるだろう。
番、それはαとΩの間にのみ結ばれる結婚に近い契約。
番を結んだΩは番相手のαにしか性的に触れる事が出来ない。
番同士は触れ合うとこの上ない幸福に満たされるが、番以外から触れられると吐き気・苦痛・不快感に襲われる。
因みにまだ星流は先輩の番にはなっていない。
嗚呼、何故俺はαじゃないのだろうか。
何故俺は星流の運命の番じゃない?
こんなにも焦がれるのは星流だけ。
星流しか要らない。
星流だけが居れば良い。
この世界に居るのが俺と星流だけだったら良かったのに。
愚かな考えが頭の中を占める。
せめて星流が先輩が好きで堪らない、大好きって、毎日幸せそうにしてくれてたら諦めがつく。
まぁそれはそれで傷付くから見たくはないのだが。
でも今の星流から恋するオーラは見えないのだ。
なぁ、星流。今、幸せか?
先輩の隣で熱に浮かされた様な表情をしている星流を見ながら、そう思わずにはいられなかった。
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