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After Story 1
翠葵SIDE 1
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僕と星流の母は学生の頃からの親友だ。
結婚した年は違ったが、偶然同じ年で妊娠した2人は勝手に俺達を許婚にした。
産まれた時から一緒に居る為、必然的に最初に出来た友達は星流だった。
小学校に進学してスグ僕達は互いが許婚と聞かされた。
ビックリしたが、知らない奴よりも大好きな星流の方が良い。
星流はよく理解していなかったが、ずっと一緒に居られると喜んでくれたのを覚えている。
毎日一緒に居て笑いあって、寄り添って。
星流と同じ様に僕も側に居られる幸せを満喫していた。
だが、幸せは呆気なく崩れ去った。
両親は僕をΩ、星流をαだと決め付けていた。
ウチの家系にはΩが多く、星流の家系にはαが多いからだ。
Ωと番になれるのはαのみ。
性行為時にαがΩの項を噛むと番が成立する。
流れ的に自分が妊娠出産の役目を担うのだが、星流との子供なら欲しいから一度も嫌だとは思わなかった。
中2の身体測定。
それは全学生にとって特別な日。
血液検査で第二の性別を調べ、後日結果を知らされる。
優秀な遺伝子を持つα・今迄の性別と殆ど何も変わらないβ・男女関係なく妊娠が出来るΩ。
Ωはフェロモンの発生と発情期がある為人気がない。
対してαはエリート街道まっしぐらなイメージが強いからか大人気だ。
その為皆αに憧れを抱いている。
人口的に多いのはβで、αとΩは少ない。
診断結果は個別に保健室で発表される。
皆がハラハラドキドキワクワクそわそわしている中、家系的に決定してる僕達は軽い気持ちで列に並んでいた。
「行ってくるね」
笑顔で入った保健室。
「芹生くんはβですね」
……え?今何て言われた?
耳に入った予想もしていなかった台詞。
両親も自分もΩだと決め付けていた。
Ωだからαの星流と番になれるって。
だが、βだと妊娠も出産も出来ない。
番になれないのなら婚約は破棄されるだろう。
このままでは星流の側に居られなくなる。
そう感じた僕はフラフラと中庭に向かった。
園芸部によって綺麗に手入れされている花壇の前はお気に入りの場所だ。
其処に行くとモヤモヤした気持ちも嫌な気持ちも全て落ち着き癒される。
いつもはスグ消え去る哀しみが、今回はなかなか消えない。
泣きたくなんてないのに、頬を勝手に涙が濡らす。
嫌だ、哀しい、苦しい、悔しい。
押し寄せてくる様々な感情。
「翠葵」
心配そうに僕を探しに来てくれた星流。
「βだったんだ、僕」
言いたくないが隠せれない為、口にした性別。
多分星流はαだろう。
αは相手が選び放題だ。
女性かΩと結婚し、幸せになるに違いない。
今迄その相手は自分だと思っていた。
だがこれからは違う誰かが星流の相手になる。
そんなの嫌だ。
「星流はαだよね?」
分かりきっていたが一応念の為聞いてみた。
星流?
押し黙った星流。
一体どうしたのだろう。
泣きそうな苦しそうな、そして悲しそうな顔。
「…………………………Ω…だった……」
…………え?
耳に入った消え入りそうな声。
嘘だよね?
信じられない気持ちで星流を見たが、自分同様頬を濡らす姿に嘘偽りは見えない。
それに今迄星流は僕に嘘を吐いた事等ない。
嗚呼、なんて事だろう。
将来は結婚して番になって子供を産んで家族になれる。
一生側に居られる。
信じて疑わなかった。
星流がΩならまだ辛うじて夫婦にはなれる。
だが、番にはなれない。
何故僕達は性別を決め付けていたのだろう。
絶対的な確信なんてないのに、信じて疑わなかった。
嫌だ、こんなのってない。
どうしたら良いのか分からないまま、僕達の婚約は解消されてしまった。
結婚した年は違ったが、偶然同じ年で妊娠した2人は勝手に俺達を許婚にした。
産まれた時から一緒に居る為、必然的に最初に出来た友達は星流だった。
小学校に進学してスグ僕達は互いが許婚と聞かされた。
ビックリしたが、知らない奴よりも大好きな星流の方が良い。
星流はよく理解していなかったが、ずっと一緒に居られると喜んでくれたのを覚えている。
毎日一緒に居て笑いあって、寄り添って。
星流と同じ様に僕も側に居られる幸せを満喫していた。
だが、幸せは呆気なく崩れ去った。
両親は僕をΩ、星流をαだと決め付けていた。
ウチの家系にはΩが多く、星流の家系にはαが多いからだ。
Ωと番になれるのはαのみ。
性行為時にαがΩの項を噛むと番が成立する。
流れ的に自分が妊娠出産の役目を担うのだが、星流との子供なら欲しいから一度も嫌だとは思わなかった。
中2の身体測定。
それは全学生にとって特別な日。
血液検査で第二の性別を調べ、後日結果を知らされる。
優秀な遺伝子を持つα・今迄の性別と殆ど何も変わらないβ・男女関係なく妊娠が出来るΩ。
Ωはフェロモンの発生と発情期がある為人気がない。
対してαはエリート街道まっしぐらなイメージが強いからか大人気だ。
その為皆αに憧れを抱いている。
人口的に多いのはβで、αとΩは少ない。
診断結果は個別に保健室で発表される。
皆がハラハラドキドキワクワクそわそわしている中、家系的に決定してる僕達は軽い気持ちで列に並んでいた。
「行ってくるね」
笑顔で入った保健室。
「芹生くんはβですね」
……え?今何て言われた?
耳に入った予想もしていなかった台詞。
両親も自分もΩだと決め付けていた。
Ωだからαの星流と番になれるって。
だが、βだと妊娠も出産も出来ない。
番になれないのなら婚約は破棄されるだろう。
このままでは星流の側に居られなくなる。
そう感じた僕はフラフラと中庭に向かった。
園芸部によって綺麗に手入れされている花壇の前はお気に入りの場所だ。
其処に行くとモヤモヤした気持ちも嫌な気持ちも全て落ち着き癒される。
いつもはスグ消え去る哀しみが、今回はなかなか消えない。
泣きたくなんてないのに、頬を勝手に涙が濡らす。
嫌だ、哀しい、苦しい、悔しい。
押し寄せてくる様々な感情。
「翠葵」
心配そうに僕を探しに来てくれた星流。
「βだったんだ、僕」
言いたくないが隠せれない為、口にした性別。
多分星流はαだろう。
αは相手が選び放題だ。
女性かΩと結婚し、幸せになるに違いない。
今迄その相手は自分だと思っていた。
だがこれからは違う誰かが星流の相手になる。
そんなの嫌だ。
「星流はαだよね?」
分かりきっていたが一応念の為聞いてみた。
星流?
押し黙った星流。
一体どうしたのだろう。
泣きそうな苦しそうな、そして悲しそうな顔。
「…………………………Ω…だった……」
…………え?
耳に入った消え入りそうな声。
嘘だよね?
信じられない気持ちで星流を見たが、自分同様頬を濡らす姿に嘘偽りは見えない。
それに今迄星流は僕に嘘を吐いた事等ない。
嗚呼、なんて事だろう。
将来は結婚して番になって子供を産んで家族になれる。
一生側に居られる。
信じて疑わなかった。
星流がΩならまだ辛うじて夫婦にはなれる。
だが、番にはなれない。
何故僕達は性別を決め付けていたのだろう。
絶対的な確信なんてないのに、信じて疑わなかった。
嫌だ、こんなのってない。
どうしたら良いのか分からないまま、僕達の婚約は解消されてしまった。
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