21 / 25
第一期 おカネに関する初歩的なお話
20)通貨発行権と通貨発行益について
しおりを挟む
(じいちゃん)
通貨発行権について考えてみよう。
通貨発行権とは、通貨を発行する権限(権力)のことじゃな。たとえば古代のローマではローマ帝国が貨幣を発行していた。江戸時代の日本では江戸幕府が小判、大判、丁銀などの貨幣を発行していた。現代の日本でも、日本が円通貨を発行している。ということは、国家が通貨を発行する権限を有しているということじゃ。こうした権限は法律の制定や執行と同じように、国家の重要な主権であると言える。
ところで、現代の日本は国民主権じゃから、こうした主権の一切は国民にあることになる。じゃから、おカネを発行することに関しても、あくまでも国民に主権があるのであって、それを国民の代表である政府や中央銀行が行使していると言える。
(ねこ)
当然にゃ。おカネを発行する権利は国民とその代表である政府機関にあるのにゃ。
(じいちゃん)
しかし、これまで話してきたように、おカネは政府や日銀が発行しているだけではないのじゃ。民間銀行もおカネ(預金通貨)を発行している。しかも政府や日銀の発行する量よりも多い。民間銀行はおカネを発行し、それを貸し出すことで利息を儲けている。通貨を発行することで利益を得ているのじゃ。
通貨発行権は国民にあるはずなのに、なぜ民間銀行がおカネを発行して利益を得ているのだろうか?不思議だのう。
(ねこ)
ふにゃ。言われるまで気が付かなかったにゃ。考えてみると変だにゃ。
(じいちゃん)
おカネを貸して利息を得ることは、別に不思議ではないし違法でもない。しかし自ら通貨(預金通貨)を発行して、それで利息を得るという方法は、国民の主権と微妙な関係にあると考えることもできるのじゃ。マスコミではこうした疑問はすべてスルーされておるが、一部の人達は「おカネは本来、政府や日銀だけがつくるべきだ」と考える人達もいる。
それが以前に話した「政府通貨制度」じゃな。この制度では、おカネはあくまでも政府・日銀が作るのであって、銀行は預金通貨を発行するのではなく、人々から集めたおカネを貸出して利息を得るようにする。
まあ、これは金融システムの利権に絡む大改革じゃから、こんなことを真面目に主張すれば、その筋から命を狙われかねないので、誰も触れたがらないのじゃろうな。
(ねこ)
民間銀行が通貨を発行して儲けているなんてずるいにゃ。それじゃあ、国民は政府や日銀がおカネを発行することで利益を得ることはできないのかにゃ?
(じいちゃん)
やろうと思えばできるはずじゃ。それはつまり、こういうことじゃ。
まず、通貨を発行することで、発行主体が得る利益のことを「通貨発行益」と呼ぶ。たとえば一万円札を発行すると、その一万円を使って買い物ができるから、一万円の利益を得たのと同じことじゃ。だから発行費用をのぞけば、通貨を発行した金額だけ利益になるのじゃ。しかし、仮に日銀がおカネを発行しても、そのおカネを国民に還元しなければ国民の利益にはならないのじゃ。
(ねこ)
通貨発行益を国民に還元する方法はないのかにゃ?
(じいちゃん)
一番わかりやすい方法は、日銀が発行したおカネを国民に配ることじゃ。しかし、ここで問題がある。というのも、世の中のすべての銀行は、日銀も含めておカネを発行するが、そのおカネは「貸し出すことしかできない」。銀行がおカネを発行してそれを誰かにタダで配ったり、あるいは発行したおカネで何かを買うことはできない。あくまでも銀行は発行したおカネを貸すのじゃ。銀行とはそういう仕組みじゃ。
だから日銀が発行したおカネも日銀が直接国民に配ることはできない。日銀の発行したおカネを国民に配ることができるのは、唯一、政府だけじゃ。
銀行はおカネを貸すことしかできない。そこで、政府が日銀からおカネを借りて、それを国民に配ることになる。つまり、政府が国債を発行して日銀がそれを買い入れることで政府におカネが渡り、そのおカネを給付金として国民に配ることで、通貨発行益を国民に還元することができる。
(ねこ)
ふにゃ、日銀から借金して国民におカネをくばるのかにゃ。
(じいちゃん)
そりゃそうじゃろう。今まで話してきたように、世の中のすべてのおカネは銀行からの借金でできておる。借金としてでなければ、おカネを新たに調達することは不可能なのじゃ。銀行から借金するのが嫌なら、おカネを作ることはできない。政府通貨でもない限り、通貨発行は不可能じゃ。
(ねこ)
通貨発行益は欲しいけど、そんなにおカネを配っちゃって、世の中がおカネだらけにならないのかにゃ。
(じいちゃん)
大丈夫じゃ。そもそも、おカネは毎年3~4%程度増え続けておる。つまり毎年30~40兆円のおカネが新たに作り出されておるのじゃ。その多くを民間の銀行が貸出として作り出しておるのじゃ。そのうちの何割かを国民に配るようにしたところで、世の中がおカネだらけになる心配などあるわけがない。
まあ、いずれにしろ、日本の通貨発行権は日本国民にある。通貨発行権や通貨発行益についても、国民自らの問題として意識してほしいものじゃ。
通貨発行権について考えてみよう。
通貨発行権とは、通貨を発行する権限(権力)のことじゃな。たとえば古代のローマではローマ帝国が貨幣を発行していた。江戸時代の日本では江戸幕府が小判、大判、丁銀などの貨幣を発行していた。現代の日本でも、日本が円通貨を発行している。ということは、国家が通貨を発行する権限を有しているということじゃ。こうした権限は法律の制定や執行と同じように、国家の重要な主権であると言える。
ところで、現代の日本は国民主権じゃから、こうした主権の一切は国民にあることになる。じゃから、おカネを発行することに関しても、あくまでも国民に主権があるのであって、それを国民の代表である政府や中央銀行が行使していると言える。
(ねこ)
当然にゃ。おカネを発行する権利は国民とその代表である政府機関にあるのにゃ。
(じいちゃん)
しかし、これまで話してきたように、おカネは政府や日銀が発行しているだけではないのじゃ。民間銀行もおカネ(預金通貨)を発行している。しかも政府や日銀の発行する量よりも多い。民間銀行はおカネを発行し、それを貸し出すことで利息を儲けている。通貨を発行することで利益を得ているのじゃ。
通貨発行権は国民にあるはずなのに、なぜ民間銀行がおカネを発行して利益を得ているのだろうか?不思議だのう。
(ねこ)
ふにゃ。言われるまで気が付かなかったにゃ。考えてみると変だにゃ。
(じいちゃん)
おカネを貸して利息を得ることは、別に不思議ではないし違法でもない。しかし自ら通貨(預金通貨)を発行して、それで利息を得るという方法は、国民の主権と微妙な関係にあると考えることもできるのじゃ。マスコミではこうした疑問はすべてスルーされておるが、一部の人達は「おカネは本来、政府や日銀だけがつくるべきだ」と考える人達もいる。
それが以前に話した「政府通貨制度」じゃな。この制度では、おカネはあくまでも政府・日銀が作るのであって、銀行は預金通貨を発行するのではなく、人々から集めたおカネを貸出して利息を得るようにする。
まあ、これは金融システムの利権に絡む大改革じゃから、こんなことを真面目に主張すれば、その筋から命を狙われかねないので、誰も触れたがらないのじゃろうな。
(ねこ)
民間銀行が通貨を発行して儲けているなんてずるいにゃ。それじゃあ、国民は政府や日銀がおカネを発行することで利益を得ることはできないのかにゃ?
(じいちゃん)
やろうと思えばできるはずじゃ。それはつまり、こういうことじゃ。
まず、通貨を発行することで、発行主体が得る利益のことを「通貨発行益」と呼ぶ。たとえば一万円札を発行すると、その一万円を使って買い物ができるから、一万円の利益を得たのと同じことじゃ。だから発行費用をのぞけば、通貨を発行した金額だけ利益になるのじゃ。しかし、仮に日銀がおカネを発行しても、そのおカネを国民に還元しなければ国民の利益にはならないのじゃ。
(ねこ)
通貨発行益を国民に還元する方法はないのかにゃ?
(じいちゃん)
一番わかりやすい方法は、日銀が発行したおカネを国民に配ることじゃ。しかし、ここで問題がある。というのも、世の中のすべての銀行は、日銀も含めておカネを発行するが、そのおカネは「貸し出すことしかできない」。銀行がおカネを発行してそれを誰かにタダで配ったり、あるいは発行したおカネで何かを買うことはできない。あくまでも銀行は発行したおカネを貸すのじゃ。銀行とはそういう仕組みじゃ。
だから日銀が発行したおカネも日銀が直接国民に配ることはできない。日銀の発行したおカネを国民に配ることができるのは、唯一、政府だけじゃ。
銀行はおカネを貸すことしかできない。そこで、政府が日銀からおカネを借りて、それを国民に配ることになる。つまり、政府が国債を発行して日銀がそれを買い入れることで政府におカネが渡り、そのおカネを給付金として国民に配ることで、通貨発行益を国民に還元することができる。
(ねこ)
ふにゃ、日銀から借金して国民におカネをくばるのかにゃ。
(じいちゃん)
そりゃそうじゃろう。今まで話してきたように、世の中のすべてのおカネは銀行からの借金でできておる。借金としてでなければ、おカネを新たに調達することは不可能なのじゃ。銀行から借金するのが嫌なら、おカネを作ることはできない。政府通貨でもない限り、通貨発行は不可能じゃ。
(ねこ)
通貨発行益は欲しいけど、そんなにおカネを配っちゃって、世の中がおカネだらけにならないのかにゃ。
(じいちゃん)
大丈夫じゃ。そもそも、おカネは毎年3~4%程度増え続けておる。つまり毎年30~40兆円のおカネが新たに作り出されておるのじゃ。その多くを民間の銀行が貸出として作り出しておるのじゃ。そのうちの何割かを国民に配るようにしたところで、世の中がおカネだらけになる心配などあるわけがない。
まあ、いずれにしろ、日本の通貨発行権は日本国民にある。通貨発行権や通貨発行益についても、国民自らの問題として意識してほしいものじゃ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる