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第一期 おカネに関する初歩的なお話
9)日本国は借金(国債)で破産するか
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(じいちゃん)
日本国は借金で破産するかについて話をしよう。新聞やテレビでは「国の借金がものすごい金額になっていて、財政破綻する」と騒いでいる。ねこは日本が借金で破産すると思うか?
(ねこ)
う~ん、やっぱり借金が増えすぎると、借金が返せなくなって、破産するんじゃないかにゃ。
(じいちゃん)
そんな心配はまったくない。これまで話してきたことを良く思い出してみるのじゃ。
現代の通貨制度において、国がおカネを発行するには、政府が国債を発行して日銀がそれを買い入れる必要がある。ということは、国債を日銀が買うことは、おカネ、この場合は現金(日本銀行券や日銀当座預金)を発行することを意味している。
これは、ほんとうの意味で借金をしているのとは違う。なぜなら、これはあくまでも通貨システムの都合上の「通貨を発行するための借金」であるからだ。だから、返す必要のある借金とは違う性質のものだ。
日本国が他の誰かから借金をしたわけではない。いわば、日本国(政府)が日本国(日銀)から借金したのと同じだ。外国から借金をしたなら外国に借金を返さなければならないが、日本国が日本国からおカネを借りただけだから、どこかに返すべきものではないのじゃ。
従って、仮に、すでに発行されている国債をすべて日銀が買ってしまえば、それは日本国がそのぶんだけおカネを発行することに過ぎない。
早い話が、国債をすべて日銀が買ってしまえば、事実上、借金は一円もなくなるというわけじゃ。実際、日銀は量的緩和政策として膨大な国債を購入し、その割合はすべての国債の53%に達している(2023年10-12月)。日銀が買い取った国債は借金ではなく、通貨発行である。だから、すでに借金の半分はなくなっているのじゃよ。
逆に言えば、日銀が国債を減らせば、その分だけ世の中の現金は減ることになる。インフレで大変な状況でもない限り、世の中の現金をわざわざ減らす必要はない。世の中の現金が減れば、人々の持っているおカネがその分だけ減る恐れもある。
(ねこ)
う、なんか、いきなり難しいにゃ。日銀が国債を買うことは、現金を発行することなのにゃ。日銀が国債を買えば、その分だけ政府の借金は減るということにゃ。
でも、そんなにたくさんの国債を日銀が買い取ったら、世の中がおカネであふれるんじゃないかにゃ。インフレで大変なことになるんじゃないかな。
(じいちゃん)
そんな心配はまったくない。これまで話してきたことをよく思い出してみるのじゃ。
民間銀行が保有している国債を、日銀が現金を発行して買い取る場合、発行した現金は民間銀行に渡される。じゃが、民間銀行に現金が渡っただけでは、世の中のおカネは一円も増えない。民間銀行が預金を発行して、個人や企業に貸し出しを行うことで、初めて世の中のおカネが増える。
従って、日銀がいくら国債を買い取っても、民間銀行の貸し出しが増えなければ、世の中のおカネは一円も増えない。世の中がおカネであふれることもないのじゃ。
(ねこ)
でも、おカネを借りたいという人がおおぜい民間銀行に押しかけて、民間銀行が預金を発行しまくって、貸しまくったら、世の中がおカネで溢れてしまうにゃ。
(じいちゃん)
そんな心配はまったくない。そういうことが起きないように、日銀が金利政策を行っておるのじゃよ。銀行の貸出金利を引き上げれば、おカネを借りたい人は減るのじゃ。日銀は民間銀行の貸出金利を直接決めることはできないが、さまざまな間接的な方法を用いて、民間銀行の貸出金利に影響を与えることができる。
どんな方法で貸出金利に影響を与えるかは、少し難しくなるので、ここでは説明しない。
(ねこ)
う~ん、これでも十分に難しい話なのにゃ。
(じいちゃん)
いままで話したことをよく思い出して、自分のものにすることじゃ。そうすれば、なんとなくわかるはずじゃ。
(ねこ)
でも、日銀が国債を保有したとしても、国債には金利が付いているにゃ。政府はそんな莫大な金利を日銀に支払うことができるのかにゃ。
(じいちゃん)
確かに国債には金利が付いておるから、国債の持ち主に金利を支払わねばならない。だから発行した国債の量が多すぎると、金利の支払いが大きな負担となり、財政を圧迫することになる。しかし、それらの金利の支払いが問題になるのは、民間銀行や民間企業などが保有する国債の場合じゃ。
日銀の保有する国債の利払いについては、実質的に支払う必要はないんじゃよ。
(ねこ)
ふにゃ、借金の金利を踏み倒すのかにゃ。
(じいちゃん)
そうではない。そもそも日銀は政府の銀行じゃ。じゃから、日銀の儲けは国庫に収められることになっておる。つまり、日銀の儲けは政府に支払われるわけじゃな。
そんなわけで、政府が国債の金利として日銀におカネを支払ったとしても、そのおカネのほとんどは政府に戻ってくる。まあ、運営経費は減るじゃろうが、ほとんどは政府に戻る。ということは、政府は、実質的に日銀に金利を支払う必要がないということじゃ。
(ねこ)
にゃるほど、おカネが政府と日銀の間でいったりきたりするだけにゃ。
(じいちゃん)
そういうわけじゃから、もし政府の国債の発行残高が多くて財政破綻するという心配があるなら、日銀が国債をすべて買い取ってしまえばよいだけじゃ。そして、もし世の中のおカネが増えすぎる心配があれば、日銀が金利を引き上げれば良いだけじゃ。何の心配もいらん。
とはいえ、国債は年金や保険を運営している会社にとって無くてはならない金融商品でもある。つまり、それらの企業にとっては、「政府が借金してもらわなくては困る」のじゃ。もちろん、民間銀行も国債を欲しがっている。だから、日銀が国債をすべて買い取ってしまうことも、現実的ではない。
従って、八方を丸く収めようとするならば、国債金利が過度に財政の負担にならない程度に国債を民間に保有させ、残りは日銀に保有させ、世の中のおカネの総量を日銀の金利政策でコントロールすれば、国債について大げさに心配する必要はないのじゃよ。
日本国は借金で破産するかについて話をしよう。新聞やテレビでは「国の借金がものすごい金額になっていて、財政破綻する」と騒いでいる。ねこは日本が借金で破産すると思うか?
(ねこ)
う~ん、やっぱり借金が増えすぎると、借金が返せなくなって、破産するんじゃないかにゃ。
(じいちゃん)
そんな心配はまったくない。これまで話してきたことを良く思い出してみるのじゃ。
現代の通貨制度において、国がおカネを発行するには、政府が国債を発行して日銀がそれを買い入れる必要がある。ということは、国債を日銀が買うことは、おカネ、この場合は現金(日本銀行券や日銀当座預金)を発行することを意味している。
これは、ほんとうの意味で借金をしているのとは違う。なぜなら、これはあくまでも通貨システムの都合上の「通貨を発行するための借金」であるからだ。だから、返す必要のある借金とは違う性質のものだ。
日本国が他の誰かから借金をしたわけではない。いわば、日本国(政府)が日本国(日銀)から借金したのと同じだ。外国から借金をしたなら外国に借金を返さなければならないが、日本国が日本国からおカネを借りただけだから、どこかに返すべきものではないのじゃ。
従って、仮に、すでに発行されている国債をすべて日銀が買ってしまえば、それは日本国がそのぶんだけおカネを発行することに過ぎない。
早い話が、国債をすべて日銀が買ってしまえば、事実上、借金は一円もなくなるというわけじゃ。実際、日銀は量的緩和政策として膨大な国債を購入し、その割合はすべての国債の53%に達している(2023年10-12月)。日銀が買い取った国債は借金ではなく、通貨発行である。だから、すでに借金の半分はなくなっているのじゃよ。
逆に言えば、日銀が国債を減らせば、その分だけ世の中の現金は減ることになる。インフレで大変な状況でもない限り、世の中の現金をわざわざ減らす必要はない。世の中の現金が減れば、人々の持っているおカネがその分だけ減る恐れもある。
(ねこ)
う、なんか、いきなり難しいにゃ。日銀が国債を買うことは、現金を発行することなのにゃ。日銀が国債を買えば、その分だけ政府の借金は減るということにゃ。
でも、そんなにたくさんの国債を日銀が買い取ったら、世の中がおカネであふれるんじゃないかにゃ。インフレで大変なことになるんじゃないかな。
(じいちゃん)
そんな心配はまったくない。これまで話してきたことをよく思い出してみるのじゃ。
民間銀行が保有している国債を、日銀が現金を発行して買い取る場合、発行した現金は民間銀行に渡される。じゃが、民間銀行に現金が渡っただけでは、世の中のおカネは一円も増えない。民間銀行が預金を発行して、個人や企業に貸し出しを行うことで、初めて世の中のおカネが増える。
従って、日銀がいくら国債を買い取っても、民間銀行の貸し出しが増えなければ、世の中のおカネは一円も増えない。世の中がおカネであふれることもないのじゃ。
(ねこ)
でも、おカネを借りたいという人がおおぜい民間銀行に押しかけて、民間銀行が預金を発行しまくって、貸しまくったら、世の中がおカネで溢れてしまうにゃ。
(じいちゃん)
そんな心配はまったくない。そういうことが起きないように、日銀が金利政策を行っておるのじゃよ。銀行の貸出金利を引き上げれば、おカネを借りたい人は減るのじゃ。日銀は民間銀行の貸出金利を直接決めることはできないが、さまざまな間接的な方法を用いて、民間銀行の貸出金利に影響を与えることができる。
どんな方法で貸出金利に影響を与えるかは、少し難しくなるので、ここでは説明しない。
(ねこ)
う~ん、これでも十分に難しい話なのにゃ。
(じいちゃん)
いままで話したことをよく思い出して、自分のものにすることじゃ。そうすれば、なんとなくわかるはずじゃ。
(ねこ)
でも、日銀が国債を保有したとしても、国債には金利が付いているにゃ。政府はそんな莫大な金利を日銀に支払うことができるのかにゃ。
(じいちゃん)
確かに国債には金利が付いておるから、国債の持ち主に金利を支払わねばならない。だから発行した国債の量が多すぎると、金利の支払いが大きな負担となり、財政を圧迫することになる。しかし、それらの金利の支払いが問題になるのは、民間銀行や民間企業などが保有する国債の場合じゃ。
日銀の保有する国債の利払いについては、実質的に支払う必要はないんじゃよ。
(ねこ)
ふにゃ、借金の金利を踏み倒すのかにゃ。
(じいちゃん)
そうではない。そもそも日銀は政府の銀行じゃ。じゃから、日銀の儲けは国庫に収められることになっておる。つまり、日銀の儲けは政府に支払われるわけじゃな。
そんなわけで、政府が国債の金利として日銀におカネを支払ったとしても、そのおカネのほとんどは政府に戻ってくる。まあ、運営経費は減るじゃろうが、ほとんどは政府に戻る。ということは、政府は、実質的に日銀に金利を支払う必要がないということじゃ。
(ねこ)
にゃるほど、おカネが政府と日銀の間でいったりきたりするだけにゃ。
(じいちゃん)
そういうわけじゃから、もし政府の国債の発行残高が多くて財政破綻するという心配があるなら、日銀が国債をすべて買い取ってしまえばよいだけじゃ。そして、もし世の中のおカネが増えすぎる心配があれば、日銀が金利を引き上げれば良いだけじゃ。何の心配もいらん。
とはいえ、国債は年金や保険を運営している会社にとって無くてはならない金融商品でもある。つまり、それらの企業にとっては、「政府が借金してもらわなくては困る」のじゃ。もちろん、民間銀行も国債を欲しがっている。だから、日銀が国債をすべて買い取ってしまうことも、現実的ではない。
従って、八方を丸く収めようとするならば、国債金利が過度に財政の負担にならない程度に国債を民間に保有させ、残りは日銀に保有させ、世の中のおカネの総量を日銀の金利政策でコントロールすれば、国債について大げさに心配する必要はないのじゃよ。
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