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第ニ期 41話~80話
第七十五話 サフィー活躍する
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レイラを救出するため俺たちが格闘場へ向かって走ってゆくと、目の前に黒いローブを着た人物が姿を現した。その不気味なシルエットには見覚えがある。ダークエルフのガルゾーマだ。ガルゾーマは言った。
「見つけたぞアルフレッド。貴様ら、ここで何をしている、何を企んでいる」
「はん、そんなこと教えるはずがないだろう。こっちは忙しいのだ。そこをどけ」
「調子に乗るなよ人間ごときが。お前たちの思うようにはさせんぞ」
「やってみるが良い。お前の魔法は俺には通用しないぞ、ガルゾーマ」
「ははは、お前の相手をするのは私ではない。エルフの古代遺跡から発掘した巨大戦闘兵だ。言っておくがエルフの戦闘兵は魔法防御に長けているので貴様の魔法は効かぬ。さて、どうするか見ものだな」
そう言い捨てると、ガルゾーマは一枚の羊皮紙を取り出し地面へ投げ捨てた。転送の魔法図形が描かれている。ガルゾーマが転送の魔法を念じると羊皮紙から大きな光の柱が生じ、身の丈十数メートルもある戦闘兵が現れた。
戦闘兵は全身が灰色のプレートアーマーに覆われた巨大な戦士の姿をしている。太古の図書館に居たのと同じ、生物兵器の一種だろうか。エルフの戦闘兵は背中からゆっくりと両手剣を引き抜き、俺たちに向かって構えた。俺は仲間に言った。
「キャサリンは後方で待機しろ。ルミアナは酸攻撃でヤツの鎧を破壊してくれ。カザルには前衛を任せられそうか?」
「旦那、やるだけやってみますぜ」
「よし。それじゃあ、まずは本当に魔法攻撃が効かないのか試してやろう」
俺は最大魔力で<火炎弾(ファイア・ボール)>を発射した。直径二メートルほどの火球が四発、轟音とともに戦闘兵に向かって飛び出すと、頭部にすべて命中した。火球は激しく爆発して炎が飛び散り、その圧力で戦闘兵は大きくのけぞったが、二、三歩後退すると何事もなかったように再び巨大な両手剣を構えた。全身を覆うアーマーが魔法ダメージを防いでいるのだろうか。
カザルはウォーハンマーを両手で構えると戦闘兵に向かって突進した。
「攻撃は最大の防御っていうからよ、こっちから行くぜええ」
戦闘兵は無言のままカザルめがけて上から剣を振り下ろす。巨体に似合わぬ素早い動きだ。カザルは剣を横にかわすと、戦闘兵の足元に飛び込み、膝関節のあたりを横からハンマーで強打する。
「おりゃああ」
ハンマーがヒットして、鈍い音が響く。しかし硬いアーマーに阻まれてダメージは通らない。戦闘兵はカザルめがけて剣を横から振り払う。カザルはハンマーの柄でそれを受け止めたが、衝撃で弾き飛ばされ、背中から転がるように受け身を取り、すぐに立ち上がった。戦闘兵がカザルに向かっていく。
カザルが戦闘兵を引き付けている間に、ルミアナは金属を溶かす液体が入ったアンプルを矢の先に付けると、戦闘兵の背後から後頭部に向けて矢を放った。矢は一瞬で命中し、粘着性の溶解液がべっとりと張り付いた。だが溶ける様子はない。ルミアナはあきらめず、胸や背中などを攻撃するが、アーマーが溶ける様子はない。ルミアナが振り返って俺に言った。
「だめだわ。アーマーの表面に特殊な加工がされているのかもしれません」
「ううむ。金属アーマーなら電撃系の魔法が効くかもしれない」
俺は新たに覚えた強力な魔法、<電撃熱球(エレクトリック・オーブ)>を念じた。互いに回転しあう二つの青白い光の球が空中に発生すると、戦闘兵へ向かって飛びだす。そして戦闘兵の周囲をぐるぐる回転しながら、バリバリという空気を裂くような破裂音と共に戦闘兵めがけて多数の電撃を見舞った。戦闘兵は剣や手を大きく振り回して電撃熱球を追い払うようなそぶりを見せるが、ダメージを受けている様子は見られない。熱球が消えると、戦闘兵は俺の方に向かってきた。俺は急いで逃げながらつぶやいた。
「ううむ、あのアーマーは金属じゃなく、セラミックだな」
カザルは戦闘兵の背中に飛びかかると、その真中をハンマーで強打した。だが戦闘兵は何事もなく振り返り、剣を横に振り回す。ハンマーで受け止めたカザルは、再び飛ばされると横に転がった。立ち上がると汗を拭って言った。
「畜生め、サフィーの<魔法障壁(マジック・バリア)>がないと体が持たないですぜ。サフィーはまだですかい」
「確かに遅いな。呼べば、すぐにでも飛んでくるとか言ってたのに」
「は? 飛んでくるわけないですぜ」
そのとき上空から声がした。驚いた俺とカザルが上を見上げると、翼の生えたサフィーが空中に浮かんでいた。
「おお、すまんすまん。皆のもの、待たせたのう」
「げ、ホントに飛んで来やがった」
サフィーは戦闘兵を確認すると大声で言った。
「ほほう。何やら面倒なことになっておるようじゃな。われに任せておけ」
サフィーは自分の前方に強力な<魔法障壁(マジック・バリア)>を張ると、目にも止まらぬ速さで戦闘兵の背中に激突した。戦闘兵は反動で前方へ飛ばされ、近くの建物に頭から突っ込んだ。建物が崩れ落ち、土塵が舞い上がる。
カザルが呆気にとられてサフィーに言った。
「お前、いつの間にか翼が生えているじゃねえか。どうしちまったんだ」
「あっはっは。倉庫一棟分の食料を全部食ったら、われの体内に膨大なマナが充填されたのじゃ。おかげで魔族の証(あかし)である翼も復活したし、全身にすごいパワーを感じるぞ。あっはっは、見たか、魔界の大魔王サファイア様の大復活じゃー」
カザルが呆れ顔で言った。
「サフィーの奴、食い物を食っただけで、ずいぶんと態度がでかくなりやがったな。お前、いつから大魔王になったんだ? 魔界の貴族のお姫様じゃなかったのか」
「うるさいぞ、ハゲドワーフ。今日から大魔王になったんじゃ。ようし、これなら今まで使えなかった強力な魔法を使えるかもしれんのう」
崩れた瓦礫を払い除けて戦闘兵が立ち上がった。俺はサフィーに言った。
「なんか知らんが、すごいぞサフィー。あの戦闘兵を倒してくれ。あれは全身を覆うアーマーに魔法耐性があるらしく、私の魔法ではまったく刃が立たない」
「あっはっは、アルフレッドか、われにまかせておけ。そうだな・・・それならば・・・ええと・・・ちょっと待て」
サフィーは悩んでいる。
「どうしたサフィー」
「千年以上も何もせず遺跡の中で寝ていたので、すっかり攻撃魔法を忘れてしまったわい」
キャサリンが叫んだ。
「まああ、なんですって。サフィーには、もう、ご飯あげませんからね」
「待て待て、思い出してきたぞ。あやつには、呪い系の魔法が効くはずじゃ。魔法耐性があるとしても、魔族であるわれの『呪い魔法』はエルフにとって想定外じゃろう」
そう言うと、サフィーは空中で羽ばたきながら目を閉じ、両手を胸の前で合わせる。
「皮膚を腐らせる呪いをお見舞いしてやろう」
サフィーが低く唸ると、その体は光を吸収して黒くなり、周囲から揺らめく黒い霧が放出されはじめた。そして、掛け声とともに両手を戦闘兵に向かって弾き出すように伸ばすと、両手から黒い大きなモヤの塊が飛び出した。<即時腐敗(インスタント・ロット)>の呪いである。
「はあああっ」
黒い塊はわずかに螺旋を描きながら戦闘兵の胸部に命中し、黒いモヤが全身を覆う。それと同時に戦闘兵は剣を投げ捨て、両手で体を抱えながら太い唸り声をあげ、悶え苦しみ始めた。アーマーの継ぎ目から、血のような赤黒い液体が染み出してくる。俺は呟いた。
「すごいな・・・効いてるぞ」
鎧の下の皮膚が腐ったためか、戦闘兵の全身を覆っていたアーマーが一つ、また一つと剥がれ落ちはじめた。その下からは筋肉のようなものが見える。よし、魔法耐性がなくなれば、こっちのものだ。
「いくぞ」
俺は膝を落とした戦闘兵の足元に向けて、新たな魔法<業火煉獄(ヘルファイア)>を念じた。戦闘兵の足元から真紅の炎の柱が天に向かって吹き出し、全身を覆い尽くした。戦闘兵はよろめきながら逃れようとするが、炎の柱は戦闘兵に追随し、逃れることはできない。戦闘兵は最後に大声で長く叫ぶとその場に崩れ落ちた。肉の焼けた匂いが漂う。
サフィーの目が大きくなった。
「・・・丸焼きだ・・・うまそうだな、これ」
俺はサフィーに言った。
「バカやめろ。病気になるぞ。というか、そんな暇はない。レイラを助けにいくぞ」
「あっはっは。そうであったな。まあ今のわれの力をもってすれば、たやすいことじゃ」
その時、俺は気がついた。地上に降り立ったサフィーの背中に、さっきまで生えていた翼が見当たらないのだ。
「あれ、サフィー、なんだか翼が消えたみたいだぞ」
「え? 翼が? ・・・うわああ、本当じゃ。せっかく復活した翼が消えてしまったぞ」
「あれだけ強力な呪い魔法を使ったから、マナを大量に消費したんだろう」
「そんなぁ・・・残念じゃ・・・」
サフィーはしばらく落ち込んだ様子だったが、気を取り直して元気に言った。
「われは、腹が減った」
カザルとキャサリンが声を上げた。
「サフィー、お前、どんだけ食えば気が済むんだ」
「サフィーは、燃費が悪すぎなのですわ」
俺はサフィーに言った。
「レイラを救出したら、あとからいっぱい食わせてやるから、急ぐぞ!」
俺たちは格闘場へと急いだ。
「見つけたぞアルフレッド。貴様ら、ここで何をしている、何を企んでいる」
「はん、そんなこと教えるはずがないだろう。こっちは忙しいのだ。そこをどけ」
「調子に乗るなよ人間ごときが。お前たちの思うようにはさせんぞ」
「やってみるが良い。お前の魔法は俺には通用しないぞ、ガルゾーマ」
「ははは、お前の相手をするのは私ではない。エルフの古代遺跡から発掘した巨大戦闘兵だ。言っておくがエルフの戦闘兵は魔法防御に長けているので貴様の魔法は効かぬ。さて、どうするか見ものだな」
そう言い捨てると、ガルゾーマは一枚の羊皮紙を取り出し地面へ投げ捨てた。転送の魔法図形が描かれている。ガルゾーマが転送の魔法を念じると羊皮紙から大きな光の柱が生じ、身の丈十数メートルもある戦闘兵が現れた。
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「キャサリンは後方で待機しろ。ルミアナは酸攻撃でヤツの鎧を破壊してくれ。カザルには前衛を任せられそうか?」
「旦那、やるだけやってみますぜ」
「よし。それじゃあ、まずは本当に魔法攻撃が効かないのか試してやろう」
俺は最大魔力で<火炎弾(ファイア・ボール)>を発射した。直径二メートルほどの火球が四発、轟音とともに戦闘兵に向かって飛び出すと、頭部にすべて命中した。火球は激しく爆発して炎が飛び散り、その圧力で戦闘兵は大きくのけぞったが、二、三歩後退すると何事もなかったように再び巨大な両手剣を構えた。全身を覆うアーマーが魔法ダメージを防いでいるのだろうか。
カザルはウォーハンマーを両手で構えると戦闘兵に向かって突進した。
「攻撃は最大の防御っていうからよ、こっちから行くぜええ」
戦闘兵は無言のままカザルめがけて上から剣を振り下ろす。巨体に似合わぬ素早い動きだ。カザルは剣を横にかわすと、戦闘兵の足元に飛び込み、膝関節のあたりを横からハンマーで強打する。
「おりゃああ」
ハンマーがヒットして、鈍い音が響く。しかし硬いアーマーに阻まれてダメージは通らない。戦闘兵はカザルめがけて剣を横から振り払う。カザルはハンマーの柄でそれを受け止めたが、衝撃で弾き飛ばされ、背中から転がるように受け身を取り、すぐに立ち上がった。戦闘兵がカザルに向かっていく。
カザルが戦闘兵を引き付けている間に、ルミアナは金属を溶かす液体が入ったアンプルを矢の先に付けると、戦闘兵の背後から後頭部に向けて矢を放った。矢は一瞬で命中し、粘着性の溶解液がべっとりと張り付いた。だが溶ける様子はない。ルミアナはあきらめず、胸や背中などを攻撃するが、アーマーが溶ける様子はない。ルミアナが振り返って俺に言った。
「だめだわ。アーマーの表面に特殊な加工がされているのかもしれません」
「ううむ。金属アーマーなら電撃系の魔法が効くかもしれない」
俺は新たに覚えた強力な魔法、<電撃熱球(エレクトリック・オーブ)>を念じた。互いに回転しあう二つの青白い光の球が空中に発生すると、戦闘兵へ向かって飛びだす。そして戦闘兵の周囲をぐるぐる回転しながら、バリバリという空気を裂くような破裂音と共に戦闘兵めがけて多数の電撃を見舞った。戦闘兵は剣や手を大きく振り回して電撃熱球を追い払うようなそぶりを見せるが、ダメージを受けている様子は見られない。熱球が消えると、戦闘兵は俺の方に向かってきた。俺は急いで逃げながらつぶやいた。
「ううむ、あのアーマーは金属じゃなく、セラミックだな」
カザルは戦闘兵の背中に飛びかかると、その真中をハンマーで強打した。だが戦闘兵は何事もなく振り返り、剣を横に振り回す。ハンマーで受け止めたカザルは、再び飛ばされると横に転がった。立ち上がると汗を拭って言った。
「畜生め、サフィーの<魔法障壁(マジック・バリア)>がないと体が持たないですぜ。サフィーはまだですかい」
「確かに遅いな。呼べば、すぐにでも飛んでくるとか言ってたのに」
「は? 飛んでくるわけないですぜ」
そのとき上空から声がした。驚いた俺とカザルが上を見上げると、翼の生えたサフィーが空中に浮かんでいた。
「おお、すまんすまん。皆のもの、待たせたのう」
「げ、ホントに飛んで来やがった」
サフィーは戦闘兵を確認すると大声で言った。
「ほほう。何やら面倒なことになっておるようじゃな。われに任せておけ」
サフィーは自分の前方に強力な<魔法障壁(マジック・バリア)>を張ると、目にも止まらぬ速さで戦闘兵の背中に激突した。戦闘兵は反動で前方へ飛ばされ、近くの建物に頭から突っ込んだ。建物が崩れ落ち、土塵が舞い上がる。
カザルが呆気にとられてサフィーに言った。
「お前、いつの間にか翼が生えているじゃねえか。どうしちまったんだ」
「あっはっは。倉庫一棟分の食料を全部食ったら、われの体内に膨大なマナが充填されたのじゃ。おかげで魔族の証(あかし)である翼も復活したし、全身にすごいパワーを感じるぞ。あっはっは、見たか、魔界の大魔王サファイア様の大復活じゃー」
カザルが呆れ顔で言った。
「サフィーの奴、食い物を食っただけで、ずいぶんと態度がでかくなりやがったな。お前、いつから大魔王になったんだ? 魔界の貴族のお姫様じゃなかったのか」
「うるさいぞ、ハゲドワーフ。今日から大魔王になったんじゃ。ようし、これなら今まで使えなかった強力な魔法を使えるかもしれんのう」
崩れた瓦礫を払い除けて戦闘兵が立ち上がった。俺はサフィーに言った。
「なんか知らんが、すごいぞサフィー。あの戦闘兵を倒してくれ。あれは全身を覆うアーマーに魔法耐性があるらしく、私の魔法ではまったく刃が立たない」
「あっはっは、アルフレッドか、われにまかせておけ。そうだな・・・それならば・・・ええと・・・ちょっと待て」
サフィーは悩んでいる。
「どうしたサフィー」
「千年以上も何もせず遺跡の中で寝ていたので、すっかり攻撃魔法を忘れてしまったわい」
キャサリンが叫んだ。
「まああ、なんですって。サフィーには、もう、ご飯あげませんからね」
「待て待て、思い出してきたぞ。あやつには、呪い系の魔法が効くはずじゃ。魔法耐性があるとしても、魔族であるわれの『呪い魔法』はエルフにとって想定外じゃろう」
そう言うと、サフィーは空中で羽ばたきながら目を閉じ、両手を胸の前で合わせる。
「皮膚を腐らせる呪いをお見舞いしてやろう」
サフィーが低く唸ると、その体は光を吸収して黒くなり、周囲から揺らめく黒い霧が放出されはじめた。そして、掛け声とともに両手を戦闘兵に向かって弾き出すように伸ばすと、両手から黒い大きなモヤの塊が飛び出した。<即時腐敗(インスタント・ロット)>の呪いである。
「はあああっ」
黒い塊はわずかに螺旋を描きながら戦闘兵の胸部に命中し、黒いモヤが全身を覆う。それと同時に戦闘兵は剣を投げ捨て、両手で体を抱えながら太い唸り声をあげ、悶え苦しみ始めた。アーマーの継ぎ目から、血のような赤黒い液体が染み出してくる。俺は呟いた。
「すごいな・・・効いてるぞ」
鎧の下の皮膚が腐ったためか、戦闘兵の全身を覆っていたアーマーが一つ、また一つと剥がれ落ちはじめた。その下からは筋肉のようなものが見える。よし、魔法耐性がなくなれば、こっちのものだ。
「いくぞ」
俺は膝を落とした戦闘兵の足元に向けて、新たな魔法<業火煉獄(ヘルファイア)>を念じた。戦闘兵の足元から真紅の炎の柱が天に向かって吹き出し、全身を覆い尽くした。戦闘兵はよろめきながら逃れようとするが、炎の柱は戦闘兵に追随し、逃れることはできない。戦闘兵は最後に大声で長く叫ぶとその場に崩れ落ちた。肉の焼けた匂いが漂う。
サフィーの目が大きくなった。
「・・・丸焼きだ・・・うまそうだな、これ」
俺はサフィーに言った。
「バカやめろ。病気になるぞ。というか、そんな暇はない。レイラを助けにいくぞ」
「あっはっは。そうであったな。まあ今のわれの力をもってすれば、たやすいことじゃ」
その時、俺は気がついた。地上に降り立ったサフィーの背中に、さっきまで生えていた翼が見当たらないのだ。
「あれ、サフィー、なんだか翼が消えたみたいだぞ」
「え? 翼が? ・・・うわああ、本当じゃ。せっかく復活した翼が消えてしまったぞ」
「あれだけ強力な呪い魔法を使ったから、マナを大量に消費したんだろう」
「そんなぁ・・・残念じゃ・・・」
サフィーはしばらく落ち込んだ様子だったが、気を取り直して元気に言った。
「われは、腹が減った」
カザルとキャサリンが声を上げた。
「サフィー、お前、どんだけ食えば気が済むんだ」
「サフィーは、燃費が悪すぎなのですわ」
俺はサフィーに言った。
「レイラを救出したら、あとからいっぱい食わせてやるから、急ぐぞ!」
俺たちは格闘場へと急いだ。
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