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【番外編】(時系列バラバラ・基本甘々・ときどき腹黒四季)
大切にするよ。(SSS)
しおりを挟む イベント終了十五分前にアナウンスが流れ始め、出展者たちはそれぞれ撤収にかかりだした。慧一は後片付けをする二人にくれぐれも逃亡しないよう念を押してから、一旦会場の外に出た。
男性用トイレで用を足しながら何となくほっとしている。女ばかりの環境にいると、男要素が恋しくなるものだ。
慧一は手を洗いつつ、鏡に映る自分をしげしげと眺めた。
「王子様……か」
慧一は赤ん坊の頃から色白だった。それも、産湯につかったその時から既に白く、赤ん坊という感じではなかったらしい。
女性の看護師に取り囲まれ、かわいがられていたと両親から聞いた。その頃からすでにモテモテだったわけだ。
慧一には弟が一人いる。野武士のような風貌で、いかにも男くさいスポーツマンタイプである。同じ兄弟でありながら、こうまで違うのも珍しいと、周囲に言われ続けている。
中身に関しても、兄は軟派で弟は硬派。
弟は一途な恋をして、既にその女性と家庭を持っている。
結婚式での仲睦まじい姿を見て、慧一はらしくもなく羨ましい気持ちになった。そんな恋人が欲しいと、ぼんやりと憧れた。
誰にも言わない、彼の心情だ。
幼稚園に小中高、そして大学と、彼は周りの女から崇拝とも取れる眼差しを注がれてきた。皆、勘違いしていると分かったのは、女を知った頃。
滝口慧一は清廉な紳士で、それこそ王子様のように女性を扱うのだろう。そんなふうに彼女らは思い込んでいる――
女のように美しい肌と、優しく見える目元が、そう思わせるらしいのだ。
だが、慧一と付き合い、彼という人間を初めて目の当たりにした女達は揃ってがっかりし、終いには離れていった。
(俺は泥臭い人間で、どちらかというと下品かもしれない。思ったことはストレートに表現するし、相手に自惚れる暇を与えない。俺が王子様? 悪寒がするよ)
慧一は、峰子は少しばかり違うと思った。
『モース』に登場するケイは、もちろんそのまんまではないが、ある程度自分の本質を突いていると思う。
その辺りを聞きたい。今夜、必ず聞きたいのだ。
慧一は鏡の前で頬を一発張ると、会場へと戻った。
峰子を捕まえるために。
男性用トイレで用を足しながら何となくほっとしている。女ばかりの環境にいると、男要素が恋しくなるものだ。
慧一は手を洗いつつ、鏡に映る自分をしげしげと眺めた。
「王子様……か」
慧一は赤ん坊の頃から色白だった。それも、産湯につかったその時から既に白く、赤ん坊という感じではなかったらしい。
女性の看護師に取り囲まれ、かわいがられていたと両親から聞いた。その頃からすでにモテモテだったわけだ。
慧一には弟が一人いる。野武士のような風貌で、いかにも男くさいスポーツマンタイプである。同じ兄弟でありながら、こうまで違うのも珍しいと、周囲に言われ続けている。
中身に関しても、兄は軟派で弟は硬派。
弟は一途な恋をして、既にその女性と家庭を持っている。
結婚式での仲睦まじい姿を見て、慧一はらしくもなく羨ましい気持ちになった。そんな恋人が欲しいと、ぼんやりと憧れた。
誰にも言わない、彼の心情だ。
幼稚園に小中高、そして大学と、彼は周りの女から崇拝とも取れる眼差しを注がれてきた。皆、勘違いしていると分かったのは、女を知った頃。
滝口慧一は清廉な紳士で、それこそ王子様のように女性を扱うのだろう。そんなふうに彼女らは思い込んでいる――
女のように美しい肌と、優しく見える目元が、そう思わせるらしいのだ。
だが、慧一と付き合い、彼という人間を初めて目の当たりにした女達は揃ってがっかりし、終いには離れていった。
(俺は泥臭い人間で、どちらかというと下品かもしれない。思ったことはストレートに表現するし、相手に自惚れる暇を与えない。俺が王子様? 悪寒がするよ)
慧一は、峰子は少しばかり違うと思った。
『モース』に登場するケイは、もちろんそのまんまではないが、ある程度自分の本質を突いていると思う。
その辺りを聞きたい。今夜、必ず聞きたいのだ。
慧一は鏡の前で頬を一発張ると、会場へと戻った。
峰子を捕まえるために。
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こんばんは★(σ*´∀`)作者様★
(( ̄_|。
おぉΣ(゜Д゜)
続編?四季さん暗躍?(゜ロ゜;ノ)ノ
楽しみ(*`・ω・)ゞです(σ*´∀`)
勝手に期待してお待ちしております(*≧∀≦*)
でも、無理は禁物ですゾ(*´・ω・`)b
リアを大切に★.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.
でも、妄想は勝手にシチャイマスナ( ・`д・´)キリッ。
ムフフフ(( *´艸`)Σ(゜Д゜)
戯言失礼しました(( ̄_|。(゜ロ゜;ノ)ノ
こんばんは!
ゆっくりになりますが書いていきたいと思いますので、宜しくお願いします^ ^
長文になりスミマセン(( ̄_|。
作者様★完結おめでとでした.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.
母親の結末に衝撃でΣ(゜Д゜)
さっき書き忘れたのです。(*>ω<*)(゜ロ゜;ノ)ノ
子供は親選べない。父親が母親系でなかったのがまだギリ救いでした(´・ω・`)母親が病気であろうと紅葉は関係ない。
作者様★番外編?ありますか?
腹黒四季さんと新婚編とかないですか?(σ*´∀`)
勝手に期待(( ̄_|。
紅葉とのイチャコライチャラブの時間の為に
回りに仕事を押し付けて四季さんが新婚旅行?を考えて画策してたら面白そう( ̄ー ̄)フフ。
ニャニャ。(( *´艸`)
家族にまた不審な目で見られてますがスルー。(( ̄_|。
とりま、作者様お疲れ様でした(*´・ω・`)b
個人的に四季さんが1番キャラ好きです(σ*´∀`)腹黒スパダリ系ばんざーい.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.
外堀掘りまくりお疲れ様っす(・ω・`=)ゞ
スコップでなく重機使って掘ってましたナ(*>ω<*)
ムフ。( *´艸`)クフフフ。
妄想失礼しました(( ̄_|。
ありがとうございます!
日本語話せない人との会話は本当に疲れるんです。
母親の件は四季の独断です。
四季は想像以上に紅葉を甘やかしたいのであんな結果になりました。
いったん「完結」にしていますが、数本乗せる予定です♪
こちらは紅葉と四季がイチャイチャと、四季の暗躍の部分を書こうと思っています。
番外編と言ってもこちら(本編と同じ場所)にアップする予定で、もしお時間があえば読んでいただけると嬉しいです^^
母親は拝見しましたが…モヤモヤは残り不完全燃焼。病気では納得?かたずかないかなぁ~と個人的には思う母親デスナ(・ω・`=)ゞ
赤の他人ならともかく身近で血が繋がってるからこそ複雑でややこしくて拗れてしまう。
私ならこの母親には今後会いませんね。
治療勝手にしてくれ。と過去のことにして消化するまでふれないで時間経過にまかせた方がよいかとこちらに害ないなら放置します。(´ω`)スン。
あと
夏川はなぜ主人公に浮気繰り返しても嫌われない。と思ったんだろうか?
普通に嫌われ事項ですよね?愛情確めたいにしてもこんな常習犯に
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考える年数あったよね?2回目から彼に気持ちないって言ったよね?
態度みたらわかるくない?
浮気ばっかとか
愛されたいなら真逆の態度だし
愛してるでなく愛したい支配したいってなんだろなー?夏川(`Δ´)ってなるし
そんな仏以上の存在中々いないよー。(`Δ´)アホなん?( *´艸`)
仏の顔も三度までだよー。(( ̄_|。
性欲処理なら風俗でも自家発電でも簡単に処理できるんでイチイチ粉かけて浮気を繰り返す必要ないし単なる言い訳に感じるンスが?
バロメーターならん。ただ好感度マイナスよ。ハイリスクしかない。ハイリターンはない。
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そうですな(о´∀`о)ノ作者様★が苦心しただけありますイミフな自己中クズ男でした(*´・ω・`)b
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残念なやつである。
四季さんは腹黒思ってましたけど★スパダリ系腹黒。手段選ばなそう。しかも、外堀コッソリ系( ・`д・´)キリッ。
四季さんいれば紅葉は大丈夫かな?
紅葉お父さんは陰ながら大変だったんだな。。
ご覧いただきありがとうございます!
安心してください。母親と夏川の行動は理解が出来ない方が普通の感性です!
(むしろ理解できて賛同できるのは、あまりよろしくないと思います)
彼らの中では一定の理由があるのですが、それが他人と共感できないことが多いです。
息を吸うように嘘をつき、自分を良く見せるために無意識で行動するそんな人。
実在する人をモデルに作り上げたキャラクターで、世の中そんな人いるんだなぁ。。と思っていただければ。
紅葉にとって激甘超えて極甘な四季です。
何せ夏川には及びませんが、5年間も紅葉に思いを寄せていたので。
勿論最初の頃は、『真面目だな』とか『可愛いな』だったんですがね。
必死で健気に頑張る紅葉に日に日にメロメロになったことでしょう。
そして、どこかの誰かさんと違い、自分に振り向いてくれたなら一生大切にします(断言