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執着旦那と愛の子作り&子育て編
昔々のお話。
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ハイシア城の応接の間。
魔物の気配を探す方法についてヴィンフリートへ教授もらえないか、ガリウスとレオンから連絡を入れた次の日。
すぐさま応諾の連絡が入った。
ガリウス曰く、こんなに早く返答があるのは珍しいことらしい。
こちらとしては嬉しいことだ。
どうか気のせいであってほしいと願いつつ、約束の時間になるとどこからともなく霧が立ち込めた。
そこから人影が浮かびあがり、後にサーっと霧が引いた。
そしてそこに現れたのはニコニコと微笑むヴィンフリートだ。
「ようこそおいで下さいました。ヴィンフリート様」
「いつでも呼ぶがよい。シャリオン。会えて嬉しいぞ」
久しぶりに孫にあう祖父のように、シャリオンにニコリと微笑むヴィンフリート。
「こんにちわ。ヴィンフリート様」
「ふぉっふぉっふぉっ久しぶりじゃのう。
ん?ほう・・・これまた大きくなったのう。ますますガリウスに似てきたのう。
人間はすぐ成長するのぅ。・・・次は姉に会いにくるか」
ガリウスに挨拶をした後、その足元に立つガリオンに気づくと腰を書かがめ、ガリオンの頭を撫でるヴィンフリート。
不安気だった表情は少し和らぎヴィンフリートを見上げる。
以前より敵視をしなくなったガリオンを面白いものを見るように見てくる。
今は不安げな瞳に不思議そうな顔をした。
「どうしたんじゃ?」
「っ・・・ヴィンフリート様。今日はよろしくお願いします」
「ふむ。おぬし・・・父親と一緒に習う気でいるのか?」
「はい」
「リィン!?」
聞いていなかったことにシャリオンは驚いた。
しかし、その様子にヴィンフリートが手で合図をしてきたのでシャリオンは止まる。
「それは無理じゃのう」
「っ僕頑張ります!」
「頑張っても足りんのじゃ」
「ならっ封印の魔法道具とります」
「それでも足りん」
「!」
「・・・ふぅ」
かがみすぎていて疲れたのか腰をたたいて伸ばすヴィンフリート。
「大丈夫じゃ。おぬしの父様は強いからのう。ちゃんとマスターする。
それに基礎はあるんじゃ。幼い時からあの死山で修業をつけていたのだからのう」
「っ・・・僕」
「無理じゃ。おぬしは成人・・・少なくともガリウスと同じ歳になるまでそういった類はおしえん。
危なっかしくてシャリオンの心臓が止まってしまうやもしれん」
「絶対に教えないで下さい」
教えてほしいと訴えるガリオンだったが、揶揄うような言葉に反対をしたのはガリウスだった。
シャリオンに過剰に心配をかける真似をガリウスが見逃がすわけがないのだ。
『余計なことを言うな』と言うオーラにヴィンフリートは笑った。
「あの、ヴィンフリート様お聞きしても宜しいでしょうか」
「ん?なんじゃ?」
「ぁ・・・すみません。
こちらへどうぞ」
シャリオンが何を尋ねるかわかっているにも関わらず、話を合わせてくれる。
そんなヴィンフリートをソファーに案内した。
ヴィンフリートが好きだとあらかじめ聞いていた食材を用意する。
皆が一息ついた時に話し始めた。
「魔物が街中に現れる様なことありあるのでしょうか」
「ある。そんなの昔からじゃ」
「?!」
「特性と言うのがあって結界を解くのが得意だったり、結界自体無効にする様なものじゃな。
まぁつまり『いる』ということを覚えておけばよい」
ガリウスも知らなかったのか驚いた様にしている。
「だがまぁ気にしているのは別じゃな」
「え?」
「正体がなにかわかっているのですか?」
ガリウスの質問に少し考えた後に髭に手を置いた。
「王族の奴らもその認識なのか?」
「えぇ」
ヴィンフリートの視線がガリウスに向かい、ガリウスは一瞬眉を動かしたがコクリと肯定した。
「ふむ。・・・ならば、レオンの奴に遺しておくように伝えておいた方が良いかもしれんな。
さて・・・おぬしらには少し昔話をしようかのう」
遠い目をするヴィンフリート。
ゆっくりと思い出を振り返る。
「その昔この地を支配していた種族は人間ではなかった。
今もいる魔物・・・当時はもっと高位の魔族じゃな。
奴らは獰猛かつ残忍で人間を糧として認識していた。人語も理解しておった」
それはブルーリアの近くに拠点があったという部族の話を思い出す。
そこには人と話せる人がいたというが、そういう人なのだろうか。それとも高位の魔族と言うことなのだろうか。
たしかに死山に出る魔物は強敵だが、それ以外のところにある魔物は動物とさほど変わらない。
それ以上の者となると今はヴィスタ以外想像できない。
「人間は山に囲まれたハリアー大陸に逃げ込んだ(アルアディアとカルガリアのある大陸)。
虚弱な人間だけではこの山を登っている最中に死んでしまうがそれを手助けしたのも、その後救ったのもを救ったのは精霊である。精霊は人間を守って戦っていた。
しかし、精霊は魔を祓う方が出来るが圧倒的な数で次第に押されて行った。
そして、・・・」
シャリオンとガリオンの前にわかりやすいように、魔法で大陸や魔族の人型のを魔法で出し説明している。
唐突に始まった昔話にガリウスが眉を顰める。
「ヴィンフリート様」
「ちゃんと覚えておる。良いからおとなしく聞いておれ」
じろりと睨むヴィンフリートにガリウスは小さくため息をつく。
「いつしか精霊の数は減っていきそんな時にドラゴンが現れた。精霊以上の魔力を保有し、魔族を纏める長である魔王よりも強い力を持っている。
それまでもドラゴンはいたが人間にも魔族にも興味を持たなずに、減っていくのも増えるのも関係ないとみていた。
ドラゴンが興味があったのは精霊・・・いや。精霊王だけだ」
ドラゴンが興味があるのは精霊王だけに興味があるというのに引っかかった。
以前はたくさんいたというドラゴン。
それがいつから消えただとかは聞いていないが、ヴィスタは最後の生き残りだ。
「ドラゴンの数が減ったのって・・・まさか」
「精霊王を守るために魔王に敗れたのじゃ」
それはつまり人間の所為だということで息をのんだ。
ヴィスタのことにしてもそのドラゴン達にしても。
ドラゴンにとって人間は厄介なものでしかないではないか。
するとガリウスが背中を撫でてくれる。
「おぬしが気にすることではないであろうに。優しいのう。
だが、この混沌はドラゴンの所為でできたとも言えるんじゃ」
「どういう」
「ドラゴン達は精霊王が身を挺して守ろうとすることに限度があると察していた。
故に人間を強くすることを思い至った」
「・・・魔法をかけたのですか?」
「それでは限度があるじゃろう?
ドラゴンは精霊王以外の精霊を人間との間の子供を作ることを提案したのじゃ。
それはつまり兵士として産み落とすことであり、精霊王は反対し続けた。
だが、人間はその話に興味を示し思考のない精霊を捉え人間の女と無理やり子供を作らせた」
「・・・!」
「精霊王はそのことに怒りをあらわにしたが、子供が出来てしまっては仕方がない。
その娘を大切に育てた。・・・しかし、その当時の人間は全く魔力がない生命体。
一方低級の精霊といえど魔力のある精霊を体に宿すことで、娘は次第に狂っていった。
精霊王はその娘を哀れみそして、同じ人間の女を道具とした人間に嫌悪を示した。
気づけばそういう子供が増えていったという。
その子供たちは精霊よりも知能を持ち十分な戦闘力になった。
しかし、精霊の血を引いた人間が育つよりも、圧倒的に魔族が増え侵略してくる速さの方が早かった。
その為に、ドラゴンは自分の血を人間たちに与えることにした」
「!??!」
思い出してほしい。
ドラゴンの血は瘴気を纏っており触れればたちまち呪われてしまう。
「初めての人間は死んだであろうな」
「っ」
「人間はそういうところは探求心がある」
その言葉に血の気が引いた。
そんな外道なことをしたなんて。
だが、その人たちが居なければもしかしたら、人間が滅びていたかもしれないこと。
そして、ハイシアも長い歴史の中でないとは言い切れないことに息をのんだ。
『過去のことです。あまり身を入れて聞いてはいけません』
そんな風に聞こえてきたガリウスの言葉にシャリオンはコクリと頷いた。
「ドラゴンの奴は精霊を使うとまた精霊王の逆鱗に触れると思ったんじゃ。
そこがすでに間違っているんじゃが、やつらは心の機微を読むというのが下手じゃ。
そんな調子で強くなった人間はあっというまに自分の陣地を取り戻した。
・・・話を省略するがのう。
つまり、他種と血を混じらわせる行為は昔からあったんじゃ」
「・・・、ヴィンフリート様。もう少し続けていただいかないと。
つまり、街中にいる魔物の気配は魔物なりなんなりと血を混じらわせた者。・・・と言うことで良いですね」
「そう言っているじゃろう」
信じがたい言葉に息をのんだ。
「それは・・・事実なのですか・・・いえ。
申し訳ありません。今のいままで僕の常識になかったことを戸惑っています」
「ふぉっふぉっふぉ。・・・まぁ知らぬのなら驚くかもしれんのう。
しかしのう。事実であるぞ。
なんならおぬしらも精霊かドラゴンの血を引いておるのじゃ。
だから魔力があるし魔法も使えるということじゃ」
「僕たちにも・・・そうか・・・。
・・・、ん?
でも・・・なら何故ヴィスタは僕たちに反応しないのですか?」
「ふぅむ。まぁそれだけ外道に近いということではないかのう。
それか自分とは違う匂いが臭いか」
確かにヴィスタは『臭い』と称していたの思い出す。
つまり、魔物の血を意図的に体に取り込んだ人間がいるというのだろうか。
王都に。
「ガリウスよ。あやつのことを気にしてやるんじゃぞ」
「あやつ?」
「ドラゴンに打ち負かされた奴じゃ。・・・えぇっと」
「セレスですわ」
部屋の中の霧が濃くなると
そういって現れたのなんと、黒魔術師ジャンナである。
突如現れたジャンナは恭しくカテーシーをする。
「ジャンナ様・・・!」
「お久しぶりですわ。シャリオン様。相変わらずめまいがしそうなほどお美しいですこと」
「ジャンナ様もお元気そうで何よりです」
驚きながらその話ながらガリウスをちらりと見上げれば、小さく首を振った。
どうやらガリウスが呼んだわけではないようだ。
「ヴィンフリート様、お久しぶりですわ。
えぇっと・・・100・・・200年・・・?」
「まぁそのくらいじゃろうな。
しかし、相変わらず美しいのう」
大魔法使いと黒魔術師と言うことだけあって顔見知りだったようだ。
しかし。その『年』とはまさか最後にあった年のことだろうか。
「今日はどうしたんじゃ?」
「えぇ。シャリオン様にお願いが会ってまいりましたの。
そしたら懐かしい気配を感じましたのでお邪魔したわけですわ」
「美人に気にかけてもらえるとは嬉しいのう。・・・それにしても名を忘れてしまって悪いのう。
子孫じゃったか」
「あの子がご挨拶をしたわけではありませんので。
それに私自身あの子とは話したことありませんし」
「あの子・・・?」
「セレスのことですわ。・・・、言っておりませんでしたか?」
「!」
「聞いてません。・・・まさか貴女がセレスと血縁者だとは思いませんでした」
シャリオンが驚いているとジャンナがニコリと微笑む。
しかし、ジャンナはセレスが倒れていた時に自分を売り込んできた黒魔術師だ。
あれは自分の子孫が危険な目に会い守るためにやってきたということだったのだろうか。
「そうですか?黒髪に黒目と言うのは繋がりだと思っているのですけれど。
あまりアルアディアにはおりませんでしょう?」
「そうですね」
「それは・・・わかりましたが」
「セレスを気にやって欲しいんじゃ」
「え?」
「あの子はシャリオン様への恩義を返すべく、少々周りが見えなくなるところがあります」
「はい・・・」
それはシャリオンも感じることがある。
今回も休んでいると思っていたのに、まさか調査に出ているとは。
それもガリウスが知っていたということは、ガリウスが指示したのだろうか。
「いいえ。あの子が自ら行ったのですわ」
「え」
ぎょっとしてジャンナを見ればにこりと微笑まれる。
もしかして、この部屋ではジャンナにも考えを見破られているのだろうか。
見られて困るようなことは考えていないが、それでも見透かされるのは恥ずかしいものである。
いや、そんなことよりもだ。
「ジャンナ様はセレスがどこに行ったのかご存じなのでしょうか」
「えぇ。サーベル国ですわ」
「サーベル国・・・?」
「残りの後片づけと・・・そうですわね。邪悪な気配を感じていると言った方が良いでしょうか」
「邪悪な気配」
「禍々しい気配といいましょうか」
「・・・魔族のようなものが現れたということでしょうか・・・」
「どうでしょう。ただ、魔物が活性化しているのは事実ですわ」
「!」
その言葉に息をのんだ。
「ま・・・待ってください。
サーベル国では魔物はどうなっているのでしょうか。
セレスは大丈夫なんですか!?」
そう尋ねるもガリウスがシャリオンの手を握る。
「大丈夫ですよ。セレスが倒せないような者や強いものはいないと言います。
それどころかアスピルコアドレインを使い、失った魔力は取り返せたと言っています」
「!・・・そう。・・・、・・・」
「えぇ。・・・後で連絡を取りますから」
じっとりとした眼差しにガリウスはクスクスと笑うと、ジャンナもクスリと笑った。
「あの子はシャリオン様が心配するとわかっていながら黙っていったのです。
その間の報告もガリウス様のみにしていたということはあの子がいけないのですよ。
どうかガリウス様を責めないでやってくださいませ」
そんな風に言われてしまっては何も言えなくなってしまう。
「・・・疑ってごめん」
「いいえ。謝らないでください。
言わなければこうなることをわかっていながら伝えなかったのは私なのですから」
それがシャリオンにとって最善だとガリウスが判断したからだろう。
これでは謝罪合戦になってしまう。
シャリオンは苦笑を浮かべながら、2人に向き直ると頭をさげた。
「貴重なご意見をいただきありがとうございます」
そんな風に頭を下げるとヴィンフリートが可笑しそうに笑った。
「ふぉっふぉっふぉっ今日参ったのはガリウスを鍛えるためだというのをお忘れかな?」
「あ」
一つのことに集中すると忘れてしまった自分に思わず恥ずかしくなるのだった。
・・・
・・
・
それからヴィンフリートとガリウスは死山に向かう。
ジャンナもそれにもついていくと、ガリウスが帰ってきたのはシャリオンも王都に戻って夜も更けたころだった。
修業服だという服に着替えていったのだがボロボロの状態。
おまけにヴィンフリートに支えられての帰還に血の気が引いた。
「大丈夫じゃ。
すまんが、寝室に運んでおいてくれるかのう」
「かしこまりました」
後ろに控えるゾルに頼むとすぐに数人の使用人が入ってくる。
ガリウスを支え寝室に連れていく様を見てついていこうとしたのだが、ヴィンフリートに呼ばれる。
「シャリオン」
「っ・・・はい」
心配だが大丈夫だというのなら命の危機ではないのだろう。
後ろ髪をひかれながらもヴィンフリートのもとに行く。
「すまんのう。
わしは回復が苦手なんじゃ。
それに回復はシャリオンじゃないと嫌だとわがままを言うからポーションで回復もしやしない」
そんな言葉に苦笑を浮かべる。
シャリオンを頼ってくれるのは嬉しいがそれなら、あんなふうになってしまう使ってほしかった。
「実はのう。わしもお願いがあってのう」
わしわしと髭を撫でつけるヴィンフリート。
「・・・?・・・なんでしょうか」
「うむ。どんなことがあっても心穏やかでいてほしくてのう」
「え?」
「なに。怯えさせようというわけじゃないんじゃ」
「・・・、」
その言葉に、シャリオンはこくりと頷づくのだった。
┬┬┬
3日にワクチンを打ちまして、明日もしかしたら上げられないかも・・・?
遅刻したらすみません。
話のめどがつきました。
おそらく今月で終わると思います。
のこりわずか。よろしくお願いします。
魔物の気配を探す方法についてヴィンフリートへ教授もらえないか、ガリウスとレオンから連絡を入れた次の日。
すぐさま応諾の連絡が入った。
ガリウス曰く、こんなに早く返答があるのは珍しいことらしい。
こちらとしては嬉しいことだ。
どうか気のせいであってほしいと願いつつ、約束の時間になるとどこからともなく霧が立ち込めた。
そこから人影が浮かびあがり、後にサーっと霧が引いた。
そしてそこに現れたのはニコニコと微笑むヴィンフリートだ。
「ようこそおいで下さいました。ヴィンフリート様」
「いつでも呼ぶがよい。シャリオン。会えて嬉しいぞ」
久しぶりに孫にあう祖父のように、シャリオンにニコリと微笑むヴィンフリート。
「こんにちわ。ヴィンフリート様」
「ふぉっふぉっふぉっ久しぶりじゃのう。
ん?ほう・・・これまた大きくなったのう。ますますガリウスに似てきたのう。
人間はすぐ成長するのぅ。・・・次は姉に会いにくるか」
ガリウスに挨拶をした後、その足元に立つガリオンに気づくと腰を書かがめ、ガリオンの頭を撫でるヴィンフリート。
不安気だった表情は少し和らぎヴィンフリートを見上げる。
以前より敵視をしなくなったガリオンを面白いものを見るように見てくる。
今は不安げな瞳に不思議そうな顔をした。
「どうしたんじゃ?」
「っ・・・ヴィンフリート様。今日はよろしくお願いします」
「ふむ。おぬし・・・父親と一緒に習う気でいるのか?」
「はい」
「リィン!?」
聞いていなかったことにシャリオンは驚いた。
しかし、その様子にヴィンフリートが手で合図をしてきたのでシャリオンは止まる。
「それは無理じゃのう」
「っ僕頑張ります!」
「頑張っても足りんのじゃ」
「ならっ封印の魔法道具とります」
「それでも足りん」
「!」
「・・・ふぅ」
かがみすぎていて疲れたのか腰をたたいて伸ばすヴィンフリート。
「大丈夫じゃ。おぬしの父様は強いからのう。ちゃんとマスターする。
それに基礎はあるんじゃ。幼い時からあの死山で修業をつけていたのだからのう」
「っ・・・僕」
「無理じゃ。おぬしは成人・・・少なくともガリウスと同じ歳になるまでそういった類はおしえん。
危なっかしくてシャリオンの心臓が止まってしまうやもしれん」
「絶対に教えないで下さい」
教えてほしいと訴えるガリオンだったが、揶揄うような言葉に反対をしたのはガリウスだった。
シャリオンに過剰に心配をかける真似をガリウスが見逃がすわけがないのだ。
『余計なことを言うな』と言うオーラにヴィンフリートは笑った。
「あの、ヴィンフリート様お聞きしても宜しいでしょうか」
「ん?なんじゃ?」
「ぁ・・・すみません。
こちらへどうぞ」
シャリオンが何を尋ねるかわかっているにも関わらず、話を合わせてくれる。
そんなヴィンフリートをソファーに案内した。
ヴィンフリートが好きだとあらかじめ聞いていた食材を用意する。
皆が一息ついた時に話し始めた。
「魔物が街中に現れる様なことありあるのでしょうか」
「ある。そんなの昔からじゃ」
「?!」
「特性と言うのがあって結界を解くのが得意だったり、結界自体無効にする様なものじゃな。
まぁつまり『いる』ということを覚えておけばよい」
ガリウスも知らなかったのか驚いた様にしている。
「だがまぁ気にしているのは別じゃな」
「え?」
「正体がなにかわかっているのですか?」
ガリウスの質問に少し考えた後に髭に手を置いた。
「王族の奴らもその認識なのか?」
「えぇ」
ヴィンフリートの視線がガリウスに向かい、ガリウスは一瞬眉を動かしたがコクリと肯定した。
「ふむ。・・・ならば、レオンの奴に遺しておくように伝えておいた方が良いかもしれんな。
さて・・・おぬしらには少し昔話をしようかのう」
遠い目をするヴィンフリート。
ゆっくりと思い出を振り返る。
「その昔この地を支配していた種族は人間ではなかった。
今もいる魔物・・・当時はもっと高位の魔族じゃな。
奴らは獰猛かつ残忍で人間を糧として認識していた。人語も理解しておった」
それはブルーリアの近くに拠点があったという部族の話を思い出す。
そこには人と話せる人がいたというが、そういう人なのだろうか。それとも高位の魔族と言うことなのだろうか。
たしかに死山に出る魔物は強敵だが、それ以外のところにある魔物は動物とさほど変わらない。
それ以上の者となると今はヴィスタ以外想像できない。
「人間は山に囲まれたハリアー大陸に逃げ込んだ(アルアディアとカルガリアのある大陸)。
虚弱な人間だけではこの山を登っている最中に死んでしまうがそれを手助けしたのも、その後救ったのもを救ったのは精霊である。精霊は人間を守って戦っていた。
しかし、精霊は魔を祓う方が出来るが圧倒的な数で次第に押されて行った。
そして、・・・」
シャリオンとガリオンの前にわかりやすいように、魔法で大陸や魔族の人型のを魔法で出し説明している。
唐突に始まった昔話にガリウスが眉を顰める。
「ヴィンフリート様」
「ちゃんと覚えておる。良いからおとなしく聞いておれ」
じろりと睨むヴィンフリートにガリウスは小さくため息をつく。
「いつしか精霊の数は減っていきそんな時にドラゴンが現れた。精霊以上の魔力を保有し、魔族を纏める長である魔王よりも強い力を持っている。
それまでもドラゴンはいたが人間にも魔族にも興味を持たなずに、減っていくのも増えるのも関係ないとみていた。
ドラゴンが興味があったのは精霊・・・いや。精霊王だけだ」
ドラゴンが興味があるのは精霊王だけに興味があるというのに引っかかった。
以前はたくさんいたというドラゴン。
それがいつから消えただとかは聞いていないが、ヴィスタは最後の生き残りだ。
「ドラゴンの数が減ったのって・・・まさか」
「精霊王を守るために魔王に敗れたのじゃ」
それはつまり人間の所為だということで息をのんだ。
ヴィスタのことにしてもそのドラゴン達にしても。
ドラゴンにとって人間は厄介なものでしかないではないか。
するとガリウスが背中を撫でてくれる。
「おぬしが気にすることではないであろうに。優しいのう。
だが、この混沌はドラゴンの所為でできたとも言えるんじゃ」
「どういう」
「ドラゴン達は精霊王が身を挺して守ろうとすることに限度があると察していた。
故に人間を強くすることを思い至った」
「・・・魔法をかけたのですか?」
「それでは限度があるじゃろう?
ドラゴンは精霊王以外の精霊を人間との間の子供を作ることを提案したのじゃ。
それはつまり兵士として産み落とすことであり、精霊王は反対し続けた。
だが、人間はその話に興味を示し思考のない精霊を捉え人間の女と無理やり子供を作らせた」
「・・・!」
「精霊王はそのことに怒りをあらわにしたが、子供が出来てしまっては仕方がない。
その娘を大切に育てた。・・・しかし、その当時の人間は全く魔力がない生命体。
一方低級の精霊といえど魔力のある精霊を体に宿すことで、娘は次第に狂っていった。
精霊王はその娘を哀れみそして、同じ人間の女を道具とした人間に嫌悪を示した。
気づけばそういう子供が増えていったという。
その子供たちは精霊よりも知能を持ち十分な戦闘力になった。
しかし、精霊の血を引いた人間が育つよりも、圧倒的に魔族が増え侵略してくる速さの方が早かった。
その為に、ドラゴンは自分の血を人間たちに与えることにした」
「!??!」
思い出してほしい。
ドラゴンの血は瘴気を纏っており触れればたちまち呪われてしまう。
「初めての人間は死んだであろうな」
「っ」
「人間はそういうところは探求心がある」
その言葉に血の気が引いた。
そんな外道なことをしたなんて。
だが、その人たちが居なければもしかしたら、人間が滅びていたかもしれないこと。
そして、ハイシアも長い歴史の中でないとは言い切れないことに息をのんだ。
『過去のことです。あまり身を入れて聞いてはいけません』
そんな風に聞こえてきたガリウスの言葉にシャリオンはコクリと頷いた。
「ドラゴンの奴は精霊を使うとまた精霊王の逆鱗に触れると思ったんじゃ。
そこがすでに間違っているんじゃが、やつらは心の機微を読むというのが下手じゃ。
そんな調子で強くなった人間はあっというまに自分の陣地を取り戻した。
・・・話を省略するがのう。
つまり、他種と血を混じらわせる行為は昔からあったんじゃ」
「・・・、ヴィンフリート様。もう少し続けていただいかないと。
つまり、街中にいる魔物の気配は魔物なりなんなりと血を混じらわせた者。・・・と言うことで良いですね」
「そう言っているじゃろう」
信じがたい言葉に息をのんだ。
「それは・・・事実なのですか・・・いえ。
申し訳ありません。今のいままで僕の常識になかったことを戸惑っています」
「ふぉっふぉっふぉ。・・・まぁ知らぬのなら驚くかもしれんのう。
しかしのう。事実であるぞ。
なんならおぬしらも精霊かドラゴンの血を引いておるのじゃ。
だから魔力があるし魔法も使えるということじゃ」
「僕たちにも・・・そうか・・・。
・・・、ん?
でも・・・なら何故ヴィスタは僕たちに反応しないのですか?」
「ふぅむ。まぁそれだけ外道に近いということではないかのう。
それか自分とは違う匂いが臭いか」
確かにヴィスタは『臭い』と称していたの思い出す。
つまり、魔物の血を意図的に体に取り込んだ人間がいるというのだろうか。
王都に。
「ガリウスよ。あやつのことを気にしてやるんじゃぞ」
「あやつ?」
「ドラゴンに打ち負かされた奴じゃ。・・・えぇっと」
「セレスですわ」
部屋の中の霧が濃くなると
そういって現れたのなんと、黒魔術師ジャンナである。
突如現れたジャンナは恭しくカテーシーをする。
「ジャンナ様・・・!」
「お久しぶりですわ。シャリオン様。相変わらずめまいがしそうなほどお美しいですこと」
「ジャンナ様もお元気そうで何よりです」
驚きながらその話ながらガリウスをちらりと見上げれば、小さく首を振った。
どうやらガリウスが呼んだわけではないようだ。
「ヴィンフリート様、お久しぶりですわ。
えぇっと・・・100・・・200年・・・?」
「まぁそのくらいじゃろうな。
しかし、相変わらず美しいのう」
大魔法使いと黒魔術師と言うことだけあって顔見知りだったようだ。
しかし。その『年』とはまさか最後にあった年のことだろうか。
「今日はどうしたんじゃ?」
「えぇ。シャリオン様にお願いが会ってまいりましたの。
そしたら懐かしい気配を感じましたのでお邪魔したわけですわ」
「美人に気にかけてもらえるとは嬉しいのう。・・・それにしても名を忘れてしまって悪いのう。
子孫じゃったか」
「あの子がご挨拶をしたわけではありませんので。
それに私自身あの子とは話したことありませんし」
「あの子・・・?」
「セレスのことですわ。・・・、言っておりませんでしたか?」
「!」
「聞いてません。・・・まさか貴女がセレスと血縁者だとは思いませんでした」
シャリオンが驚いているとジャンナがニコリと微笑む。
しかし、ジャンナはセレスが倒れていた時に自分を売り込んできた黒魔術師だ。
あれは自分の子孫が危険な目に会い守るためにやってきたということだったのだろうか。
「そうですか?黒髪に黒目と言うのは繋がりだと思っているのですけれど。
あまりアルアディアにはおりませんでしょう?」
「そうですね」
「それは・・・わかりましたが」
「セレスを気にやって欲しいんじゃ」
「え?」
「あの子はシャリオン様への恩義を返すべく、少々周りが見えなくなるところがあります」
「はい・・・」
それはシャリオンも感じることがある。
今回も休んでいると思っていたのに、まさか調査に出ているとは。
それもガリウスが知っていたということは、ガリウスが指示したのだろうか。
「いいえ。あの子が自ら行ったのですわ」
「え」
ぎょっとしてジャンナを見ればにこりと微笑まれる。
もしかして、この部屋ではジャンナにも考えを見破られているのだろうか。
見られて困るようなことは考えていないが、それでも見透かされるのは恥ずかしいものである。
いや、そんなことよりもだ。
「ジャンナ様はセレスがどこに行ったのかご存じなのでしょうか」
「えぇ。サーベル国ですわ」
「サーベル国・・・?」
「残りの後片づけと・・・そうですわね。邪悪な気配を感じていると言った方が良いでしょうか」
「邪悪な気配」
「禍々しい気配といいましょうか」
「・・・魔族のようなものが現れたということでしょうか・・・」
「どうでしょう。ただ、魔物が活性化しているのは事実ですわ」
「!」
その言葉に息をのんだ。
「ま・・・待ってください。
サーベル国では魔物はどうなっているのでしょうか。
セレスは大丈夫なんですか!?」
そう尋ねるもガリウスがシャリオンの手を握る。
「大丈夫ですよ。セレスが倒せないような者や強いものはいないと言います。
それどころかアスピルコアドレインを使い、失った魔力は取り返せたと言っています」
「!・・・そう。・・・、・・・」
「えぇ。・・・後で連絡を取りますから」
じっとりとした眼差しにガリウスはクスクスと笑うと、ジャンナもクスリと笑った。
「あの子はシャリオン様が心配するとわかっていながら黙っていったのです。
その間の報告もガリウス様のみにしていたということはあの子がいけないのですよ。
どうかガリウス様を責めないでやってくださいませ」
そんな風に言われてしまっては何も言えなくなってしまう。
「・・・疑ってごめん」
「いいえ。謝らないでください。
言わなければこうなることをわかっていながら伝えなかったのは私なのですから」
それがシャリオンにとって最善だとガリウスが判断したからだろう。
これでは謝罪合戦になってしまう。
シャリオンは苦笑を浮かべながら、2人に向き直ると頭をさげた。
「貴重なご意見をいただきありがとうございます」
そんな風に頭を下げるとヴィンフリートが可笑しそうに笑った。
「ふぉっふぉっふぉっ今日参ったのはガリウスを鍛えるためだというのをお忘れかな?」
「あ」
一つのことに集中すると忘れてしまった自分に思わず恥ずかしくなるのだった。
・・・
・・
・
それからヴィンフリートとガリウスは死山に向かう。
ジャンナもそれにもついていくと、ガリウスが帰ってきたのはシャリオンも王都に戻って夜も更けたころだった。
修業服だという服に着替えていったのだがボロボロの状態。
おまけにヴィンフリートに支えられての帰還に血の気が引いた。
「大丈夫じゃ。
すまんが、寝室に運んでおいてくれるかのう」
「かしこまりました」
後ろに控えるゾルに頼むとすぐに数人の使用人が入ってくる。
ガリウスを支え寝室に連れていく様を見てついていこうとしたのだが、ヴィンフリートに呼ばれる。
「シャリオン」
「っ・・・はい」
心配だが大丈夫だというのなら命の危機ではないのだろう。
後ろ髪をひかれながらもヴィンフリートのもとに行く。
「すまんのう。
わしは回復が苦手なんじゃ。
それに回復はシャリオンじゃないと嫌だとわがままを言うからポーションで回復もしやしない」
そんな言葉に苦笑を浮かべる。
シャリオンを頼ってくれるのは嬉しいがそれなら、あんなふうになってしまう使ってほしかった。
「実はのう。わしもお願いがあってのう」
わしわしと髭を撫でつけるヴィンフリート。
「・・・?・・・なんでしょうか」
「うむ。どんなことがあっても心穏やかでいてほしくてのう」
「え?」
「なに。怯えさせようというわけじゃないんじゃ」
「・・・、」
その言葉に、シャリオンはこくりと頷づくのだった。
┬┬┬
3日にワクチンを打ちまして、明日もしかしたら上げられないかも・・・?
遅刻したらすみません。
話のめどがつきました。
おそらく今月で終わると思います。
のこりわずか。よろしくお願いします。
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※作者は豆腐メンタルです。※作者は語彙力皆無なんだなァァ!※1ヶ月は開けないようにします。※R15は保険ですが、もしかしたらR18に変わるかもしれません。
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