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執着旦那と愛の子作り&子育て編

今回は・・・流石にむりかぁ。でも駄目だと思うと気になっちゃうよね。⑤

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【別視点:ガリウス】

白く柔らか首筋や際どい所についてる自分の執着の跡。
素面ではいやらしさを感じないシャリオンの体にはきわどい所に沢山の跡がついている。
それを見るたびにその時の情景が瞼に浮かぶ。
付けるときは独占欲を満たし、付いている間は愛しさが増し、なくなると喪失感と再びつける幸福が来る。

本当。
朝に見るには刺激の強い光景である。

ガリウスの邪な思考と真逆にシャリオンは爽やかな笑みを浮かべ朝の挨拶を交わし、昨晩の情事で痛む体に互いにシャリオンの『ヒーリング・ケア』を魔法を掛ける。

暴れだしそうな欲望を隠しながら貞操帯を手に取る。
革で出来たそれはシャリオンの肌に馴染むように、際限なく膨らむ悪戯心を抑えて作った。
自分の目の前で感じるのを我慢している様子は至高の存在であるが、ガリウスは常に一緒にいられない。
だから性的な刺激は与えたりはしない様に。
先日の様子では異物認識し嫌がりそうだが、敏感な部分を刺激し続ければ感じるようにうになってしまうかも知れない。
だから、シャリオンには優しい(?)貞操帯を作り上げた。

本当は内側に柔らかい繊維一つ一つに魔力で少しずつ刺激を与えたり後孔に小さめの突起物を作りシャリオンの状態に合わせて魔力を流し、核を連動させたりするような魔法道具を作りたくもあった。
それに快感を得て必死に耐えるシャリオンを見たい。いや。とても見たい。
だがそれを他の人間に見せるのは絶対にダメだ。
それがゾルやウルフ家、子供達でもだ。

幸いな事にシャリオンはガリウスの直接の愛撫でなければ感じないようだ。
先日、ガリウスのモノを模した小さ目の張り型に苦痛そうに挿し入れているのは安心した。

しかし、そんなシャリオンをみて感じたのは『安心』だけではない。
自己満足のために泣いて嫌がったシャリオンに罪の意識で謝れば『ガリウスは僕の本当の嫌な事をしないよ。これも必要だったんでしょう?』なんて言う。
何処までも許しを与えてくれるシャリオンに、我慢が止まらない。

だからあの事を反省したのは一瞬で、今は同時に洗脳を掛けられないようにせねばと思う。
万が一ガリウスを装い犯されたりしたら?と、想定の話でも血が沸き立つ思いだ。

自分の立場もシャリオンの立場も省みず、そんな事をした人間を処分するだろう。
生かしたまま惨たらしい処罰を考える。
本人だけではない。
見せしめに末代まで呪う勢いで徹底的に排除する。
それは男だろうと女だろうと子供だろうと関係はない。

今シャリオンの心のリソースの大半を占めている『リジェネ・フローラル』は、本来であれば行って欲しくない。
余計な虫を引き寄せてきそうで心配しかない。

「シャリオン。着替える前にこちらへ」
「え?あぁ・・・うん」

ガリウスの呼びかけと手に持っているものでなんだかわかったらしい。
ここ数日しているので反応しすぎないように努めているのがわかる。

「脱いで下さい」
「・・・ん」

頬を赤く染めながら寝間着の前を開け胸を差し出した。
赤く大きくなった乳首は既にピンと立ち上がりガリウスを誘っているようだ。
クリップを取り出すと大きく開く。

「・・・、」

数度付けて痛くないことは分かっているはずなのにその形状に息を呑むシャリオン。
その視線を感じながら、禁断の果実の様にガリウスの理性を試す乳首を挟みゆっくりと閉じていく。
小さなクリップはぶらつかずにピッタリとくっついた。
これはシャリオンの感度をあげる為ではなく危機感を覚え警戒してもらう為と、その名の通り貞操を守る為だ。
その為大変興味はあるが、ニップルクリップが動いてしまいシャリオンの快感を煽り刺激を与えるのは駄目なのだ。

「どうかしましたか?」
「・・・ううん」

すると何故か嬉しそうにしていてそう言えば照れた様に言った。

「アメジストが付いてるなって、思っただけ」
「・・・、」

これで煽ってないのだから困る。
ガリウスも自分の瞳と同じ色の宝石をつけたのだが、嬉しそうにする姿にを引き締めてなかったら股間が反応していただろう。
その表情が可愛くて思わず触れている乳首を指で転がしたくなるのを耐えた。
朝なのにすでに夜が楽しみである。
今夜はたくさんいじり倒そうと思いながら、意地悪気な笑みを浮かべた。

「感じては駄目ですよ?」
「っ・・・分かってるよ・・・」

そう強がるシャリオンの前にしゃがみ込んだ。
貞操帯を付けるようになってから器具に挟まらない様に剃毛をしている。
初めて剃った時は元から薄いが完全に無くなってしまったそれに微妙な表情していた。
その跡をなぞり少し生えてきた辺りをサワサワと触れるとピクんと動いた。

「少し生えてきてますね」
「っ・・・まだ大丈夫だよ」
「不衛生なので剃りましょう」

そう言うと不満気にしながらも従うシャリオン。
準備しておいた道具を持ってくると近くのテーブルにそれらを置き、少し膨らみ掛けてきたそれをみてからシャリオンを見上げた。

「辛くなってしまうのはシャリオンですよ」
「ぅ・・・その、カバーだけでは駄目なの・・・?」
「えぇ」

そう答えれば柔らかな毛の上に泡立てた石鹸を乗せ広げる。
剃刀が動くたびにシャリシャリと刃先が毛に当たる音がした。
体毛が薄いシャリオンの剃毛はあっという間である。
性的な事を感じさせない様に触るが刃を外す頃には泡の中で膨らみを帯びてきていた。

「っ」

先程よりも顔を赤くさせ震えるシャリオン。
耐えているところを握って動かしたらどんな可愛い声で鳴くのだろうか?我慢しているはずなのに、そんな妄想が膨らむ。
思わず抑えてた悪戯心がムクムクと目覚め、泡の纏った肌を撫でる。

「剃り残しはないでしょうか」

すべすべのそこに指で何度も撫でる。
泡の中から少しずつ頭をもたげさせたものは、先端のピンクの部分が見え始めてきている。

「っ~っ」
「どうかしました」
「っ・・・わかってる、でしょうっ」

その言葉にフッと笑った。
暖かくしておいた濡れタオルで泡を拭き上げながら見上げた。

「何がですか」
「んっ・・・わからないなら、もう良いからっ」

真っ赤になってガリウスの肩を押し返そうとするが、石鹸のお陰で舐めるタオルをグリグリと回した。

「!ぁっ」
「ちゃんと拭かないと痒くなってしまいますから」

綺麗に拭いた後。
先程よりもしっかりと上を向いたものをジッと見つめた後シャリオンを見上げる。

「っ」
「つける前に抜きましょうか?」

事務的に言うと真っ赤になりながらもコクリと小さく頷くシャリオン。
シャリオンの体には何度も甘い愛撫で快楽を与え続けているのだからそうなっても当然だ。
それも、ガリウスにだけと言うのが余計にガリウスを興奮させる。

「・・・ごめん」

朝の生理現象と言うのを差し引いても、この状態で興奮している事に羞恥を感じてしまったらしく、か細い声のシャリオン。
もっと可愛い反応を見たくなってくる。
慰める様にシャリオンのモノに手を添えて根元にチュッと口付けた。

「謝らないで下さい。
私は朝から元気なシャリオンが見れて嬉しいですよ」
「っ」
「それに、私の安心のためにしてくださってる最中のことなのですから。
しかし、これを着用してる間は私の前以外でここを大きくしたらダメですよ。
・・・もし、したら・・・どうしましょうか。
前は戒めたまま『ここ』を愛し続けましょうか」

そう良いなが後孔を撫でれば素直にひくつきだし、ガリウスを意識し欲しがる様に愛おしさが増す。
その動きと戯れる様にピトピトと指をタッピングさせる。

「んっ・・・や、だぁ」
「なら、もう出なくなるまで逝きつづけますか?」
「っ~~それも、やだ」

今までも脅すようにそんな事を言うが未だにそこまではした事がない。
暴走して深く抱いた事がこれまでに数度あるが、そこまで酷くしたことはない。
ひくんと反応するシャリオンのモノにクスリと笑みを浮かべた。
快感に弱い体は快楽を想像してしまったのだろう。

「・・・困りましたね。
期待させてしまったでしょうか。
ますますこちらがぱくぱく開いています」

先端をピチャピチャと舐め広げると出てき始めた頭を舌で弾きながら後孔を人差し指でにちゅにちゅと音を立てて開く。
切ない声を必死に耐えようとしながら、
困り顔で話しながら時間がある事はとっくに確認しており、どうやって愛そうかと思考を巡らす。
悪戯しすぎてはダメだなんて本気ではない。

「んふぅっ・・・っ・・・っだ・・・めぇ」

快感に震えるシャリオン。

その顔は煽っているものですよ?

などと思っていて教えてなどやらずにずる賢くも、断られない様にシャリオンの弱い表情を浮かべる。

「気持ちいいこと、・・・嫌いですか?」
「っ」

敏感な先端を舐め転がしながら竿を扱く。

「はっ・・・ぁっ・・・んぅ」

甘い声が響き始めガリウスの質問に答えられるほど余裕は無くなったようだ。
口の中に広がり始める慣れ親しんだ味を飲み込む。
溢れた愛液は止まる事は無い。
後孔に触れていた手に愛液を絡めると再び、ゆっくりと入れる。昨晩も愛し合ったため柔らかくはあるが、香油では無いためゆっくりと指を進めた。
中は熱くガリウスの指を歓迎するかの様にひくひくと震える。

「ぁっ・・・ふっ」

指先でコリコリと前立腺を嬲ると内股が震える。

「辛ければ・・・私に捕まって下さい」
「ぁぁっ」

腰をくねらせ、与えられる愛撫にとめどなく溢れる声はガリウスを煽る。

もっと喘がせたい。

けれど、そんなゆっくりだから時間もなく、シャリオンを逝かせる為に可愛く震えるモノを口に再び含むと、じゅっと吸いつきながら頭をピストンさせた。

「ぁぁっ・・・い、・・・いくっ・・・からぁっ・・・っはなしてぇ!」

必死にはがそうとするシャリオンの腰をぐっと引き寄せ、深く咥え込んだ。
小刻みに震えだし我慢しようとする射精を促す様に強く前立腺を突き上げながら吸い上げる。

「!!!・・・ぁぁぁっ」

その刺激に耐えられずにガクガクと震えながらガリウスの口腔に広がるシャリオンの快感の証明。
達したことでビクつくシャリオンを支えながらそれを舐めとる。

「っ・・・っ・・・」

すぐに快感と羞恥と怒りの眼差しをガリウスに向けてきた。
それににこやかに微笑みながらにこやかに微笑む。

「申し訳ありません。シャリオンのここが好きで夢中になっていました」
「っっっっ~!」

そう言うと最後に指で擦りつけながらも、名残惜しいがガリウスの指をきゅっと締め付けるそこから抜き取った。
しかしそれはシャリオンの羞恥を煽りご機嫌を損ねてしまったようだ。
最後まで口を離さず飲んだガリウスに拗ねた眼差しを送ってくるシャリオン。

それでも口ではらぬめる肌を拭った。
綺麗になる頃には機嫌が良くなり・・・と、言うよりも諦めたようで、悪戯をしてその気にさせたのはガリウスだと言うのにお礼を言うシャリオン。
その途端、貞操帯を手に取り見せると気恥ずかしそうに視線を外す。
あんな状況とは言え約束をしたが、やはり納得いってない様だ。

「シャリオン。次はこれですよ」
「・・・ん」

しっとりした肌を魔法で水分を取ると確かめる様にサラリと撫でた後、まずは陰嚢をそっと手を回し根元に革のバンドを回しつけた。

「痛くはありませんか?」
「・・・ん」

普段はっきりも物事を言うシャリオンには珍しくハッキリとしない返事である。
だが理由はわかっているのでガリウスは続いて男根の根元にもバンドを締めた。
肌の白いシャリオンに似合わない真っ黒な装飾は似合わないのだが、キスマークと相まっていやらしさ倍増だ。

不埒な思考を抑えつつ、左右から確認し挟まってないか確認するとシャリオンと不満気な視線があった。
どうやら痛みはないが締め付けてる着け心地が嫌なそうだ。
目的が開発な訳ではないので付けなくても良いかもしれないが、何も使用感がないのはガリウスの目的から外れてしまうため、多少は残している。

「これはシャリオンを守るものなのですよ」
「ん」

貞操帯なのだから本来はその目的であるが、ガリウスはそれが狙いなわけではなく、これでシャリオンの警戒心を上げてもらいたいのだ。

本人はしているつもりなのだろうが、心優しいシャリオンは人を疑うことをしない。
苦しいと言われればそれを信じるし助けようとする。
それは間違っていないしシャリオンの素敵なところだとは思う。・・・と、言うのは建前だ。

シャリオンが他に注ぐものは愛でも悪でも許せない。
それがガリウスである。
それなのにシャリオンの手助けをするのは頼られたいと言うのは矛盾だが、大変な思いをしてシャリオンの気を引かせないためだ。

今日もハイシアへ戻りハイシア城下町に広範囲の面積を探しに行くシャリオン。

厄介な者を引き寄せてこないように願いながら、腰から全てを覆う様にカバーをつけると貞操帯のベルトの鍵を閉める。

「痛くはありませんか」
「ん」

その返事を聞きながら貞操帯に魔法を掛ける。

「・・・誰しもが僕の事をそんな風に見てるとは思わないんだけど」

諦めながらも苦笑を浮かべるシャリオン。
相変わらず他者からの好意に関しては理解がない。
ガリウスは貞操帯に口付けるとピクンとシャリオンの体が動いた。

「っ」
「えぇ。私の不安のために頑張っていただいてありがとうございます」

そう言ってニコリと微笑み不満を言わせたい様にした。

★★★

【シャリオン視点】

ハイシア城。
今日の日程を執務室で聞いている。
物事に集中すれば貞操帯なんてそんなもの気にならない。
特に今日は女装ではなく、普通の格好である。
・・・そう自分を誤魔化して貞操帯のことは気にしないようにしていた。
体を動かすたびに思い出してしまうのだが。

今日はハイシアでやらなければならない事と、それが終わったら王城に戻りアンジェリーンに会いに行かねばならない。
王城に戻るなら例の件もロザリアにそれとなく聞いておきたい。
その要望からスケジューリングをしたゾルは顰めつらである。

「お前の体は一つしかないんだがな」
「そうなんだよ。だから遊んでる暇は無いんだけど、ゾル(領地に残り仕事をしてくれる方)には凄く助かってるよ。
ありがとう。あ、2人もね」

そう言いながら側近のゾルと、普段影になっているゾルも姿を表し、それぞれ反応を見せた。
側近のゾルは怒り、領地のゾルは困っように微笑み、影のゾルは楽し気に笑った。

「みんな個性が出てきたね」

嬉しそうに言うと、ゾル達は驚いたようにしながらも苦笑を浮かべた。

「「「それだと困るんだが」」」

「そうなんだ?僕は分かり易いから助かるんだけれど」

そんな風に言うと意地悪気に答える。

「シャリオンに気付かれるとなると、他の人間に気付かれてると言うことか」
「どうだろうか。シャリオンは時折直感的なものが働くから」
「フッお前達。ご主人様はご立腹のようだぞ?」

口ではそんなことを言いながらもシャリオンに見分けられるのは嬉しい3人は笑みを浮かべた。
揶揄われたシャリオンは拗ねたように口を尖らせる。

「どうせ僕は鈍いよ・・・っ」

ぷりぷりと怒るシャリオンに領地のゾルは気にせずに続けた。

「それよりもだ。
ガリオン様が手配したヴィスタのエムブレムが完成したそうだ」
「へぇ。随分早いね」
「豊穣祭には間に合わせるようにと張り切っていらっしゃる様だ」
「リィンが?・・・そう。
デザインも見せてもらったけどかっこよかった」
「それで準備が出来た様だがもう飛ばせて良いかとガリオン様が仰られている」
「うん。まずは領地全体に知らせてからだね。
ヴィスタとは契約をしこの地を護る存在になった。て、信じてくれるかな。やっぱり僕が」

そう言ったところでギラリとゾルに睨まれる。
無言でもそれ以上多忙にするなと視線で言っている。

「でも」
「ちちうえ!・・・じゃなかった。
父上、その件僕に任せていただけませんか」

そう言って飛び込んできたのはガリオンで、ピューンと飛んできてシャリオンに抱きついたが、ハッとしてちょこんと床に立つとこちらを見上げてくる。
それに合わせて側近のゾルと、影のゾルはスッと消えた。

「おはよう。リィン」
「おはようございます。父上。
ヴィスタにも話してあります」
「ヴィスタに?今朝何も言ってなかったけど」
「ヴィスタは父上のまえでは猫かぶってます」
「そんな事する??」
「します。父上に僕がした話をしてほしくて何も言わなかったんだと思います」
「んん?どういうこと?」

よく意味が解らなかったので、尋ねたがガリオンは教えてはくれなかった。

「そんなことよりも、ヴィスタのことは僕に任せてほしいです。僕が領民の皆さんに説明します」
「え?」
「こう言うことです!」

そう言うと得意気にくるりと回るとそこにはシャリオンとそっくりなガリオンが。
ガリオンは黒魔術師になれる程の魔術師なので、シャリオンの姿になるくらいでは今更驚かない。
しかし、それを見つつシャリオン難しい表情をする。

「ち、父上?」
「それって僕の姿でガリオンがみんなに説明をするの?」
「・・・はい」

それはガリオンのした事をシャリオンのした事だと振る舞うと言う事だ。
領地のゾルを見たのだが、なんだか今は姿を消している側近のゾルから刺さる様な視線を感じた。
すると、そんなシャリオンに不安そうなガリオンがこちらを見上げてくる。

「僕、おかしな事はしませんっ」
「そんな事は心配していないよ。
ガリオンのやっている事を僕の功績にされるのが嫌なんだ」
「!・・・父上。しかし、赤ん坊の僕が話しても・・・。
姉上が上手く行ったのは相手が貴族だからです」

少し考えてから良いことを思いついた。
強引にでもシャリオンが手引きをしてガリオンに引導を引かせようかとめ思ったが、ゾルがいい顔をしないだろう。
それで思い出した。

「そうだ!僕の影武者の人はどうしてる??」

領地のゾルに尋ねるとクスクスと笑う。
このゾルは普段そばに居ないから、3人の中でシャリオンを甘やかす。

「勿論いつでもハイシアにいるから話をつけておこう。
具体的に何を指示すればいい?
皆にガリオン様を紹介させればいいか?」

何も言わずともシャリオンの考えがわかるらしい。
それにコクリとうなづいた。
普段影武者はシャリオンと会うことはないが、もう一つの執務室にいる。
領民が謁見を申し込んできたりする際は殆どが、彼が対応しているのだ。

「お願い出来ないかな。
彼にガリオンがヴィスタの契約者としてこのハイシアを護ると宣言するのに立ち会って貰えないか?て」
「勿論出来る。アレもシャリオンからの命だと知ったら喜ぶだろう」
「そんな事ないでしょう。そっくりに産まれたばっかりに面倒ばかりで。外にも自由に出られない」
「どうだろうな。
そこは本人に聞いてみないと解らないが。
お前よりも楽観的だから適度に抜け出してる」
「え」

抜け出してると言う事は駄目だと言われていると言う事なのだろうか。
いや、それよりも抜け出して危険な目にあったりはして無いだろうか。
シャリオンの表情が心配に染まるとゾルは苦笑を浮かべた。

「アイツは大丈夫だ。
俺達が気づいてることも気づいている。
で、それなのに俺達が放し飼いにしてると言う事はつまり?」
「安全、と言うこと?」
「あぁ。だがお前が心配だから駄目だと言うなら息抜きも禁止させるが」
「!いいっ大丈夫!」

音がしそうなほど首を振る。
シャリオンはしゃがみ込むと、ガリオンに視線を合わせる。

「あとでゾルが原稿を考えてくれると思うけれど、そんな訳でヴィスタがハイシアを旋回することを領民に説明する件はリィンに任せるよ」
「!」

その言葉にパァッと嬉しそうに微笑む。

「但し勉学を疎かにしない事。危ない事はしない事。
ヴィスタに喧嘩を売らない事。約束出来る?」
「はい!」

目を輝かせるガリオン。

「リィンの言う通り皆が信じてくれる様に、少し大きくなろうか。
出来る?」

自分の年齢との誤差を気にしているのだろう。
普段慎重なシャリオンだが、この時は楽観的だった。
領民は案外ちゃんと見ていない。
流石にシャリオンをみて領主だと言うのはわかるが、子供がいるのはわかるが年齢まで把握していないと思う。
後半年で2歳になるガリオンにそこまでは大きくはさせられないが。

「はい!!」
「どうなったか教えてね」
「はい!!!」

シャリオンに任されたのが嬉しい様だ。
ゾルと乳母の旦那であるラウリーには目配せをして任せた。

「シャリオン。そろそろ時間だ」
「そう。じゃぁ移動しようか」

部屋を出ると現れる側近のゾルはシャリオンの後ろに控え、それを確認しながら歩き出した。

★★★


第二のリジェネ・フローラルを作るべく新しい土地を探すため、土地を管理する人間に募集を掛けそれ応じた先と説明を受けていた。

いくつか物件を所有している恰幅の良い男に見せてもらう。
名前はゴードンだ。

「ここはおすすめです!結構広い敷地があるんですぅ~」

恰幅の良い男が人の良さそうな笑顔を浮かべ、揉み手を合わせしたりしながら、擦り寄ってきそうな勢いだ。
一度ゾルに阻止されてからはその場で視線だけをこちらに向けてくる。
媚びてくるようなそれは少々気まずいが気づかないふりだ。
しかし、そんな事より気になることがある。
今回募集を掛けた面積よりもはるかに狭いのだ。

「募集要件よりかなり狭いが」

男に書類を眺めながら指摘をすると慌て始める。

「えっあっいやしかしっ
ワープゲート付近で広い土地となるとここしかありません!
それに行ってみると意外と広いものでしてぇ!」

それはどちらもわかっていた事だ。
しかし、期待していた分落胆してしまい、小さくため息をついた。

「はぁ・・・」
「も、申し訳ありません」
「・・・」

この分だと街に作った方が早い様な気もしてきた。
街の外は領のものであり個人所有ではないため手がつけやすい。
しかし、それには魔物が出ると言う問題がある。
以前だったらそれほど気にしないところだが、今は魔物が活性化している為、そんな所に人が集う場所を作るのは不安だ。
ヴィスタが旋回をしたとしても、本当に効果があるか解らない。勿論それが目的なので効果がないのは困るのだが。

「領主様っでしたら是非現場を見てみてくださいー!」

設計図から出しているのだから、目で見た範囲が広くても仕方がないのだが。
男の強引な迫りに負けて現場を見に行った。

それから馬車で数十分。
辿り着いたのは馬車屋だった。
かなり大きな施設だがひっそりとしている。

なんでもこの建物の裏は馬小屋になっているらしく、男はズカズカと入って行きシャリオンを案内する。
男の所有なのかと思っていたのだが、どうやら違う様だ。

話し声に中からシャリオンと同年代くらいの男が出てきた。

「どうも。今日はどうなさったんですか」
「ん?お前は下がってて良い」
「そんなこと。勝手に入ってもらっては困ります!
馬達は繊細な生き物なんだ」

通り抜けようとする扉の前で男は通さない様に両手を開けた。

「どう言うことかな」

明らかに納得していない様子に説明を求めると、恰幅の良い男はくるりと振り返ると手を揉み合わせ体をくねらせる。

「いやぁ!そんなこと言ってもね。
ジョージは・・・あぁ。こいつのことなんですがね。
ここを手放すしかないんでよねぇ。
だから領主様はな~んもお気になさる必要はありません!」

にやにやと笑う男にピシャリと切り捨てる。

「必要があるかどうかは私が決める」

シャリオンの怒りに気付いて、それまでニヤケ顔だったのがビクッとする。
それから、通さない様にしている男に目をやるも、シャリオンが領主だと解るとこちらを激しい憎悪で見ている気がする。

「ここを売りに出しているのではないのかな」
「・・・」

しかし、馬車屋のはシャリオンを睨むだけで答えないでいると、案内人の音が怒鳴った。

「お答えしろ!」

そう怒鳴る男に抑える様に手で合図をし、馬車屋の男を見る。

「お前には・・・売らない!!」
「・・・、」
「絶対にだ!!!」

その憎しみすら感じる視線にシャリオンは困惑するが、コクリとうなづいた。

「わかった」
「!」

あっさり引いたのに馬車屋の男は驚いた様に目を見開いた。

「しかしっ」
「大切な場所なら大切な人に渡したいのは当然だ」
「っ」

領主相手の取引にそんなことを面と向かって言う輩はいないだろう。
シャリオンがそういうと男は息を飲んだ。

「しかし、しかしっ領主様の希望に叶う場所は他にありませんっ」

この土地だって実際要望に合っていないのだが。
半年後にはラーミア達を迎え入れ、施設の完成は一年後、客を動員できるのは今から1年半が目安だ。
そんな急ピッチなスケジュールで、城下町の外に建物を作るのはやはり無理だ。

どこか空いてるいる土地はないだろうか

そんな時に領主城が目に入る。

「・・・、」
「駄目です。シャリオン様」

その視線にすかさず止めたのはゾルである。
ジロリと冷たい視線に『お前は何を考えているのだ』と、書いてある様だ。

「城を好きになさりたいならまずは前公爵にご相談ください」

その言葉に他の人間にも意味は通じたようで、何を言い出すのだと案内人も馬車屋の男もこちらを見てから。

「あー・・・ほら。
たくさん土地あいてるなぁって思って」

この時初めて視線に気を付けなければと思うのだった。

「本当にそんなことは、・・・?」

すると馬の嘶く鳴き声が響いてきた。
それまで大人しかったのに騒がしくなったそれにシャリオンがそちらをみると、馬車屋の男が中に駆けて行ってしまった。
その扉の奥は馬小屋の匂いがすると思ったら沢山の馬に溢れていた。

「凄い」
「!勝手にっ」
「こんなに沢山の馬初めて見た」

すると馬達が柔らかい鳴き声に変わりこちら見てくる。
大きなオニキスの様に美しい瞳。
普段馬車に乗ることはあるが目元の多くが隠されており見たことが無かった。

「わぁ・・・」

ズラリと並ぶ馬達に感嘆な声を上げる。

「見ても良いですか?」
「・・・あぁ」

馬小屋に近づきたがる貴族、それも丁寧に許可を取るような人間は初めてで驚いた様にする馬車屋。
シャリオンの様子に害があるように見えなかったのだろう。不快そうにしながらも許してくれた。
幼い頃に城にある馬小屋で見かけた依頼だ。
小さいシャリオンは危ないからと近寄らせてもらえず、乳母の腕に抱かれながら見せてもらったのが懐かしい。

近くによって見ると自分より大きい生き物はまつ毛が長く瞳がキラキラと輝いている。
ブルルルっと鳴きながらシャリオンに顔を近寄らせてくる。
隣の馬達も気になる様で覗き込んでくるのだが、何だか撫でてと言っている様で鼻の頭を撫でてやると、馬のことはよくわからないが喜んでいるように見えた。
それに気をよくしたシャリオンは撫で回した。

「!わぁ!」

続け様に頭をよこす馬達に子供達のように喜んでしまう。
心の底から楽しくて馬達と戯れた。
シャリオンを敵視した男でさえその様子に頬を染める。
馬達は大興奮で馬小屋は騒ぎ始めた。
幼い頃から触れてくるタイミングは少ないが動物は好きな方だ。
純真な瞳で撫でて!と、求められるとつい撫でてやりたくなる。
順番に撫でていると鼻を押し当ててくるので、くすぐたっくてくすくすと笑っていた。

そんな時だった。
興奮した馬が頭を寄せて来たのだが、その鼻先がシャリオンの胸に飛び込んできて思いきり胸を掠めた。

「!!!!」

ニップルクリップが引っ張られシャリオンは息を飲んだ。
咄嗟のことに馬の頭にしがみついてしまった。
普通なら体を弾かせれば良かったのだが、引っ張られらのが怖かったのだ。
これを付けているのを見つかるのもそうだ。

遊んでくれてると感じたのか喜ばせてしまい、ブルブルと振る頭に余計に必死になってしまった。

・・・ぅっ・・・動かないでっ

必死になって馬の頭に抱きつく。
最初ははしゃいでいたのに、ピタリと馬が動きを止める。
そろりと見上げるとこちらを見てくる。
なんだか『ごめんね?』と、言っているようだ。

様子がおかしい事にいち早くゾルが気付き馬達から引き離してくれた。
心配気に覗き込むゾルと馬達に、顔面蒼白の馬車屋と案内人に慌てて取り繕った。

「どうかした?」
「いいえ。私の気のせいでした」

表情から読み取ってくれたらしい。
ゾルの言葉に2人が息を吐いた。
心配を掛けてしまったらしい。

「可愛いね、人懐こい」
「っ・・・おとなしい気性だが。・・・こんなみんな一斉てのは初めてだ」
「そうなんだ?・・・まぁでも、・・・この子達の為にもここは売れないね」

そういうと男はふいに無言になり、顔を見ると悔しそうに俯いている。
すると、それまで入り口のあたりにいま案内人が怒りながら入ってきたかと思うと、馬車屋の男の襟首を掴み大声で叱りつけた。

「お前は・・・いい加減にしろ!!」
「っ」

案内人はただ土地を売りつけたいと思っていたのだが、その表情はどこか違っていた。
手荒な真似を止めさせようとするも、ゾルに手を遮られ首を横に振り止められた。

「いつまで引きずってんだ!お前を切られたんだ!」
「そんなことはない!あの方はそんなことしない!!」
「ふん!!良い条件があれば乗り換えるのは当然だ!そもそも商売はそう言うもんだ」
「そんなっ」
「お前が信じるも信じないもこの際どうでも良い!お前もにはもっとやる事があるだろうが!!」
「っっっ」

案内人の叱る声に馬車屋の男は悔しそうに俯いた。

2人の会話を纏めて考えてみるとなんとなく見えてきた。

馬車屋は馬車を貸し出し運送する仕事だ。
これだけの馬を揃えているのにほとんど小屋にいると言うのは仕事が無いと言うこと。

その理由は簡単に導ける。特にシャリオンには。

馬車屋はワープゲートやリングが出来る前は、ギルドと同じく不景気など考えられないほど安定した職業であった。
つまりワープゲートがここの仕事を奪っていると言う事である。

その弊害は想定はしていたが、その当事者に会い目の当たりにすると言葉がなくなった。
なんて言って良いかわからない。

領の財政に目が行きすぎており、こういう問題が解っていたのに自らは手を付けなかった。

理由はいくつかある。
ワープの魔法道具により商売がなりゆかなくなった職種だけ助けるというのは批判を呼ぶのが想像出来たから。

しかし、止めることは出来なかった。

元あった領地の収入がいずれ見込めなくなる懸念と、他の領地にはない独創的な考えに躊躇がなかった。
それから色々模索した中で、出来たのはワープリングだ。

聞けばワープリングの往復の金額と、乗合馬車の乗車の値段はワープリングの方が安いそうなのだ。
安ければ買いやすいし雇用が増える為領民に還元できると、その時は思っていたのだが。
値段の付け方を本当にミスってしまったと今更ながらに後悔してた。

元々ワープリングを作っている研究者や職人達の中には貧困の人間もやはりいる。
ハイシア城の城下街にも階級というものが、王都よりも規模は小さいがあるのだ。

その人に手を出しておきながら、この彼を助けないのか。

こういった人間は次々と出てくるはず。
それをその度に助けることは出来るのだろうか?

そう考えながらも、助けられなかった人間を区別したわけではないのに、一度考え始めると思考の淵に落ちていくのだった。



★★★

王都。
アルアディア城。
休むまもなく、真っ直ぐロザリアのいるメイド室に向かった。
シャリオンの来訪に驚きつつも、下働きの部屋に気軽に来てはなりませんと嗜められてしまった。

今日、ロザリアの元へ来たのは勿論、王族の身の回りの貴族をお世話する者達が気を緩ませていることを、全体を通して注意してほしいというお願いをしに来たのだ。
リジェネ・フローラルに仕事もせずに遊んでいるというのは、そこの管理者であるシャリオンにも由々しきことである。
個人の厳罰はのアシュリーが注意をしそのまま返したのだから、彼女達に罰を与えるつもりは無い。
ただ、今後の事もある為事実を知らせに来たのだ。

しかし、結果から言うとシャリオンはこの行動に後悔をしてしまう。

彼女の気質は誰が見ても真面目であった。
不真面目なことは嫌うだろう。
それに、王族のアシュリーを世話するという事だけでなく、来賓客に女性がいれば当然今育てている人間がその女性をもてなすのだ。
アルアディア家の名を汚すようなメイドきっと許さないし、もしいたなら彼女が引き締めてくれる。
そう・・・思っていた。

シャリオンが話した時、ロザリアはシャリオンが知っていることに驚いているようだった。
そして視線を逸らし「はい」というロザリアに、・・・そう。失望に似た感情が起きてしまった。

彼女が気付いていないわけない。
アシュリーの教育補佐に精を出しているのに。

「勘違いだったかも」

言い訳をされるのが何だかとても嫌だった。
そう感じると咄嗟にシャリオンはそんな事を言った。

「・・・シャリオン様」

そんなことを言うシャリオンに、ロザリアは顔色を見た途端息を飲んだ。
だがシャリオンは口早につづけた。

「似ているだけで飛んだ言いがかりだ。
ロザリアは忙しいと言うのにごめんね。気にしないで」
「っ」

気まずい空気が流れそうになった時だ。
大して話していないと言うのにゾルに話を遮られた。

「次のお時間が迫っております」
「そう。・・・ロザリア。邪魔して悪かったね」
「・・・いえ」

ロザリアもメイド長も微妙な表情をうかべている。
そんな様子にシャリオンも足速に部屋を出るのだった。

部屋からでてしばらく経った後、小さく息をつく。

「助かった」
「いえ。しかし、これだけは言えます。
姫様のお側に使えるのは彼女はしっかりと厳選しています」

ゾルのこれはシャリオンを安心させるためのであり、ロザリアを庇っているわけでない。
その言葉に小さく返事を返しながら、アンジェリーンの部屋に向かった。


★★★


気持ちを切り替えてアンジェリーンの部屋に向かう。
最初の頃は結婚の事を主に相談されていたが、最近では逆に相談を聞いてくれているアンジェリーン。
数か月ほどしか変わらないのに、シャリオンを弟扱いするアンジェリーンに複雑だ。
儘し放題のアンジェリーンを弟扱いしていたからである。
アンジェリーン曰く、色々なところに頭を突っ込みうじうじ悩んでいるところが、そうらしい・・・。
同じ公爵の家の出であり血のつながりをやたら強調してくるが、ハイシアに王族の方がみえたのは、国からアルアディアに属する領地になってから、それからは無いと言っているのだが、アンジェリーンはシャリオンとの血縁を譲らない。
実の兄よりも遠い存在になぜそこまでつながりを持ちたがるのはさみしいからなのだろうか。
良くわからないが、親しくしたいというアンジェリーンに悪い気はしない。

中から入室の許可があり、部屋に通されると最近美しくなったアンジェリーンがシャリオンを見るなり満面の笑みを浮かべ部屋に招いた。

「ご苦労様です」

そんなねぎらいの言葉までかけてくれる。
年頃の友達はルークやライガーしかいないから、こんな風に会えるは嬉しく思う。

シャリオンがその言葉に会釈をすると、部屋に残る使用人を一人残さず外に出した。
この部屋にいるのはアンジェリーンとシャリオン、そして側近のゾルだ。普通ならおかしなことだが、もうこの状況は今更である。
ゾルも慣れた様子でこの部屋の使用人かのように勝手に茶の準備をし始めるが、アンジェリーンもそれを止めない。

シャリオンを招くと、アンジェリーンの部屋から続くテラスへと連れていかれた。
沢山の花々で満たされたそこは、香しい花の香が優しく迎え入れてくれる。

「ここは政務の塔からは見えません」
「?うん」

王族の居住区と政務の建物は城を正面からみて左右に分かれたところにあり、ここから遠い位置にある場所にあるのは知っていた。
一か月前まではシャリオンもここで生活していたのだから当然である。
含んだ笑みを浮かべているアンジェリーンに意味が解らずに頷いた。
どうやら彼なりに、誰にも見られていないから羽を伸ばせと言う意味だったらしい。
それから近況・・・とは言ってもほぼ2日おきで着ているのだから、真新し情報は無いと思うのだが。
そう思っているのはシャリオンだけだった。

「面白いことをしたと聞きました」
「面白い事?」

何かあっただろうかと首をかしげるとシャリオンの前に小さな金の円筒状の物がおかれる。
そして、アンジェリーンが何か呪文を唱えると、映像が浮かび上がった。
どうやらそれは魔法道具だったようだ。

セレスの作ったそれと異なるそれに不思議そうに見ていると、見覚えのある映像にハッとした。

「随分可愛らしい令嬢がおりますでしょう?」
「・・・っ・・・これは事情があって」
「私は別に貴方の管理する施設なのですから、男性である貴方がいたとしても問題にする気はありませんよ」
「・・・、・・・もー・・・。アンジェリーンのその情報網は何なの?」
「曲がりにも公爵家の家の出の者ですからね」
「・・・、・・・なら、僕がそこに言った理由知っているの」

じっとりとした眼差しを向ければ、アンジェリーンはクスクスと笑った。

「まぁ、いくつか想定できることはありますね」

そういうアンジェリーンにシャリオンは先ほどの落胆が蘇ってしまう。
何故解っていたなら対応しないのだろうか。
そんなことを思っていると、顔には出していないはずなのにアンジェリーンは答えた。

「けれど。貴方は本当に読めないところがありますから。一体どの件で行ったのでしょう。
教えて下さるのでしょうか」

なんて。シャリオンに言わせようとするアンジェリーンにプイっと顔をそむけた。

「王太子王配殿下のお耳に入れるようなことは無いよ」
「あら。・・・私は友人ではないのですね」
「そういう訳じゃないけど」
「・・・随分ご機嫌斜め。
そうですね。・・・シャリオンの嫌いな事。
・・・・んー・・・意地悪貴族の娘でもいましたか」

遠からず近からずな答えである。
本当に知らないのだろうか?
シャリオンがジッとアンジェリーンを見てるとクスリと笑った。


「貴方が相談してくれるまで待ちます」
「・・・、・・・ごめん。僕もどう言っていいか・・・分からないんだ」

アンジェリーンに言ったら問題は解決するだろう。
しかし、それで解決するのはシャリオンの望む形ではない。
大事にはしたくない。
理想は、アシュリーの方法の様に、自ら考えを改めて欲しいのだ。

「ゆっくりで良いです」
「・・・。・・・そう言えばアンジェリーンの方は何か無いの?」
「何か、とは?」
「相談したいこと。僕、君の相談役でしょう?」

そういうと、少し驚いたようだがすぐに嬉しそうに微笑んだ。

「そうですね。・・・、・・・少し待ってください」

アンジェリーンは何かを考えながらゾルに出されたお茶に口をつける。
それは何かを考えているようだった。
王太子王配殿下となれば、言えないことも沢山あるだろう。
それこそ無理やり聞き出すことではない。

「あの・・・言えないことなら」

そう気遣う言葉にアンジェリーンの眉が吊り上がった。

「その言い方はずるいです」
「どういうこと?」
「リオ・・・、いえ」

そう言ったところでハッとして口を押え気まずそうに視線を逸らした。

「??」
「・・・殿下達がいつもそう言うから」

ライガーやルークがそう言うのは昔からだ。
シャリオンがガリウスと婚約して結婚するまでの間、ルークは控えていたが。
だが、そう言うのは公の場ではない。
ライガーもルークも政務を真面目に勤務しているのだから、そんな会話が出てきそうになくて首を傾げた。
尋ねれば最近は夜に3人で飲むことが多いらしいことを教えてくれた。

「そうなんだ。まぁ好きに呼んでくれて良いよ」
「・・・私も、そう呼んで良いのですか?」
「うん」
「でも、貴方はいつまでたっても『アンジェ』と呼んでくれないのに」

そう言って拗ねた眼差しを送ってくるものだから、乾いた笑みを浮かべた。
確かにあえて呼んでいない時期もあった。

「アンジェってそんなに呼んで欲しいの?」
「!・・・はい」
「・・・分かったよ。・・・・けど、僕のことを『リオ』だなんて言ってしまうほど、ルー達と話しているんだ」
「えぇ。まぁ表向きは仲の良い体裁なので。それにライは中々面白い男だとわかったのです」
「へ?」

『ライ』とは言わずもがな、ライガーの事だろう。

「ライガー様自身がそう呼んで構わないとおっしゃって下さったのです」
「そうなんだ。じゃぁルーの事も」
「いいえ」

ライガーの時は楽し気だったのに、ルークとなると即答且つ目が座っている。

「そんなに嫌わなくても・・・」
「・・・。・・・、・・・最近思ったのですけれど『嫌い』とは少々違うような気がするのです」
「え?」
「・・・。・・・、・・・はぁ。私が王家の人間だったらよかったのに」
「??今そうじゃない」

そう言うもアンジェリーンはこちらを見た後にため息を吐いた。

「リオ。そんな事よりも私の悩みを聞いてくださいませんか」
「え、・・・あ・・・うん」

強引な話の展開だが、シャリオンはコクリと頷いた。

「最近、私勝手に友人が増えているようで」
「どういう事?」
「王配になったからですよ」
「あー・・・そういうこと」
「えぇ。無視を続けているのですけれど、そろそろ面倒になってきたのでいい案はありませんか」
「それは・・・難しい相談だね。・・・これまで通りの対応では難しいの?」
「そうしたいのですけれど、面d・・・ではなく、私も色々と忙しいのですよ」
「アンジェも政務をこなさないといけないしね」

ルークとは違い一日政務に当たることはないが、王配ともなれば当然の事でありこくりと頷いた。

「どうやら勘違いしているようなのですよ」
「なにを?」
「王配・・・というよりも、王妃という者はただ美しく着飾り後宮を管理するだけの人間に考えている者が多いようで」
「え」
「で、私が王配でしょう?その役目は私とルーティ様がしていると思っているようで」
「陛下も後宮はルーティ様にしか使っていなかったし、ルーは結局潰してしまったでしょう?」
「建物が残っているのがいけないのかと思ったけれど、どうもそれだけではないようで」
「ん???」

良くわからなくて説明を求めると呆れてしまう内容だった。
後宮の管理がなくなった王配は仕事がなくなった為に暇だと思っている者が、後を絶たないらしくアンジェリーンをやたら夜会やお茶会に誘ってくるのだが、その理由がライガーとの縁や陛下の側室に関しての質問らしい。
流石にルークの側室に関してはアンジェリーンに聞いてこないそうなのだが、魂胆が丸見えでうんざりしているようだ。

「そうだな・・・もっと目に見える政務や慈善活動に携わってはどうかな」
「目に見える・・・ですか」
「うん。暇じゃないんだっていうのを見せるためにもね」
「なるほど。空気は読むものではなく吸うものですものね。読めない人間がいるのは普通ですね。
求め過ぎていた私が悪かったです」
「ぁ・・・あはは・・・まぁ・・・そうだね」
「世の中救えない人間がいるのだから、そういう人間は放置するに限ります」
「・・・、」

その言葉に飲もうとしていたお茶の手が止まってしまった。
アンジェリーンの言葉の意味はそうではないと解っているのだが。



救えない人間



というのは今のシャリオンが聞くのは厳しかった。
心のままに動いた結果、まさに助けられない人間に直面している。
良かれとして動いたのに、誰かを不幸にしてしまっていることに、決意があったはずなのに判断を鈍らせる。
正しいと思っていることが、ただの偽善の様に感じてしまう。
すると・・・。

「私は神ではないのだから、全員は救えないし救う人間だって選びます」
「・・・、」

思わずその言葉に視線をあげた。

「好きじゃない人間を助けたいと思うわけないでしょう」
「・・・、」
「まぁ口では心配して見せるかもしれませんが」
「・・・っ・・・けど・・・1人助けたら」
「そんなことを考えていたら、本当に助けられる人間が助けられなくなくなるとは思いませんか」
「!」
「確かに助けられる限度はありますけれど。・・・何もしないで後悔するよりも何か行動して反省する方がよほど堅実的です。
もし、後悔しそうになった時はそう考えるようにしています」
「アンジェ・・・」
「私、何もしないで後悔をしたことがあるのです」
「え?」
「・・・私はあの頃本当に幼くて。
自分には力と素質があるってずっと思っていました。
だから、助けたいと思った人を見た時に、私しか助けられないって思っていた」

そんな話始めて聞いた話だ。
アンジェリーンはとても悔しそうにうつむく。

「だから、絶対に助けを求めてくるだろうって思っていた。
問題が押し寄せその人を苦しめる何かが増えるたびに、次こそは私に助けを求めに来るはず。と。
・・・けれど・・・、その人は結局助けを求めて来なかった。
人を心配するのに責任感が強いその人は、対して親しくもない私に助けを求めてくるはずがないのに。
・・・、・・・周りにたいした知り合いでもないのに助けを求めてくる人間が多かったから勘違いしていた」
「っ・・・その人は・・・どうなったの?」

そう尋ねるとアンジェリーンはシャリオンの顔を見てクスクスと笑った。

「何を貴方がそんなに心配をしているのですか」
「だって・・・。アンジェがそこまで気にするような人・・・あ。前に聞いた人?」
「前?誰の事でしょう。・・・ただまぁ今お話しした人物は今では幸せそうです」

その言葉にホッと胸を撫でおろした。
誰かも解らないがアンジェリーンがそこまで心配した相手が幸せであるのは嬉しく思う。
すると、アンジェリーンはおかしそうだ。

「貴方は。・・・本当に赤の他人に何故そこまで気をやるのか。
・・・そこが貴方の良いところですが。
まぁ。兎に角、助けたいと思ったら躊躇する必要はないです。
例え他の人間が贔屓だなんだといってくるのなら、助けたことを悔やむよりもそれを黙らせる言い訳を考えれば良い。
それに妬み嫉みは人間なのですから、消えない心。仕方ありません。
そう言う人間には適度に飴を落として黙らせます。
それを学習してくる人間には厳しい鞭を入れれば理解出来るでしょう」
「う・・・うん?」
「兎に角、貴方は貴方らしくいればいいのです。
アドバイスをするとするならば、くよくよ悩んでいると貴方の伴侶が勝手に片づけてしまいますよ」
「へ?」
「散々言っていますが、ガリウスの心は狭いどころではありません。
全てはシャリオンの為にしかありません」

流石に狭いというのは解っている。
本人でさえも言っているのだから。
確かにシャリオンには激甘であるとは自覚しているけれども。

「そこまでは・・・」
「今は無いかもしれませんが、今後あなたが思い悩んでいることに気がついたら、次の日に解決していることもあるかもしれませんよ」
「・・・、」
「有能すぎるのも困りものですね」
「え・・・と、・・・じゃぁならなんでガリウスは自分でしないの?」
「そんなの興味がないからでしょう」
「え?」
「貴方が携わっていて、貴方の心を支配しているのが面白くないから対応するのであって、心の底から興味が無いと思います。
あの男が興味があるのは貴方。・・・あぁ・・・それと国の事もしっかりやっていますね。
でもそれってあなたが住むこの国だからです。
例えば。・・・もしハイシアが独立するとなったら間違いなくガリウスは貴方に全力で力を貸すでしょう」
「・・・、・・・、・・・それは・・・」
「絶対に無いと言い切れますか?」

残念ながら言えなかった。
これまで何度もそう言われているのだから、シャリオンが返答に困っているとアンジェリーンはクスリと笑った。

「責めているのではありません。寧ろそうでなくては困ります。
貴方を泣かすようなことは絶対にもうしないとあの男は約束したのですから、破ったなら許しません」
「え」

そんなことをしたのかとアンジェリーンをまじまじと見たが本気なようだ。
王配になると言っていた頃は、ルークもライガーもガリウスの事も嫌いだと言ったアンジェリーンの変わりように驚いた。

「今は・・・・嫌いではないの?」
「『大嫌い』ではなくなりました」


なんて言われて笑ってしまうのだった。

★★★


王都のハイシア家の屋敷。
アシュリーとしっかりと戯れ、ガリウスと一緒にこの屋敷へと帰ってきた。

馬車屋から出てきたときは悩んでいたのがアンジェリーンに話して心が軽くなり、あれこれとガリウスに相談をしていた。
ワープゲートやリングを作る事により、窮地に陥ている人間を助けることにもう悩むことはやめたのだ。

そして、悩んだことをやめたのも、ガリウスに相談したのも本当に良かった。
そう思わせてくれたアンジェリーンにも感謝である。

ガリウスに相談して帰ってきた答えは全てがうまく行き、目からうろことはまさにこのことだった。
逆にマイナス点を考えるが今は浮かばない。

ガリウスに相談したのは馬車屋の事と第二のリジェネ・フローラルの事、そして貴族令嬢の陰湿な行動である。

「なるほど。・・・しかし、ワープゲートが出来てから暫く経ちますが、良くこれまで持ちこたえましたね」

それは最もである。
生き物を扱う馬車屋は営業しているだけでかなりの必要経費が出ていくにもかかわらずだ。
褒める言葉にシャリオンはコクリと頷いた。

「彼は業務形態を変える意思はあるのでしょうか」
「どうだろう」
「では、それを持ちかけてみてください」
「良いけど・・・どういう事?」
「ただ仕事を請け負わすのでは、他から批判が上がります。
ですからそれは避けるべきです」

それはシャリオンが懸念していたことであり、・・・だが業務形態を変えて仕事を下ろしていては意味がないのではないだろうか。
疑いの眼差しを送ると、ガリウスはつづけた。

「業務形態を変えても領主から直接公的な仕事をやらせるわけではありません。
今存在しない仕事の提案をするだけです。
ただし、シャリオンの進める第二のリジェネ・フローラルの場所提供はしてもらいます」
「!でもそんなことをしたら馬たちがっ」
「シャリオン。我が領に転移の技術を与えられていることをお忘れですか?」
「忘れてないけれど。・・・なんの関係が」
「馬車屋の馬達は何もあそこに居なくて良いのです」
「!」
「そして、第二のリジェネ・フローラルもです」
「???」
「しかし、ワープゲートに一番近いあの馬車屋の場所は入口である必要があります」

あの場所の下見をした理由はそれもあるのだが、面積が足りないことを言うがそれは問題じゃないと言われ混乱するシャリオンにニコリと微笑んだ。

「中に入った後にそれぞれに続く道をワープゲート・・・。いえ。ワープドアと言った方が正しいでしょうか?
そのドアをくぐった先はハイシアの各地に作った町や村に繋がるようにし、そこに巨大建設をすればまかなえます。
建設をするという事は資材を運ばなければならないので、その馬車屋を使う事も出来るでしょうし。
何より各町や村も利益が出ます。
・・・いかがでしょうか?」
「すごい・・・・すごいよガリィ!!」

思わず感動してガリウスを見つめると、心強い眼差しが柔らかく微笑みチュッと頬に口づけられた。

「問題が解決する様で安心しました」
「うんっ・・・ありがとうっ・・・・ありがとうっがりぃっ」

これでラーミアや馬車屋の男は助かるかもしれないと思うと嬉しくなってしまい、ガリウスに抱き着いた。

「良かったです。・・・では、・・・ご褒美が欲しいです」
「うんっ・・・僕があげられるものなら何でもいいよ!何がいい???」


本当に嬉しくて、本心からそう言っていた。
安易にそんなことを口にしてはいけないと、言われていたのに。
それ程嬉しかったのだ。


★★★


ベッドの上。
ガリウスに後ろから抱えられながら、貞操帯を付けたまま悪戯を続けられている。

あの後、ご褒美を欲しがったガリウスに、馬に触れられてしまったのがバレてしまった。
馬に邪推があるわけもなくじゃれているだけだと言うのは納得してくれたのだが、動物でも異性であろうが同性であろうが関係ないと言われてしまった。

お仕置きをされるのかと怯えたが、今日は注意どまりで良いという事で安心したのだが・・・。

脚は大きく開かされ、貞操帯の上を覆う鍵付きの革は外されているが、男根と陰嚢の根本にはバンドが付いたまま。
陰嚢はパンパンに大きくせり上がり、陰茎はそりたちいつもは隠れている頭をひょっこりとあらわし、蜜を纏わせている。
胸のアメジストの飾りもそのままで先ほどから摘ままれたり転がされたりはじかれたりしている。
ガリウスにされていると言うだけで、体は熱くなり切なげな声をあげた。

「んぁっ・・・っ・・・ぃ・・・っ・・・胸・・・だけで、・・・やぁっ」

扱いて欲しくてみっともないと解っていても腰がゆらゆらと動いてしまう。
わずかに揺れる動きでもかすかに走る刺激なのだが、行かせない様にバンドは絞められたままである。
するとガリウスは後孔をつぅっと撫でた。
まだ香油は付けていないというのに、そこまで先走りが流れているのだと言わんばかりに塗り広げられる。
朝の悪戯を思い出しひくつくそこを焦らす様に撫でられた。
早く中に指を入れて欲しい。

「が・・・りぃ」
「なんですか?」

甘く優しい声で尋ねてくる。
焦れて理性が解け始めてきているシャリオンは、腰を動かし尻を撫でているその指を迎え入れようと腰を動かしたが、その指は離れて行ってしまった。

「やぁっ・・・っ・・・がりぃっ」
「・・・まずはこちらを可愛がってからです」

そう言うと、シャリオンの左乳首をぱくりと口にくわえた。
そして舐めたり吸ったり、・・・そして見えるようにニップルクリップを引っ張る。

「ひぃぁぁぁっっ」

少しずつクリップが外れていくのを感じながら、パチンと外れた途端痛みと快感が押し寄せた。


「っ~~!!!」

昼間ずっとつけっぱなしのそれをそんな乱暴に外され、体中に電気が走ったようにびくびくと震える。
出さないまま達していると、間髪置かずにガリウスはその乳首を咥えた。

「ひぃぁっ・・・やぁっ・・・・いまっ・・・だめっ・・・おかしっ・・・・!?そっちもだめぇっ」

舐めたら嫌だと抵抗していると、もう片方のニップルクリップをぎりぎりと引っ張られ始めてシャリオンは軽くあばっれるも、体はがっしりと抑え込まれ逃げられない。
休む間もなく与えられる快楽にシャリオンは喘ぐしか出来なかった。

「ひぃぁ!・・・・やぁっ・・・んぁあぁっっ・・んぅぅ・・・ち・・・ちくびぃっ・・・ゃぁぁっっ~!!」
「・・・見て下さい。・・・こんなに赤く・・・大きくなってますよ」

口から出して両乳首をきゅむりと摘ままれるシャリオンの乳首。
乳輪を撫でられるだけで敏感に反応してしまう。

「ぁっ・・・はぁっ・・・んぅぅ」
「乳首・・・・気持ちイイですか?」
「っ・・・っ」

こくこくと頷くがそれでは満足してはくれず、恥ずかしくなるようなことを言わせようとするから、シャリオンもキッとにらんだ。
確かに約束を守れずに馬達に触れさせてしまったのはシャリオンが悪いのかもしれないが(?)。

「っ・・・が・・・りぃ・・・に・・・されるからっ・・・感じちゃうのっ」

『駄目なの!?』と、言わんばかりに言えば驚いたようだが再び嬉しそうにした後額に口づけられる。

「そうですね。・・・シャリオン。・・・私の恥ずかしい話を聞いてくれますか?」
「っ・・・・?・・・なに・・・?」
「実は・・・・私・・・」

神妙な顔つきのままこちらに近寄ってきたかと思うと耳穴に口づけ、そこで囁き始める。

「貴方が私の愛撫で感じている顔を見ると、・・・私も感じてしまうようです」
「!!!!!?!」

それはただ興奮しているだけだろうとにという思考が追いつかない程、大きく熱い塊でシャリオンの後孔に押し付けられた。

「っ」
「私に・・・気持ちよくなって欲しいですね?」
「っ・・・ん」
「でしたら・・・もっと感じて見せて下さい」
「わか・・・った・・・・あっぁぁっ」

今朝も悪戯された後孔は比較的容易くガリウスの指を飲み込んだ。
そして、前立腺をコリコリとこすられる。

「ぁっ・・・ぁぁっ・・・んっ・・・あぁぁっそこっ・・・・そこおっっ」

前の根元はぎちぎちに食い込んでいるのに、痛みと快感が押し寄せてくる。
くんくんと指で突き上げるたびに目の前がちかちかと星が散り、気持ちよくてどうにかなりそうだ。
『気持ちイイ』と何度も繰り返しながら、訴える唇を塞がれながら指が増やされ突き上げられる。

「ふはぁっ・・・んぅぅ・・・・んぅぅ・・・・んぁぁぁっぁっ」

出していないのに陰茎がひくひくと震え、ガリウスの指をきゅうっと締め付ける。


気持ちイイ


けど・・・もっと中が満たされたくなってくる。
ガリウスが中にある時はもっと余裕がなくなってぎちぎちに広がったそこはガリウスと一つになったと思えるのだ。


潤む視界の中でガリウスの欲情した瞳を見つめながら、熱い欲情を強請る。

「が・・・りぃ・・・・も・・・・おねがっ」

尻をガリウスの男根に押し付けて求めればフッと笑みを浮かべるガリウス。
見えないところで準備され来る快感に震えていると、期待した熱いモノがシャリオンの中に徐々に侵入してきた。
押し広げながら入ってくるそれを少しでも迎え入れたくて、力を入れない様にするのもとても難しい。
それ程ガリウスのモノは大きいのだ。

「・・・が・・・り」
「息を・・・吐いてください」

浅い呼吸を繰り返し入ってくガリウスのモノに満たされていく。
それからシャリオンがなじむまで待ち、動きだすガリウスはシャリオンの感じるところを的確に抉っていく。

「ひぃぁぁぁっ・・・・ぁっ・・・ぁぁぁっ・・・んぅぅ」

動物の交わりの様に後ろからがつがつと突かれながら前立腺を遠慮なしについてくるそれはたまらなくなってくる。
嬌声は止まらずにただ感じるしか出来ない。

「はぁっっ・・・ぁぁっ・・・あぁぁっ・・・っ」


せき止められて痛いのに逝けなくて、でもそれが言葉にできなくて。


「はぁっ・・・っくっ・・・いくぅっ」
「・・・っ・・・はぁ・・・シャリオン・・・良いですよ・・・もっと感じてる貴方を見せて下さい」
「あぁぁっ・・・ぁぁっぁっ・・・っくぅんんんっ」

ガリウスに突き上げられるたびに肉のぶつかる音を響かせながら、シャリオンは数度目の射精を伴わない絶頂を味わう。
全身が快感で満たされるも、逃げ場のない快感は震えることしかできない。
逝ったのに、まだ気持ちが良い?
いや・・・まだ逝っている。
ガリウスのモノが前立腺にあてられているだけで感じてしまう。

「っく・・・シャリオン・・・緩めて、・・・下さい」

その切羽詰まった声は痛みがあるのかもしれないが、シャリオンにはどうしようも出来なかった。

「ぃぁ・・・・ぁ・・・ぁっ・・む・・・りっぃ」
「っ・・・」
「!!やぁっ・・・ぬいちゃやだぁっ」
「っ・・・」
「そ・・・こに、、・・・きもち・・・の・・・」

その言葉に驚いた様に目を見開いたが、余裕のない表情は抜こうとしていたのをシャリオンの制止に戻ってきてくれる。


「はぁ・・・っ・・・シャリオン・・・」
「・・・・んぅっ・・・んっ」
「今のは・・・ダメです・・・・」
「え・・・?」
「止まらなく・・・なってしまいます」
「・・・え?・・・・ひぃぁぁっぁっ」

困惑したのと同時にシャリオンの腰を掴まれ一気に腰を引き寄せられ、ぐぷんと音を立てながら最奥の入り口をこじ開けた。
ギラギラと欲情した眼差しにシャリオンは恐怖よりも期待で喜ぶ。

「っ・・・いいっ・・・いいっ・・・止まらなくていいからぁっ」

その言葉がガリウスを煽っているなんて思わずに、ただひたすらガリウスを求めるのだった。


┬┬┬
m(_ _)m
遅刻魔 みゆきんぐぅって改名した方が良いでしょうか。。。
すみません。。。

あと次回は女装です。
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『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
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アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

国王の嫁って意外と面倒ですね。

榎本 ぬこ
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 一国の王であり、最愛のリヴィウスと結婚したΩのレイ。  愛しい人のためなら例え側妃の方から疎まれようと頑張ると決めていたのですが、そろそろ我慢の限界です。  他に自分だけを愛してくれる人を見つけようと思います。

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