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執着旦那と愛の子作り&子育て編
今回は・・・流石にむりかぁ。でも駄目だと思うと気になっちゃうよね。②
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ハイシア城の執務室。
目を揉みしだきながらため息を吐いた。
一難去ってまた一難。
どうやら最近 領地の南にあるサウスという街で魔物の発生が多発して、それが街道をでて人を襲うことが増えているらしい。
「どういう事だろう」
「街道に出てくることは想像出来たがな」
「!・・・ワープゲートが出来たから?」
「おそらくは」
人気をなくした街道に魔物の活動範囲が広くなったのだ。
今まで魔物は襲ってきたりはしなかったが数が増えたことで徒党を組み襲撃する増えたのだろうか。
ここではあくまで想定でしかなく調査を出すしかない。
・・・セレスに戻ってきて欲しいけれど
休暇を付けて送り出してから数か月。
ウルフ家の者に言えばすぐに居場所が解るのだろうが。
「もう調査は手配している」
「さすがだね。ありがとう」
背伸びをしてから次の書類に手を伸ばす。
それを見ると豊穣祭の書類だった。
「そうか・・・もうそんな季節か」
そう言いながらサインをした。
「今年は昨年よりも豊作のようだ」
「そう。皆が頑張ってくれたおかげだね」
感謝の気持ちを返すのに減税というのは難しいが、こういったお祭り返すのが良いチャンスだ。
祭りでの酒や食材の仕入れはの税金は下げている。
「毎年みんな楽しそうだものね。今年も成功すると良いのだけど。
・・・、お祭りか」
祭りに行こうと言った約束は未だに果たせていない事を思い出した。
シャリオンもガリウスも多忙の為、仕方がないのだが。
「サーベル国の城下で歩いたのが最後か・・・」
気軽に外に出られない身分だとは理解している。
だが、先日工場に行った時の出来事を思い出すと、意外と貴族の顔というのは知られていないのではないだろうか。
あの少し困った女性も『領主がくる』と言われていたからシャリオンだとわかったのだと思う。
所長もそうだ。あんなにもガリウスにそっくりなガリオンを解らなかったくらいだ。
「ねぇ。ゾル」
「・・・、・・・なんだ」
「まだなにも言ってないじゃない」
不機嫌そうなゾルに苦笑する。
「シャリオンがそういう顔をしているときは大抵良くないことを考えている時だ」
「え・・・あぁ・・・まぁ・・・分かった」
心配と迷惑をかけている自覚があるから諦めると、ゾルはため息を吐いた。
「良いから話せ。俺が渋ったなど、ガリウスに知られてみろ。後で俺が嫌味の応酬がある」
「ごめん。・・・あのね。・・・これ、出てみたいなーって」
そう言いながら豊穣祭に関する書類をぴらりと持ち上げる。
「・・・、・・・そんなことか。はぁ」
「え?・・・いいの・・・?」
思わず笑顔になる。
でも、ほかに心配かけそうな事あっただろうか。
「豊穣祭はいつか行きたいと言うと思っていた。で、どうするんだ?
1人で行くのか子供達と行くのか。それともガリウスと行くのか?」
本当は4人揃っていきたいところだが、それはもうかなわないことだ。
勿論ルークやアンジェリーンに言えばアシュリーが一日ハイシアにこれるだろうが、いつまでも好意に甘えてはいけない事だ。
「子供達には秘密と言うかまだ一歳なのだから出さない」
「こちらの警備はいつでも大丈夫だ。ガリウスの予定を聞いておけ」
そう言う笑顔は口調よりも優しい。
シャリオンはぱぁっと笑顔になる。
「結局行ったことなかったもんね」
「そうだな。・・・それもだが、・・・領主らしいことをしてみたらどうだ」
「領主らしいこと?」
「もっと領民に触れるとか。・・・とは言っても、シャリオンが昔描いていた領主だな」
お祭りなどは警備の問題から自主的に出ようとは思わなかった。
「!いいの?」
「駄目だなんて言って来たことないが。・・・あったか?」
そう言うと首をかしげるゾルに全力で首を振った。
「ううん。僕が勝手に駄目だって思ってたんだ」
幼い頃からそう思っていた。
いつも行きたいとは思っていたけれど、やはり迷惑を掛ける気がして出来なかった。
そう思う様になったのは何度か誘拐をされそうになったことがあったからなのだが。
「こちらとしてはお前ひとりでも守り切って見せる。
が。
ガリウスがいるとなったら良いことづくめだ」
「そうだね」
ゾルが含みを持たせたことは気が付かずに頷くシャリオンだった。
★★★
とある日。
ブルーリアにガリオンと共に、魔法道具「ウォータル」商品化の実験の為に訪れていた。
想定していた使用方法より豪快な使い方だったがその後問題ないか、魔力補填がうまく行くかを確認しに来た。
実験には技術者が中心に行われた。今日は魔術師が多いからかガリオンは周りでふよふよしながそれを眺めている。
あまり口は出さないが手間取ったりなどしていると感覚で口を出していた。
ガリオンの師匠はセレスであり学園で教えるようなものではないのだが、その発想に「興味深い!」と子供に関わらず1人の研究者と同じようにして話に加わっている。
今日の実験は高低差だけでなく距離を確認したりしていた。
「ウォータル」を運ぶのはブルーリアの人間で、先導してくれているのはサファイアに依頼する。
土地勘が無いシャリオン達にとって彼女たちの援助はかなり助かる。
そしてその援助を理由に無償提供をすることを伝えた。
当然「対価」について話したものだから納得いかない様子だったが、試験期間と必要工程を聞くと漸く納得してくれた。
シャリオンとて無償であげようという気持ちではなく、試験にそれなりに付き合ってもらうためだ。
一通り試験を行った後、別の場所へ移動する馬車の中。
窓の外を見ていると魔物が見えた。
ハイシアで見るものより大きく凶暴そうである。
「この辺りの魔物は増えましたか?」
「あぁ・・・そうですね。少し増えた様に感じます。まだ外側に比べれば少ないですが」
「そうですか」
「増えたと言ってもこの辺りの民は自分達で戦えますからそれほど問題はありませんけれど」
「そうでしたね」
「ハイシアでも増えてらっしゃるのですか?」
「・・・はい。襲ってきてもハイシア周辺の魔物は弱いのでいいのですが」
サファイアは不思議そうな顔をする。
「ですが・・・ハイシアには大型魔物をがいませんでしたか?」
「ヴィスタの事ですか?」
「ヴィスタ?」
「大きなトカgっ・・・じゃなくて魔物です!」
ガリオンが口にパッと手を当てて言い直す。
以前注意したことがあるのを思い出したからだ。
「確か以前アルアディアを飛行していた大型種だと聞いていますが」
「うん。そうだよ」
「そのことも聞いてみたかったのです。ハイシアには魔物を使役できる者がいるのでしょうか」
「魔物を使役・・・?」
「ビーストテイマーのようなものです」
「動物たちと会話が出来るというものですね。・・・しかしそんな上等なものでは」
「ヴィスタと会話できるのは僕達だけです」
『会話』と聞いてサファイアは驚いたようだ。
「はっきりと言葉で聞こえるのですか?」
「そうですね。・・・最初は幼児のようでしたが、人型化してはしっかりとした言葉で会話できるように思います」
「人型!・・・そんな魔物が残っていたのですね」
「残っていた?」
ガリオンも興味津々だ。
その時馬車が小石を踏んだのか跳ねて、ガリオンが空中に浮いていたが壁にぶつかりそうになり抱き寄せた。
乳母の夫でありガリオンの面倒見係であるラウリーは自分がと申し出たが大丈夫だと断り、飛び出ていかない様にガリオンを抱きしめる。
「我々は元々あの辺一帯を治めていた民族でした」
「たしかロベルト様は2代目でしたね」
「はい。・・・これはブルーリアに残る伝承です。
魔物にはレベルがあるようで、高い者は人と対話が出来るのです」
以前ガリウスの師匠であるヴィンフリートも言っていたことだ。
「この辺りにはそういう魔物がいたという事ですか」
ヴィスタ級の魔物がたくさんいるという事実に息を飲んだ。
魔物がはびこっていた頃はどうやっていたのだろうか。
「この土地で我らが貴族となるよりも以前の話で、その頃は心を通わせるような者達がいておさめていたようです」
「そうなんですね」
「父上、ビーストテイマーなのですか?」
「僕達がヴィスタと話せるのはヴィスタが話そうとしてくれてるからじゃないのかな」
「でもヴィスタ、他の人と話さないです」
あの様子では話す気が無いように見えるが答えにくい言葉に苦笑を浮かべたが、ふと思い出した。
「そう言えば神獣は清らかな音色が心を通わせるとか」
「神獣?・・・あぁ・・・今ハイシアにいる魔物はカルガリアではそう言われていましたね。
清らかな音色・・・ですか・・・。それは解らないですが」
「そうか」
「ただ、その大型魔物であれば魔物を抑えるのに一役買えるかもしれません。
・・・シャリオン様が一匹ずつ良い聞かせるのは現実的ではないでしょうし」
どうやらサファイアの中ではシャリオンは魔物と話せる前提になっているようだ。
その話よりもヴィスタが魔物の凶暴化に一役を担えるというのは聞きたい。
「ヴィスタがどうすれば凶暴化した魔物を抑えられるんですか?」
そう尋ねながらゾルに伝えようにもこの空間にいないことを、思い出した思考共有でそのことを伝えた。
些細な情報でも共有しておきたい。
「誰が一番強いかというのを知らしめさせればいいのです」
「・・・うーん。ヒエラルキーか・・・。たしかに城から殆ど出ないからな」
「ヴィスタに領地を飛んでもらうのはどうですか??」
腕の中のガリオンが見上げてくる。
シャリオンがうーんと、悩んでいたがサファイアが「いい案かも知れません」と、肯定してくれた。
「でも、領民達が怖がらないか・・・。
それだけじゃなく訪れる人も大丈夫かな」
シャリオンもヴィスタを閉じ込めているような感覚があり自由に羽ばたいてくれたらと思う。
ヴィスタは領民からクレームが入った頃からこの城から殆ど出ない。
本人(?)には言っていないのだが・・・、ヴィンフリートの様に他の考えている声が聞こえるようになったのだろうか。
今その答えが出せないが、それよりも
ほかに道がないか模索しようとしているシャリオンにアドバイスをくれた。
「それならハイシアの紋章を体につけては如何ですか」
「一応元神獣だから・・・聞いてくれるかな」
「やはり気性が気難しいのですか」
「本人(?)は一応ハイシアとわかるようにはしたいとは言ってたけれど、目印をつけるのに対応してくれるかはわからない」
するとガリオンが得意げに応える。
「その説得、僕がします」
「リィンが?」
「はい!」
非公式の場で元気満々で応えるガリオンにサファイアも笑顔になる。
「とても愛らしいですわ」
「僕はかっこよくなりたいんです!」
ぷぅっと頬を膨らませるガリオンにサファイアと一緒に笑った。
「先日アシュリー様にもお会いしましたが。本当にしっかりしていらっしゃる」
その言葉に慌てたのはガリオンだ。
シャリオンも視線を下すとわたわたと言い始めた。
「!・・・あの日のアシュリー様と比べられると、・・・是非非公式な時にも会ってください」
天真爛漫なのは今だからだというガリオンにクスリと笑った。
それで思い出した。
「あぁ。そうだ。サファイア嬢。話は変わりますが・・・よろしいでしょうか」
「はい」
「リジェネ・フローラルはご存知ですか?」
「え?あぁ・・・はい。まぁ存じております」
「そこへ行ってみたいとは思いませんか?」
アシュリーのお願いを相談したかった。
サファイアは顔色を曇らせた。
「そうしたい気持ちはありますが、・・・一緒に参加できる友人がいないと申しますか。
私ではあそこは浮いてしまいます」
「女性であれば身分関係なく入れる場所です。だから気にせず来ていただきたいのですが、実はご一緒してもらいたい相手がいるのです」
「私に?・・・ですが私は行ったことがありませんので、ご案内できるかはわかりません」
「案内はこちらで準備しております。名はソフィア・ヘインズで準男爵なんですが」
ソフィア・ヘインズ準男爵。元赤蜘蛛の団員でクロエの双子の妹だ。男爵であるカストはファングスに人質にされ夫であるカストは実行犯をやらされていた。
その時に、通常であれば家は潰される予定だったが、家督をソフィアに継がせ、家も男爵から準男爵に下げられた。
生きている間は刑が終わらないだろうが、ある意味カストも被害者であり、温情の為にソフィアは貴族ではないが家は取り潰されていない。
とは言っても夜会などに出ることはなく与えられた小さな領地で細々と暮らしているようだ。
その彼女がリジェネ・フローラルに良く出入りしているとはガリウスに知らされるまで知らなかったことだ。
「私も貴族のお友達が出来るのは嬉しいです」
「あー・・・彼女が特殊で。・・・ファングスの事件に絡んでいた家と言って伝わりますでしょうか」
「・・・、・・・それは加害者側という意味でしょうか」
その視線が厳しくなる。
確かに加害者側である家に、シャリオンが関係しているのはおかしいだろう。
「加害者であり被害者です。彼女がとらわれていた為に、元男爵はファングスのいう事を聞かざるおえなかったのです」
「・・・そう言う事ですか。どういうことなのかわらからず混乱いたしました」
「申し訳ない。こちらも言葉足らずだった」
「いいえ。それでどちらの方とご一緒すれば」
「アシュリー様です」
「しかし、アシュリー様は・・・」
「こういうことです」
言って説明するよりも見せた方が良いと、ガリオンがシャリオンの腕から飛び立つとくるりと回る。
シャリオンの腕に収まらなくなったガリオンはまっすぐ立つと天井に頭がぶつかるほどの高さで腰をかがめている。
そこにはデビュタントくらいの青年が現れた。
「・・・、」
アシュリーとは違い大分大きいガリオンに驚いた。
もうガリウスそっくりで・・・。
アシュリーも勿論そっくりだが美しいの方が勝っていた。
しかし、ガリオンは頬が熱くなった。
だって、自分があまり接点がなかったころのガリウスだから。
「っ」
「父上?」
「シャリオン様?」
「な・・・なんでもない」
サッと顔を背けサファイアを見る。
「この様に魔法で成長して・・・アシュリー様も出られます」
「っ・・・えぇ。なるほど・・・。・・・お2人が魔法が得意だというのは理解していたはずなのですが・・・、目の当たりにするたびに驚いてしまいますね」
サファイアもガリオンの変身にとても驚いているようでまじまじと見ている。
「♪」
それから「ウォータル」の予定していた実験は成功で終わった。
後は魔力補填の魔力のタリスマンでどれくらい使えるかの、継続利用での試験だ。
それは他の技術者とサファイアに任せた。
本格的に商品化する目処がついて安心しながらハイシアに帰ってきた。
★★★
ハイシア城、執務室。
時は夕刻になる頃。
農作物の出来高総定数を聞き安心をしつつ、豊穣祭を盛り上げようと決意する。
それに重要なのは街道に出る魔物だ。
ハイシアだけには領地内の町や村にワープゲートを設置しているが、普段ではなく行事に関しては省かない者もいるはずだ。
また、これを観光のイベントとも考えており、警備を巡回させるのも考えている。
サファイアにヒントを得たヴィスタの力で鎮静化できるのか。
うーん。と、悩んでいるとゾルが助け舟を出してくれた。
「昼の情報は助かった。
ガリウスに確認すると魔物の生態に関してはヴィンフリート様が強いということで、ガリウス経由で確認したところその可能性はあると返答があった」
「ヴィンフリート様に?
そう。・・・出現や凶暴化にいたってはなんか聞いた?」
「街道に人の出入りがなくなった理由も一つあるそうだが、断定は出来ないそうだ。
関係があるかはわからないが、・・・死山に出現する魔物も凶暴化しているそうだ。
という事はワープゲートが出来人の移動がなくなったからというのはおかしいだろう?」
「確かにね。・・・、・・・まって・・・・受刑者は?!」
「陛下がそのあたりはちゃんとお考えだから安心しろ」
その言葉に安心するとゾルは意地悪げに笑った。
「あそこにはお前を苦しめた人間もいるだろうが」
「僕を苦しめたのはファングスやゾイドスだよ。
もう2人はこの世には・・・。あそこにいるのは孤児や女性達を苦しめた人間だ」
「そんな人間すらも心配するとはな」
「偽善だってわかってるよ。けど後味悪い」
そう言いつつもソフィアを思い浮かべる。
ファングスに加担したと刑を言い渡され死山で終身刑になった者達の中には、カストのような者いるはずで。
最後に彼は自分の厳罰よりもソフィアの安否ばかり気にしていた。
だからと言って他の誰かを不幸にして良い話ではないのだが。
「王太子が即位する暁には恩赦を願ったらどうだ」
「・・・ん」
そうしたいのは山々だが、それが正しいのかはシャリオンには判断がつかない。
黙っているとゾルは「そういう案もあるという事だ」と、言った。
「それで、『ウォータル』の事だが、ブルーリア伯爵のお陰で既に目をつけた領地から詳しい情報と金額の確認があった」
「そう。金額はみんなで決めようか。
僕が決めたらワープリングと同じ値段にしてしまうよ」
「・・・それは技術者達が気の毒だ」
「やっぱり安いんだ」
「当たり前だ。あの能力をベースにしてるのもあるんだ。より値段を上げるのは当然だ」
「僕も能力を安売りすることは考えてないけれど、適正価格なんてわからないよ。そういうのも勉強していかないとね」
と、笑いながら答えた。
これから他領地にも町や村に続くワープゲートを販売する予定もある。それはセレスが帰ってきてからになりそうだが。
領主としての仕事を終わらして、王都に行く前にガリオンの所に顔を出した。
昼間の2・3時間はシャリオンと一緒にブルーリアに行っていた為、今日は帰ってきてから授業を受けていたようで、ちょうど勉強が終わった。
教師に会釈をされ返した後、ガリオンに視線を向ければシャリオンに気づきパァと表情が喜んだ。
「部屋に戻ろうか」
「はい!」
勉強部屋からガリオンの部屋に戻りながら話す。
部屋に戻るまでに今日の話の感想を聞いて居ると、我が子ながら行動が本当に素早かった。
「ヴィスタ、エンブレムを付けてくれるそうです!」
得意げにカートの中からガリオンが言う。
「それでもう手配してあります」
「!・・・そう」
褒めて!と言うようなガリオンに足を止めると、カートの中のガリオンの頬撫でた。
「偉いね。リィン。ありがとう」
「えへへ」
「どんな風にお願いしたの?どんなのだったらつけてくれるって?」
「翼と兜、脚の甲にハイシアのエムブレムをはめ込んだ物を付けてもらう事になりました」
「へぇ・・・翼って飛びにくくないのかな」
「文句言ってました」
ふふふんとニヤニヤするガリオン。
それでも頷かせたとは流石である。
「ヴィスタには悪いけれどね。これがうまく行ったらヴィスタの言う『ガーディアン』らしくなるんじゃないかな」
「!・・・思いつきませんでした」
「そういうつもりじゃなかったんだ?」
「自由に飛べるって言いました。退屈そうだったので丁度いいと思います」
なんて言うけれどガリオンの優しさを感じる。
「明日お礼を言っておこう」
「僕ももう一度言います」
満面の笑みで言うガリオンをもう一度撫でた。
それから、ガリオンに夜の挨拶をすると。シャリオンは王都のハイシアの屋敷へと戻った。
★★★
その日の夜。
王都にあるハイシアの屋敷でジャスミンからの衣装が仕上がったという知らせにお礼を書いた。
今日、サファイアにお願いをしたのは、勿論実験の為に会う事もあったが、リジェネ・フローラルに着ていく服が仕上がったからだ。ジャスミンにはアシュリーとアリア様に作ってもらう依頼をしていた。
気取り過ぎずにあの場で浮かない洋装だ。
そう言えばサファイアは大丈夫だろうか?一応アクセサリーや小物も一緒に手配してもらおうと思うが、ジャスミンならそこらへん任せて大丈夫な人材だ。
最後まで書ききると、ハイシアの印で閉じると明日ゾルに渡す準備を整えた。
暫くしてガリウスが帰ってきた。
帰宅を喜びハグしあうと、シャリオンも仕事を片付け2人の時間だ。
使用人に軽食の準備をお願いした後、沐浴後にはそれが整えられていた。
準備されたソファーを視界に移しつつ、ガリウスの疲れた容態が気になる。
余程疲れているいるのか少々表情が曇っていた。
部屋に戻ってきたときは特にそんな様子には見えなかったのだが。
「今日はもう休んで」
「・・・シャリオンは?」
「僕はもう少しやることがあるから」
準備してもらったものを手を付けないまま下げるのは気が引けた。
実際仕事はいくらでもあるのでそう言うとガリウスは首を振る。
「私も起きています」
「大丈夫。すぐ終わるから」
疲れているのに無理をさせるわけには行かなくて、そう言ったのだが頑なに首を振るガリウス。
「嫌です」
「・・・ガリウス・・・」
まるで駄々っ子の様。・・・寝ないなら飲ませて寝かせてしまおう。
ソファーに掛けるとガリウスはシャリオンの『やる事』に気が付いたのか隣に掛けた。
そして、準備してもらったワインを開けるとシャリオンにグラスを渡し注いでくれる。
ルビー色の液体が満たされていく。
同じようにガリウスにも返した。
今日一日を感謝しながら乾杯をしグラスに口を付ける。
「今日はとても疲れたみたいだね。お疲れ様」
「いいえ。・・・アシュリーに比べれば私の方は慣れたものですよ」
確かに王族となるアシュリーは覚えることはたくさんだ。
「そうだよね。・・・今日は元気だった?」
「えぇ。今日も元気いっぱいでしたよ」
その言葉にホッとするシャリオン。
しかし、黙ってしまったガリウスに寝てしまったのだろうか?と見上げる。
「どうかした?」
「・・・シャリオンは子供が好きなのですか?」
「え」
「アシュリーやガリオンという事ではなく。・・・若い人が好きなんですか」
「え???」
意味が解らずに聞き返したが、ガリウスはシャリオンに視線を合わせた後に一気に酒を飲んでグラスをテーブルに置いた。
それを見ていて視線を外した時だ。
「若い男が好きなんですか」
もう一度同じことを聞かれた。
しかしそれはいつもより少しキーの高い声だった。
「!?」
そこには、今のガリウスよりも断然若いガリウス。
ガリウスと出会った頃だ。
「・・・ガリウス・・・?」
「はい」
ガリオンを見て似ていると思ったが、ガリウスの姿に目が釘付けになる。
身長も今よりも低くて、・・・あの頃のガリウスだ。
今よりも柔らかそうなプラチナの髪、宝石のようなアメジスト。
顔は丸みを帯びていて幼さがある。
今のガリウスは当然愛しているが、なんでこの頃のガリウスを自分は好きにならなかったのだろうか?と、シャリオンに婚約者がいたことを忘れて、そんなことを思ってしまった。
「・・・カッコいい」
「ありがとうございます」
「可愛さもあるけれど」
いつもよりも視線が低いガリウスの頬を撫でる。
「ふふっ・・・このくらいの頃なら、僕と同じくらいの目の高さなんだね」
座った状態だが同じ目線になったガリウスに嬉しくなってクスクスと笑う。
シャリオンの手に手を重ねると、嬉しそうなシャリオンにガリウスもクスリと微笑む。
しかし、すぐに表情は硬くなる。
「やはり・・・若い方が良いのですね」
「へ?」
思ってもみないことを言われてガリウスを見れば拗ねた様にむっすりとしている。
若い姿になったの同時に幼くなったという事なのだろうか。
そんなことを思っているとソファーに押し倒された。
「っん」
少し強引で驚いて見上げる。
なんだかどきどきしてしまい、視線を逸らした。
「・・・ガリィだからだよ・・・」
「・・・」
「どうやったって昔には戻れないから・・・だから、目のまえに居て・・・どきどきしないわけないでしょう」
「・・・。ですが・・・今日、リィンにときめきましたね」
「え」
じぃっと見られ言われた内容を反芻しながら噴き出してしまった。
「あはっ・・・でもいつリィンに聞いたの?というか・・・リィンに気付かれちゃったか」
「・・・」
「ガリィに似ててこんな感じだったのかなって想像しちゃったんだ」
苦笑を浮かべてそう言うがガリウスはジッとこちらを見てくる。
表情はむっすりしているが不安が伝わってくるようだ。
自分の子供に愛しいという感情はあるが、それはガリウスに向けるような愛情とは別の物なのは当然だと思うのだが。
再び頬を撫でた後。少し起き上がり唇にチュッと口づけ、唇に食み付ながらペロリとガリウスの唇を舐める。
するとうっすらと開く唇にちゅうっと吸い付いた。
唇が重なると舌を差し込みガリウスの舌を探しつつくと舌を絡めた。
なんだか、肌に触れた感じだけでなく舌の感じも違くて、昔のガリウスとキスしている気分に陥ってくる。
「っ・・・はっ」
「・・・、」
「・・・ガリィにだけ・・・こんな事するのは」
弾む息を耐えながらそう言うとガリウスの機嫌は少し上昇したようだ。
「・・・なんか・・・いけないことをしている気分だ・・・」
「・・・。いけないこと?・・・どんなことですか?教えて下さい。シャリオン」
そう言って微笑む目も楽し気だ。
ガウンの紐を引きバスローブをはだけさせ、シャリオンの手を取ると隙間から自分の肌に触れさせた。
「っ・・・」
「まだ成人したばかりの私に・・・どんなことを教えてくれるのか・・・楽しみです」
確かに見た目はそうなのかもしれないが、この余裕はそんなことを微塵にも感じさせない。それは当然なのだが・・・。
ガリウスにシャリオンは息を飲んだ。
「・・・今日は・・・触って下さらないんですか?」
「っ・・・そのくらいの歳の子は・・・そんな・・・ふしだらな・・・顔しないっ」
真っ赤なシャリオンにクスリと笑った。
少なくともガリウスは当時だってこんな関係であったなら、シャリオンには見せていたがそれは言わないでおく。
「では・・・やめておきますか」
「!・・・やめるの・・・?」
「シャリオンが罪の意識にさいなまれるなら、やめておきましょう」
「っ・・・そんなことは・・・言ってないよ。・・・あの頃のガリィはそんな意地悪言わなかった」
シャリオンに好かれたくて意地悪な事など言った事などない。むしろあれこれやりすぎ出来る男過ぎて嫉妬していた。
「あの頃は貴方の前では猫かぶっていたので」
「ふふふ」
「・・・。一つ分かったことがあります」
「?なに?」
「・・・子供だと遠慮していますね」
「・・・、そう言うわけではないんだけど」
シャリオンの返答に怪訝そうにみてくる。
「頭ではわかっているしドキドキしているのだけど、なんだか違う人としているみたいに気分になっちゃって」
触りたいけれど触れないそんな気持ち。自然とブレーキがかかってしまうのかも知れない。
「・・・、フっ」
驚いた後に吹き出すガリウス。
真面目である。
「私ならどんな姿になったとしても貴方を愛しています」
「ぼ、僕だって。
けど、今と違うから・・・若いガリウスも愛したかったし、嬉しいのだけど」
「嬉しいです」
「?」
続けられた言葉は予想に反していて、シャリオンは驚き見つめる。
すると、ガリウスは今度はシャリオンを脱がしにかかる。
その間もジッとシャリオンの反応を見られた。
シャリオンを脱がした後にガリウスのバスローブを脱ぎ捨てると本当に照れている様子に、ガリウスは興奮していった。
見せつけるように自分の裸体をさらしてくる。
「っ」
困惑しているシャリオンをよそにガリウスが首筋に口付けはじめ、楽し気に体中に唇を這わせ全身に口づける。
「んっ・・・は・・・ぁっ」
甘い吐息が漏れて身を捩らせたが、それを元に戻そうとしているのか体を撫でられビクついた。
するとガリウスが上半身を起こすと立ち膝のまま自分の猛ったモノを見せつけるように2・3度扱き、こちらを見てくる。
起き上がったガリウスを追う様にシャリオンも起き上がると、目の前にあるガリウスのモノをまじまじと見つめてしまった。思わず息を飲みつつちらりと見上げる。
「さ・・・触ってもいい・・・?」
自分でもいかがわしいことを聞いていると解っている。
しかし、触りたいと思ったら止まらなかった。
「えぇ。勿論」
どきどきとしながら触り扱いた。
なんだか、今のガリウスとは違い色も形も違うような気がする。
今よりも凶暴そうな雰囲気はなく、そっと握りるとシャリオンの手の中でぴくんと動いた。
ゆるりと扱くと熱くて硬い。
先っぽから根本に向かって何度か扱くうちに先端にとろりと溢れる蜜にシャリオンも嬉しくなってしまう。
その先端にちゅっと吸い付きながら口づける。
またぴくんと動く。
なんだか愛おしくて、ガリウスのモノに口づけるのが暫く続いた。
浮き上がった血管すらにも興奮してちろちろと舐め始める。
ガリウスのしてくれることを思い出しながら、舐めているとお腹の奥がキュンキュンしてくる。
けれど、今は奉仕したくて夢中になっていった。
そして髪をすくようになでられて、ガリウスの視線に気づく。
「っ」
幼いガリウスがシャリオンがする様子をうっとりしながらこちらを見ているではないか。
「っぁ」
唾液で汚れた口元を親指で拭われ、ちゅぷりと親指を突っ込まれた。
「ふふふ・・・幼い私を犯している気分にでもなりましたか?」
「っ!」
見透かされたようでカァっと熱くなった。
「そうですねぇ・・・。シャリオンは年上で、・・・年下の私にイケナイ遊びを教えてるようなイメージでしょうか」
そんな風に改めて言われてしまうとイメージが固まってしまうではないか。
いつもとは逆のそんなシチュエーションにドキドキした。
それからガリウスがソファーに寝そべると、その上にシャリオンを四つん這いにさせた。
シャリオンはガリウスの陰茎を奉仕しガリウスはシャリオンの尻を撫でた。
「では、シャリオン。・・・どうやってするか教えて下さい」
「っ!」
また恥ずかしいことを言い出したガリウス。
それに羞恥を感じながらも、いやらしいことに抗う事ができなかった。
「・・・っ・・・こう、・・・するの」
反り立つガリウスのモノにちゅっと口付けた。
先ほどしていた奉仕ですでに熱くなったペニスはすでに弾けそうなほどそそり立っている。
ちゅぅっと吸い付くと、ガリウスも同じ様にする。
それだけで、ガリウスに快楽を植え付けられた体は簡単に思い出し期待した。
だがシャリオンが感じられるのは陰茎だけではない。
何時も愛されているあそこが疼きだす。
ガリウスの指や舌を期待して、シャリオンの穴がひくつくのが解る。
それが見られていると思うと余計に興奮した。
それをごまかす様にガリウスに奉仕をするが、それは結果シャリオンの余裕を消し去っていった。
「ぁっ・・・ふぅっ・・・んあっぁつ・・・んんっっ」
喘ぎが止まらなくなっていき、腰が動いてしまう。
恥ずかしいのに止まらない。
「っ・・・が・・・りぃっ」
「・・・、・・・なんですか?」
「っ・・・ほ・・・ぐし・・・っ・・て」
消え入りそうな声で『ほぐして』と強請るシャリオンの頬尻に口づけられた。
「どこをですか?」
熱のこもった吐息にぞくりとする。
シャリオンは周知のあまり震えながら、後ろに手を伸ばし尻の穴を広げるように指を動かす。
「っ・・・こ・・・こっ」
思わず自分でほぐし核を入れ強請った初夜を思い出してしまう。
あの頃はそれで欲しいモノをくれたガリウスだったが、今はガリウスはシャリオンが指で触れているところをなぞるだけだ。
焦れたシャリオンは中心に指を押し込んで示そうとすると、べろっと舐められる。
「!ひぃぅっっ」
「・・・ここをほぐして欲しかったのですね」
「んっぅんっ・・・ぅんっ」
こくこくと頷きながら、指が止まらなくなった。
自分の指とガリウスの舌でほぐし広げている事実に震えた。
「あつく・・・うねってますね」
「・・・っ」
次第にガリウスの指も加わり広がったった頃には、ガリウスの胸に大量の先走りで濡らすほどだった。
ガリウスの指を抜かれると期待で体を震わせながら、ガリウスを待つが動いてくれないガリウス。
シャリオンはへたり込みそうな体を起こし、ガリウスの上に四つん這いになった。
「・・・入れるよ」
「えぇ」
熱っぽい視線を浴びながら、ガリウスのモノにそえながらゆっくりと腰を下ろしていく。
「ぁっ・・・んっ」
ずずずっと入ってくるそれを途中で止まらずにうまく入れられたことに、シャリオンは喜びを感じた。
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
「・・・はぁ」
熱っぽいガリウスの吐息に、熱くなる。
幼いガリウスにちゅっと唇を重ねた。
なんだか、自分が頑張らねばという気分にさせる。
「大丈夫・・・?・・・動いても、いい?」
「っ・・・っ・・・はい」
「痛かったら・・・言ってね」
ガリウスをいたわりながら一度腰を回し、ガリウスの両手に指を絡め腰を動かし始めるシャリオン。
ガリウスは目の前のシャリオンが腰を振り蜜を飛ばし淫らに踊る様に、ガリウスは動かない様にするのが大変だった。
おまけに今日は体中にガリウスの独占欲であるキスマークが花びらの様に散っている。
「ぁっ・・・・んっ・・・ふぁっ」
「・・・どこが・・・気持ちいいのですか?」
「っ・・・こ・・・こぉっ」
雰囲気にのまれたシャリオンは幼いガリウスに素直に応えてくれる。
ぱちゅんぱちゅんと音を響かせ動くシャリオンに、ガリウス耐えきれず腰を突き上げる。
「ここ、」
「んぁぁぁっ」
「ですか?」
「っ・・・~~っ」
するとその刺激で逝ってしまったのかガリウスの胸にピシャっと吐精する。
それからガリウスはがつがつとそこを突き上げれば、シャリオンは自ら動くのをやめガリウスに与えられる快感に悶えた。
「ぁっ!ああぁぁっんっ・・・んっぅっ・・・い・・・いったぁっ」
「えぇ・・・逝きましたね・・・・」
「っ・・・んっ・・・ぁっ・・・ぁっ・・・ああぁっ・・・またぁっ・・・またきちゃうっ」
「良いですよ・・・一緒に行きましょう」
「!!っ・・・やぁっ・・・またぁっ・・・びりびり・・・・っ・・・ひぃあぁっぁっ」
そう悶えるシャリオンの手を離すと細い腰を掴むと思い切り突き上げるガリウスに、シャリオンが我慢できるわけがなかった。
「っ~~・・・・!!」
突かれるたびにぴしゃぴしゃと精をこぼしながら、今宵もシャリオンはたまらない快感に絶頂を味わうのだった。
┬┬┬
ガリウスは時間を戻せるわけではないです。
年齢に会わせて色とかかたちを補正しただけです。陰茎も少し小さめ。
1人でうまくできたと喜んでいるシャリオンを愛でています。
目を揉みしだきながらため息を吐いた。
一難去ってまた一難。
どうやら最近 領地の南にあるサウスという街で魔物の発生が多発して、それが街道をでて人を襲うことが増えているらしい。
「どういう事だろう」
「街道に出てくることは想像出来たがな」
「!・・・ワープゲートが出来たから?」
「おそらくは」
人気をなくした街道に魔物の活動範囲が広くなったのだ。
今まで魔物は襲ってきたりはしなかったが数が増えたことで徒党を組み襲撃する増えたのだろうか。
ここではあくまで想定でしかなく調査を出すしかない。
・・・セレスに戻ってきて欲しいけれど
休暇を付けて送り出してから数か月。
ウルフ家の者に言えばすぐに居場所が解るのだろうが。
「もう調査は手配している」
「さすがだね。ありがとう」
背伸びをしてから次の書類に手を伸ばす。
それを見ると豊穣祭の書類だった。
「そうか・・・もうそんな季節か」
そう言いながらサインをした。
「今年は昨年よりも豊作のようだ」
「そう。皆が頑張ってくれたおかげだね」
感謝の気持ちを返すのに減税というのは難しいが、こういったお祭り返すのが良いチャンスだ。
祭りでの酒や食材の仕入れはの税金は下げている。
「毎年みんな楽しそうだものね。今年も成功すると良いのだけど。
・・・、お祭りか」
祭りに行こうと言った約束は未だに果たせていない事を思い出した。
シャリオンもガリウスも多忙の為、仕方がないのだが。
「サーベル国の城下で歩いたのが最後か・・・」
気軽に外に出られない身分だとは理解している。
だが、先日工場に行った時の出来事を思い出すと、意外と貴族の顔というのは知られていないのではないだろうか。
あの少し困った女性も『領主がくる』と言われていたからシャリオンだとわかったのだと思う。
所長もそうだ。あんなにもガリウスにそっくりなガリオンを解らなかったくらいだ。
「ねぇ。ゾル」
「・・・、・・・なんだ」
「まだなにも言ってないじゃない」
不機嫌そうなゾルに苦笑する。
「シャリオンがそういう顔をしているときは大抵良くないことを考えている時だ」
「え・・・あぁ・・・まぁ・・・分かった」
心配と迷惑をかけている自覚があるから諦めると、ゾルはため息を吐いた。
「良いから話せ。俺が渋ったなど、ガリウスに知られてみろ。後で俺が嫌味の応酬がある」
「ごめん。・・・あのね。・・・これ、出てみたいなーって」
そう言いながら豊穣祭に関する書類をぴらりと持ち上げる。
「・・・、・・・そんなことか。はぁ」
「え?・・・いいの・・・?」
思わず笑顔になる。
でも、ほかに心配かけそうな事あっただろうか。
「豊穣祭はいつか行きたいと言うと思っていた。で、どうするんだ?
1人で行くのか子供達と行くのか。それともガリウスと行くのか?」
本当は4人揃っていきたいところだが、それはもうかなわないことだ。
勿論ルークやアンジェリーンに言えばアシュリーが一日ハイシアにこれるだろうが、いつまでも好意に甘えてはいけない事だ。
「子供達には秘密と言うかまだ一歳なのだから出さない」
「こちらの警備はいつでも大丈夫だ。ガリウスの予定を聞いておけ」
そう言う笑顔は口調よりも優しい。
シャリオンはぱぁっと笑顔になる。
「結局行ったことなかったもんね」
「そうだな。・・・それもだが、・・・領主らしいことをしてみたらどうだ」
「領主らしいこと?」
「もっと領民に触れるとか。・・・とは言っても、シャリオンが昔描いていた領主だな」
お祭りなどは警備の問題から自主的に出ようとは思わなかった。
「!いいの?」
「駄目だなんて言って来たことないが。・・・あったか?」
そう言うと首をかしげるゾルに全力で首を振った。
「ううん。僕が勝手に駄目だって思ってたんだ」
幼い頃からそう思っていた。
いつも行きたいとは思っていたけれど、やはり迷惑を掛ける気がして出来なかった。
そう思う様になったのは何度か誘拐をされそうになったことがあったからなのだが。
「こちらとしてはお前ひとりでも守り切って見せる。
が。
ガリウスがいるとなったら良いことづくめだ」
「そうだね」
ゾルが含みを持たせたことは気が付かずに頷くシャリオンだった。
★★★
とある日。
ブルーリアにガリオンと共に、魔法道具「ウォータル」商品化の実験の為に訪れていた。
想定していた使用方法より豪快な使い方だったがその後問題ないか、魔力補填がうまく行くかを確認しに来た。
実験には技術者が中心に行われた。今日は魔術師が多いからかガリオンは周りでふよふよしながそれを眺めている。
あまり口は出さないが手間取ったりなどしていると感覚で口を出していた。
ガリオンの師匠はセレスであり学園で教えるようなものではないのだが、その発想に「興味深い!」と子供に関わらず1人の研究者と同じようにして話に加わっている。
今日の実験は高低差だけでなく距離を確認したりしていた。
「ウォータル」を運ぶのはブルーリアの人間で、先導してくれているのはサファイアに依頼する。
土地勘が無いシャリオン達にとって彼女たちの援助はかなり助かる。
そしてその援助を理由に無償提供をすることを伝えた。
当然「対価」について話したものだから納得いかない様子だったが、試験期間と必要工程を聞くと漸く納得してくれた。
シャリオンとて無償であげようという気持ちではなく、試験にそれなりに付き合ってもらうためだ。
一通り試験を行った後、別の場所へ移動する馬車の中。
窓の外を見ていると魔物が見えた。
ハイシアで見るものより大きく凶暴そうである。
「この辺りの魔物は増えましたか?」
「あぁ・・・そうですね。少し増えた様に感じます。まだ外側に比べれば少ないですが」
「そうですか」
「増えたと言ってもこの辺りの民は自分達で戦えますからそれほど問題はありませんけれど」
「そうでしたね」
「ハイシアでも増えてらっしゃるのですか?」
「・・・はい。襲ってきてもハイシア周辺の魔物は弱いのでいいのですが」
サファイアは不思議そうな顔をする。
「ですが・・・ハイシアには大型魔物をがいませんでしたか?」
「ヴィスタの事ですか?」
「ヴィスタ?」
「大きなトカgっ・・・じゃなくて魔物です!」
ガリオンが口にパッと手を当てて言い直す。
以前注意したことがあるのを思い出したからだ。
「確か以前アルアディアを飛行していた大型種だと聞いていますが」
「うん。そうだよ」
「そのことも聞いてみたかったのです。ハイシアには魔物を使役できる者がいるのでしょうか」
「魔物を使役・・・?」
「ビーストテイマーのようなものです」
「動物たちと会話が出来るというものですね。・・・しかしそんな上等なものでは」
「ヴィスタと会話できるのは僕達だけです」
『会話』と聞いてサファイアは驚いたようだ。
「はっきりと言葉で聞こえるのですか?」
「そうですね。・・・最初は幼児のようでしたが、人型化してはしっかりとした言葉で会話できるように思います」
「人型!・・・そんな魔物が残っていたのですね」
「残っていた?」
ガリオンも興味津々だ。
その時馬車が小石を踏んだのか跳ねて、ガリオンが空中に浮いていたが壁にぶつかりそうになり抱き寄せた。
乳母の夫でありガリオンの面倒見係であるラウリーは自分がと申し出たが大丈夫だと断り、飛び出ていかない様にガリオンを抱きしめる。
「我々は元々あの辺一帯を治めていた民族でした」
「たしかロベルト様は2代目でしたね」
「はい。・・・これはブルーリアに残る伝承です。
魔物にはレベルがあるようで、高い者は人と対話が出来るのです」
以前ガリウスの師匠であるヴィンフリートも言っていたことだ。
「この辺りにはそういう魔物がいたという事ですか」
ヴィスタ級の魔物がたくさんいるという事実に息を飲んだ。
魔物がはびこっていた頃はどうやっていたのだろうか。
「この土地で我らが貴族となるよりも以前の話で、その頃は心を通わせるような者達がいておさめていたようです」
「そうなんですね」
「父上、ビーストテイマーなのですか?」
「僕達がヴィスタと話せるのはヴィスタが話そうとしてくれてるからじゃないのかな」
「でもヴィスタ、他の人と話さないです」
あの様子では話す気が無いように見えるが答えにくい言葉に苦笑を浮かべたが、ふと思い出した。
「そう言えば神獣は清らかな音色が心を通わせるとか」
「神獣?・・・あぁ・・・今ハイシアにいる魔物はカルガリアではそう言われていましたね。
清らかな音色・・・ですか・・・。それは解らないですが」
「そうか」
「ただ、その大型魔物であれば魔物を抑えるのに一役買えるかもしれません。
・・・シャリオン様が一匹ずつ良い聞かせるのは現実的ではないでしょうし」
どうやらサファイアの中ではシャリオンは魔物と話せる前提になっているようだ。
その話よりもヴィスタが魔物の凶暴化に一役を担えるというのは聞きたい。
「ヴィスタがどうすれば凶暴化した魔物を抑えられるんですか?」
そう尋ねながらゾルに伝えようにもこの空間にいないことを、思い出した思考共有でそのことを伝えた。
些細な情報でも共有しておきたい。
「誰が一番強いかというのを知らしめさせればいいのです」
「・・・うーん。ヒエラルキーか・・・。たしかに城から殆ど出ないからな」
「ヴィスタに領地を飛んでもらうのはどうですか??」
腕の中のガリオンが見上げてくる。
シャリオンがうーんと、悩んでいたがサファイアが「いい案かも知れません」と、肯定してくれた。
「でも、領民達が怖がらないか・・・。
それだけじゃなく訪れる人も大丈夫かな」
シャリオンもヴィスタを閉じ込めているような感覚があり自由に羽ばたいてくれたらと思う。
ヴィスタは領民からクレームが入った頃からこの城から殆ど出ない。
本人(?)には言っていないのだが・・・、ヴィンフリートの様に他の考えている声が聞こえるようになったのだろうか。
今その答えが出せないが、それよりも
ほかに道がないか模索しようとしているシャリオンにアドバイスをくれた。
「それならハイシアの紋章を体につけては如何ですか」
「一応元神獣だから・・・聞いてくれるかな」
「やはり気性が気難しいのですか」
「本人(?)は一応ハイシアとわかるようにはしたいとは言ってたけれど、目印をつけるのに対応してくれるかはわからない」
するとガリオンが得意げに応える。
「その説得、僕がします」
「リィンが?」
「はい!」
非公式の場で元気満々で応えるガリオンにサファイアも笑顔になる。
「とても愛らしいですわ」
「僕はかっこよくなりたいんです!」
ぷぅっと頬を膨らませるガリオンにサファイアと一緒に笑った。
「先日アシュリー様にもお会いしましたが。本当にしっかりしていらっしゃる」
その言葉に慌てたのはガリオンだ。
シャリオンも視線を下すとわたわたと言い始めた。
「!・・・あの日のアシュリー様と比べられると、・・・是非非公式な時にも会ってください」
天真爛漫なのは今だからだというガリオンにクスリと笑った。
それで思い出した。
「あぁ。そうだ。サファイア嬢。話は変わりますが・・・よろしいでしょうか」
「はい」
「リジェネ・フローラルはご存知ですか?」
「え?あぁ・・・はい。まぁ存じております」
「そこへ行ってみたいとは思いませんか?」
アシュリーのお願いを相談したかった。
サファイアは顔色を曇らせた。
「そうしたい気持ちはありますが、・・・一緒に参加できる友人がいないと申しますか。
私ではあそこは浮いてしまいます」
「女性であれば身分関係なく入れる場所です。だから気にせず来ていただきたいのですが、実はご一緒してもらいたい相手がいるのです」
「私に?・・・ですが私は行ったことがありませんので、ご案内できるかはわかりません」
「案内はこちらで準備しております。名はソフィア・ヘインズで準男爵なんですが」
ソフィア・ヘインズ準男爵。元赤蜘蛛の団員でクロエの双子の妹だ。男爵であるカストはファングスに人質にされ夫であるカストは実行犯をやらされていた。
その時に、通常であれば家は潰される予定だったが、家督をソフィアに継がせ、家も男爵から準男爵に下げられた。
生きている間は刑が終わらないだろうが、ある意味カストも被害者であり、温情の為にソフィアは貴族ではないが家は取り潰されていない。
とは言っても夜会などに出ることはなく与えられた小さな領地で細々と暮らしているようだ。
その彼女がリジェネ・フローラルに良く出入りしているとはガリウスに知らされるまで知らなかったことだ。
「私も貴族のお友達が出来るのは嬉しいです」
「あー・・・彼女が特殊で。・・・ファングスの事件に絡んでいた家と言って伝わりますでしょうか」
「・・・、・・・それは加害者側という意味でしょうか」
その視線が厳しくなる。
確かに加害者側である家に、シャリオンが関係しているのはおかしいだろう。
「加害者であり被害者です。彼女がとらわれていた為に、元男爵はファングスのいう事を聞かざるおえなかったのです」
「・・・そう言う事ですか。どういうことなのかわらからず混乱いたしました」
「申し訳ない。こちらも言葉足らずだった」
「いいえ。それでどちらの方とご一緒すれば」
「アシュリー様です」
「しかし、アシュリー様は・・・」
「こういうことです」
言って説明するよりも見せた方が良いと、ガリオンがシャリオンの腕から飛び立つとくるりと回る。
シャリオンの腕に収まらなくなったガリオンはまっすぐ立つと天井に頭がぶつかるほどの高さで腰をかがめている。
そこにはデビュタントくらいの青年が現れた。
「・・・、」
アシュリーとは違い大分大きいガリオンに驚いた。
もうガリウスそっくりで・・・。
アシュリーも勿論そっくりだが美しいの方が勝っていた。
しかし、ガリオンは頬が熱くなった。
だって、自分があまり接点がなかったころのガリウスだから。
「っ」
「父上?」
「シャリオン様?」
「な・・・なんでもない」
サッと顔を背けサファイアを見る。
「この様に魔法で成長して・・・アシュリー様も出られます」
「っ・・・えぇ。なるほど・・・。・・・お2人が魔法が得意だというのは理解していたはずなのですが・・・、目の当たりにするたびに驚いてしまいますね」
サファイアもガリオンの変身にとても驚いているようでまじまじと見ている。
「♪」
それから「ウォータル」の予定していた実験は成功で終わった。
後は魔力補填の魔力のタリスマンでどれくらい使えるかの、継続利用での試験だ。
それは他の技術者とサファイアに任せた。
本格的に商品化する目処がついて安心しながらハイシアに帰ってきた。
★★★
ハイシア城、執務室。
時は夕刻になる頃。
農作物の出来高総定数を聞き安心をしつつ、豊穣祭を盛り上げようと決意する。
それに重要なのは街道に出る魔物だ。
ハイシアだけには領地内の町や村にワープゲートを設置しているが、普段ではなく行事に関しては省かない者もいるはずだ。
また、これを観光のイベントとも考えており、警備を巡回させるのも考えている。
サファイアにヒントを得たヴィスタの力で鎮静化できるのか。
うーん。と、悩んでいるとゾルが助け舟を出してくれた。
「昼の情報は助かった。
ガリウスに確認すると魔物の生態に関してはヴィンフリート様が強いということで、ガリウス経由で確認したところその可能性はあると返答があった」
「ヴィンフリート様に?
そう。・・・出現や凶暴化にいたってはなんか聞いた?」
「街道に人の出入りがなくなった理由も一つあるそうだが、断定は出来ないそうだ。
関係があるかはわからないが、・・・死山に出現する魔物も凶暴化しているそうだ。
という事はワープゲートが出来人の移動がなくなったからというのはおかしいだろう?」
「確かにね。・・・、・・・まって・・・・受刑者は?!」
「陛下がそのあたりはちゃんとお考えだから安心しろ」
その言葉に安心するとゾルは意地悪げに笑った。
「あそこにはお前を苦しめた人間もいるだろうが」
「僕を苦しめたのはファングスやゾイドスだよ。
もう2人はこの世には・・・。あそこにいるのは孤児や女性達を苦しめた人間だ」
「そんな人間すらも心配するとはな」
「偽善だってわかってるよ。けど後味悪い」
そう言いつつもソフィアを思い浮かべる。
ファングスに加担したと刑を言い渡され死山で終身刑になった者達の中には、カストのような者いるはずで。
最後に彼は自分の厳罰よりもソフィアの安否ばかり気にしていた。
だからと言って他の誰かを不幸にして良い話ではないのだが。
「王太子が即位する暁には恩赦を願ったらどうだ」
「・・・ん」
そうしたいのは山々だが、それが正しいのかはシャリオンには判断がつかない。
黙っているとゾルは「そういう案もあるという事だ」と、言った。
「それで、『ウォータル』の事だが、ブルーリア伯爵のお陰で既に目をつけた領地から詳しい情報と金額の確認があった」
「そう。金額はみんなで決めようか。
僕が決めたらワープリングと同じ値段にしてしまうよ」
「・・・それは技術者達が気の毒だ」
「やっぱり安いんだ」
「当たり前だ。あの能力をベースにしてるのもあるんだ。より値段を上げるのは当然だ」
「僕も能力を安売りすることは考えてないけれど、適正価格なんてわからないよ。そういうのも勉強していかないとね」
と、笑いながら答えた。
これから他領地にも町や村に続くワープゲートを販売する予定もある。それはセレスが帰ってきてからになりそうだが。
領主としての仕事を終わらして、王都に行く前にガリオンの所に顔を出した。
昼間の2・3時間はシャリオンと一緒にブルーリアに行っていた為、今日は帰ってきてから授業を受けていたようで、ちょうど勉強が終わった。
教師に会釈をされ返した後、ガリオンに視線を向ければシャリオンに気づきパァと表情が喜んだ。
「部屋に戻ろうか」
「はい!」
勉強部屋からガリオンの部屋に戻りながら話す。
部屋に戻るまでに今日の話の感想を聞いて居ると、我が子ながら行動が本当に素早かった。
「ヴィスタ、エンブレムを付けてくれるそうです!」
得意げにカートの中からガリオンが言う。
「それでもう手配してあります」
「!・・・そう」
褒めて!と言うようなガリオンに足を止めると、カートの中のガリオンの頬撫でた。
「偉いね。リィン。ありがとう」
「えへへ」
「どんな風にお願いしたの?どんなのだったらつけてくれるって?」
「翼と兜、脚の甲にハイシアのエムブレムをはめ込んだ物を付けてもらう事になりました」
「へぇ・・・翼って飛びにくくないのかな」
「文句言ってました」
ふふふんとニヤニヤするガリオン。
それでも頷かせたとは流石である。
「ヴィスタには悪いけれどね。これがうまく行ったらヴィスタの言う『ガーディアン』らしくなるんじゃないかな」
「!・・・思いつきませんでした」
「そういうつもりじゃなかったんだ?」
「自由に飛べるって言いました。退屈そうだったので丁度いいと思います」
なんて言うけれどガリオンの優しさを感じる。
「明日お礼を言っておこう」
「僕ももう一度言います」
満面の笑みで言うガリオンをもう一度撫でた。
それから、ガリオンに夜の挨拶をすると。シャリオンは王都のハイシアの屋敷へと戻った。
★★★
その日の夜。
王都にあるハイシアの屋敷でジャスミンからの衣装が仕上がったという知らせにお礼を書いた。
今日、サファイアにお願いをしたのは、勿論実験の為に会う事もあったが、リジェネ・フローラルに着ていく服が仕上がったからだ。ジャスミンにはアシュリーとアリア様に作ってもらう依頼をしていた。
気取り過ぎずにあの場で浮かない洋装だ。
そう言えばサファイアは大丈夫だろうか?一応アクセサリーや小物も一緒に手配してもらおうと思うが、ジャスミンならそこらへん任せて大丈夫な人材だ。
最後まで書ききると、ハイシアの印で閉じると明日ゾルに渡す準備を整えた。
暫くしてガリウスが帰ってきた。
帰宅を喜びハグしあうと、シャリオンも仕事を片付け2人の時間だ。
使用人に軽食の準備をお願いした後、沐浴後にはそれが整えられていた。
準備されたソファーを視界に移しつつ、ガリウスの疲れた容態が気になる。
余程疲れているいるのか少々表情が曇っていた。
部屋に戻ってきたときは特にそんな様子には見えなかったのだが。
「今日はもう休んで」
「・・・シャリオンは?」
「僕はもう少しやることがあるから」
準備してもらったものを手を付けないまま下げるのは気が引けた。
実際仕事はいくらでもあるのでそう言うとガリウスは首を振る。
「私も起きています」
「大丈夫。すぐ終わるから」
疲れているのに無理をさせるわけには行かなくて、そう言ったのだが頑なに首を振るガリウス。
「嫌です」
「・・・ガリウス・・・」
まるで駄々っ子の様。・・・寝ないなら飲ませて寝かせてしまおう。
ソファーに掛けるとガリウスはシャリオンの『やる事』に気が付いたのか隣に掛けた。
そして、準備してもらったワインを開けるとシャリオンにグラスを渡し注いでくれる。
ルビー色の液体が満たされていく。
同じようにガリウスにも返した。
今日一日を感謝しながら乾杯をしグラスに口を付ける。
「今日はとても疲れたみたいだね。お疲れ様」
「いいえ。・・・アシュリーに比べれば私の方は慣れたものですよ」
確かに王族となるアシュリーは覚えることはたくさんだ。
「そうだよね。・・・今日は元気だった?」
「えぇ。今日も元気いっぱいでしたよ」
その言葉にホッとするシャリオン。
しかし、黙ってしまったガリウスに寝てしまったのだろうか?と見上げる。
「どうかした?」
「・・・シャリオンは子供が好きなのですか?」
「え」
「アシュリーやガリオンという事ではなく。・・・若い人が好きなんですか」
「え???」
意味が解らずに聞き返したが、ガリウスはシャリオンに視線を合わせた後に一気に酒を飲んでグラスをテーブルに置いた。
それを見ていて視線を外した時だ。
「若い男が好きなんですか」
もう一度同じことを聞かれた。
しかしそれはいつもより少しキーの高い声だった。
「!?」
そこには、今のガリウスよりも断然若いガリウス。
ガリウスと出会った頃だ。
「・・・ガリウス・・・?」
「はい」
ガリオンを見て似ていると思ったが、ガリウスの姿に目が釘付けになる。
身長も今よりも低くて、・・・あの頃のガリウスだ。
今よりも柔らかそうなプラチナの髪、宝石のようなアメジスト。
顔は丸みを帯びていて幼さがある。
今のガリウスは当然愛しているが、なんでこの頃のガリウスを自分は好きにならなかったのだろうか?と、シャリオンに婚約者がいたことを忘れて、そんなことを思ってしまった。
「・・・カッコいい」
「ありがとうございます」
「可愛さもあるけれど」
いつもよりも視線が低いガリウスの頬を撫でる。
「ふふっ・・・このくらいの頃なら、僕と同じくらいの目の高さなんだね」
座った状態だが同じ目線になったガリウスに嬉しくなってクスクスと笑う。
シャリオンの手に手を重ねると、嬉しそうなシャリオンにガリウスもクスリと微笑む。
しかし、すぐに表情は硬くなる。
「やはり・・・若い方が良いのですね」
「へ?」
思ってもみないことを言われてガリウスを見れば拗ねた様にむっすりとしている。
若い姿になったの同時に幼くなったという事なのだろうか。
そんなことを思っているとソファーに押し倒された。
「っん」
少し強引で驚いて見上げる。
なんだかどきどきしてしまい、視線を逸らした。
「・・・ガリィだからだよ・・・」
「・・・」
「どうやったって昔には戻れないから・・・だから、目のまえに居て・・・どきどきしないわけないでしょう」
「・・・。ですが・・・今日、リィンにときめきましたね」
「え」
じぃっと見られ言われた内容を反芻しながら噴き出してしまった。
「あはっ・・・でもいつリィンに聞いたの?というか・・・リィンに気付かれちゃったか」
「・・・」
「ガリィに似ててこんな感じだったのかなって想像しちゃったんだ」
苦笑を浮かべてそう言うがガリウスはジッとこちらを見てくる。
表情はむっすりしているが不安が伝わってくるようだ。
自分の子供に愛しいという感情はあるが、それはガリウスに向けるような愛情とは別の物なのは当然だと思うのだが。
再び頬を撫でた後。少し起き上がり唇にチュッと口づけ、唇に食み付ながらペロリとガリウスの唇を舐める。
するとうっすらと開く唇にちゅうっと吸い付いた。
唇が重なると舌を差し込みガリウスの舌を探しつつくと舌を絡めた。
なんだか、肌に触れた感じだけでなく舌の感じも違くて、昔のガリウスとキスしている気分に陥ってくる。
「っ・・・はっ」
「・・・、」
「・・・ガリィにだけ・・・こんな事するのは」
弾む息を耐えながらそう言うとガリウスの機嫌は少し上昇したようだ。
「・・・なんか・・・いけないことをしている気分だ・・・」
「・・・。いけないこと?・・・どんなことですか?教えて下さい。シャリオン」
そう言って微笑む目も楽し気だ。
ガウンの紐を引きバスローブをはだけさせ、シャリオンの手を取ると隙間から自分の肌に触れさせた。
「っ・・・」
「まだ成人したばかりの私に・・・どんなことを教えてくれるのか・・・楽しみです」
確かに見た目はそうなのかもしれないが、この余裕はそんなことを微塵にも感じさせない。それは当然なのだが・・・。
ガリウスにシャリオンは息を飲んだ。
「・・・今日は・・・触って下さらないんですか?」
「っ・・・そのくらいの歳の子は・・・そんな・・・ふしだらな・・・顔しないっ」
真っ赤なシャリオンにクスリと笑った。
少なくともガリウスは当時だってこんな関係であったなら、シャリオンには見せていたがそれは言わないでおく。
「では・・・やめておきますか」
「!・・・やめるの・・・?」
「シャリオンが罪の意識にさいなまれるなら、やめておきましょう」
「っ・・・そんなことは・・・言ってないよ。・・・あの頃のガリィはそんな意地悪言わなかった」
シャリオンに好かれたくて意地悪な事など言った事などない。むしろあれこれやりすぎ出来る男過ぎて嫉妬していた。
「あの頃は貴方の前では猫かぶっていたので」
「ふふふ」
「・・・。一つ分かったことがあります」
「?なに?」
「・・・子供だと遠慮していますね」
「・・・、そう言うわけではないんだけど」
シャリオンの返答に怪訝そうにみてくる。
「頭ではわかっているしドキドキしているのだけど、なんだか違う人としているみたいに気分になっちゃって」
触りたいけれど触れないそんな気持ち。自然とブレーキがかかってしまうのかも知れない。
「・・・、フっ」
驚いた後に吹き出すガリウス。
真面目である。
「私ならどんな姿になったとしても貴方を愛しています」
「ぼ、僕だって。
けど、今と違うから・・・若いガリウスも愛したかったし、嬉しいのだけど」
「嬉しいです」
「?」
続けられた言葉は予想に反していて、シャリオンは驚き見つめる。
すると、ガリウスは今度はシャリオンを脱がしにかかる。
その間もジッとシャリオンの反応を見られた。
シャリオンを脱がした後にガリウスのバスローブを脱ぎ捨てると本当に照れている様子に、ガリウスは興奮していった。
見せつけるように自分の裸体をさらしてくる。
「っ」
困惑しているシャリオンをよそにガリウスが首筋に口付けはじめ、楽し気に体中に唇を這わせ全身に口づける。
「んっ・・・は・・・ぁっ」
甘い吐息が漏れて身を捩らせたが、それを元に戻そうとしているのか体を撫でられビクついた。
するとガリウスが上半身を起こすと立ち膝のまま自分の猛ったモノを見せつけるように2・3度扱き、こちらを見てくる。
起き上がったガリウスを追う様にシャリオンも起き上がると、目の前にあるガリウスのモノをまじまじと見つめてしまった。思わず息を飲みつつちらりと見上げる。
「さ・・・触ってもいい・・・?」
自分でもいかがわしいことを聞いていると解っている。
しかし、触りたいと思ったら止まらなかった。
「えぇ。勿論」
どきどきとしながら触り扱いた。
なんだか、今のガリウスとは違い色も形も違うような気がする。
今よりも凶暴そうな雰囲気はなく、そっと握りるとシャリオンの手の中でぴくんと動いた。
ゆるりと扱くと熱くて硬い。
先っぽから根本に向かって何度か扱くうちに先端にとろりと溢れる蜜にシャリオンも嬉しくなってしまう。
その先端にちゅっと吸い付きながら口づける。
またぴくんと動く。
なんだか愛おしくて、ガリウスのモノに口づけるのが暫く続いた。
浮き上がった血管すらにも興奮してちろちろと舐め始める。
ガリウスのしてくれることを思い出しながら、舐めているとお腹の奥がキュンキュンしてくる。
けれど、今は奉仕したくて夢中になっていった。
そして髪をすくようになでられて、ガリウスの視線に気づく。
「っ」
幼いガリウスがシャリオンがする様子をうっとりしながらこちらを見ているではないか。
「っぁ」
唾液で汚れた口元を親指で拭われ、ちゅぷりと親指を突っ込まれた。
「ふふふ・・・幼い私を犯している気分にでもなりましたか?」
「っ!」
見透かされたようでカァっと熱くなった。
「そうですねぇ・・・。シャリオンは年上で、・・・年下の私にイケナイ遊びを教えてるようなイメージでしょうか」
そんな風に改めて言われてしまうとイメージが固まってしまうではないか。
いつもとは逆のそんなシチュエーションにドキドキした。
それからガリウスがソファーに寝そべると、その上にシャリオンを四つん這いにさせた。
シャリオンはガリウスの陰茎を奉仕しガリウスはシャリオンの尻を撫でた。
「では、シャリオン。・・・どうやってするか教えて下さい」
「っ!」
また恥ずかしいことを言い出したガリウス。
それに羞恥を感じながらも、いやらしいことに抗う事ができなかった。
「・・・っ・・・こう、・・・するの」
反り立つガリウスのモノにちゅっと口付けた。
先ほどしていた奉仕ですでに熱くなったペニスはすでに弾けそうなほどそそり立っている。
ちゅぅっと吸い付くと、ガリウスも同じ様にする。
それだけで、ガリウスに快楽を植え付けられた体は簡単に思い出し期待した。
だがシャリオンが感じられるのは陰茎だけではない。
何時も愛されているあそこが疼きだす。
ガリウスの指や舌を期待して、シャリオンの穴がひくつくのが解る。
それが見られていると思うと余計に興奮した。
それをごまかす様にガリウスに奉仕をするが、それは結果シャリオンの余裕を消し去っていった。
「ぁっ・・・ふぅっ・・・んあっぁつ・・・んんっっ」
喘ぎが止まらなくなっていき、腰が動いてしまう。
恥ずかしいのに止まらない。
「っ・・・が・・・りぃっ」
「・・・、・・・なんですか?」
「っ・・・ほ・・・ぐし・・・っ・・て」
消え入りそうな声で『ほぐして』と強請るシャリオンの頬尻に口づけられた。
「どこをですか?」
熱のこもった吐息にぞくりとする。
シャリオンは周知のあまり震えながら、後ろに手を伸ばし尻の穴を広げるように指を動かす。
「っ・・・こ・・・こっ」
思わず自分でほぐし核を入れ強請った初夜を思い出してしまう。
あの頃はそれで欲しいモノをくれたガリウスだったが、今はガリウスはシャリオンが指で触れているところをなぞるだけだ。
焦れたシャリオンは中心に指を押し込んで示そうとすると、べろっと舐められる。
「!ひぃぅっっ」
「・・・ここをほぐして欲しかったのですね」
「んっぅんっ・・・ぅんっ」
こくこくと頷きながら、指が止まらなくなった。
自分の指とガリウスの舌でほぐし広げている事実に震えた。
「あつく・・・うねってますね」
「・・・っ」
次第にガリウスの指も加わり広がったった頃には、ガリウスの胸に大量の先走りで濡らすほどだった。
ガリウスの指を抜かれると期待で体を震わせながら、ガリウスを待つが動いてくれないガリウス。
シャリオンはへたり込みそうな体を起こし、ガリウスの上に四つん這いになった。
「・・・入れるよ」
「えぇ」
熱っぽい視線を浴びながら、ガリウスのモノにそえながらゆっくりと腰を下ろしていく。
「ぁっ・・・んっ」
ずずずっと入ってくるそれを途中で止まらずにうまく入れられたことに、シャリオンは喜びを感じた。
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
「・・・はぁ」
熱っぽいガリウスの吐息に、熱くなる。
幼いガリウスにちゅっと唇を重ねた。
なんだか、自分が頑張らねばという気分にさせる。
「大丈夫・・・?・・・動いても、いい?」
「っ・・・っ・・・はい」
「痛かったら・・・言ってね」
ガリウスをいたわりながら一度腰を回し、ガリウスの両手に指を絡め腰を動かし始めるシャリオン。
ガリウスは目の前のシャリオンが腰を振り蜜を飛ばし淫らに踊る様に、ガリウスは動かない様にするのが大変だった。
おまけに今日は体中にガリウスの独占欲であるキスマークが花びらの様に散っている。
「ぁっ・・・・んっ・・・ふぁっ」
「・・・どこが・・・気持ちいいのですか?」
「っ・・・こ・・・こぉっ」
雰囲気にのまれたシャリオンは幼いガリウスに素直に応えてくれる。
ぱちゅんぱちゅんと音を響かせ動くシャリオンに、ガリウス耐えきれず腰を突き上げる。
「ここ、」
「んぁぁぁっ」
「ですか?」
「っ・・・~~っ」
するとその刺激で逝ってしまったのかガリウスの胸にピシャっと吐精する。
それからガリウスはがつがつとそこを突き上げれば、シャリオンは自ら動くのをやめガリウスに与えられる快感に悶えた。
「ぁっ!ああぁぁっんっ・・・んっぅっ・・・い・・・いったぁっ」
「えぇ・・・逝きましたね・・・・」
「っ・・・んっ・・・ぁっ・・・ぁっ・・・ああぁっ・・・またぁっ・・・またきちゃうっ」
「良いですよ・・・一緒に行きましょう」
「!!っ・・・やぁっ・・・またぁっ・・・びりびり・・・・っ・・・ひぃあぁっぁっ」
そう悶えるシャリオンの手を離すと細い腰を掴むと思い切り突き上げるガリウスに、シャリオンが我慢できるわけがなかった。
「っ~~・・・・!!」
突かれるたびにぴしゃぴしゃと精をこぼしながら、今宵もシャリオンはたまらない快感に絶頂を味わうのだった。
┬┬┬
ガリウスは時間を戻せるわけではないです。
年齢に会わせて色とかかたちを補正しただけです。陰茎も少し小さめ。
1人でうまくできたと喜んでいるシャリオンを愛でています。
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