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執着旦那と愛の子作り&子育て編

僕も慣れてたみたい。①

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セレスの魔力を元に戻すためヴィンフリートの棲み処へと向かった一行。
ガリウスが言うにはいう前からわかっていたようだったが、まだ準備が終わっていないという。
その間、ガリウスとセレスは子供達に強い魔術師に会った時の対処法や、修行をしてくるようにと外に出されてしまう。
それは建前で騒ぐ輩に外に追い出しただけだ。

シャリオンはこの外では即刻死につながるような凶悪な魔物がはびこる為外には出されることはなかったが、代わりに準備を手伝うように言われた。
もうほとんど終わっているというヴィンフリートに連れられて行ったのは天井付近までそびえる棚が並んだ部屋だった。重力を感じない不思議な籠に、たわいもない話をしながら言われた物を次々と入れていった。

その時に見つけたリラックスの効果があるという薬をご馳走してもらえることになった。
薬と言ってもお茶に数滴たらしていただくもので、そうして始まったお茶会だったのだが。
しばらくすると突如体の熱くなったシャリオン。
ヴィンフリートに言われた瓶ではない瓶を取ってしまったようで、その中身は媚薬だった。
それからの記憶はガリウスに導かれて自身に魔法を掛けるまでは、あまり記憶がない。
ただひたすらにガリウスが欲しいという事だけ覚えている。

そんなわけで愛し合う事になったのだが。
シャリオンが目を覚ましたのは朝日が昇る少し前。
あたりはまだ暗い中、シャリオンは目を覚ました。

「ん・・・」

まだ寝てていいと甘やかす様に撫でてくれるガリウスの手にすり寄る。
このまま寝てしまいたいが何かを忘れている気がする。
眠い中うっすらと目を開けると、優し気にアメジストの瞳が揺れている。

「まだ寝ていて大丈夫ですよ」
「・・・ん」

その撫でてくれる手と同じようにそう言ってくれるガリウス。
反動的に返事をしてしまうが、うとうととする思考の中で子供達やセレスを思い出し一気に覚醒した。

「・・・、・・・てっ・・・駄目だよっ」

甘やかすガリウスにシャリオンは勢いよく体を起き上がらせた。
そんな様子のシャリオンにくすりと笑みを浮かべた。

「どうせ昨日は準備をしてもセレスの魔力を元に戻すことはしませんでした。
それに今行ってもセレス達は休んでいるでしょう」
「っ・・・確かに。・・・こんな時間では逆にヴィンフリート様にご迷惑をかけてしまうね」

慌ててベッドから出ようとしたが、そう言われて改めてそうだと気付くと小さくため息を吐いた。

「あの方は休まないので大丈夫ですよ」
「そう・・・なの?」
「はい。ですがセレス達は休ませているでしょうから」

偉大なる魔法使いともなると寝ないということも出来るのだろうか。
そもそもヴィンフリートが『魔法使い』という枠組みに入るか難しい所ではあるが、ガリウスからそう言われたシャリオンはそんな魔法があるのだろうとくらいにしか思わなかった。
ヴィンフリートは休まない今から行ってセレスを起こすのも悪い。
かといって覚めてしまった頭はもう寝るのは難しい。
ガリウスも起きるというので、2人はそろってガウンを羽織ると隣の部屋に移る。
すると、こんな時間でも屋敷の者達は静かに訪れてお茶を出された。
それを2人でいただきながら、シャリオンは相変わらずホッとするお茶に心を落ち着けながらも、昨日のことを謝った。

「あの、・・・昨日は・・・ごめんね」
「シャリオンのせいではありませんよ。あの方がしっかりと最後まで確かめないのがいけないのです」

相変わらずヴィンフリートに厳しいガリウスにシャリオンは苦笑を浮かべた。
ちゃんと言われた筈のものを取ったと思ったのだがよりにもよって媚薬を取ってしまうとは。
しかしながら即死の毒でなくて本当に良かった。
それから2人は朝日が出るまではゆっくりと過ごし、身支度をすると屋敷の者達に明日の夜には戻ることを伝え屋敷を出た。

・・・
・・



死山にあるヴィンフリートの住処に戻ると、ヴィンフリートにはたいそう心配され謝られる。
その様子にガリウスは不愉快そうだったが子供達の手前なのかそれ以上は追及しなかった。
ヴィンフリートはついに呆けボケが生じてきたのかもしれないと少し落ち込み気味にそう呟き、そしてガリウスに教えるので術士を代われと言いだした。
ガリウスは躊躇なくそれを断ったが、セレスまでもがガリウスにして欲しいとい訴えてきて、それは2人がいない間に何かあったのだとシャリオンも気づいた。
ガリウスは無言でヴィンフリートに訴えていたが、そこでシャリオンの『ガリィ、そんなことも出来るの?』の一声でやることを応諾しギスギスした空気はようやく収まった。

魔法はここで掛けるのかと思ったのだが、別の部屋で行うらしくその部屋に案内された。
連れて来られたのは部屋と言うには広い空間。
自分達がいるところは薄暗くがろうじて見える互いの顔だけ。
部屋の床は漆黒で足を踏み入れるのも戸惑う黒さだった。
そして、入ったところを中心に円形に紫の炎がともされていった。
シャリオンにはそれが何かわからなかったが、高度な技術で掻かれた術式である。
好奇心旺盛ではあるが、先日のように安全に守られたゴーレムの中とは違い無邪気に楽しめる空気ではない。

「離れないでくださいね」
「うん」

本当は子供達も連れてきてくはなかったが、ヴィンフリートが危険なことはないと約束してくれたのなら、2人の才能を考えれば良い機会だ。
すると、人生の長さからシャリオンが隠している不安などお見通しなのかヴィンフリートが柔らかく微笑む。

「大丈夫じゃ。・・・ガリウスの傍から離れなくて良い」
「はい」

ガリウスもヴィンフリートも。そしてセレスさえもシャリオンを安心させるように声をかけてくれる。
子供達は乳母の腕から『ちちうえのところにいくー!』と言っているが、事前にガリウスから止められている所為か乳母は2人をしっかりと抱いていてシャリオンの元へ来れる様子はないが、それでもシャリオンを安心させるように声をかけてくれる子供達。
しっかりとせねば。

ガリウスの隣でセレスの前に立つと、彼はゆっくりと目を閉じた。

最近感じるようになったガリウスの魔力が周りに集まってくる。
子供達に教えていたような魔法とは違い、長い文言を唱えるとセレスの足元に紫色の光で線が引かれていく。






シャリオンはただ無事に終わることを願った。


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