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執着旦那と愛の子作り&子育て編
お迎えありがとう。
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カルガリア城の馬車着き場に止まる。
エントランスにはレオンが来ているとゾルに知らされていた。
部屋で待つのも耐えられず、無事に戻っている知らせを聞いた時は、王都から迎えに行くと言ったのを止めるのが大変だったらしい。
そんなレオンは外まで来ており、馬車の扉が開いた瞬間から目が合ったのだが、心配をかけてしまったのが分かる。
眉にしわを寄せているのに、口元には無理やりにでも笑みを浮かべようとしているのが分かる。
「父上・・・」
そんなレオンを見てすぐさま降りると謝罪を述べようと思ったのだがレオンに抱き締められた。
痛い程抱き締められるがシャリオンにはそれを解けなかった。
成人をしたというのに、何度こうしてレオン達に心配をかけてしまうのだろうか。
ガリウスを迎えに行ったことに後悔はないのに、シャリオンが無理をすると必ず2人に心配をかけてしまう。
すると、シャリオンが解けない腕はガリウスによって解かれる。
外したのが嫉妬したガリウスだとわかっていたらしく厳しい睨視でガリウスを見たが、ため息をついた後ニッと笑った。
「よく無事に戻った」
「ご迷惑をお掛けし申し訳ありません」
「あの状況では誰だって回避ができなかっただろう。
いや。お前なら出来たはずだが・・・。
しかし、それによって面倒事も片付いた」
難しい表情をしたままにレオンの褒める言葉にガリウスはこくりと頷いた。
予定通りここからシャリオンを危険にさらせたお小言が続くのだろう。と、ガリウスはそう思っていた。
「そんな事よりもだ。
お前は私の義理息子になったと言う自覚がない」
「・・・その所為でシャリオンを危険な目に」
そう言った途端レオンの目が吊り上がる。
「誰もそんな事は話して居ないだろう!
お前が攫われて心配しない訳が無いだろうが!!」
シャリオンを叱る時よりも咆哮が強い。
隣にいるシャリオンもびくついてしまうが、レオンはそんなことを口走るガリウスにブチ切れており気付いていなかった。
ガリウスの方は以前もこの調子で叱られたことを今思い出していた。
「大体お前はシャリオンの事になると暴走しすぎだ!
常に冷静沈着なお前が、何故そん風になるのだ。
思考共有が出来ているうちにもっとこまめにゾルと連絡を取るのを怠りおって・・・。
それに何故転移の魔法石を常にもってないのだ!」
「例の件が丁度いいタイミングと状況だと思ったので」
ガリウスがそう言うと、レオンは何か言おうとしたが一理あると思ったのか押し黙った。
そして、落ち着くために小さくため息をつく。
「レオン様。そろそろお部屋に向かわれては」
未だに馬車前でアルアディアの言葉だとは言えそんな大声で怒鳴りつけるのはアルアディアの恥である。
来賓に口出しをするようなものはいないだろうが、他人に見せるようなことではない。
ゾルのナイスな言葉にガリウスは内心褒めながらあたりを見渡す。
しかし。
「問題ない。今この城で文句を言えるものは誰一人居ない」
そう言い切ったレオンは一体何をしたのだろうか。
今回のことを考えると6・7割くらいでしっかりとした段取りをとらなかったこちらに非があるというのに、レオンの手腕に驚いてしまう。
シャリオンだったら罪悪感でこちらが不利になりそうな気しかいない。
「しかし、長旅でシャリオンは疲れただろう。
今宵は一泊するが明日にはもう発つ。
今日はゆっくり休め。
・・・それと、ライガー」
逃れたと思っていたライガーだったが、呼ばれてびくりとする。
敬称なしで呼ばれたのは随分久しいのはあるが、その表情と声色は大変怒っている。
「後で部屋に来るように」
「っ・・・」
「シャリオンやガリウスに助けを求めても無駄だ」
視線が2人に向かったのは余計に、火に油を注いでしまったらしい。
「ち、父上。
今回ライが居なかったらきっともっと時間が掛かっていたと思います」
「その通りです。私達が魔力の枯渇で動かない間、ライガー様が担って頂けたおかげで早く帰国出来るのです」
そう言うとレオンの眉間のシワが深くなる。
「2人が気を使うのもよくわかるがな。
・・・しかし、これは言っておかねばならぬのだ。
殿下も疲れて居るだろうから長引かせはしない」
その言葉にホッとするシャリオン。
「ありがとうございます。父上」
そう言うとレオンは笑顔になったが、それも一瞬だ。
「シャリオンは帰ってからシャーリーに叱ってもらえ」
「父様に・・・?」
「私では甘くなってしまうからな。
アンジェリーン様にも頼んであるから安心しろ」
シャーリーには泣かれ、アンジェリーンは烈火の如く起こるのが目に見える。
全く安心できないのだがそれも自分が撒いた種だ。
「それと厳しい罰もある」
それも覚悟をしていたことだ。
原因はキュリアスだとしても、貴族としてあるまじき行為だったと理解している。
とられ方によっては他国への侵略と取られても仕方がないと冷静になった今では思う。
領地の一部没収や罰金もあるだろうとわかっている。
しかし、それでも動いたことに後悔はない。
領民は大切だが、領地を取り上げられても領民にとっては、領主が変わってもそれほど暮らしは変わらないだろう。
・・・領主としてあり得ないかもしれないが、シャリオンもガリウスがいない世界なんて想像したくない。
「どんな事でもお受けいたします」
「・・・本当に厳しいものだぞ。以前の謹慎とは比ではない」
躊躇なく言ったシャリオンにレオンは眉をひそめた。
以前の謹慎は罰ではなくシャリオンにとっては褒美であるから当然であり、シャリオンは苦笑を浮かべた。
「国に危険を及ぼすようなことをしたのです。理解をしています」
「シャリオンが1番嫌がる事だ。
しかし、今回のことで私はお前たちを庇い立て出来ない」
「・・・はい」
「・・・大丈夫だ。変化は少しだけ。他は何も変わらん」
「・・・?・・・はい」
それだけ言うと、レオンは城に入って行く。
その背中を見ながら今言われた言葉の意味が分からず首を捻るシャリオンだった。
・・・
・・
・
国王陛下であるシオドリックに挨拶と謝罪を述べた。
既に知らせてはあるが、今回のことを包み隠さず伝えると、逆に感謝を述べられた。
神獣を逃がしてしまう結果になったのだが、キュリアスだけを特別に扱うことに意義を唱える貴族もいたらしい。
しかし、国として多くの来訪者はそれだけで金になる。
それ故に強くは言えなかったのだが、今回のことでキュリアスはただの村へとなるそうだ。
変わらずにドラゴンを信仰はするが、それはヴィスタをというわけではなく聖典に沿ってのことだ。
『神獣は優しき心を持った人間に導かれ世界に飛び立っていった。
キュリアスは神獣の妨げることは不本意であり、これからは全世界でその姿を目にすることがあるだろう。
しかし、それは神獣は世界を見守るための行為であり何人たりとも手を出してはいけない。
さもなければこの世界は終焉を迎えるだろう』
という声明を出すそうだ。
ヴィスタに手を出させないための脅し文句である。
人間が神獣を見捨てたわけでも、神獣が人間を見捨てたわけでもないことを、周知する必要がある。
それだけヴィスタは神獣として全世界にあがめられていて、突然キュリアスを飛び出したという事実は信者達の不安を煽るらしい。
相変わらず良くわからないが、それで纏まるならそれで良い。
全てのことがうまく行ってシャリオンはホッと胸を撫でおろす。
本当に長い道のりであった。
子供達にもようやく会えることに胸を弾ませる。
セレスは目を覚ましただろうか?
そんな事を思いながらカルガリアを発った。
☆☆☆
アルアディア最南端の町に着いた。
そこからはワープゲートを使いあっと言う間だ。
ここは一番に子供達に会いに行きたいが、まずは陛下への謝罪と報告が先だろうか。
そんなことを考えていたのだがなんだか騒々しい。
なお、レオンとライガーは別の馬車で、彼らも同じように足止めを食らっているようだ。
「どうしたんだろう」
人だかりはワープゲートを中心に起きているようだ。
シャリオンが指示をする前にウルフ家の者達が状況を確かめにそちらに向かった。
すぐさま帰ってくるとどうやら、ワープゲートは現在点検中だそうだということが知らされる。
そんな事あるなんて知らなかった。
もしかしたら国に所属する魔術師たちが行ってくれているのだろうか?
セレスと共に各地に設置をしたのは彼らだ。
こんな時、いつもだったらガリウスが頼るのだが解放されて帰還したばかりで聞けないと思っていたのだが。
ドアのノックにゾルは訝し気に眉を顰めた。
「開けてください」
「・・・」
ガリウスの指示に不満げにしながらもゾルは扉を開ける。
扉の外には短髪でネイビの髪色をした見覚えのある女性が立っていた。
ガリウスはシャリオンに断りを入れると馬車を降り、彼女から何か報告受けているようだった。
ウルフ家の者たちはハイシア家の者にしか従わない。
それでもガリウスには従っている方だと思うのだが、別の使いがいるようだ。
宰相の側近以外にそんな風に人を動かしているところは見たことがなくて、つい視線で追ってしまったのだがそれに気づかれてしまったようだ。
女性はこちらに気が付くと真剣な表情が一転しにこりと笑みを浮かべた。
そして会釈をしてくる。
「おかえりなさいませ。シャリオン様。ご無事に戻られたこと、心よりお慶び申し上げます」
「ありがとうございます。・・・名前をうかがっても?」
「アリアの手の者のビルギットと申します。私は平民ですのでどうぞお気になさらずに」
「アリア・・・?ハドリー領にいる?」
「はい」
一瞬懐かしさが沸いて尋ねようとしたのだが、それをガリウスが止める。
「シャリオン。後で詳しく説明しますので彼女を行かせてもよろしいでしょうか」
「うん。わかった。ビルギット。気を付けて。あとアリアにもよろしく伝えてほしい」
「ありがとうございます。承知いたしました。では失礼いたします」
そういうと笑顔を浮かべながらビルギットは去っていった。
『アリアの手の者』という事なら赤蜘蛛の者達であろう。
だから見覚えがあるのも納得できる。
ふと見上げればガリウスの表情がシャリオンを探るように見ている。
『後で説明をする』で、どのように説明をするか考えているのだろう。
少し前のシャリオンならば隠されることに確実に不安に思っていた。
しかし、離れ離れになり再会をした今。
ガリウスの隠し事を些細なことに感じるようになった。
元よりガリウスが隠し事をするときはシャリオンを思ってのこと。
またアリアから何も言ってこないという事は、彼女達が拒否をするようなことをしていないという事だ。
先ほどの振る舞いを見ても、無理やりさせられているというところは見られなかった。
「諜報でもしてもらっているのかな?・・・あまり無理をさせないようにね」
シャリオンの言葉に少し驚いた様にした後、信頼した眼差しに困ったように苦笑を浮かべた。
ガリウスとしては不安にさせない為になんでもするし手段も選ばない。
危険なことやシャリオンに知られて困ることは、知られないために最大限に注意を払う。
信頼されることに喜びを感じるが、同時に罪悪感も沸いてしまう。
だが、この信頼と笑顔を守るためにこれから先もガリウスがすることは同じである。
「勿論です。命最大優先とは伝えてありますし、依頼を引き受けるかどうかは彼女達次第です」
実際のところ無理をしているのは彼女達だ。
依頼内容が全てシャリオンの為になる事に、全力を尽くさないわけがないのだ。
ガリウスはシャリオンにそう答えつつ、より一層彼女達には慎重に行動するように言わなければならないと思っていた。
「それであれが何かわかったの?」
このタイミングで来たのだ。
それを訪ねれば馬車に再び乗り込んだガリウスは教えてくれた。
ゾルが珍しく興味があるようでガリウスに視線を向けている。
「ゾル達の知らせと同じです。ただ普段の魔術師とは別であるそうです」
「いつもと違う魔術師・・・?配置換えかな」
「それもあるかもしれません。それとこのタイミングで迎えにきたと思われるミクラーシュ様がいらっしゃるようです」
謹慎明けもミクラーシュが来てくれたが、今回も来てくれたのだろうか。
彼は洗脳を解いたことに恩義を感じてくれているのだろう。
それ故かもしれないが迎えに来てくれたことは悪いと思いつつも嬉しく感じる。
「わざわざ迎えに来てくれたんだ。・・・ミクラーシュも忙しいだろうに」
経緯がどうであれ、もとに戻ったミクラーシュとは仲良くやっていきたいと思っている。
彼がルークを愛していてそれが洗脳をより厄介なものに強めたので、対応には気を付けるつもりだがルークは幼馴染だ。
自分は次期公爵で相手は王太子という立場なため、そんな頻度で会えるわけではないがミクラーシュが気にするならシャリオンはルークに会わないように配慮するだろう。
しかし、それは幼馴染としてさみしいものだ。
「ルー達にはちゃんと言ってきたのかな」
「言ってないようですね」
「そうなの?
んー・・・まぁミクラーシュは動きを制限されているわけじゃないんだろうけれど。
最南端まで来てしまって・・・ちゃんと護衛つけてるかな」
「どうでしょう」
騎士団の知り合いはいるようなので、せめて彼らを連れてきてほしいものだ。
「見つけたら一緒に帰ろうか。
・・・ところでお城にも彼女達いるの?」
この状況で答えらるのはそれくらいだろうか。
それかレオンがウルフ家を城に配置しているものが数名いるかもしれないが。
「えぇ」
「お城なら安心だね。
まだ会った事がないけれど」
「シャリオンは自室か、アンジェリーン様達のお部屋にいるので気づかないかもしれませんね。
王城にいる間は子供達のそばにもいますよ」
避難の為と、アンジェリーンとミクラーシュの相談役として部屋を与えられたわけだが、子供達にやたら人が付いているのも気づいていた。
ウルフ家の者たちだけで十分だと言えなかったのは、あの頃は上空で飛び回るヴィスタの影響だ。
ハイシア家やウルフ家、もしくはカディーナ家が子供達について口を出すのは解るのだが。
・・・なぜか王族まで口を出している気がするのだが・・・。
きっかけはミクラーシュがマナーレッスンを始めるにあたってだ。
騎士や貴族としての振る舞いは出来ても(洗脳されているときの失礼な態度は除く)、今の立場では違うため王族の講師を付けているそうなのだが、そこにミクラーシュが子供達がいると緊張がほぐれるのでどうしても参加させて欲しいといというのでするようになった。
今シャリオンもガリウスも、そしてレオンもそばにいない。
となると、シャーリーが必然達に子供達に関して物事を決めてくれているのだが・・・。
なんだかそれを考えると嫌な予感がする。
強く断れないシャーリーは彼らに流されていないか心配になってきた。
変なことを教えられることはないだろうが、相談役になっていてもう手遅れではあるが、必要以上に懇意なところを外にみられるのは子供達のためにもしたくないのだ。
「・・・そう。・・・」
「なにか心配ごとですか?」
「・・・子供達、・・・変なことに巻き込まれていないかな?って思って」
「変なことではないようですが、面白いことを言っているようです」
「面白いこと?」
「シュリィはお姫様になって、リィンはシャリオンの後を継ぎたいようですよ」
「え・・・?」
その言葉にシャリオンは顔を上げた。
困ったように苦笑をするガリウスを見ると本当にそう言っているのだろう。
その内容は問題はない。
あまりにも才能的に無理なことを除けば、なりたい方がなればいいと思う。
それにアシュリーは公爵家の娘でつまり姫で間違いない。
最近その言葉を覚えたのだろう。
・・・あれは・・・ただの夢ではなかったんだ
キュリアスでガリウスの記憶をなくしてしまった時、とてもあたたかな夢を見たが2人はその時もそんなことを言っていた。
夢の中のガリウスはシャリオンの大好きなガリウスで、あの夢は願望が見せたものだと思っていた。
ふとシャリオンは笑みを浮かべた。
「どうかしましたか?」
「ううん。まだ小さいのに・・・一歳にもなってないのに・・・本当に凄いなって思っただけだよ」
「ハイシア家・・・と、言うよりもウルフ家の頑張りでしょうね」
「そうだね」
シャリオン達は愛情は注いでいるが育児は領地の仕事や相談役のせいでまったくできていない。
貴族だという事を入れても、時間をとれていないような気がする。
「帰ったらちゃんと甘やかそう」
「・・・私のことを忘れないでくださいね」
「っ・・・もちろんだよ」
相変わらず子供達に嫉妬するガリウスは可愛くてクスクスと笑った。
「けど僕の顔なんて忘れられてないか不安だな」
「あぁそれは全くないです」
シャリオンの不安にガリウスは即時に否定した。
今までキュリアスにいたというのにそこまで情報伝達ができているとは。
・・・と、思ったらそれは違った。
子供たちはガリウスに似てとても魔法がうまいことを忘れていた。
「無意識のうちに止めていたのですが、やたらシャリオンに2人からゾル達の使う思考共有のようなものが送られてきていましたから」
「・・・。・・・、・・・本当にうちの子は凄いな。・・・というか無意識で止めてたガリィもすごいね」
「あの頃は・・・子供達だと気付かなかったので、突っぱねていましたが・・・帰ったら怒られるかもしれませんね。・・・あの子達はなかなか気が強いですから」
苦笑を浮かべながら言うガリウスを見るに、子供たちは落ち込んでいる様子ではないようで少しだけホッとする。
それから、しばらくすると王族の紋章の入った馬車に気づいたミクラーシュがこちらにやってきた。
エントランスにはレオンが来ているとゾルに知らされていた。
部屋で待つのも耐えられず、無事に戻っている知らせを聞いた時は、王都から迎えに行くと言ったのを止めるのが大変だったらしい。
そんなレオンは外まで来ており、馬車の扉が開いた瞬間から目が合ったのだが、心配をかけてしまったのが分かる。
眉にしわを寄せているのに、口元には無理やりにでも笑みを浮かべようとしているのが分かる。
「父上・・・」
そんなレオンを見てすぐさま降りると謝罪を述べようと思ったのだがレオンに抱き締められた。
痛い程抱き締められるがシャリオンにはそれを解けなかった。
成人をしたというのに、何度こうしてレオン達に心配をかけてしまうのだろうか。
ガリウスを迎えに行ったことに後悔はないのに、シャリオンが無理をすると必ず2人に心配をかけてしまう。
すると、シャリオンが解けない腕はガリウスによって解かれる。
外したのが嫉妬したガリウスだとわかっていたらしく厳しい睨視でガリウスを見たが、ため息をついた後ニッと笑った。
「よく無事に戻った」
「ご迷惑をお掛けし申し訳ありません」
「あの状況では誰だって回避ができなかっただろう。
いや。お前なら出来たはずだが・・・。
しかし、それによって面倒事も片付いた」
難しい表情をしたままにレオンの褒める言葉にガリウスはこくりと頷いた。
予定通りここからシャリオンを危険にさらせたお小言が続くのだろう。と、ガリウスはそう思っていた。
「そんな事よりもだ。
お前は私の義理息子になったと言う自覚がない」
「・・・その所為でシャリオンを危険な目に」
そう言った途端レオンの目が吊り上がる。
「誰もそんな事は話して居ないだろう!
お前が攫われて心配しない訳が無いだろうが!!」
シャリオンを叱る時よりも咆哮が強い。
隣にいるシャリオンもびくついてしまうが、レオンはそんなことを口走るガリウスにブチ切れており気付いていなかった。
ガリウスの方は以前もこの調子で叱られたことを今思い出していた。
「大体お前はシャリオンの事になると暴走しすぎだ!
常に冷静沈着なお前が、何故そん風になるのだ。
思考共有が出来ているうちにもっとこまめにゾルと連絡を取るのを怠りおって・・・。
それに何故転移の魔法石を常にもってないのだ!」
「例の件が丁度いいタイミングと状況だと思ったので」
ガリウスがそう言うと、レオンは何か言おうとしたが一理あると思ったのか押し黙った。
そして、落ち着くために小さくため息をつく。
「レオン様。そろそろお部屋に向かわれては」
未だに馬車前でアルアディアの言葉だとは言えそんな大声で怒鳴りつけるのはアルアディアの恥である。
来賓に口出しをするようなものはいないだろうが、他人に見せるようなことではない。
ゾルのナイスな言葉にガリウスは内心褒めながらあたりを見渡す。
しかし。
「問題ない。今この城で文句を言えるものは誰一人居ない」
そう言い切ったレオンは一体何をしたのだろうか。
今回のことを考えると6・7割くらいでしっかりとした段取りをとらなかったこちらに非があるというのに、レオンの手腕に驚いてしまう。
シャリオンだったら罪悪感でこちらが不利になりそうな気しかいない。
「しかし、長旅でシャリオンは疲れただろう。
今宵は一泊するが明日にはもう発つ。
今日はゆっくり休め。
・・・それと、ライガー」
逃れたと思っていたライガーだったが、呼ばれてびくりとする。
敬称なしで呼ばれたのは随分久しいのはあるが、その表情と声色は大変怒っている。
「後で部屋に来るように」
「っ・・・」
「シャリオンやガリウスに助けを求めても無駄だ」
視線が2人に向かったのは余計に、火に油を注いでしまったらしい。
「ち、父上。
今回ライが居なかったらきっともっと時間が掛かっていたと思います」
「その通りです。私達が魔力の枯渇で動かない間、ライガー様が担って頂けたおかげで早く帰国出来るのです」
そう言うとレオンの眉間のシワが深くなる。
「2人が気を使うのもよくわかるがな。
・・・しかし、これは言っておかねばならぬのだ。
殿下も疲れて居るだろうから長引かせはしない」
その言葉にホッとするシャリオン。
「ありがとうございます。父上」
そう言うとレオンは笑顔になったが、それも一瞬だ。
「シャリオンは帰ってからシャーリーに叱ってもらえ」
「父様に・・・?」
「私では甘くなってしまうからな。
アンジェリーン様にも頼んであるから安心しろ」
シャーリーには泣かれ、アンジェリーンは烈火の如く起こるのが目に見える。
全く安心できないのだがそれも自分が撒いた種だ。
「それと厳しい罰もある」
それも覚悟をしていたことだ。
原因はキュリアスだとしても、貴族としてあるまじき行為だったと理解している。
とられ方によっては他国への侵略と取られても仕方がないと冷静になった今では思う。
領地の一部没収や罰金もあるだろうとわかっている。
しかし、それでも動いたことに後悔はない。
領民は大切だが、領地を取り上げられても領民にとっては、領主が変わってもそれほど暮らしは変わらないだろう。
・・・領主としてあり得ないかもしれないが、シャリオンもガリウスがいない世界なんて想像したくない。
「どんな事でもお受けいたします」
「・・・本当に厳しいものだぞ。以前の謹慎とは比ではない」
躊躇なく言ったシャリオンにレオンは眉をひそめた。
以前の謹慎は罰ではなくシャリオンにとっては褒美であるから当然であり、シャリオンは苦笑を浮かべた。
「国に危険を及ぼすようなことをしたのです。理解をしています」
「シャリオンが1番嫌がる事だ。
しかし、今回のことで私はお前たちを庇い立て出来ない」
「・・・はい」
「・・・大丈夫だ。変化は少しだけ。他は何も変わらん」
「・・・?・・・はい」
それだけ言うと、レオンは城に入って行く。
その背中を見ながら今言われた言葉の意味が分からず首を捻るシャリオンだった。
・・・
・・
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国王陛下であるシオドリックに挨拶と謝罪を述べた。
既に知らせてはあるが、今回のことを包み隠さず伝えると、逆に感謝を述べられた。
神獣を逃がしてしまう結果になったのだが、キュリアスだけを特別に扱うことに意義を唱える貴族もいたらしい。
しかし、国として多くの来訪者はそれだけで金になる。
それ故に強くは言えなかったのだが、今回のことでキュリアスはただの村へとなるそうだ。
変わらずにドラゴンを信仰はするが、それはヴィスタをというわけではなく聖典に沿ってのことだ。
『神獣は優しき心を持った人間に導かれ世界に飛び立っていった。
キュリアスは神獣の妨げることは不本意であり、これからは全世界でその姿を目にすることがあるだろう。
しかし、それは神獣は世界を見守るための行為であり何人たりとも手を出してはいけない。
さもなければこの世界は終焉を迎えるだろう』
という声明を出すそうだ。
ヴィスタに手を出させないための脅し文句である。
人間が神獣を見捨てたわけでも、神獣が人間を見捨てたわけでもないことを、周知する必要がある。
それだけヴィスタは神獣として全世界にあがめられていて、突然キュリアスを飛び出したという事実は信者達の不安を煽るらしい。
相変わらず良くわからないが、それで纏まるならそれで良い。
全てのことがうまく行ってシャリオンはホッと胸を撫でおろす。
本当に長い道のりであった。
子供達にもようやく会えることに胸を弾ませる。
セレスは目を覚ましただろうか?
そんな事を思いながらカルガリアを発った。
☆☆☆
アルアディア最南端の町に着いた。
そこからはワープゲートを使いあっと言う間だ。
ここは一番に子供達に会いに行きたいが、まずは陛下への謝罪と報告が先だろうか。
そんなことを考えていたのだがなんだか騒々しい。
なお、レオンとライガーは別の馬車で、彼らも同じように足止めを食らっているようだ。
「どうしたんだろう」
人だかりはワープゲートを中心に起きているようだ。
シャリオンが指示をする前にウルフ家の者達が状況を確かめにそちらに向かった。
すぐさま帰ってくるとどうやら、ワープゲートは現在点検中だそうだということが知らされる。
そんな事あるなんて知らなかった。
もしかしたら国に所属する魔術師たちが行ってくれているのだろうか?
セレスと共に各地に設置をしたのは彼らだ。
こんな時、いつもだったらガリウスが頼るのだが解放されて帰還したばかりで聞けないと思っていたのだが。
ドアのノックにゾルは訝し気に眉を顰めた。
「開けてください」
「・・・」
ガリウスの指示に不満げにしながらもゾルは扉を開ける。
扉の外には短髪でネイビの髪色をした見覚えのある女性が立っていた。
ガリウスはシャリオンに断りを入れると馬車を降り、彼女から何か報告受けているようだった。
ウルフ家の者たちはハイシア家の者にしか従わない。
それでもガリウスには従っている方だと思うのだが、別の使いがいるようだ。
宰相の側近以外にそんな風に人を動かしているところは見たことがなくて、つい視線で追ってしまったのだがそれに気づかれてしまったようだ。
女性はこちらに気が付くと真剣な表情が一転しにこりと笑みを浮かべた。
そして会釈をしてくる。
「おかえりなさいませ。シャリオン様。ご無事に戻られたこと、心よりお慶び申し上げます」
「ありがとうございます。・・・名前をうかがっても?」
「アリアの手の者のビルギットと申します。私は平民ですのでどうぞお気になさらずに」
「アリア・・・?ハドリー領にいる?」
「はい」
一瞬懐かしさが沸いて尋ねようとしたのだが、それをガリウスが止める。
「シャリオン。後で詳しく説明しますので彼女を行かせてもよろしいでしょうか」
「うん。わかった。ビルギット。気を付けて。あとアリアにもよろしく伝えてほしい」
「ありがとうございます。承知いたしました。では失礼いたします」
そういうと笑顔を浮かべながらビルギットは去っていった。
『アリアの手の者』という事なら赤蜘蛛の者達であろう。
だから見覚えがあるのも納得できる。
ふと見上げればガリウスの表情がシャリオンを探るように見ている。
『後で説明をする』で、どのように説明をするか考えているのだろう。
少し前のシャリオンならば隠されることに確実に不安に思っていた。
しかし、離れ離れになり再会をした今。
ガリウスの隠し事を些細なことに感じるようになった。
元よりガリウスが隠し事をするときはシャリオンを思ってのこと。
またアリアから何も言ってこないという事は、彼女達が拒否をするようなことをしていないという事だ。
先ほどの振る舞いを見ても、無理やりさせられているというところは見られなかった。
「諜報でもしてもらっているのかな?・・・あまり無理をさせないようにね」
シャリオンの言葉に少し驚いた様にした後、信頼した眼差しに困ったように苦笑を浮かべた。
ガリウスとしては不安にさせない為になんでもするし手段も選ばない。
危険なことやシャリオンに知られて困ることは、知られないために最大限に注意を払う。
信頼されることに喜びを感じるが、同時に罪悪感も沸いてしまう。
だが、この信頼と笑顔を守るためにこれから先もガリウスがすることは同じである。
「勿論です。命最大優先とは伝えてありますし、依頼を引き受けるかどうかは彼女達次第です」
実際のところ無理をしているのは彼女達だ。
依頼内容が全てシャリオンの為になる事に、全力を尽くさないわけがないのだ。
ガリウスはシャリオンにそう答えつつ、より一層彼女達には慎重に行動するように言わなければならないと思っていた。
「それであれが何かわかったの?」
このタイミングで来たのだ。
それを訪ねれば馬車に再び乗り込んだガリウスは教えてくれた。
ゾルが珍しく興味があるようでガリウスに視線を向けている。
「ゾル達の知らせと同じです。ただ普段の魔術師とは別であるそうです」
「いつもと違う魔術師・・・?配置換えかな」
「それもあるかもしれません。それとこのタイミングで迎えにきたと思われるミクラーシュ様がいらっしゃるようです」
謹慎明けもミクラーシュが来てくれたが、今回も来てくれたのだろうか。
彼は洗脳を解いたことに恩義を感じてくれているのだろう。
それ故かもしれないが迎えに来てくれたことは悪いと思いつつも嬉しく感じる。
「わざわざ迎えに来てくれたんだ。・・・ミクラーシュも忙しいだろうに」
経緯がどうであれ、もとに戻ったミクラーシュとは仲良くやっていきたいと思っている。
彼がルークを愛していてそれが洗脳をより厄介なものに強めたので、対応には気を付けるつもりだがルークは幼馴染だ。
自分は次期公爵で相手は王太子という立場なため、そんな頻度で会えるわけではないがミクラーシュが気にするならシャリオンはルークに会わないように配慮するだろう。
しかし、それは幼馴染としてさみしいものだ。
「ルー達にはちゃんと言ってきたのかな」
「言ってないようですね」
「そうなの?
んー・・・まぁミクラーシュは動きを制限されているわけじゃないんだろうけれど。
最南端まで来てしまって・・・ちゃんと護衛つけてるかな」
「どうでしょう」
騎士団の知り合いはいるようなので、せめて彼らを連れてきてほしいものだ。
「見つけたら一緒に帰ろうか。
・・・ところでお城にも彼女達いるの?」
この状況で答えらるのはそれくらいだろうか。
それかレオンがウルフ家を城に配置しているものが数名いるかもしれないが。
「えぇ」
「お城なら安心だね。
まだ会った事がないけれど」
「シャリオンは自室か、アンジェリーン様達のお部屋にいるので気づかないかもしれませんね。
王城にいる間は子供達のそばにもいますよ」
避難の為と、アンジェリーンとミクラーシュの相談役として部屋を与えられたわけだが、子供達にやたら人が付いているのも気づいていた。
ウルフ家の者たちだけで十分だと言えなかったのは、あの頃は上空で飛び回るヴィスタの影響だ。
ハイシア家やウルフ家、もしくはカディーナ家が子供達について口を出すのは解るのだが。
・・・なぜか王族まで口を出している気がするのだが・・・。
きっかけはミクラーシュがマナーレッスンを始めるにあたってだ。
騎士や貴族としての振る舞いは出来ても(洗脳されているときの失礼な態度は除く)、今の立場では違うため王族の講師を付けているそうなのだが、そこにミクラーシュが子供達がいると緊張がほぐれるのでどうしても参加させて欲しいといというのでするようになった。
今シャリオンもガリウスも、そしてレオンもそばにいない。
となると、シャーリーが必然達に子供達に関して物事を決めてくれているのだが・・・。
なんだかそれを考えると嫌な予感がする。
強く断れないシャーリーは彼らに流されていないか心配になってきた。
変なことを教えられることはないだろうが、相談役になっていてもう手遅れではあるが、必要以上に懇意なところを外にみられるのは子供達のためにもしたくないのだ。
「・・・そう。・・・」
「なにか心配ごとですか?」
「・・・子供達、・・・変なことに巻き込まれていないかな?って思って」
「変なことではないようですが、面白いことを言っているようです」
「面白いこと?」
「シュリィはお姫様になって、リィンはシャリオンの後を継ぎたいようですよ」
「え・・・?」
その言葉にシャリオンは顔を上げた。
困ったように苦笑をするガリウスを見ると本当にそう言っているのだろう。
その内容は問題はない。
あまりにも才能的に無理なことを除けば、なりたい方がなればいいと思う。
それにアシュリーは公爵家の娘でつまり姫で間違いない。
最近その言葉を覚えたのだろう。
・・・あれは・・・ただの夢ではなかったんだ
キュリアスでガリウスの記憶をなくしてしまった時、とてもあたたかな夢を見たが2人はその時もそんなことを言っていた。
夢の中のガリウスはシャリオンの大好きなガリウスで、あの夢は願望が見せたものだと思っていた。
ふとシャリオンは笑みを浮かべた。
「どうかしましたか?」
「ううん。まだ小さいのに・・・一歳にもなってないのに・・・本当に凄いなって思っただけだよ」
「ハイシア家・・・と、言うよりもウルフ家の頑張りでしょうね」
「そうだね」
シャリオン達は愛情は注いでいるが育児は領地の仕事や相談役のせいでまったくできていない。
貴族だという事を入れても、時間をとれていないような気がする。
「帰ったらちゃんと甘やかそう」
「・・・私のことを忘れないでくださいね」
「っ・・・もちろんだよ」
相変わらず子供達に嫉妬するガリウスは可愛くてクスクスと笑った。
「けど僕の顔なんて忘れられてないか不安だな」
「あぁそれは全くないです」
シャリオンの不安にガリウスは即時に否定した。
今までキュリアスにいたというのにそこまで情報伝達ができているとは。
・・・と、思ったらそれは違った。
子供たちはガリウスに似てとても魔法がうまいことを忘れていた。
「無意識のうちに止めていたのですが、やたらシャリオンに2人からゾル達の使う思考共有のようなものが送られてきていましたから」
「・・・。・・・、・・・本当にうちの子は凄いな。・・・というか無意識で止めてたガリィもすごいね」
「あの頃は・・・子供達だと気付かなかったので、突っぱねていましたが・・・帰ったら怒られるかもしれませんね。・・・あの子達はなかなか気が強いですから」
苦笑を浮かべながら言うガリウスを見るに、子供たちは落ち込んでいる様子ではないようで少しだけホッとする。
それから、しばらくすると王族の紋章の入った馬車に気づいたミクラーシュがこちらにやってきた。
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