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執着旦那と愛の子作り&子育て編
諦めると言うのは別に難しいことではなく、それよりも次を見出すことが重要である。
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いつになく強気な姿勢に困惑と驚き、そしていつだって心強いその笑みに、シャリオンは期待に高鳴った。
でも、それそほんの一瞬だった。
ヴィンフリートは難色をしめしたままだからである。
ガリウスの言質というものが、どれほどかのものかわからないが、嫌がってる人間に無理はさせたく無い。
そう思ってしまうのがシャリオンだ。
ガリウスに言質を取られ不服にしながらも、ヴィンフリートが続けた言葉になおさらそう思った。
「今まで魔力が無くて生きて来れたのだから問題ないじゃろう」
出来ないことは無いがしたくないといった様子なのは見てとれた。
それをみながら。
慣れた感情が心に広がった。
☆☆☆
少し。
昔の・・・・。
それもつまらない・・・話を・・・・
していいだろうか。
体格も体力も魔力もない自分の事を考えるのは、あまり好きではなかった。
昔は特に。
骨格からして体格は大きくなれない作りだと言うのはかなり早い段階で気づいていた。
体格は無理だとしても筋力や体力くらいはと思い、始めた鍛錬をしても体力や筋力は体が痛くなるだけだったある日。
勿論、ウルフ家の者達がシャリオンの願いならば、そんな無理なトレーニングを組むわけないし、試したのも数か月にわたってのものだった。
しかしシャリオンが感じるのは成長過程の筋肉痛とは違い、全身に痛みが走り体を動かせなくなるレベルだった。
シャリオンは無理だと思っても鍛錬を欠かせなかったのだが、その時シャリオンの人生が決まることが起きる。
ライガーとの婚約だ。
ライガーはその頃から対外国的な対応担う事が決められていた。
シャリオンはそれに伴い大国サーベル国や魔法転移石の原作国であるシディアリア、
隣国のカルガディアの母国語を覚えた。
それ故に彼等の言葉をシャリオンが聞き漏らしなく聞き取れると言う事もある。
そのうちに、ゾルに『体力をつけることが目的なら王子のダンス相手の為のレッスンはどうだ』と言う言葉に、真面目なシャリオンはすぐにそれにシフトした。
幸いなことに、舞踏会ではまともに踊れていたしお世辞もあるだろうが、踊りを褒められた事もあった。
最初の頃ではあまり考えられなかった、最後の方には長く踊ったり社公の場で立ち話をしていても疲れなくはなった。
本当だったらミクラーシュの様な男らしい体になりたいと言うのはあったが、ライガーの伴侶には特に不必要に思えた。
今のミクラーシュを見ると、傍でルークを守ろうと言う考えがあるなら、ライガーにも同じことを言えただろうとおもうし、シャリオンが逞しく強くなれればライガーはシャリオンを守ろうとあそこまで頑なにならなかったかもしれない。
しかし、『もしかしたら』を、考えたら意味がない。
それに最初でこそ苦手で手の早く意味が分からないガリウスに嫌悪が沸いたが、今はそんなこと思うわけがない。
ガリウスはシャリオンの事を考えなんでもしてくれようとする。
それに過剰だなと感じることはあるが、感謝ばかりだ。
シャリオンの魔力がもっと多ければ、ガリウスに苦労は掛けなかった。
心配も魔力譲渡も。
親であるシャーリーは人並みに魔力があるが、そんな父は市販のタリスマンで魔力補給を賄っていたが、シャリオンはガリウスの魔力を込めたタリスマンを持っていた。
それはガリウスの狭量な心からだけではなく、現実的ではないようだ。
以前、ガリウスに迷惑をかけすぎるからと市販のタリスマンを購入するならどこが良いか尋ねたが『あの男が昼に帰ってくると言うのだからさせて置けばいい。あの男の用意する魔力と同等のタリスマンとなったらいくつ必要かわからない。これ以上在庫も。あの男の厄介な嫉妬を焚付けるような真似もするな』と、言われて諦めた事があった。
伴侶以外の魔力は気持ちが悪く感じるそうで、シャーリーはシャリオンがガリウスのタリスマンを貰っていると聞いた時に羨みながらも安心していたのを覚えている。
平民で暮らしていたら魔力がないことは致命的だ。
市井は魔力で動作するもので溢れている。幸いなことに貴族であるゆえにそれは問題ではなかったが。
普通ではないことが積み重なると劣等感が募っていく。
貴族だから魔力が無くてもやっていけているが個々を現すのに必要な素材が足りないのは感じており、それでもなにも言われないのはハイシア家で父が宰相だからなのだろう。
家の名前しかないと言いうのは事実だが、素直に受け取れなかった。
そこでシャリオンが出来るのは知識を身に着けるしかできなかった。
頭の出来も天才的ではなく凡人ではあるが、幸いなことにもハイシア家には各分野の講師を集められるほどの力を所有しており、シャリオンは可能な限り知識を欲した。
ライガーを婚約相手に考えた時は、対外国としての知識を学ぶことも。
それがガリウスになっても同じだ。
自分にできうることは全てやってきた。
そんな中で、その諦めていたものが手に入るかもしれないと言う事に、ちゃんと魔法作動できるか?の不安と共に、高揚感が湧かないわけがなかった。
『今まで魔力が無くて生きて来れたのだから問題ないじゃろ』
たしかにそうだ。
過剰に期待してしまったのが恥ずかしく、いままでの努力を自分で否定する様な事にも感じた。
☆☆☆
シャリオンの変化に気付いたのか、ガリウスはこちらを見た後に、ヴィンフリートを見る。
普通の人間であればその視線の冷たさに震えただろうが、怯えたりしないのは流石師匠と言うべきなのだろうか。
「ヴィンフリート様とあろう方が、一度口にした事反故するのですか」
「お前はせっかちじゃのう・・・。
そもそも今まで必要なかったんじゃ。
急に増やさんで良かろう」
同じ事を繰り返すと、ガリウスの気配がピリピリしている。
感情をむき出すのはガリウスらしく無い。
シャリオンの為ではあるがそれ以上に相手がヴィンフリートだからなのだろうか?
理由は後で聞くことにして制止に入る。
「待ってガリィ。
・・・あの、お師匠様。
では、僕のこの魔法をガリィに渡す事は出来ないでしょうか」
「!シャリオン」
魔法を使えるとう事に喜んでいたシャリオン。
また魔力を増えると言う事に喜んでいたことをガリウスは気づいたのだろう。
ヴィンフリートもこちらに視線を向けた後に困ったように微笑んだ。
「物分かりが良すぎるのぅ。
・・・魔力が欲しいように見えたが」
それが分かってるのにその様な発言をするヴィンフリートに苛立った様にガリウスは睨んだ。
ガリウスからしたらヴィンフリートがこのような態度やおちょくるようなことは昔からあった。
ヴィンフリートが貴族を嫌っているのは事実であり、それ故に結婚式や節目にも呼ばなかった。
教えたらシャリオンはきっと純真な感情で会いたいと言うかもしれない。
気を遣う人間だから思慮深く聞きながらもガリウスの出方を待つかもしれない。
考えられることは良くつくかあったが、ヴィンフリートのことで悩ませたくなかった。
師であるヴィンフリートにも貴族に会わせると言う行動を強いたくはなかったのだ。
ヴィンフリートを紹介したのはレオンだ。
その息子であるシャリオンを知っているかもしれないと思って呼びかけた。
ガリウスの願いを叶える唯一の人間だったからだ。
癖が強く貴族どころか王族なども力も気にしない人物で、子爵とはいえ貴族の家のでのガリウスにも気にせずおちょくる様な節があったが、それをシャリオンにするのは許し難く、ガリウスは口を開こうとしたが、それを止める様にシャリオンが手をきゅっと握った。
「・・・、」
「そうですね。
人並みとは言いませんが、・・・少しでも良いから欲しかったです」
そうすれば、子を授かった時もガリウスやゾル、セレス、ウルフ家の者達にだって迷惑はかけなかっただろう。
「シャリオンよ。お主は欲がないのう」
「僕は欲しいものだらけです」
そう言うと。ヴィンフリートはジッとこちらを見てくる。
この言葉は良く誰かに言われる。
以前は誰に言われただろうか。
いや。今はそのことは良いだろう。
「僕が唯一使える様になったのは状態異常を治すものなんです」
「ほぅ。・・・それは随分貴重なものじゃな」
ガリウスと言い合ってた時の楽しそうだが意地悪げな感じはなりをひそめ、優しく微笑えまれ褒められた。
とても簡単だが、得意げな気分になった。
だって今まで魔法や魔術で褒められた事は数少ない。
「ガリィと子供達のお陰で使える様になったんです」
「ほぅ」
「僕はガリィの魔力を感じる事は出来るけど」
そう言ってガリウスを見上げると、複雑そうに困った様に微笑んでいる。
ガリウスはシャリオンの為に、シャリオンが喜ぶからあの様なことをしてくれたのだろう。
「自分のは・・・さっぱりなんです。
それで、ガリィがこっちから引っ張ってくれて。だよね?」
「・・・。えぇ」
「もう片方は子供達が押してくれて」
「子供?・・・お主らの子供はまだ赤子ではなかったかのう」
「はい。ガリィと同じで魔術のセンスがあるみたいで」
シャリオンが自分のことの様に嬉しそうに言う。
「ほぅ。子もまた神童とは。必然と言うべきかのう」
「少し魔術が出来るだけですよ」
「まぁワシからしたらお主も神童ではないがのう」
ガリウスが『神童』と呼ばれる事が嫌なのはシャリオンには言っていない。
シャリオンはガリウスの名前をよばずそう称した者には、親しく無かった頃でも失礼だと文句を言った事はあるが。
「あ。僕大事な事忘れてたよ」
子供達の優秀さをヴィンフリートに知らせようと思ったのだが、あることを思い出した。
「あの魔法。きっとあの子達の魔法だよ」
「どういうことですか?」
「セレスが・・・姿を消す前に僕に魔法を掛けたでしょう?それが解けたのは子供達のお陰だって話してなかったけ」
「伺いましたが」
合点が言ったのだろう。
視力を失うのもきっとこの状態異常回復で治るだろう。
それなら子供達に返したほうが良いのだろうか?とふと思ったが。
ヴィンフリートはシャリオンの胸のあたりをじっと見つめながら話す。
シャリオンが見えない何かを見ている様だ。
「ふむ。・・・どちらかというとただ戻ったと言った方が正しいかもしれんのう」
「え?」
「シャリオンの体によく馴染んでおるからのう」
「でも、僕一人では使えませんでした」
「別に発動しようとしなくとも常時発動していたかもしれんしのう。
ただ、魔力が低すぎて本来の精度にならんかっただけじゃろう。
お主の周りは光で溢れてい居る。余程好かれているらしい」
そのようなことは以前ディディにも言われた。
「見てないから分からんが子供達も・・・いや。憶測は止めて置くかのう。
そろそろコヤツに視線で攻撃されかねんわい」
「シャリオンを可笑しな目で見るのは止めて頂けませんか。
子供達に関しては構いません」
「・・・ガリィ?」
「すみません。今のは少し失言ですね。
貴方の事は私が守るので不要だと言いたかったのです。
子供達の事ならシャリオンも知りたいでしょう?」
「ほんに次から次へとポンポン欲出るのう」
「ヴィンフリート様は黙っていて下さい」
「シャリオン。・・・ヴィンフリート様は変態で変人で癖がかなり強い人物で困った人ではありますが、私の恩人であることは間違いありません」
そう言うガリウスにヴィンフリートは深いため息をついた。
聞いているシャリオンでさえも驚いてしまう。
「漸く冷静になった様じゃな。
・・・強い魔力は余計なものを引き付ける。
それは人間もそうじゃ。
ガリウスがワシの元に預けられたのもそう言う事情もある」
その頃、有力貴族の家に狙わられていたガリウス。
ガリウスの生家であるガディーナ家のガーブリエルとガウディーノは名前を出さなかった、おそらくはあのファングスであろう。
セレスの話でもあったが、ファングス家は魔力の高い人間を育てていた。
伯爵家の魔の手から公爵家で守れはするが、その高度な魔術に対抗する術はなかった。
そこでレオンが頼ったのは国の騎士団ではなくヴィンフリートだったのだ。
ガリウスを見上げれば困った様に笑みを浮かべていた。
「もう、あの家も今の貴方を狙おうと言う馬鹿な輩もいないだろうと。・・・早計でした」
「そうじゃな。回りくどく小賢しいことばかり考えるお主にしては安直じゃな」
「っ・・・僕の為だったのでしょう?」
それにガリウスは言葉では答えてくれなかったが、その表情が肯定していた。
ガリウス自身、当然シャリオンの為にした行動だったが、言った通り早計で安直である。
シャリオンを誘拐した事件の時にファングス家やその罪に手を貸したものや、パーティに参加していた大量の貴族は一爵位下げられたり罰金があったりしている。
しかし、あの考えはまた誰しもが思う事だ。
強敵はいなくなったが別の芽を育てるきっかけにもなっているかもしれない。
そう思うと、ガリウスは『貴方の為です』とは答えられなかった。
「いいえ。私の為です。
次期宰相として王太子の側室に洗脳が掛けられているのは少々困るのです。
ルーク様にその魔法を知られてしまったのは誤算でしたが、側室の方を治したいと言うのもありますし、治せたとなれば手柄にもなりますからね」
「・・・それはちょっと難しいよ?ガリィ」
「困った奴じゃのう。・・・これはシャリオンに気を遣わせまいと言ったところかの?」
「えぇ。そうです。・・・ガリィはいつも手柄なんて考えて動いてないじゃないか」
「それは・・・シャリオンにそう見せてただけで」
「なら、なぜ今僕に見せたの?」
「・・・、」
「シャリオン。悪いがしばらくは聞かないでやってくれんかのう。
こやつは小賢しいだけでなく、頑固なところもあってのう・・・。
企んではいるようじゃが・・・見た限りシャリオンに悪いことはしないようじゃ」
その言葉にシャリオンは苦笑を浮かべながらもコクリと頷いた。
「ガリィ。ありがとう」
「私は、なにも」
「ううん。ガリィのお陰。それとアシュリーにガリオンも。
今まで意識してなかった魔力を感じる様になったおかげで、この魔法にも気づけた」
キラキラした光の粒子が舞った景色は派手ではなく、前日に見た子供達の魔法を思い出すと霞んでしまうけれど。
思い出すと胸が熱くなる。
ガリウスと子供達との思い出も。
生まれて初めて使えたあの時間も。
シャリオンの口元にふっと笑みが浮かんだ。
「きっと僕だけじゃ、僕の人生で魔法を使えることなんてなかった。
ガリィのお陰だ。・・・だから、そんな顔しないで?僕本当に大丈夫だよ。
そもそもお城の中にいたんじゃ、普通状態異常になることがないでしょう?」
「・・・ですが」
中々受け取ってくれなさそうなので、シャリオンはヴィンフリートに視線を合わせた。
ガリウスの返事も聞きたいところだが、まずは出来るか確認しなければならないからだ。
「お師匠様。僕の魔法をガリィに渡せませんか?」
自分にとどめておくよりも、魔力の高いガリウスに渡し使ってもらった方が成功率が上がる気がする。
そう思ったのだが、ヴィンフリートは難しい表情をする。
「どうじゃろうな。
その魔法は普通の魔法とは少々違うのじゃよ。
普通の治癒魔法とも異なり術式がないのじゃ」
「え?」
ヴィンフリートは優れた魔術師だと紹介をうけた。
そんな彼にも出来ないとなったら、後出来そうな人物は一人しかいないが・・・彼は行方知れずのままだ。
「そもそも、初めて使った時の様に使えば良いのではないかのう」
「あ」
シャリオンは思い出したように、声を出すと嬉し気にガリウスを見上げる。
ガリウスはそのことに気が付いていた。
しかし、安直にシャリオンに魔力が付けば体力が少ない分、魔力で自衛が出来ないかと考えた。
それに、側近にハイシア家のシャリオン自身が魔法を使いなおしたとなれば、シャリオンの印象は再び上げるだろうと思ったのだ。
「これでミクラーシュが治るかな・・・。ガリィ・・・お願い。
また一緒に魔法を使って欲しい」
真剣な表情でシャリオンが言えばガリウスは何か考えたようだったが、コクリと頷いた。
「えぇ。勿論です」
でも、それそほんの一瞬だった。
ヴィンフリートは難色をしめしたままだからである。
ガリウスの言質というものが、どれほどかのものかわからないが、嫌がってる人間に無理はさせたく無い。
そう思ってしまうのがシャリオンだ。
ガリウスに言質を取られ不服にしながらも、ヴィンフリートが続けた言葉になおさらそう思った。
「今まで魔力が無くて生きて来れたのだから問題ないじゃろう」
出来ないことは無いがしたくないといった様子なのは見てとれた。
それをみながら。
慣れた感情が心に広がった。
☆☆☆
少し。
昔の・・・・。
それもつまらない・・・話を・・・・
していいだろうか。
体格も体力も魔力もない自分の事を考えるのは、あまり好きではなかった。
昔は特に。
骨格からして体格は大きくなれない作りだと言うのはかなり早い段階で気づいていた。
体格は無理だとしても筋力や体力くらいはと思い、始めた鍛錬をしても体力や筋力は体が痛くなるだけだったある日。
勿論、ウルフ家の者達がシャリオンの願いならば、そんな無理なトレーニングを組むわけないし、試したのも数か月にわたってのものだった。
しかしシャリオンが感じるのは成長過程の筋肉痛とは違い、全身に痛みが走り体を動かせなくなるレベルだった。
シャリオンは無理だと思っても鍛錬を欠かせなかったのだが、その時シャリオンの人生が決まることが起きる。
ライガーとの婚約だ。
ライガーはその頃から対外国的な対応担う事が決められていた。
シャリオンはそれに伴い大国サーベル国や魔法転移石の原作国であるシディアリア、
隣国のカルガディアの母国語を覚えた。
それ故に彼等の言葉をシャリオンが聞き漏らしなく聞き取れると言う事もある。
そのうちに、ゾルに『体力をつけることが目的なら王子のダンス相手の為のレッスンはどうだ』と言う言葉に、真面目なシャリオンはすぐにそれにシフトした。
幸いなことに、舞踏会ではまともに踊れていたしお世辞もあるだろうが、踊りを褒められた事もあった。
最初の頃ではあまり考えられなかった、最後の方には長く踊ったり社公の場で立ち話をしていても疲れなくはなった。
本当だったらミクラーシュの様な男らしい体になりたいと言うのはあったが、ライガーの伴侶には特に不必要に思えた。
今のミクラーシュを見ると、傍でルークを守ろうと言う考えがあるなら、ライガーにも同じことを言えただろうとおもうし、シャリオンが逞しく強くなれればライガーはシャリオンを守ろうとあそこまで頑なにならなかったかもしれない。
しかし、『もしかしたら』を、考えたら意味がない。
それに最初でこそ苦手で手の早く意味が分からないガリウスに嫌悪が沸いたが、今はそんなこと思うわけがない。
ガリウスはシャリオンの事を考えなんでもしてくれようとする。
それに過剰だなと感じることはあるが、感謝ばかりだ。
シャリオンの魔力がもっと多ければ、ガリウスに苦労は掛けなかった。
心配も魔力譲渡も。
親であるシャーリーは人並みに魔力があるが、そんな父は市販のタリスマンで魔力補給を賄っていたが、シャリオンはガリウスの魔力を込めたタリスマンを持っていた。
それはガリウスの狭量な心からだけではなく、現実的ではないようだ。
以前、ガリウスに迷惑をかけすぎるからと市販のタリスマンを購入するならどこが良いか尋ねたが『あの男が昼に帰ってくると言うのだからさせて置けばいい。あの男の用意する魔力と同等のタリスマンとなったらいくつ必要かわからない。これ以上在庫も。あの男の厄介な嫉妬を焚付けるような真似もするな』と、言われて諦めた事があった。
伴侶以外の魔力は気持ちが悪く感じるそうで、シャーリーはシャリオンがガリウスのタリスマンを貰っていると聞いた時に羨みながらも安心していたのを覚えている。
平民で暮らしていたら魔力がないことは致命的だ。
市井は魔力で動作するもので溢れている。幸いなことに貴族であるゆえにそれは問題ではなかったが。
普通ではないことが積み重なると劣等感が募っていく。
貴族だから魔力が無くてもやっていけているが個々を現すのに必要な素材が足りないのは感じており、それでもなにも言われないのはハイシア家で父が宰相だからなのだろう。
家の名前しかないと言いうのは事実だが、素直に受け取れなかった。
そこでシャリオンが出来るのは知識を身に着けるしかできなかった。
頭の出来も天才的ではなく凡人ではあるが、幸いなことにもハイシア家には各分野の講師を集められるほどの力を所有しており、シャリオンは可能な限り知識を欲した。
ライガーを婚約相手に考えた時は、対外国としての知識を学ぶことも。
それがガリウスになっても同じだ。
自分にできうることは全てやってきた。
そんな中で、その諦めていたものが手に入るかもしれないと言う事に、ちゃんと魔法作動できるか?の不安と共に、高揚感が湧かないわけがなかった。
『今まで魔力が無くて生きて来れたのだから問題ないじゃろ』
たしかにそうだ。
過剰に期待してしまったのが恥ずかしく、いままでの努力を自分で否定する様な事にも感じた。
☆☆☆
シャリオンの変化に気付いたのか、ガリウスはこちらを見た後に、ヴィンフリートを見る。
普通の人間であればその視線の冷たさに震えただろうが、怯えたりしないのは流石師匠と言うべきなのだろうか。
「ヴィンフリート様とあろう方が、一度口にした事反故するのですか」
「お前はせっかちじゃのう・・・。
そもそも今まで必要なかったんじゃ。
急に増やさんで良かろう」
同じ事を繰り返すと、ガリウスの気配がピリピリしている。
感情をむき出すのはガリウスらしく無い。
シャリオンの為ではあるがそれ以上に相手がヴィンフリートだからなのだろうか?
理由は後で聞くことにして制止に入る。
「待ってガリィ。
・・・あの、お師匠様。
では、僕のこの魔法をガリィに渡す事は出来ないでしょうか」
「!シャリオン」
魔法を使えるとう事に喜んでいたシャリオン。
また魔力を増えると言う事に喜んでいたことをガリウスは気づいたのだろう。
ヴィンフリートもこちらに視線を向けた後に困ったように微笑んだ。
「物分かりが良すぎるのぅ。
・・・魔力が欲しいように見えたが」
それが分かってるのにその様な発言をするヴィンフリートに苛立った様にガリウスは睨んだ。
ガリウスからしたらヴィンフリートがこのような態度やおちょくるようなことは昔からあった。
ヴィンフリートが貴族を嫌っているのは事実であり、それ故に結婚式や節目にも呼ばなかった。
教えたらシャリオンはきっと純真な感情で会いたいと言うかもしれない。
気を遣う人間だから思慮深く聞きながらもガリウスの出方を待つかもしれない。
考えられることは良くつくかあったが、ヴィンフリートのことで悩ませたくなかった。
師であるヴィンフリートにも貴族に会わせると言う行動を強いたくはなかったのだ。
ヴィンフリートを紹介したのはレオンだ。
その息子であるシャリオンを知っているかもしれないと思って呼びかけた。
ガリウスの願いを叶える唯一の人間だったからだ。
癖が強く貴族どころか王族なども力も気にしない人物で、子爵とはいえ貴族の家のでのガリウスにも気にせずおちょくる様な節があったが、それをシャリオンにするのは許し難く、ガリウスは口を開こうとしたが、それを止める様にシャリオンが手をきゅっと握った。
「・・・、」
「そうですね。
人並みとは言いませんが、・・・少しでも良いから欲しかったです」
そうすれば、子を授かった時もガリウスやゾル、セレス、ウルフ家の者達にだって迷惑はかけなかっただろう。
「シャリオンよ。お主は欲がないのう」
「僕は欲しいものだらけです」
そう言うと。ヴィンフリートはジッとこちらを見てくる。
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いや。今はそのことは良いだろう。
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とても簡単だが、得意げな気分になった。
だって今まで魔法や魔術で褒められた事は数少ない。
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「ほぅ」
「僕はガリィの魔力を感じる事は出来るけど」
そう言ってガリウスを見上げると、複雑そうに困った様に微笑んでいる。
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それで、ガリィがこっちから引っ張ってくれて。だよね?」
「・・・。えぇ」
「もう片方は子供達が押してくれて」
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「はい。ガリィと同じで魔術のセンスがあるみたいで」
シャリオンが自分のことの様に嬉しそうに言う。
「ほぅ。子もまた神童とは。必然と言うべきかのう」
「少し魔術が出来るだけですよ」
「まぁワシからしたらお主も神童ではないがのう」
ガリウスが『神童』と呼ばれる事が嫌なのはシャリオンには言っていない。
シャリオンはガリウスの名前をよばずそう称した者には、親しく無かった頃でも失礼だと文句を言った事はあるが。
「あ。僕大事な事忘れてたよ」
子供達の優秀さをヴィンフリートに知らせようと思ったのだが、あることを思い出した。
「あの魔法。きっとあの子達の魔法だよ」
「どういうことですか?」
「セレスが・・・姿を消す前に僕に魔法を掛けたでしょう?それが解けたのは子供達のお陰だって話してなかったけ」
「伺いましたが」
合点が言ったのだろう。
視力を失うのもきっとこの状態異常回復で治るだろう。
それなら子供達に返したほうが良いのだろうか?とふと思ったが。
ヴィンフリートはシャリオンの胸のあたりをじっと見つめながら話す。
シャリオンが見えない何かを見ている様だ。
「ふむ。・・・どちらかというとただ戻ったと言った方が正しいかもしれんのう」
「え?」
「シャリオンの体によく馴染んでおるからのう」
「でも、僕一人では使えませんでした」
「別に発動しようとしなくとも常時発動していたかもしれんしのう。
ただ、魔力が低すぎて本来の精度にならんかっただけじゃろう。
お主の周りは光で溢れてい居る。余程好かれているらしい」
そのようなことは以前ディディにも言われた。
「見てないから分からんが子供達も・・・いや。憶測は止めて置くかのう。
そろそろコヤツに視線で攻撃されかねんわい」
「シャリオンを可笑しな目で見るのは止めて頂けませんか。
子供達に関しては構いません」
「・・・ガリィ?」
「すみません。今のは少し失言ですね。
貴方の事は私が守るので不要だと言いたかったのです。
子供達の事ならシャリオンも知りたいでしょう?」
「ほんに次から次へとポンポン欲出るのう」
「ヴィンフリート様は黙っていて下さい」
「シャリオン。・・・ヴィンフリート様は変態で変人で癖がかなり強い人物で困った人ではありますが、私の恩人であることは間違いありません」
そう言うガリウスにヴィンフリートは深いため息をついた。
聞いているシャリオンでさえも驚いてしまう。
「漸く冷静になった様じゃな。
・・・強い魔力は余計なものを引き付ける。
それは人間もそうじゃ。
ガリウスがワシの元に預けられたのもそう言う事情もある」
その頃、有力貴族の家に狙わられていたガリウス。
ガリウスの生家であるガディーナ家のガーブリエルとガウディーノは名前を出さなかった、おそらくはあのファングスであろう。
セレスの話でもあったが、ファングス家は魔力の高い人間を育てていた。
伯爵家の魔の手から公爵家で守れはするが、その高度な魔術に対抗する術はなかった。
そこでレオンが頼ったのは国の騎士団ではなくヴィンフリートだったのだ。
ガリウスを見上げれば困った様に笑みを浮かべていた。
「もう、あの家も今の貴方を狙おうと言う馬鹿な輩もいないだろうと。・・・早計でした」
「そうじゃな。回りくどく小賢しいことばかり考えるお主にしては安直じゃな」
「っ・・・僕の為だったのでしょう?」
それにガリウスは言葉では答えてくれなかったが、その表情が肯定していた。
ガリウス自身、当然シャリオンの為にした行動だったが、言った通り早計で安直である。
シャリオンを誘拐した事件の時にファングス家やその罪に手を貸したものや、パーティに参加していた大量の貴族は一爵位下げられたり罰金があったりしている。
しかし、あの考えはまた誰しもが思う事だ。
強敵はいなくなったが別の芽を育てるきっかけにもなっているかもしれない。
そう思うと、ガリウスは『貴方の為です』とは答えられなかった。
「いいえ。私の為です。
次期宰相として王太子の側室に洗脳が掛けられているのは少々困るのです。
ルーク様にその魔法を知られてしまったのは誤算でしたが、側室の方を治したいと言うのもありますし、治せたとなれば手柄にもなりますからね」
「・・・それはちょっと難しいよ?ガリィ」
「困った奴じゃのう。・・・これはシャリオンに気を遣わせまいと言ったところかの?」
「えぇ。そうです。・・・ガリィはいつも手柄なんて考えて動いてないじゃないか」
「それは・・・シャリオンにそう見せてただけで」
「なら、なぜ今僕に見せたの?」
「・・・、」
「シャリオン。悪いがしばらくは聞かないでやってくれんかのう。
こやつは小賢しいだけでなく、頑固なところもあってのう・・・。
企んではいるようじゃが・・・見た限りシャリオンに悪いことはしないようじゃ」
その言葉にシャリオンは苦笑を浮かべながらもコクリと頷いた。
「ガリィ。ありがとう」
「私は、なにも」
「ううん。ガリィのお陰。それとアシュリーにガリオンも。
今まで意識してなかった魔力を感じる様になったおかげで、この魔法にも気づけた」
キラキラした光の粒子が舞った景色は派手ではなく、前日に見た子供達の魔法を思い出すと霞んでしまうけれど。
思い出すと胸が熱くなる。
ガリウスと子供達との思い出も。
生まれて初めて使えたあの時間も。
シャリオンの口元にふっと笑みが浮かんだ。
「きっと僕だけじゃ、僕の人生で魔法を使えることなんてなかった。
ガリィのお陰だ。・・・だから、そんな顔しないで?僕本当に大丈夫だよ。
そもそもお城の中にいたんじゃ、普通状態異常になることがないでしょう?」
「・・・ですが」
中々受け取ってくれなさそうなので、シャリオンはヴィンフリートに視線を合わせた。
ガリウスの返事も聞きたいところだが、まずは出来るか確認しなければならないからだ。
「お師匠様。僕の魔法をガリィに渡せませんか?」
自分にとどめておくよりも、魔力の高いガリウスに渡し使ってもらった方が成功率が上がる気がする。
そう思ったのだが、ヴィンフリートは難しい表情をする。
「どうじゃろうな。
その魔法は普通の魔法とは少々違うのじゃよ。
普通の治癒魔法とも異なり術式がないのじゃ」
「え?」
ヴィンフリートは優れた魔術師だと紹介をうけた。
そんな彼にも出来ないとなったら、後出来そうな人物は一人しかいないが・・・彼は行方知れずのままだ。
「そもそも、初めて使った時の様に使えば良いのではないかのう」
「あ」
シャリオンは思い出したように、声を出すと嬉し気にガリウスを見上げる。
ガリウスはそのことに気が付いていた。
しかし、安直にシャリオンに魔力が付けば体力が少ない分、魔力で自衛が出来ないかと考えた。
それに、側近にハイシア家のシャリオン自身が魔法を使いなおしたとなれば、シャリオンの印象は再び上げるだろうと思ったのだ。
「これでミクラーシュが治るかな・・・。ガリィ・・・お願い。
また一緒に魔法を使って欲しい」
真剣な表情でシャリオンが言えばガリウスは何か考えたようだったが、コクリと頷いた。
「えぇ。勿論です」
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