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執着旦那と愛の子作り&子育て編
慰められた。
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領主城の執務室。
領主としての仕事はなくなることは無い。
特段大きな問題はないが、小さい問題が出てくるのだが、それと同時並行でこれからの収入源となる廉価版の移動魔法石販売にあたって、特定の商店や工房などと契約をすることになっているが、その選定などやることは沢山だ。
結婚前は落ち着いたら領地内の各地に足を運び、直接暮らしを見ようと思っていたのに結局先送り状態だ。
子を成す前は『まずは世継ぎを』と、言う状態だったため出歩くこともなかった。
成した後は今に至るまで当然外に出られ訳もなく・・・。
各領地の転移装置の設置が完了しセレスにある程度休暇を取ってもらった後は、
今度は子達の教育が始まるわけで。
ハイシア産の移動の魔法石を使って各地に行くのは暫く掛かりそうだ。
少しでも領民の為。
もう『赤蜘蛛』のような悲しい存在をつくらない為。
そして子達が暮らしやすい場所にすべく止まっている時間はない。
今日も新たな問題にぶつかりながら頭を悩ませていると、コンコンと机をノックされた。
頭を上げるとそこには呆れた表情のゾルがいて、シャリオンは首を傾げた。
「どうかした?」
「すまないが、子供部屋に行ってくれないか」
「え?」
「アシュリー様とガリオン様の様子がおかしい」
「!」
その言葉に咄嗟に立ちあがると机に置いてあったペンが転がり落ちた。
仕事で一杯だった頭の中が一気に子達のことに染まる。
それでも、ゾルが落ち着いているという事は、命の危険だとかそういう事はないのだろう。
『様子がおかしい』と言っただけで、心配しすぎてしまっただろうか。
そんな風に頭では思うのだが、心配しないと言うのは無理だった。
「っ・・・2人は・・・」
「落ち着けシャリオン。危険な状態ということではない」
「っ・・・そう。
・・・乳母と皆面倒を見てくれている人は大丈夫なの?」
一番に子達が心配になったが、次に使用人達が気になった。
先日、セレドニオ・・・いや。セレスを攻撃しようとしたことを思い出す。
子達にはベテランや中堅、若手の使用人達が見てくれていて、2人とも懐いているように見えるのだが。
どんなことがあるかはわからないからだ。
「あぁ。ただ念のため見てきてくれないか」
やりかけの書類を手放すとシャリオンは足早に出口に向かう。
「ぁ・・・あぁっすぐにいってくるっ」
「慌てなくても大丈夫だ。報告してきた者達も緊急性を要してなかった」
「・・・でも、どうしたんだろ。皆の魔力を吸い始めたのかな。
・・・困った元気な子達だ」
親である自分が不安がっていては駄目だ。
そう、自分に言い聞かせながらそう言うと、かつての自分の部屋へと向かった。
☆☆☆
部屋に入ると子達用の寝台がいつも通り並んでいる。
シャリオンが部屋に入ると気づいた使用人達がこちらに会釈をしてくるが、入れ違うように彼等は出て行く。
その事には何も思わなかったのだが、すぐさま部屋の錠が落ちる音がして振り返った。
そこには誰も残っていないから余計に困惑していたところだった。
『大丈夫ですよ。シャリオン』
「え・・・ガリィ・・・?」
久しぶりの思考共有に驚いていると『えぇ。そうですよ』と、返してくれた。
『ゾルからシャリオンを止めて欲しいと連絡があったのです』
「ゾル・・・・??」
訳が分からず反芻して尋ねると、ガリウスがクスリと笑った。
理由を詳しく聞くと、ここ最近の勤務態度についてどうやらゾルは心配をしているとのことだった。
あまりにも働きすぎ、煮詰まりすぎで余裕がなくなっているように見えるシャリオンに散々口で『休め』と言っているのにいう事を聞かないから、ガリウスに助けを求めたのである。
子達のベッドを覗き込むが、本当に何かあるわけでもなさそうだ。
シャリオンの気配に気づいた子達は、クーイングをしてシャリオンを求めた。
その可愛らしい子達の頬を交互に撫でる。
『息抜きをするのなら、アシュリーとガリオンの名前を出すと良いと言ったのです。
・・・ですが、心配をかけすぎてしまったようですね。
すみません、シャリオン。私が不謹慎でした。
・・・ゾル達は叱らないでやって下さい』
ゾルは『様子がおかしい』としか言わなかった。
それを勘違いしたのはシャリオンだ。
ゾルはすぐに言いすぎたと気づいただろうが、あまりにもシャリオンが必死すぎて言えなかったのだろうか。
「そんな。・・・叱らないよ。
むしろ、僕がゾルの言う事を聞かないで居たのだから、逆に怒られちゃう」
そもそもゾルに口で勝てる気がしなくて、苦笑を浮かべるシャリオン。
『・・・そうですねぇ。
私ともちゃんと休むように約束していた筈ですが』
その口調は自分が責められることを察知して苦い顔をする。
シャリオンは気を逸らせるように、2人の寝具の車輪の固定を外すと、子を寝かせても大人が4人はゆったり寝れるほどのベッドのそばへ運ぶと、そこにアシュリーとガリオンを順におろした。
発育というか反応が早い子達だが、流石にまだ首は完全に座っていないし寝返りも出来ていないから、中心にいれば安全である。
子達を並べて寝かせると、2人の横にシャリオンも寝そべる。
『そうですねぇ・・・。明日からちゃんと休まなかったら、セレスの休みを削るというのはいかがでしょう』
子達を出しに使い、心配したシャリオンに気を使ってくれたのかもしれないが、それも困る。
「!?だ、駄目だよ!?」
『ならちゃんと休んでくれますね?』
「っ・・・確かに、2人に心配かけるまで、・・・仕事に没頭したのは悪かったよ・・・?
でも、だからと言ってそこに結びつけるのは違うんじゃないのかな」
『・・・ふふ。やはり丸め込まれてはくれませんか』
どうやらガリウスは自分を丸め込むつもりだったらしい。
だが、自分が蒔いた種だ。
「ごめん・・・。セレスの休みはちゃんとあげて?
他の事なら良いよ・・・」
そもそも自分が忘れなければ良い話だ。
『次はもうしない』と言うには限度を過ぎているのは自分でも把握している。
だからシャリオンは進んでそう言うとガリウスはくすりと笑った。
『子達と一ヵ月接触禁止』
「!?」
『と、言ったらシャリオンも拗ねてしまいすし、普段我慢している子達に私が八つ当たりされてしまいますからね』
「っ・・・」
その罰は重過ぎる。
思わず、キラキラと宝石のような輝きを持つ二人の瞳を覗き込むが、ガリウスの言った言葉を想像すると辛くなる。
シャリオンは仕事に打ち込んでいるが、けして子達と離れたいからではない。
「あぅ」
「うー」
「っ・・・それは・・・困る」
シャリオンからみて奥にいるガリオンの頬を撫でると、その手に『ずるい!』と言うように手を伸ばすアシュリー。
思わずその額に口づけると、嬉しそうにシャリオンに手を伸ばしてくる。
『では1週間・・・・。いえ。2日接触禁止にしましょうか』
優し気な声色だが罰は辞めてくれる気がないらしく、シャリオンはコクリと頷いた。
「うん・・・わかった」
『そんなに落ち込まないでください。
緊急なことは除きますが、それ以外の時はちゃんと休みを取って下さればいいのです。
ゾルが知らせてくれるでしょう?』
「うん」
シャリオンはそれをいつも『うん、わかった』と答えている。
というか、何時返事をしたか覚えてないくらい無意識に返事をしているような気もするが。
『ゾルは休憩に関しては嘘偽りなく破ったら私に連絡してきますからね』
念を押されて言われてシャリオンは苦笑を浮かべた。
「心配性だな・・・」
『倒れてからでは遅いのです。2人を悲しませたいのですか?』
「そんなわけないじゃないか・・・。ちゃんととるよ」
『それを聞いて安心しました。・・・今日は早く帰ります。
そしたら4人で話しましょう』
「うん」
最近、寝具で今のように寝そべり、ガリウスとシャリオンの間には2人の子を並べて、その日の出来事や子達の反応をガリウスと話すのが最高の至福だ。
思わずシャリオンは嬉しそうに返事をする。
こうして話していたい。
しかし、ガリウスが暇なわけがない。
久しぶりの思考共有にガリウスが近くにいるようだったが。ずっと止める訳にも行かずガリウスは仕事に戻っていった。
シャリオンは自然と子達に視線を下す。
「あー」
パタパタと手を動かすから、その手に指を差し出すとキュッと握るそれに、思わず口元に笑みが浮かぶ。
「お休みしなさいって怒られちゃった」
「うー」
「あー!」
アシュリーと指を掴んでいるのをみてやきもちを焼くようにガリオンが声を上げるので、ガリオンの方に手を伸ばすと、真似をするようにキュッと握られた。
「もっと要領よく出来たらいいのだけど、・・・なんかよくうまく行かないんだ」
「うー・・・」
「あぅ」
「・・・。ふふッ・・・もしかして慰めてくれてるの・・・?
・・・ありがとう。
早く大きくなってね。そしたら領地のあちこちを見に行こうね」
「「あー」」
そんなことは絶対にありえないが、まるでそうしてくれているような反応に、シャリオンは子達の額に口づけを落とすのだった。
領主としての仕事はなくなることは無い。
特段大きな問題はないが、小さい問題が出てくるのだが、それと同時並行でこれからの収入源となる廉価版の移動魔法石販売にあたって、特定の商店や工房などと契約をすることになっているが、その選定などやることは沢山だ。
結婚前は落ち着いたら領地内の各地に足を運び、直接暮らしを見ようと思っていたのに結局先送り状態だ。
子を成す前は『まずは世継ぎを』と、言う状態だったため出歩くこともなかった。
成した後は今に至るまで当然外に出られ訳もなく・・・。
各領地の転移装置の設置が完了しセレスにある程度休暇を取ってもらった後は、
今度は子達の教育が始まるわけで。
ハイシア産の移動の魔法石を使って各地に行くのは暫く掛かりそうだ。
少しでも領民の為。
もう『赤蜘蛛』のような悲しい存在をつくらない為。
そして子達が暮らしやすい場所にすべく止まっている時間はない。
今日も新たな問題にぶつかりながら頭を悩ませていると、コンコンと机をノックされた。
頭を上げるとそこには呆れた表情のゾルがいて、シャリオンは首を傾げた。
「どうかした?」
「すまないが、子供部屋に行ってくれないか」
「え?」
「アシュリー様とガリオン様の様子がおかしい」
「!」
その言葉に咄嗟に立ちあがると机に置いてあったペンが転がり落ちた。
仕事で一杯だった頭の中が一気に子達のことに染まる。
それでも、ゾルが落ち着いているという事は、命の危険だとかそういう事はないのだろう。
『様子がおかしい』と言っただけで、心配しすぎてしまっただろうか。
そんな風に頭では思うのだが、心配しないと言うのは無理だった。
「っ・・・2人は・・・」
「落ち着けシャリオン。危険な状態ということではない」
「っ・・・そう。
・・・乳母と皆面倒を見てくれている人は大丈夫なの?」
一番に子達が心配になったが、次に使用人達が気になった。
先日、セレドニオ・・・いや。セレスを攻撃しようとしたことを思い出す。
子達にはベテランや中堅、若手の使用人達が見てくれていて、2人とも懐いているように見えるのだが。
どんなことがあるかはわからないからだ。
「あぁ。ただ念のため見てきてくれないか」
やりかけの書類を手放すとシャリオンは足早に出口に向かう。
「ぁ・・・あぁっすぐにいってくるっ」
「慌てなくても大丈夫だ。報告してきた者達も緊急性を要してなかった」
「・・・でも、どうしたんだろ。皆の魔力を吸い始めたのかな。
・・・困った元気な子達だ」
親である自分が不安がっていては駄目だ。
そう、自分に言い聞かせながらそう言うと、かつての自分の部屋へと向かった。
☆☆☆
部屋に入ると子達用の寝台がいつも通り並んでいる。
シャリオンが部屋に入ると気づいた使用人達がこちらに会釈をしてくるが、入れ違うように彼等は出て行く。
その事には何も思わなかったのだが、すぐさま部屋の錠が落ちる音がして振り返った。
そこには誰も残っていないから余計に困惑していたところだった。
『大丈夫ですよ。シャリオン』
「え・・・ガリィ・・・?」
久しぶりの思考共有に驚いていると『えぇ。そうですよ』と、返してくれた。
『ゾルからシャリオンを止めて欲しいと連絡があったのです』
「ゾル・・・・??」
訳が分からず反芻して尋ねると、ガリウスがクスリと笑った。
理由を詳しく聞くと、ここ最近の勤務態度についてどうやらゾルは心配をしているとのことだった。
あまりにも働きすぎ、煮詰まりすぎで余裕がなくなっているように見えるシャリオンに散々口で『休め』と言っているのにいう事を聞かないから、ガリウスに助けを求めたのである。
子達のベッドを覗き込むが、本当に何かあるわけでもなさそうだ。
シャリオンの気配に気づいた子達は、クーイングをしてシャリオンを求めた。
その可愛らしい子達の頬を交互に撫でる。
『息抜きをするのなら、アシュリーとガリオンの名前を出すと良いと言ったのです。
・・・ですが、心配をかけすぎてしまったようですね。
すみません、シャリオン。私が不謹慎でした。
・・・ゾル達は叱らないでやって下さい』
ゾルは『様子がおかしい』としか言わなかった。
それを勘違いしたのはシャリオンだ。
ゾルはすぐに言いすぎたと気づいただろうが、あまりにもシャリオンが必死すぎて言えなかったのだろうか。
「そんな。・・・叱らないよ。
むしろ、僕がゾルの言う事を聞かないで居たのだから、逆に怒られちゃう」
そもそもゾルに口で勝てる気がしなくて、苦笑を浮かべるシャリオン。
『・・・そうですねぇ。
私ともちゃんと休むように約束していた筈ですが』
その口調は自分が責められることを察知して苦い顔をする。
シャリオンは気を逸らせるように、2人の寝具の車輪の固定を外すと、子を寝かせても大人が4人はゆったり寝れるほどのベッドのそばへ運ぶと、そこにアシュリーとガリオンを順におろした。
発育というか反応が早い子達だが、流石にまだ首は完全に座っていないし寝返りも出来ていないから、中心にいれば安全である。
子達を並べて寝かせると、2人の横にシャリオンも寝そべる。
『そうですねぇ・・・。明日からちゃんと休まなかったら、セレスの休みを削るというのはいかがでしょう』
子達を出しに使い、心配したシャリオンに気を使ってくれたのかもしれないが、それも困る。
「!?だ、駄目だよ!?」
『ならちゃんと休んでくれますね?』
「っ・・・確かに、2人に心配かけるまで、・・・仕事に没頭したのは悪かったよ・・・?
でも、だからと言ってそこに結びつけるのは違うんじゃないのかな」
『・・・ふふ。やはり丸め込まれてはくれませんか』
どうやらガリウスは自分を丸め込むつもりだったらしい。
だが、自分が蒔いた種だ。
「ごめん・・・。セレスの休みはちゃんとあげて?
他の事なら良いよ・・・」
そもそも自分が忘れなければ良い話だ。
『次はもうしない』と言うには限度を過ぎているのは自分でも把握している。
だからシャリオンは進んでそう言うとガリウスはくすりと笑った。
『子達と一ヵ月接触禁止』
「!?」
『と、言ったらシャリオンも拗ねてしまいすし、普段我慢している子達に私が八つ当たりされてしまいますからね』
「っ・・・」
その罰は重過ぎる。
思わず、キラキラと宝石のような輝きを持つ二人の瞳を覗き込むが、ガリウスの言った言葉を想像すると辛くなる。
シャリオンは仕事に打ち込んでいるが、けして子達と離れたいからではない。
「あぅ」
「うー」
「っ・・・それは・・・困る」
シャリオンからみて奥にいるガリオンの頬を撫でると、その手に『ずるい!』と言うように手を伸ばすアシュリー。
思わずその額に口づけると、嬉しそうにシャリオンに手を伸ばしてくる。
『では1週間・・・・。いえ。2日接触禁止にしましょうか』
優し気な声色だが罰は辞めてくれる気がないらしく、シャリオンはコクリと頷いた。
「うん・・・わかった」
『そんなに落ち込まないでください。
緊急なことは除きますが、それ以外の時はちゃんと休みを取って下さればいいのです。
ゾルが知らせてくれるでしょう?』
「うん」
シャリオンはそれをいつも『うん、わかった』と答えている。
というか、何時返事をしたか覚えてないくらい無意識に返事をしているような気もするが。
『ゾルは休憩に関しては嘘偽りなく破ったら私に連絡してきますからね』
念を押されて言われてシャリオンは苦笑を浮かべた。
「心配性だな・・・」
『倒れてからでは遅いのです。2人を悲しませたいのですか?』
「そんなわけないじゃないか・・・。ちゃんととるよ」
『それを聞いて安心しました。・・・今日は早く帰ります。
そしたら4人で話しましょう』
「うん」
最近、寝具で今のように寝そべり、ガリウスとシャリオンの間には2人の子を並べて、その日の出来事や子達の反応をガリウスと話すのが最高の至福だ。
思わずシャリオンは嬉しそうに返事をする。
こうして話していたい。
しかし、ガリウスが暇なわけがない。
久しぶりの思考共有にガリウスが近くにいるようだったが。ずっと止める訳にも行かずガリウスは仕事に戻っていった。
シャリオンは自然と子達に視線を下す。
「あー」
パタパタと手を動かすから、その手に指を差し出すとキュッと握るそれに、思わず口元に笑みが浮かぶ。
「お休みしなさいって怒られちゃった」
「うー」
「あー!」
アシュリーと指を掴んでいるのをみてやきもちを焼くようにガリオンが声を上げるので、ガリオンの方に手を伸ばすと、真似をするようにキュッと握られた。
「もっと要領よく出来たらいいのだけど、・・・なんかよくうまく行かないんだ」
「うー・・・」
「あぅ」
「・・・。ふふッ・・・もしかして慰めてくれてるの・・・?
・・・ありがとう。
早く大きくなってね。そしたら領地のあちこちを見に行こうね」
「「あー」」
そんなことは絶対にありえないが、まるでそうしてくれているような反応に、シャリオンは子達の額に口づけを落とすのだった。
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