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執着旦那と愛の子作り&子育て編

希望の光。

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部屋にシャリオンの悲鳴が響き渡った。
ファングスに襲われた時は、はじめてはガリウスが良かったと思ってしまったが、何度目だってガリウス以外嫌だ。

すぐそばには願いも叶わず襲われたジジが居るなど、そんなこと考える余裕もなくひたすら拒否をしてしまった。
しかし、しばらくして足を掴まれて反転され、男が持った核が再び目に入ると体を震わせ固まらせた。

・・・!

男が核に歯を立てそうなのをみて、シャリオンは完全に体を抜かざる終えなかった。

「・・・っ」
「良いんだぜ?・・・もっと暴れて」
「っ」
「そんなに子供が大切か?」

そう言いながら、男は広げられた足の間にあるシャリオンのモノを悪趣味に摘まみ上げて遊ぶ。
シャリオンはその不快感にじっと耐えた。

「こんなことなら核をもう一つ持ってくるんだったな・・・。
孕ませて、この核と一緒にもどしてやれば良かった」
「!」
「安心しろよ。俺はあの男の子にも魔力をやるぜ?」
「っ」
「出来た子は変態貴族に売れるだろうよ。
お前の父親も伴侶もいろんな奴らから恨みを買われてるようだからなぁ?
お前に似てたとしても高く売れるだろう。
安心しろ。お前はそれを産み出す大事な金の卵だ。・・・大事に飼ってやる」
「っ」
「子供を解体趣味の変態貴族に売られたくないなら、子育てには十分気をつけるんだな」

シャリオンは信じられないものを見る目で男を見る。

なぜそんな酷いことを思いつくのか。
なぜそんな悪意を全く関係ない他人に向けられるのか。

「それにしても、こんな卑猥な形した穴で、おまけにさっき1人遊びしてた割にはきついな。
・・・ちょっと構ってやらないとか?」

煽る様に尻穴をカリカリと指で掻かれる。

「っ・・・ひぅっ」
「力いれんな。・・・そうだ、大人しくしてれば、・・・お前も良い思いすんだから抵抗するな」
「っ・・・」

良い思いなんてするわけがない。
だが、そんなこと言える訳もなく、耐える。
こうなってしまっては感じることが恐怖だ。
先ほどの様にシャリオンのことなど構わず挿入でもしてくれればよかったのに。
ガリウス以外とと言う嫌悪に拒否してしまったことに後悔する。

「っ・・・っ」
「ははは!まだ、1cmも入れてないぞ?
それともあの男は短小なのか?」

男の言っている内容は分からなかったが侮辱だと言う事は分かる。
否定するように首を振る。

「おら。逃げんな。犯された後のお前の男の反応が良くなるように、もっと淫乱に仕立ててやるよ。
男を見たらよだれ垂らして媚びるようにな」
「・・・っ」

嫌で嫌で。
歪んだ視界が、さらに酷くなる。
そんなときだった。
腰を抑えていた手が無くなり、空を切り激しい物音が壁の方でなった。



「下品な言葉を聞かせるな」



その声は紛れもなくて。
震える声で名前を呼んだ。

「・・・っゾ・・・ゾル・・・?」

瞬きをして視界がクリアーになると、振り返りそこに居たのは紛れもなくゾル。
しかし、その頬には血の涙が流れていた。

「!?・・・ぞ・・・ゾル?」
「心配するな。これは隷属を解いた反動だ。それより服を着ろ。・・・おい」
「っ・・・手伝う」

ゾルに呼ばれたジジはシャリオンの元に駆け寄った。
そして、シャリオンに服を着るのを手伝ってくれる。
それは不要だと言おうとしたのだが、手が震えていた。
見せまいと隠そうとして見上げると、ゾルはこちらを見ておらず、・・・男の方に向かっていた。

「っ駄目ッゾル!逃げよう!」
「時間を稼ぐ。だからさっさと着替えろ。
裸のお前を引き連れたなど、ガリウスに知られたら俺が殺される」
「っ」

だが、また隷属をかけられたら?と思うと恐怖に震える。
シャリオンはジジに手伝ってもらいながら、服に手を通した。
自分を責めているのだろうか?
ジジは言葉を詰まらせて、ボロボロと泣いていた。

「ありがとう、ジジ。ゾルが起きたなら大丈夫だから」
「っ・・・」

こくりと頷いたのと同時に、ジジはシャリオンの手を取ると、キッと顔を上げた。
そして、ジジは男に向かって声を張り上げた。

「その核、・・・割りたいなら割ればいい!」
「!」
「なに・・・?」
「私は、あなたの指示通り、『安全な場所』に転移しただけだ」

その叫びに何を言っているのか、すぐには理解できなかった。
ジジは男から核を奪うように指示されていたのだろうか。
しかし実際は、ジジは自ら核を取ろうとはしなかった。
シャリオンが思いつくまで、その話をしなかったと思う。

・・・やっぱりジジは

男への反抗に恐怖があるのか、ジジの手は震えていた。
そんな手をシャリオンはぎゅっと握った。

ゾルがこちらを見ると整ったのを見て、ジジに合図を送る。
すると、シャリオンの手を引いた。

「ジ・・・ジジ・・・?」
「っ・・・私達は、邪魔になるから」
「!・・・でもっゾルが!」
「行け!」
「ゾルッ!」
「ガリウスは向かっている。ここの出口は中から開かない封印がされているそうだ。だから早く行け」
「!」
「シャリオンッ・・・ごめん」
「!・・・ジジっ・・・やだっ離して!!・・・ゾル!」

ゾルを置いていくと言う事に、胸が引き裂かれるような思いだった。
けれど、ジジが言った『邪魔になる』と言うのは事実だ。

すると、心の中に・・・・声が聞こえてきた。

『シャリオン』

「・・・!・・・が・・・ガリィ・・・?」

『あと少し。頑張って下さい。・・・すぐそこに来ていますよ』

「でもっ・・・」

『ゾルなら大丈夫です。逆にシャリオンがそこにいると、彼は戦いに集中できません』

「・・・!」

『わかりますね』

「っ・・・うん」

ずっと聞きたかった愛しい声と、ゾルを置いて行かなければならないという不安にぐちゃぐちゃだ。
そんな中引いてくれるジジに促されながら、シャリオンは走り出した。

ゾルは強い。

不安を打ち消し走り出す。


☆☆☆

古城と言ったその建物は、確かに間違いはなかったようだ。
だが、華美な様式でシディアリアと違うものように見える。
おまけに、窓はあるが真っ暗闇だ。
夜なのかとも思ったが、城の中も暗いのに夜空が見えないのは可笑しい。
だが、それは後ろから聞こえてくる足音で恐怖に染まる。

・・・ゾル!

ゾルは足音を立てない。
この人物はわざと立てているように感じた時だった。

「アハハ!待てよシャリオン。鬼ごっこか?・・・もっといい遊びをしようぜ?」
「「!!」」

隠れた方が良いのかどうしたら良いのか。
少し前からこちらを見てくるジジ。
彼の方が歩幅がある。つまりジジの方が早く走れるのに、シャリオンに合わせてるのが分かる。

「先に行って!」
「!?」
「ジジの方が早いはずだよ」
「っ・・・」

もう、ジジは十分辛い思いをしたはずだ。
それに、もうガリウスがきているというのは、シャリオンを少し強くさせた。

「君は道も詳しい。だからガリウスを連れてきて欲しい」

そう言ったシャリオンに、ジジは息を飲んだ。
しかし、シャリオンを掴むと走り始める。
シャリオンは引きずられるように走った後、エントランスには抜けず横の小さな小部屋に入る。
そして、どこをどう行ったのか分からないまま、漸くして止まるとシャリオンはある部屋に閉じ込められた。

「!ジジッ!?」
「っ・・・っ・・・・その棚の後ろに扉がある。その先に、‥‥洞窟が、ある」
「だからなに!?」
「・・・洞窟に・・・・大きな岩が、それがここの出口。右側の明かりの下にレバーがあるから、それで開く」

走ったせいで荒い呼吸を整わせながらジジはつづけた。

「貴方の伴侶も、絶対にそこにきてる」
「!・・・ジジも一緒にっ」

そう言うと笑うのが聞こえた。

「『ディディ様を連れてきて』」
「!!」

それはさっき自分が言った言葉だ。
シャリオンは首を横に振ると、まるで見えているかのようにジジは言った。

「駄目。連れてきて。待ってるって」
「っ」

男が恐怖をあおる様に物音をたててる音が近づいてきてくる。
すると、ジジがバンッとドアをたたく。

「ッ」
「さっきの人の、すべて無駄にするの?」
「・・・!」
「早く!今ならきっと間にあうから!!」
「っ・・・っ・・・ジジッ・・・後でねっ」
「!・・・うん」

その返事の弱さに不安を抱きながらも、シャリオンは足を動かした。


途中大きな物音が響き振り向きたくなるが、シャリオンがここで捕まってしまったら、本当に無駄になってしまう。
ゾルもジジも本当に・・・!


今まで走ったことがない距離を走り、もう体が痛いし重い。
でも、止まれない。

ジジの言う通り、良くは見えないが周りの反響が洞窟になったのは分かる。
遠くに見えた明かり。
きっと、そこだ。

希望の光の様に見えた。・・・しかし。




「みーつけた」





「!」

残酷な声が響いた。
楽しげなのが余計に不気味で、全身を恐怖が駆け抜ける。

・・・ガリウス・・・っ!

『ここです!』


漸くたどり着いた岩。
ジジの言った通りにレバーを回すが、どこにも扉が開く様子がない。

・・・ガリィ!・・・開かない・・・・っ

『っ』

必死にガシャガシャと動かす。
そんな時だった。


「手前に引け!!!」
「!」


後ろから聞こえた声のままに、シャリオンはレバーを引く。
そして・・・。



気付いたら、あたりは光に包まれていた。
震える体は強く抱きしめられ、包まれた香りにその腕に安心する。



外の眩しさに何も見えない。



けれど、


なのに。
目から涙が止まらなかった。


「っ・・・シャリオン」

ぎゅうっと痛いくらいに抱きしめてくれるガリウス。

嬉しい。


けど、・・・。

シャリオンは顔を上げると、まだ眩しいが必死に目を開けようとするが痛い。
ガリウスが落ち着けるように耳元で、『落ち着いて』とささやいてくれた。
だがらシャリオンは目をつむったまま、言葉を続ける。

「っ・・・ゾルがっジジが・・・!」
「大丈夫。・・・後は任せて下さい」
「っ・・・ディディ殿をっ」
「向かってます。大丈夫」
「っ・・・」

そう言いながらシャリオンのことを抱きしめてくれた。


┬┬┬
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
ちゃんとハッピーエンドになりますので、
もうしばらくお付き合いいただけると幸いですm(_ _)m
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