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婚約編
赤蜘蛛に聞いてみた。
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『赤蜘蛛』から予告を受けてから、5日経った。
今日もガリウスの部屋に籠り、領地の仕事をこなす。
領地が潤っているのに、孤児がいて盗賊団化してしまうのは由々しき問題である。
孤児院の数が足りないのかもしれないが、一度調査が必要そうだ。
あーでもない、こーでもないと悩んでいると、机に置かれた紅茶に視線をあげた。
身辺を守ってくれているゾルだ。
「根を詰めすぎてもよろしくありませんよ」
「ゾル・・・ありがとう」
朝からずっとこんな状態で、シャリオンは休憩をすることにした。
ペンを置くとふっと一息をつく。
淹れてくれた紅茶に口を付ける。
「ゾルは・・・君はなんて名前なの?」
「私達は皆がゾルです」
「え」
「先に言っておきますと、・・・いや。
先に言っておくと、別に困ってない。むしろこう言うことがあったから、便利だと思ってる」
「そう、なのか?」
「あぁ。それに俺達は情報を共有出来るからな」
「魔法で?」
「ウルフ家に伝わる秘術、・・・この国では禁術だがな」
「それは平気なのか?」
「勝手に国が危険視して禁止したんだ。それにむやみやたらにかけない」
勝手に掛け悪用した過去に掛けた人物がおり、それからは禁術になってしまったらしい。
まぁウルフ家においては・・・聞かなかったことにしよう。
宰相であるレオンが何も言わないのは何かあるのだ。
そう納得していると、ニヤリと笑みを浮かべるゾル。
「だから皆お前の『誓い』だったか?知っている」
「っ?!」
「俺は元々お前についてた方だ。・・・勿論何をしてるかは見てないし、あの男の結界の中にいる間は見てないから安心しろ」
「っ」
「まぁ想像は容易いが、兄としては複雑だな」
「・・・っ」
「まぁつまりだ。別に個々を識別しなくても情報共有できているし問題ない」
「僕が言っているのは仕事面じゃなくて、ゾル自身のことだよ?」
「・・・、」
そうすると苦笑するゾル。
「・・・ゾル。・・・そうさせてしまっているのは、ハイシ、うわっ」
わしわしと頭を撫でられる。
「難しい顔をして・・・何を検討違いのことを考えているんだが。
だが・・・、お前には難しいかもしれないな」
『どういうこと?』と視線を向ける。
「気にするな。俺達はそのことに何一つ不満に思ってはいない。
それどころが都合がいい。
俺達がこんな状態でお前はこれまでなにか変に思ったり、不満に思うことはあったか?」
「不満に思うことなんてない。・・・あ、でも怪我が早く治ったり、やたら移動が早いのは不思議だったかも」
それは、シャリオンがよそ見をしながら階段を降りようとしたときだった。
階段の始まりに見誤り転落しそうになった。そんな時に、それを庇おうとしてゾルが落ちてしまったのだ。
「怪我か・・・確かにあの時は迷ったな。怪我のままではお前を守れない」
「あの時はごめん・・・」
「名誉の傷を持っているのは今領地でシャーリー様についている奴だ。
だが、俺達3人はお前が守れたことをあの怪我くらいで済んでよかったと本当に思っている。
お前を全力に守るのが俺達の宿命で、それはお前の行動を狭めるためのものじゃない」
完全に納得いくものではない。
だが、ゾルのその表情は本当にそう思っているように見える。
『お前の行動を狭めるためのものじゃない』
公爵家で宰相の息子というのはやっかみを受けることもある。
それは口頭だけのものはいくつか受けていた。
だが、今の今まで公爵家の息子として不利益を受けたことはない。
ゾル達が頑張ってくれているからかな?
なんて思った時だった。
ゾルの眼差しが途端に厳しくなる。
「赤蜘蛛が捕縛された」
「そっか。・・・あのさ」
ついに来たかと思いつつ、チラリとゾルを見上げると、まだそれしか発していないのにため息をつかれた。
「・・・。あの男の言う通りか」
「え?」
「いや。・・・なんだ?」
「会いに行きたいんだけど」
そう言うと不快ため息をつかれる。
「この間は大人しく引いたように見えたが?」
「だって、そうしないと父上許してくれそうになかったから」
「それは当然だ」
「でもちゃんと僕の言葉で聞きたいんだよね。
ここにはゾルが2人もいるんだし、これ程心強いことは無いと思うんだけど」
「お前は・・・それで俺がレオン様から叱られるんだぞ」
「うーん。勿論フォローもするけどさ。・・・僕の為に怒られてくれない?」
その言葉に大きく目を見開いた後、盛大にため息をつく。
「お前って奴は」
「ちゃんと危険だって分かったら逃げるから」
「お前の反応についていけない盗賊などいないだろ」
「ぅ・・・どうしても駄目?」
「あーもう、わかったから。・・・ちょっと待て。状況を確認する」
そういうと、ゾルは黙り込む。
赤蜘蛛を捕らえたゾルとテレパシーで確認しているようだ。
「・・・。問題ない。だが、くれぐれも俺の前に出るな」
「!ありがとうっ・・・ゾル!」
嬉しそうに返事をするシャリオンに盛大にため息をつくゾルなのだった。
「それと、これを。あの男からだ」
「?・・・これはタリスマン?」
「身に着けていろ。幻覚・マインドコントロール・防御の耐性を高める効果がある」
「わかった」
あの時は何も言わなかったのに、こんなものを用意してくれているとは思わなかった。
シャリオンは胸のなかそっとガリウスにお礼を言うのだった。
☆☆☆
5日ぶりの自室は惨状と化していた。
薄い煙りが立ち、床にはゾルにより抑えられた盗賊と思われる人物が居た。
全身を布で覆い、目元だけかろうじて出しているのがだけ認識できた。
・・・とは言っても一瞬で不確かだ。
優秀なハイシア家の影武者が赤蜘蛛から庇うように立ったからである。
ここに現れたシャリオンにアリアは驚きこちらを見ている。
「意識はあるのかな」
「はい」
「それより近づくな」
「分かってるよ」
ここからではよく見えない。
だが、それが約束なのだから仕方がない。
「こんにちは。赤蜘蛛さん」
「・・・」
「僕がシャリオンです」
「・・・自分は安全なところで見物が?やはり貴族はロクでもないな」
「一応領主で次期当主だからね。手荒になってしまってすまない。
その体勢も痛いだろうし、本題に入るけど、どうしてこんなこと?」
「・・・」
「アリアを助けにきたの?」
「っ・・・」
息が掠れたのが聞こえる。
「そっか。・・・うん。・・・ゾル」
「・・・はぁ」
前に行きたいと名前を呼んだのだが、それが伝わったらしい。
だが、それはアリアには伝わっていなかったらしく、前に出たシャリオンに驚いたように声をあげた。
「シャリオンさまっ」
シャリオンは捕えた人物に視線を合わせるようにしゃがむ。
ゾルはそれまで以上に力を入れて相手を抑える。
この距離で見た瞳は、濁りすべて憎しみを詰め込んだような、絶望を称えた目をしていた。
「ぐっ」
「ゾル!それ以上力を入れては駄目だ」
「・・・、」
抑えている方のゾルの視線がとても苛立っていた。
そうしてくれたのは、シャリオンの為だからだ。
「ゾルなら動くの分かるでしょう?」
「・・・お前は。・・・はぁ」
だから必要以上力をこめるなと視線で訴えれば、ため息をついたのちにゾルが力を抜いた。
赤蜘蛛は信じられないものを見るように見たが、すぐに忌々し気に睨んだ。
「赤蜘蛛さん。アリアを僕にくれないかな」
「?!貴様っ!」
途端に苛立ちを滾らせ起き上がろうとした盗賊に、ゾルが力をこめ床に押し付けたため赤蜘蛛がシャリオンに攻撃するようなことはなかった。
「ご・・・ごめん。
こう言ったら勘違いするからと言われていたんだけど・・・。
でもちゃんと言わないと駄目だと思ったんだ」
「っ・・・」
「この子は・・・アリアはうちで大事にする」
「!・・・っ」
「本人が望むなら学校だって行かせるし、この後嫁に行くならそれもちゃんと責任をもって見るから
アリアをここにいることを許してくれないか?」
「っ」
そう言った途端、人が殺せるのではないかと思えるほどの睨視でこちらを見てくる。
「っ・・・シャリオンさまっ・・・あのっ・・・わがままも承知ですっ・・・このままこの者を逃がしてはもらえないでしょうかっ」
「!」
シャリオンと赤蜘蛛の間に滑り込み立つアリア。
それに憤慨したのはゾルだ。
「アリアっ・・・貴様何を血迷ったことをっ寝返る気か!?」
まぁまぁと、手でゾルを止めるとしゃがんだままのシャリオンはアリアを見上げる。
「うーん。・・・でも、それで大丈夫だと思う?」
「それは・・・」
言い濁すのはシャリオンの貴族としての体裁を気にしていると思ったのだろうか。
カインとアリアもゾイドス家の賠償という形でここにいるのだ。
だがシャリオンが気にしているのはそんなことではなく赤蜘蛛の身だ。
「赤蜘蛛さんはアリアのことだけで、ここに来たようではないみたいだし」
「!?」
「シャ・・・リオンさま」
「アリアはなにか知っている?」
「っ」
勿論、仮定はしていただけで、証拠はない。シャリオンとしてはカマを掛けただけだ。
言えないのかスッと視線を外すアリア。
自ら進んでこの家の者になったとは言え、以前の仲間を簡単に裏切るのは難しいだろうか。
「やっぱり上下関係は厳しいものか」
「?・・・いいえ」
「ん?」
「あの者は確かに歳上で団員歴も上ではありますが。・・・私の方が立場が上です」
「ん?」
「私が団長ですから」
「え?」
「「「・・・」」」
その言葉に、シャリオンもゾル達も、影武者すらも驚いて見せた。
いや、10歳だし、見た目可愛らしい女の子のアリアが。
人を殺すことを必要であればこなすとは聞いていたけれども。
「アリアが、・・・団長・・・?」
「はい」
その返答にアリアには揺るぎがなかった。
そしてクロエも反応したようには見えなかった。
「えーっと・・・そうなんだ。ちょっと驚いたな。ううん。大分驚いた」
「真実をお伝えせず申し訳ありません」
「いいよ。アリアにはアリアのこれまでの人生がある。
それに、それだけ団員が大切だということが見れて、僕もやる気が出てきたよ」
「やる気、・・・ですか」
「この話はあとでね?アリアにもいろいろ話を聞きたいんだ」
ニコリとほほ笑みアリアを見れば戸惑ったような表情だった。
「赤蜘蛛さんがここに来た理由はアリアが来た理由と同じかな?」
「・・・。私がこの王都に来た理由はおそらく同じです。
でもこの屋敷に来たのは別の理由です。・・・そうだな、クロエ」
「っ」
アリアは子供らしい表情を一切出さず、クロエと呼ばれた者を見た。
あれ、・・・女性?!
思わずゾルに力を入れすぎるなと視線を送るが、首を振られてしまった。
「私がこのお屋敷に来たのはカインが助け出そうとしてくれたこと。
・・・そしてゾイドス家に貴方を攫えと」
「「!?」」
「攫えと言ったところは同じかもしれませんが・・・依頼元が違うと思います」
カインが義妹であるアリアをここに連れてきたのは、父であるゾイドス男爵の魔の手からアリアを守るためだった。
アリアがゾイドス家の娘になったのは・・・攫われたからと言っていたが・・・。
ゾイドス家はアリアを赤蜘蛛だと知っていたということだろうか。
魔法紙は答えを書いてくれない。
導くのは質問側の技術もある。
聞いてる最中や答えてる最中に違うことを書かれ、正確率が下がる事もあるが、それは長年鍛錬をつけた者でないと出来ない。
子供だから手を抜いたのはシャリオンだ。
「もしかしてアリア。君わざとゾイドス男爵に捕らえられたのか?」
その質問にコクリと頷くアリア。
「なんて危険なことを・・・。一歩間違ったらもっと危険なことになってたかもしれないのに」
信じられない。厳しくアリアを見るが、なぜか4面から否定される。
「「シャリオン。そいつはアサシンだ」」
「そうです。シャリオンさま。私は強いです。それこそシャリオンさまよりも」
「「そうだな」」
「・・・恐れ多くも。・・・私もそう思います」
影武者にまでそう言われてしまうシャリオン。
強いつもりはないが、みんなから弱いと言われるのも悔しい。
いや、事実なのだが。
「っ・・・そ、そうだとしても、敵にゾルみたいのがいたらどうする!
赤蜘蛛さん・・・えっと、クロエさんみたいに、あんな風に捕えられたらアリアは勝てないでしょ!」
ピッと指さすシャリオン。
しかしその脱線をゾルが正す。
「シャリオン。その話は今必要か?」
「っ・・・そうだね、アリアのその件については後で話そうか」
キっと厳しい眼差しでアリアをみると、彼女から苦笑を浮かべられた。
あの子供らしい感じは幻だったのだろうか・・・ちょっと寂しい。
「私は王都の貴族に攫われたある人物を探しています。
人探しを外からするのは限度があるのです。・・・なので領地に戻り手っ取り早く貴族に捕まり潜伏することにしたのです」
「そんなの・・・捕まって閉じ込められたら潜伏も何もないじゃないか」
「男は・・・貴族は可愛くしていればうまく転がります」
10歳の子供から聞きたくない言葉である。
「貴族の人攫い・・・。誰がというのは分かっているの?」
その言葉にアリアは首を横に振った。
「クロエさんは?」
視線を向けると、まだ凍てつくような冷たさを含んでいた。
「クロエ」
「ッ・・・こんな坊ちゃんに言ってどうなる」
「シャリオンさまは他の貴族とは違う」
「っ・・どうだかっ!・・・団長っ貴女まさか本当にこの男に洗脳されたのですかっ!?」
「そんなのされてない」
「なら何故貴族の元で犬のような真似をしている!」
「・・・それは」
「まさか私達を裏切ってこんなところでぬくぬくとしているとは思わなかったっ・・・貴女には今日限りで団長を降りてもらう!」
「それって一存で決められるの?」
そう口を挟んだのシャリオンだ。
途端にギロリと睨まれた。
「部外者は黙っていろ!!」
「うーん。まぁアリアはうちの子になるから団長でなくなるのは一向にかまわないけど、・・・でも貴女もここから出られないよ??」
「!」
「逃がすわけないよ~」
「シャリオンさま・・・」
寂し気な声を出すアリア。
「だってこのまま外に出したら、僕を連れていく以外でクロエさんが無事にいられる保証ないでしょう。
・・・それに、ここにはうちの手練れが4人いて、部屋の外にも控えているのに大丈夫??
たぶんこの部屋に入れたのって、君の技術で入れたというよりもゾル達が招きいれたから入れたんだと思うよ」
この屋敷では侵入者なんて聞いたことがない。
未然にふさがれたものなんて、こちらに上がってくるとは思えないからだ。
「!」
「どうしようか・・・うーん」
「簡単だ。尋問すればいい」
「ゾルの尋問は怖そうだからな」
「甘くて尋問になるか」
「まだその段階じゃないと思う。
・・・というか、半分は同じ理由てことは、クロエさんはその探し人を探しに来たわけでしょう」
「っ」
「アリアが何も言わないから、ここにはいなかったんだよね?」
この屋敷には本当に少ないが数名は女性が働いていると聞いている。
彼女たちは昔ながらのスカートをはく場合もあるが、他の使用人と同じ様にパンツスタイルもある。
一見は分からないかもしれないが、声を聴けば分かるはずだ。
そんな状態でアリアが使用人の中に居てわからないはずがない。
だが、人数が少ないと言われている女性が赤蜘蛛に2人いると聞いて嫌な予感がした。
「はい。・・・ここにはソフィアは・・・いませんでした」
「ソフィア・・・、・・・、・・・。もしかして赤蜘蛛ってみんな女性・・・?」
その言葉にアリアは戸惑ったのちにコクリと頷いた。
シャリオンは思わずヒヤリとした。
この世界の女性は少ない。
出産率もそうだが、市井では力差から下に見られ、不当な扱いを受けることが多いから。・・・と、されている。
これをシャリオンは何の不思議にも思わなかった。
人は欲望の塊であり、
この世界には男性のレイプすらあり、自分より力の弱い女性は特に狙われ易いだろうと。
そのため守られる対象である。
「貴族が女性を守るためにか。・・・全然守れていないね」
裕福な貴族が弱きを守る。
でもそうなったのはつい最近。
それを提唱した貴族がいるのだ。
「もう少し調べるしかないか・・・。
人攫い・・・それも女性の人攫いがないか、僕の方もでも調べてみるね。
で、当面の目標はソフィアさんを探すってことで。
いい案浮かんだら教えてね。
その間、クロエさんは身体検査した後何処かの部屋に・・・いや。
君はこの屋敷の隅々まで探していいよ」
「「は?」」
「「それは・・・野放しにするということか」」
驚きの声をあげたのはアリアとクロエ、後半の怒気を纏った声はゾルである。
「アリアとゾルを付けるよ。
ゾルだけでついちゃだめだよ?必ずアリアと一緒ね」
「何故だ・・・」
「そんなの怖いでしょ」
「・・・・・・・」
ゾルからのあきれたまなざしは慣れっこで、シャリオンは続けた。
「外から敵が来たら知らせてね。
あと、えーっと。・・・カイン!カインを僕の・・・じゃなくてガリウスの部屋に呼んでおいて」
口早にそういうと、本棚に入れられた本を幾冊かピックアップして抱える。
その横からそれをゾルに奪われた。
「ありがとう。じゃ行こうか」
もう1人のゾルを引き連れると部屋を後にするのだった。
┬┬┬
真面目回だ・・・
皆さまエロを求めているのは重々称している。
むしろ私も書きたい。
今日もガリウスの部屋に籠り、領地の仕事をこなす。
領地が潤っているのに、孤児がいて盗賊団化してしまうのは由々しき問題である。
孤児院の数が足りないのかもしれないが、一度調査が必要そうだ。
あーでもない、こーでもないと悩んでいると、机に置かれた紅茶に視線をあげた。
身辺を守ってくれているゾルだ。
「根を詰めすぎてもよろしくありませんよ」
「ゾル・・・ありがとう」
朝からずっとこんな状態で、シャリオンは休憩をすることにした。
ペンを置くとふっと一息をつく。
淹れてくれた紅茶に口を付ける。
「ゾルは・・・君はなんて名前なの?」
「私達は皆がゾルです」
「え」
「先に言っておきますと、・・・いや。
先に言っておくと、別に困ってない。むしろこう言うことがあったから、便利だと思ってる」
「そう、なのか?」
「あぁ。それに俺達は情報を共有出来るからな」
「魔法で?」
「ウルフ家に伝わる秘術、・・・この国では禁術だがな」
「それは平気なのか?」
「勝手に国が危険視して禁止したんだ。それにむやみやたらにかけない」
勝手に掛け悪用した過去に掛けた人物がおり、それからは禁術になってしまったらしい。
まぁウルフ家においては・・・聞かなかったことにしよう。
宰相であるレオンが何も言わないのは何かあるのだ。
そう納得していると、ニヤリと笑みを浮かべるゾル。
「だから皆お前の『誓い』だったか?知っている」
「っ?!」
「俺は元々お前についてた方だ。・・・勿論何をしてるかは見てないし、あの男の結界の中にいる間は見てないから安心しろ」
「っ」
「まぁ想像は容易いが、兄としては複雑だな」
「・・・っ」
「まぁつまりだ。別に個々を識別しなくても情報共有できているし問題ない」
「僕が言っているのは仕事面じゃなくて、ゾル自身のことだよ?」
「・・・、」
そうすると苦笑するゾル。
「・・・ゾル。・・・そうさせてしまっているのは、ハイシ、うわっ」
わしわしと頭を撫でられる。
「難しい顔をして・・・何を検討違いのことを考えているんだが。
だが・・・、お前には難しいかもしれないな」
『どういうこと?』と視線を向ける。
「気にするな。俺達はそのことに何一つ不満に思ってはいない。
それどころが都合がいい。
俺達がこんな状態でお前はこれまでなにか変に思ったり、不満に思うことはあったか?」
「不満に思うことなんてない。・・・あ、でも怪我が早く治ったり、やたら移動が早いのは不思議だったかも」
それは、シャリオンがよそ見をしながら階段を降りようとしたときだった。
階段の始まりに見誤り転落しそうになった。そんな時に、それを庇おうとしてゾルが落ちてしまったのだ。
「怪我か・・・確かにあの時は迷ったな。怪我のままではお前を守れない」
「あの時はごめん・・・」
「名誉の傷を持っているのは今領地でシャーリー様についている奴だ。
だが、俺達3人はお前が守れたことをあの怪我くらいで済んでよかったと本当に思っている。
お前を全力に守るのが俺達の宿命で、それはお前の行動を狭めるためのものじゃない」
完全に納得いくものではない。
だが、ゾルのその表情は本当にそう思っているように見える。
『お前の行動を狭めるためのものじゃない』
公爵家で宰相の息子というのはやっかみを受けることもある。
それは口頭だけのものはいくつか受けていた。
だが、今の今まで公爵家の息子として不利益を受けたことはない。
ゾル達が頑張ってくれているからかな?
なんて思った時だった。
ゾルの眼差しが途端に厳しくなる。
「赤蜘蛛が捕縛された」
「そっか。・・・あのさ」
ついに来たかと思いつつ、チラリとゾルを見上げると、まだそれしか発していないのにため息をつかれた。
「・・・。あの男の言う通りか」
「え?」
「いや。・・・なんだ?」
「会いに行きたいんだけど」
そう言うと不快ため息をつかれる。
「この間は大人しく引いたように見えたが?」
「だって、そうしないと父上許してくれそうになかったから」
「それは当然だ」
「でもちゃんと僕の言葉で聞きたいんだよね。
ここにはゾルが2人もいるんだし、これ程心強いことは無いと思うんだけど」
「お前は・・・それで俺がレオン様から叱られるんだぞ」
「うーん。勿論フォローもするけどさ。・・・僕の為に怒られてくれない?」
その言葉に大きく目を見開いた後、盛大にため息をつく。
「お前って奴は」
「ちゃんと危険だって分かったら逃げるから」
「お前の反応についていけない盗賊などいないだろ」
「ぅ・・・どうしても駄目?」
「あーもう、わかったから。・・・ちょっと待て。状況を確認する」
そういうと、ゾルは黙り込む。
赤蜘蛛を捕らえたゾルとテレパシーで確認しているようだ。
「・・・。問題ない。だが、くれぐれも俺の前に出るな」
「!ありがとうっ・・・ゾル!」
嬉しそうに返事をするシャリオンに盛大にため息をつくゾルなのだった。
「それと、これを。あの男からだ」
「?・・・これはタリスマン?」
「身に着けていろ。幻覚・マインドコントロール・防御の耐性を高める効果がある」
「わかった」
あの時は何も言わなかったのに、こんなものを用意してくれているとは思わなかった。
シャリオンは胸のなかそっとガリウスにお礼を言うのだった。
☆☆☆
5日ぶりの自室は惨状と化していた。
薄い煙りが立ち、床にはゾルにより抑えられた盗賊と思われる人物が居た。
全身を布で覆い、目元だけかろうじて出しているのがだけ認識できた。
・・・とは言っても一瞬で不確かだ。
優秀なハイシア家の影武者が赤蜘蛛から庇うように立ったからである。
ここに現れたシャリオンにアリアは驚きこちらを見ている。
「意識はあるのかな」
「はい」
「それより近づくな」
「分かってるよ」
ここからではよく見えない。
だが、それが約束なのだから仕方がない。
「こんにちは。赤蜘蛛さん」
「・・・」
「僕がシャリオンです」
「・・・自分は安全なところで見物が?やはり貴族はロクでもないな」
「一応領主で次期当主だからね。手荒になってしまってすまない。
その体勢も痛いだろうし、本題に入るけど、どうしてこんなこと?」
「・・・」
「アリアを助けにきたの?」
「っ・・・」
息が掠れたのが聞こえる。
「そっか。・・・うん。・・・ゾル」
「・・・はぁ」
前に行きたいと名前を呼んだのだが、それが伝わったらしい。
だが、それはアリアには伝わっていなかったらしく、前に出たシャリオンに驚いたように声をあげた。
「シャリオンさまっ」
シャリオンは捕えた人物に視線を合わせるようにしゃがむ。
ゾルはそれまで以上に力を入れて相手を抑える。
この距離で見た瞳は、濁りすべて憎しみを詰め込んだような、絶望を称えた目をしていた。
「ぐっ」
「ゾル!それ以上力を入れては駄目だ」
「・・・、」
抑えている方のゾルの視線がとても苛立っていた。
そうしてくれたのは、シャリオンの為だからだ。
「ゾルなら動くの分かるでしょう?」
「・・・お前は。・・・はぁ」
だから必要以上力をこめるなと視線で訴えれば、ため息をついたのちにゾルが力を抜いた。
赤蜘蛛は信じられないものを見るように見たが、すぐに忌々し気に睨んだ。
「赤蜘蛛さん。アリアを僕にくれないかな」
「?!貴様っ!」
途端に苛立ちを滾らせ起き上がろうとした盗賊に、ゾルが力をこめ床に押し付けたため赤蜘蛛がシャリオンに攻撃するようなことはなかった。
「ご・・・ごめん。
こう言ったら勘違いするからと言われていたんだけど・・・。
でもちゃんと言わないと駄目だと思ったんだ」
「っ・・・」
「この子は・・・アリアはうちで大事にする」
「!・・・っ」
「本人が望むなら学校だって行かせるし、この後嫁に行くならそれもちゃんと責任をもって見るから
アリアをここにいることを許してくれないか?」
「っ」
そう言った途端、人が殺せるのではないかと思えるほどの睨視でこちらを見てくる。
「っ・・・シャリオンさまっ・・・あのっ・・・わがままも承知ですっ・・・このままこの者を逃がしてはもらえないでしょうかっ」
「!」
シャリオンと赤蜘蛛の間に滑り込み立つアリア。
それに憤慨したのはゾルだ。
「アリアっ・・・貴様何を血迷ったことをっ寝返る気か!?」
まぁまぁと、手でゾルを止めるとしゃがんだままのシャリオンはアリアを見上げる。
「うーん。・・・でも、それで大丈夫だと思う?」
「それは・・・」
言い濁すのはシャリオンの貴族としての体裁を気にしていると思ったのだろうか。
カインとアリアもゾイドス家の賠償という形でここにいるのだ。
だがシャリオンが気にしているのはそんなことではなく赤蜘蛛の身だ。
「赤蜘蛛さんはアリアのことだけで、ここに来たようではないみたいだし」
「!?」
「シャ・・・リオンさま」
「アリアはなにか知っている?」
「っ」
勿論、仮定はしていただけで、証拠はない。シャリオンとしてはカマを掛けただけだ。
言えないのかスッと視線を外すアリア。
自ら進んでこの家の者になったとは言え、以前の仲間を簡単に裏切るのは難しいだろうか。
「やっぱり上下関係は厳しいものか」
「?・・・いいえ」
「ん?」
「あの者は確かに歳上で団員歴も上ではありますが。・・・私の方が立場が上です」
「ん?」
「私が団長ですから」
「え?」
「「「・・・」」」
その言葉に、シャリオンもゾル達も、影武者すらも驚いて見せた。
いや、10歳だし、見た目可愛らしい女の子のアリアが。
人を殺すことを必要であればこなすとは聞いていたけれども。
「アリアが、・・・団長・・・?」
「はい」
その返答にアリアには揺るぎがなかった。
そしてクロエも反応したようには見えなかった。
「えーっと・・・そうなんだ。ちょっと驚いたな。ううん。大分驚いた」
「真実をお伝えせず申し訳ありません」
「いいよ。アリアにはアリアのこれまでの人生がある。
それに、それだけ団員が大切だということが見れて、僕もやる気が出てきたよ」
「やる気、・・・ですか」
「この話はあとでね?アリアにもいろいろ話を聞きたいんだ」
ニコリとほほ笑みアリアを見れば戸惑ったような表情だった。
「赤蜘蛛さんがここに来た理由はアリアが来た理由と同じかな?」
「・・・。私がこの王都に来た理由はおそらく同じです。
でもこの屋敷に来たのは別の理由です。・・・そうだな、クロエ」
「っ」
アリアは子供らしい表情を一切出さず、クロエと呼ばれた者を見た。
あれ、・・・女性?!
思わずゾルに力を入れすぎるなと視線を送るが、首を振られてしまった。
「私がこのお屋敷に来たのはカインが助け出そうとしてくれたこと。
・・・そしてゾイドス家に貴方を攫えと」
「「!?」」
「攫えと言ったところは同じかもしれませんが・・・依頼元が違うと思います」
カインが義妹であるアリアをここに連れてきたのは、父であるゾイドス男爵の魔の手からアリアを守るためだった。
アリアがゾイドス家の娘になったのは・・・攫われたからと言っていたが・・・。
ゾイドス家はアリアを赤蜘蛛だと知っていたということだろうか。
魔法紙は答えを書いてくれない。
導くのは質問側の技術もある。
聞いてる最中や答えてる最中に違うことを書かれ、正確率が下がる事もあるが、それは長年鍛錬をつけた者でないと出来ない。
子供だから手を抜いたのはシャリオンだ。
「もしかしてアリア。君わざとゾイドス男爵に捕らえられたのか?」
その質問にコクリと頷くアリア。
「なんて危険なことを・・・。一歩間違ったらもっと危険なことになってたかもしれないのに」
信じられない。厳しくアリアを見るが、なぜか4面から否定される。
「「シャリオン。そいつはアサシンだ」」
「そうです。シャリオンさま。私は強いです。それこそシャリオンさまよりも」
「「そうだな」」
「・・・恐れ多くも。・・・私もそう思います」
影武者にまでそう言われてしまうシャリオン。
強いつもりはないが、みんなから弱いと言われるのも悔しい。
いや、事実なのだが。
「っ・・・そ、そうだとしても、敵にゾルみたいのがいたらどうする!
赤蜘蛛さん・・・えっと、クロエさんみたいに、あんな風に捕えられたらアリアは勝てないでしょ!」
ピッと指さすシャリオン。
しかしその脱線をゾルが正す。
「シャリオン。その話は今必要か?」
「っ・・・そうだね、アリアのその件については後で話そうか」
キっと厳しい眼差しでアリアをみると、彼女から苦笑を浮かべられた。
あの子供らしい感じは幻だったのだろうか・・・ちょっと寂しい。
「私は王都の貴族に攫われたある人物を探しています。
人探しを外からするのは限度があるのです。・・・なので領地に戻り手っ取り早く貴族に捕まり潜伏することにしたのです」
「そんなの・・・捕まって閉じ込められたら潜伏も何もないじゃないか」
「男は・・・貴族は可愛くしていればうまく転がります」
10歳の子供から聞きたくない言葉である。
「貴族の人攫い・・・。誰がというのは分かっているの?」
その言葉にアリアは首を横に振った。
「クロエさんは?」
視線を向けると、まだ凍てつくような冷たさを含んでいた。
「クロエ」
「ッ・・・こんな坊ちゃんに言ってどうなる」
「シャリオンさまは他の貴族とは違う」
「っ・・どうだかっ!・・・団長っ貴女まさか本当にこの男に洗脳されたのですかっ!?」
「そんなのされてない」
「なら何故貴族の元で犬のような真似をしている!」
「・・・それは」
「まさか私達を裏切ってこんなところでぬくぬくとしているとは思わなかったっ・・・貴女には今日限りで団長を降りてもらう!」
「それって一存で決められるの?」
そう口を挟んだのシャリオンだ。
途端にギロリと睨まれた。
「部外者は黙っていろ!!」
「うーん。まぁアリアはうちの子になるから団長でなくなるのは一向にかまわないけど、・・・でも貴女もここから出られないよ??」
「!」
「逃がすわけないよ~」
「シャリオンさま・・・」
寂し気な声を出すアリア。
「だってこのまま外に出したら、僕を連れていく以外でクロエさんが無事にいられる保証ないでしょう。
・・・それに、ここにはうちの手練れが4人いて、部屋の外にも控えているのに大丈夫??
たぶんこの部屋に入れたのって、君の技術で入れたというよりもゾル達が招きいれたから入れたんだと思うよ」
この屋敷では侵入者なんて聞いたことがない。
未然にふさがれたものなんて、こちらに上がってくるとは思えないからだ。
「!」
「どうしようか・・・うーん」
「簡単だ。尋問すればいい」
「ゾルの尋問は怖そうだからな」
「甘くて尋問になるか」
「まだその段階じゃないと思う。
・・・というか、半分は同じ理由てことは、クロエさんはその探し人を探しに来たわけでしょう」
「っ」
「アリアが何も言わないから、ここにはいなかったんだよね?」
この屋敷には本当に少ないが数名は女性が働いていると聞いている。
彼女たちは昔ながらのスカートをはく場合もあるが、他の使用人と同じ様にパンツスタイルもある。
一見は分からないかもしれないが、声を聴けば分かるはずだ。
そんな状態でアリアが使用人の中に居てわからないはずがない。
だが、人数が少ないと言われている女性が赤蜘蛛に2人いると聞いて嫌な予感がした。
「はい。・・・ここにはソフィアは・・・いませんでした」
「ソフィア・・・、・・・、・・・。もしかして赤蜘蛛ってみんな女性・・・?」
その言葉にアリアは戸惑ったのちにコクリと頷いた。
シャリオンは思わずヒヤリとした。
この世界の女性は少ない。
出産率もそうだが、市井では力差から下に見られ、不当な扱いを受けることが多いから。・・・と、されている。
これをシャリオンは何の不思議にも思わなかった。
人は欲望の塊であり、
この世界には男性のレイプすらあり、自分より力の弱い女性は特に狙われ易いだろうと。
そのため守られる対象である。
「貴族が女性を守るためにか。・・・全然守れていないね」
裕福な貴族が弱きを守る。
でもそうなったのはつい最近。
それを提唱した貴族がいるのだ。
「もう少し調べるしかないか・・・。
人攫い・・・それも女性の人攫いがないか、僕の方もでも調べてみるね。
で、当面の目標はソフィアさんを探すってことで。
いい案浮かんだら教えてね。
その間、クロエさんは身体検査した後何処かの部屋に・・・いや。
君はこの屋敷の隅々まで探していいよ」
「「は?」」
「「それは・・・野放しにするということか」」
驚きの声をあげたのはアリアとクロエ、後半の怒気を纏った声はゾルである。
「アリアとゾルを付けるよ。
ゾルだけでついちゃだめだよ?必ずアリアと一緒ね」
「何故だ・・・」
「そんなの怖いでしょ」
「・・・・・・・」
ゾルからのあきれたまなざしは慣れっこで、シャリオンは続けた。
「外から敵が来たら知らせてね。
あと、えーっと。・・・カイン!カインを僕の・・・じゃなくてガリウスの部屋に呼んでおいて」
口早にそういうと、本棚に入れられた本を幾冊かピックアップして抱える。
その横からそれをゾルに奪われた。
「ありがとう。じゃ行こうか」
もう1人のゾルを引き連れると部屋を後にするのだった。
┬┬┬
真面目回だ・・・
皆さまエロを求めているのは重々称している。
むしろ私も書きたい。
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