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婚約編

僕はおかしくなってしまったのだろうか。

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アルベルト伯爵に招かれた夜会の帰り。
二人を乗る馬車は月夜をゆったりと走る。
2人はなにも話すことは無かったが、会場を出ても手は握ったままだった。
ガリウスが離してくれなかったもあるが、シャリオンもまた機会を逃してしまった。

いや、離さなくても良いと思ってしまったのだ。

じっと見られる視線は敵視じゃなくとも、勘違いして拗らせて勝手に苦手意識を持っていた。
誓約書に乗っ取れば、これは必要以上の接触になる。
誓約書は交わしたのは数日前なのに、少なくともあんなには嫌に思っていない。
・・・いまだに何を考えているかわからないところがあるけれど、それを上書きするくらいには印象は良くなっている。

「なんであんなに苦手意識があったんだろうな」

そうシャリオンがいうと、隣からクスクスと笑い声が聞こえてきた。

「なんだ?」
「言って怒らないなら答えますよ」
「・・・善処する」

チラリと流された視線。
そこまで言われたら知りたくなる。
でも、怒る事なのだろうか?
平手打ちの準備くらいはしておいた方が良いだろうか。

・・・手が痛くなるのは嫌だからやめとこ。

「あの頃の貴方は、光栄にも私のことをライバル視してくれていたのだから、素直に婚約者と言われても肯けないでしょう」

だから、気にするなと言ってくれた。
確かに数日前までは頑張ってもなかなかガリウスのようにできなくて、それなのに周りに褒めれらると、どうしてもレオンの息子だからだと表に出さないようにしつつも心の中ではやさぐれてしまっていた。

こんなこと言えないけど。
・・・僕はもう居場所をなくしたくなかったんだ。

これから幸せが続くと思っていた時の、婚約破棄。
ショックの中から、父は自分に居場所を作ってくれた。
それに応えたかったし、自分の存在意義が欲しかったのだ。

「光栄って、嫌味か」

プイっと窓の外に視線をやる。
けど、ちょっと嬉しかった。

「こっちは、才能の無さに毎日凹んでいたのに」
「向き不向きがありますからね。それに、貴方は疑ってかかるの苦手じゃないですか」
「・・・まぁどちらかといえば。そうだけど。・・・だからお前が宰相になってくれるのは助かるよ」

恥ずかしくて視線は合わせられないけれど、そういえば、握っていた手に指を絡められた。

「あまり可愛いこと言わないでください」
「っ・・・可愛くなんか」

しかし、そっと頬に手を当てられた。

「貴方は可愛いらしく、美しく素敵です」
「そ、・・・そんなに言われると逆に嘘くさい」
「すべて真実ですよ?」

クスクスと笑うガリウス。
それにちょっと照れたが、でも苦笑を浮かべた。
今日、ライガーにあってわかった。やはり思いは薄くなっている。
ライガーの今日の表情は始終なにか言いたげだったのは気づいていた。
でも、シャリオンはそんなライガーに何もしてやれない。

婚約破棄前から何かふさぎ込むようになったライガーを支えようとしていた。
いや、自分が支えたかったんだ。
けれど、結局ライガーは何も言ってくれなかった。

それは、ライガーとの婚約を伝えるあの日まで。
あの夜にでさえ、言ってくれなかった。

だから、今日も「なにかあったのですか?」と、聞いたとしても、「なんでもないよ」と言うのだろうとわかっていた。

僕にはライを救うこと、・・・寄り添うことなんてできない。

一緒にいて辛くなるなら、離れるのも辛いけど、でもその方が幸せなんだと思う。
思い出し、諦めたようにほほ笑むシャリオンに握られてが強くなる。

「・・・何を考えているのですか?」

「ガリウス、・・・?」

『なんでもない』とシラを切ろうとして、そちらをみたガリウスの表情が辛そうで思わず止まってしまう。
そんな表情など見たことがない。辛そうで苦しそうなそんな表情。
驚き見つめていると、みられたくなかったのか、ギュッと体を抱きしめられてしまった。

「これは流石に違反なんじゃないか・・・?」

そう言いつつも、跳ね返すことはせずに背中を優しく撫でる。
なんだか・・・泣いてしまいそうにも見えてしまったからだ。
この男が泣く訳がない。ましてや政略結婚の自分に、だ。

「・・・。これも練習ですよ。子を成す時に私のこと拒否しないように覚えて下さい」
「そうだな」

そういうと、ガリウスを抱きしめ返した。
なんだか、安心するの切ないのと色々な気持ちが合わさり複雑な気分になる。

・・・けど、やっぱりまだ離して欲しくはなかった。



☆☆



その日の夜の練習も、心臓が壊れるかと思った。
屋敷に戻りレオンに挨拶をした後、二人はシャリオンの部屋に向かう。
あの調子ですっかり落ち込んでいるものだと思われたガリウスを見上げれば、むしろ対極側の表情をしていてシャリオンは驚く。

な、なんでそんなにギラついてるの?

頬が熱くなるのを感じた。

「あの、・・・お風呂はいるから・・・」
「そうですね。汗を流しましょう」
「うん。え?」

この後、練習があるのは分かっているから、待ってて言おうとしたのだが、手を引かれてバスルームに入る。
そして、状況を把握しようとしてるシャリオンを待ってくれず服を脱がされていった。

「えっ?・・・ガリウス?!」

シャリオンの家には使用人はいるが、着替えの手伝いはしない。
それは、レオンの考えでシャーリーもこの家に来てからそうなったそうだ。
その子供のシャリオンもそうなのだが、それはつまり自分の裸は幼い時から限られた人物にしか見せたことがなく、このままいってはガリウスにみられてしまう。

いや、頭では後継ぎのこともあるし、いずれ見せるとわかっていてもだ。
今のタイミングだとは思わなかったのだ。
思わず羞恥からガリウスの手を掴む。

「っじ、自分で脱げる・・・!」

すると、ガリウスの眼が細められた。

「では、下着は脱いで見せて下さい」

パッと手を離したガリウスは腕を組みシャリオンを見ていた。
あとは下着一枚だというのに、止めてしまったガリウス。
なんだか脱がしてもらった方が恥ずかしくなかったのでは?などと思ってしまう。

「いつまでそうしているのですか?・・・早くしないと風邪を引いてしまいますよ?」
「っ」

シャリオンの住処隅まで見るように注がれる視線。。
数センチ下着を下ろすと、熱を持ったそれが膨らみを作っていたことに気が付いた。。

「ぁっ」

そのことに、あっという間に頬が・・・いや全身が熱くなっていく。
恥ずかしさのあまり声もかすれていく。

「あまり、見ないで」
「なぜ?・・・可愛いですよ」
「!」
「私に見られてこうなっているなんて」
「ぁっ・・・っ」

ちょんと指先が、高ぶり始めた先端に触れると下着の中で、もっと触ってと言わんばかりにピクンと震える。
考えただけで腰が切なく揺れた。

「さぁ、脱いで。シャリオン」
「っ・・・っ」

その声色はひどく優しい。
なのに、何故かその言葉には逆らえなかった。
シャリオンは息をのみ、ガリウスと視線を逸らせずに、でも早くは脱げなくて震えた体でゆっくりと脱いでいく。

あぁっ・・・見られてしまう・・・!

布があるのとないのでは全然違う。
脱いでいくだけで、それはみるみる間に熱を発し、そして蜜をこぼす。
腿まで下ろせた頃には、銀糸が下着とつながれそして垂れるのが分かった。

「ぅっ」

ガリウスに見られたながら完全に下着を脱ぎ終わる頃には、勃起していた。
だけど、ガリウスはそれを馬鹿にする事はなく、優しく微笑み目元に口付けられた。

「よく出来ました」
「っ」
「可愛いですよ。シャリオン。本当に」
「ぅ・・・そだっ」

泣いているようなか細い声。
すると、そんなシャリオンに口付けられた。

「ぁっ・・・ふっ」

舌を絡ませ吸われると腰が疼き、気付かない内に腰押し付け蜜をこすりつけ揺らしていた。
キスをもっとと舌でねだった。
しかし、それもふっくりと唇を離されてしまう。溶けた頭で見上げると、笑みを浮かべている。

「風邪を引いてしまいます。・・・後は一人で出来ますね?」
「っ」

出て行ってしまうことに寂しくもあったが、コクリとうなづく。

「良い子ですね。・・・今日は生まれたままの姿を私に見せられたので練習はここまでです」
「・・・ガリウスのは?」

ズルイと含ませるとニヤリと笑みを浮かべる。

「私のは初夜以降にたくさん見せて差し上げますよ」
「!」
「では、風邪をひかないようにしてくださいね」

そういうと出て行くガリウスにへなへなと座り込む。

「服、脱いだだけなのに・・・!」

おまけにガリウスの裸を想像したら完全に勃起していた。
足の隙間に見えるそれに触りたくて堪らなくなってくる。

「・・・っ」

床にぺたんと座るとそっと自分のモノを握る。
最近は夜の練習で胸ばかりで、吐き出してはなかった。
先端から扱くと気持ち良くて体を捻る。

「ん」

だけど、気持ちいいがイけるほどのものではない。
それは何度こすってもそうで泣きたくなってくる。
ふと、ガリウスにされて気持ちがいい乳首にソロソロと触れた。

「ぅ・・・ちくび・・・いつも・・っなっんでっ??」

なのに、胸を弄り扱いてもなかなかいけない。
気持ちいいのにどうして?

「ぅ・・・ガリィっ・・・っ」

なぜここに居ないのか?
伴侶の癖にと、八つ当たりしてしまう。
ガリウスは明日にシャリオンの仕事を考えた上だとわかっていてもだ。

半泣きになりながら、ふとガリウスを思い出す。
優しげな表情なのに、こちらに願ってくることは強く、そして淫靡だ。

「ぁっ・・・」

今までそれほど性のことなど興味がなかったはずなのに。

ガリウスに乳首を触られたら?

それだけでシャリオンの体は熱くなる。
そんな様子をあの男は冷静にしてくるのが目に見えた。
普段、よっぽどでなければしない自慰にシャリオンは夢中になる。
それだけでも高ぶるのに、まだ触られてないペニスを嬲り扱かれたらどうなるのだろうか。
それを想像すると・・・全く行けなかった体は甘く震わせ簡単にイけるのだった。



「っ・・・っ」

恥ずかしいのに感じてしまうのと同時に、その手とそして視線を思い出してしまうシャリオンなのだった。





☆☆


【視点切替:ガリウス】




館には防音魔法が掛かっている。
だが、そんな物はガリウスにとって無いに等しい。
魔力が高いガリウスには、それが効かないのだ。

だから浴室で一人遊ぶシャリオンの悩ましい声も聞こえていた。
見えないのがとても悔しい。
全神経を集中させ部屋の中の音を聞き落とさないように。
すると・・・・。

『ぅ・・・ちくび・・・いつも・・っなっんでっ??』

甘い声でスンスンと泣く。
どうやら乳首を弄っているがあまり気持ち良くなれないようだ。

ガリウスに簡単に感じ乱れているのに、ガリウスの手管にしか感じなくなっているのだろうか。
扱けばそれなりにいけるだろうに、それだけでは達せないようで泣き声が混じる。
でもそれは酷く可哀そうでかわいい。
水の音を響かせているようだが、いつものシャリオンとは比べられないほど感じてはない。
いきたいのにいけない。

そんなのを聞いて、ガリウスが興奮しないわけなかった。
自分のものはシャリオンのものと反して、シャリオンの痴態にガチガチになっている。
自分の前を寛げ、イケないと泣くシャリオンを聞きがら扱く。

『・・・ガリぃっ』
「!」

そんな切なげな声は、こちらに気付いたのかと思った。
しかし、どうやら違うようだ。
ガリウスの名前を呼び出してからは明らかに声に艶が出たからである。
思わず息をのんだ。

『あぁっガリィっんんっぁっあぁっ』

聞こえてくるぐちゅくちゅと言う音が大きくなる。
どういう妄想かはわからない。
だが、自分を思ってこんなに興奮し始めた事実はたぎる。
たとえそれが、自分でシャリオンの体に愛撫したときの半分以下だとしてもだ。

今は私(妄想)と気持ち良くなっているのですね?

それに合わせるようにガリウスの扱くても早くなる。

『気持ちいいっ・・・ガリィっいい!』
「・・・私もですよ」

シャリオンの想像の中ではガリウスにされているようだ。
聞かれない喘ぎに相槌を打ち、まるで目の前で互いに扱きあってるような感覚だった。
気分は高まり浴室で甲高い声を上げるのを聞きながら自分の手の中に熱を吐き出すと、まだ出てこないシャリオンの方を一度だけみる。


「透視の魔法覚えましょうか」

そんな事を思い浮かべるのだった。

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