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婚約編
貴方の視線ほんと、どうにかなりませんか。(心の声)-
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とある夜。
その日は父であるレオンと、シャリオンと同じくレオンのサポートをしている、ガリウスと晩酌をしていた。
レオンとしてはガリウスをこのまま育て、シャリオンのサポートまでさせようと言う思いがあるのだが、このガリウスはサポートだけではもったいない程の能力を持っている。
レオンもそれは理解しているが、ガリウスを手放すのは惜しいと思っているようだ。
「ガリウス。先日のサーベル国の訪問。良くやった」
「特に問題なく事が進み良かった思っています」
そう言いながら、2人は朗らかに笑いながら酒を嗜んでいる。
そして、ガリウスはときおりこちらをチラリと見てくる。
それは、睨んでるわけでも裏があるような視線でもない。
ただ、シャリオンはこの視線が好きじゃなかった。
幼い頃からこんな風に見てくるガリウス。
じっとりと絡みつくようなそんな感覚を覚えるような視線。
なのに、ガリウスはいつも何も言わない。
態度には出さないが、自分の方が秀でているのに。と、特に今のように父がガリウスを褒めるたびに、そう言われているように感じてしまう。・・・いや、実際ガリウスの方が秀でているのだが。
「そうだ。シャリオン。あなたにおすすめのワインを買ってきたのですがいかがですか?」
2人は、・・・というかレオンは普段ウイスキーやブランデーを嗜む。
だからガリウスもそれを嗜み、3人で席を設けるときはシャリオンも同じだ。
しかし、ある時からシャリオンの好きな酒を持ってきたときは驚いた。
そして、今日もコクリとうなづいた。
ガリウスの持ってくるワインは自分の口に合うものを差し出してくれるのだ。
ガリウスが使用人にグラスを持ってこさせると、そんな出来た男に注いでもらう。
「ありがとう」
「酒を嗜むなら楽しい方が良いですからね」
「そうか。シャリオンはシャーリーと同じだな」
そう言って父は喜び、ガリウスもまた微笑んだ。
口にしたワインは、またもシャリオンにあっていた。
「貴方のおかげで楽しんでる」
酒の場でこんな事はおかしいかもしれない。
だが、シャリオンは心配される要素がある。
ライガー殿下との婚約が破棄だ。
シャリオンが相手を想っていたこともあり傷ついたし、あんなことがれなければ、宰相の息子で次期宰相としてもちあげられることもなく、大公家に入る予定だった。
しかし、破棄をされた4年前にその計画はなくなり、次期宰相への教育が開始された。
シャリオンの頭は悪くはないが、ガリウスの方が断然秀でている。
ガリウスを見る父は期待で満ちており、それがまたシャリオンを責めているように感じていた。
ただの事実だと言うのにな。
そんなことを思いつつ自嘲げにすると、ガリウスの視線に気付いたレオンまでもが、こちらに視線を向けていた。
「シャリオン。どうかしたのか?」
「いえ。・・・申し訳ありません」
「体調が悪いのですか?」
2人の心配気な空気にシャリオンは耐えられなくなる。
今は、ガリウスの成功について讃えていた時だと言うのに。
「違いますよ。流石ガリウスだなって。嫉妬していただけです」
おどけたようにそう言いながら肩を竦ませた。
「外交が特に上手くて。王太子殿下も大公閣下も感心しておられましたよ」
すると、父は誇らし気に微笑みながらうなづき、ガリウスはホッとしたように笑みを浮かべつつ、首を横に振って謙遜した。
「お2人が。・・・そうか」
「いえ。自分はそんなまだまだです。それにシャリオンが同行したとしてもきっと結果同じでしたよ」
「いや、僕には貴方のような采配は出来ない。
謙遜なんてせず誇っていいだろう。
そうですよね?父上」
「あぁそうだ。自分に自信を持ちなさい」
そう言う父にガリウスはこちらをチラリと見た。
シャリオンはそれにコクリと頷くと、ようやくレオンに誇らし気に頷いた。
それからは、外交の際の彼の手腕を聞いていた。
本当に手際が良く、シャリオンも感心して聞いていた。
だが、それと同時に自分で言った事なのに、傷ついていた。
だが、その様子すらもじっと見る男。
まるで、シャリオンの全てを探ろうとしているようだ。
その日は父であるレオンと、シャリオンと同じくレオンのサポートをしている、ガリウスと晩酌をしていた。
レオンとしてはガリウスをこのまま育て、シャリオンのサポートまでさせようと言う思いがあるのだが、このガリウスはサポートだけではもったいない程の能力を持っている。
レオンもそれは理解しているが、ガリウスを手放すのは惜しいと思っているようだ。
「ガリウス。先日のサーベル国の訪問。良くやった」
「特に問題なく事が進み良かった思っています」
そう言いながら、2人は朗らかに笑いながら酒を嗜んでいる。
そして、ガリウスはときおりこちらをチラリと見てくる。
それは、睨んでるわけでも裏があるような視線でもない。
ただ、シャリオンはこの視線が好きじゃなかった。
幼い頃からこんな風に見てくるガリウス。
じっとりと絡みつくようなそんな感覚を覚えるような視線。
なのに、ガリウスはいつも何も言わない。
態度には出さないが、自分の方が秀でているのに。と、特に今のように父がガリウスを褒めるたびに、そう言われているように感じてしまう。・・・いや、実際ガリウスの方が秀でているのだが。
「そうだ。シャリオン。あなたにおすすめのワインを買ってきたのですがいかがですか?」
2人は、・・・というかレオンは普段ウイスキーやブランデーを嗜む。
だからガリウスもそれを嗜み、3人で席を設けるときはシャリオンも同じだ。
しかし、ある時からシャリオンの好きな酒を持ってきたときは驚いた。
そして、今日もコクリとうなづいた。
ガリウスの持ってくるワインは自分の口に合うものを差し出してくれるのだ。
ガリウスが使用人にグラスを持ってこさせると、そんな出来た男に注いでもらう。
「ありがとう」
「酒を嗜むなら楽しい方が良いですからね」
「そうか。シャリオンはシャーリーと同じだな」
そう言って父は喜び、ガリウスもまた微笑んだ。
口にしたワインは、またもシャリオンにあっていた。
「貴方のおかげで楽しんでる」
酒の場でこんな事はおかしいかもしれない。
だが、シャリオンは心配される要素がある。
ライガー殿下との婚約が破棄だ。
シャリオンが相手を想っていたこともあり傷ついたし、あんなことがれなければ、宰相の息子で次期宰相としてもちあげられることもなく、大公家に入る予定だった。
しかし、破棄をされた4年前にその計画はなくなり、次期宰相への教育が開始された。
シャリオンの頭は悪くはないが、ガリウスの方が断然秀でている。
ガリウスを見る父は期待で満ちており、それがまたシャリオンを責めているように感じていた。
ただの事実だと言うのにな。
そんなことを思いつつ自嘲げにすると、ガリウスの視線に気付いたレオンまでもが、こちらに視線を向けていた。
「シャリオン。どうかしたのか?」
「いえ。・・・申し訳ありません」
「体調が悪いのですか?」
2人の心配気な空気にシャリオンは耐えられなくなる。
今は、ガリウスの成功について讃えていた時だと言うのに。
「違いますよ。流石ガリウスだなって。嫉妬していただけです」
おどけたようにそう言いながら肩を竦ませた。
「外交が特に上手くて。王太子殿下も大公閣下も感心しておられましたよ」
すると、父は誇らし気に微笑みながらうなづき、ガリウスはホッとしたように笑みを浮かべつつ、首を横に振って謙遜した。
「お2人が。・・・そうか」
「いえ。自分はそんなまだまだです。それにシャリオンが同行したとしてもきっと結果同じでしたよ」
「いや、僕には貴方のような采配は出来ない。
謙遜なんてせず誇っていいだろう。
そうですよね?父上」
「あぁそうだ。自分に自信を持ちなさい」
そう言う父にガリウスはこちらをチラリと見た。
シャリオンはそれにコクリと頷くと、ようやくレオンに誇らし気に頷いた。
それからは、外交の際の彼の手腕を聞いていた。
本当に手際が良く、シャリオンも感心して聞いていた。
だが、それと同時に自分で言った事なのに、傷ついていた。
だが、その様子すらもじっと見る男。
まるで、シャリオンの全てを探ろうとしているようだ。
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