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婚約編
婚約破棄してきた元婚約者が「お前は幸せになれ!」とうるさい。-
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とある世界のハリアー大陸は山に囲まれた台地に、アルアディアという国があった。
その国の中央機関である宰相の執務室で公爵で宰相のレオン・ハイシアの息子であるシャリオンは、次期宰相になるため日々執務をこなしているところだった。
この国の第一王子が、なにやら真剣な面持ちで、部屋にいた他のメンパーを追い出した挙句、シャリオンに詰め寄ってきた。
「リオは幸せにならないとダメだ」
場所と内容がそぐわないことを言ってきているのは数年前に、「婚約破棄をする!」と訴えて来た男でつまり元婚約者で、名はライガー・ベルジェ。
王族は『アルアディア』を名乗るが、彼は王より大公を賜れ『ベルジェ』を名乗っている。
元婚約者で幼馴染ではあるがもう婚約破棄をしたのだから、他人の目もあるし愛称じゃなくシャリオンと呼んで欲しいと言ったが、幼馴染なのは周知の事実だと聞いてくれない。
・・・もしかして、気にして皆を追い出したのか・・・?
だとしたらそれは間違った気の使い方である。
何故なら今は宰相室で2人きりという状況なのだから。
婚約破棄の理由はシャリオンに一切非がない。
この第一王子が「真実の愛に目覚めた!」と、王子の誕生パーティ時に言い放ち、ほとんど自分と話すこともなく勝手に破談に進められてしまったのである。
なお、王家から慰謝料は貰っているが、この件とは別に、彼は第一王子だが王太子ではない。
予め言っておくとシャリオンも殿下も男なわけだが、この世界では男でもの子を成すことができる。
魔術で作られた核に互いの魔力と組織(なんでも可)を組み込ませ、魔力を与え続けると人体組織が形成されていく。
一般的には核を入れた状態で体を重ねて互いの組織(体液)を交わらせ、一方の体の中で育て産み落とすが、
核に互いの魔力と組織、そして一日中魔力を与えられる環境があれば人体組織を生み出す事は可能である。
ただ、この世界にも女性がいないこともなく、同様にどちらか一方の胎内で育てるのがセオリーだ。
まぁ、貴族の場合は血を残すために後者を取られることもあるが、それでも確率は下がるため後者は少ない。
そんなわけで、子供のことをクリアーしているため、男が男に嫁ぐ(?)のは、まぁ普通なのである。
公爵家で他に兄弟がいないシャリオンは大公家に嫁いだとしても、授かった子供は公爵家の子として育てられる予定だったため、正直組織だけでもくれと言いたいところではあったが、この世界では合意なく子供をなすのは犯罪である。
強姦するのはもちろん、体外でも禁止。
それに殿下の意思を無視する事はできない。
もう気持ちがないのであれば、それは致し方ないとシャリオンは身を引いた。
しかしである。
婚約破棄をしたらすぐにでも、お相手と婚約すると思っていた殿下は、未だに婚約していない。
それどころか、風の噂ではすでに破局してしまったらしい。
つまり、そこから考えられるのは、それ程自分との婚約が嫌だった。・・・のだろう。
シャリオンとしては殿下を慕っていた。
だから婚約破棄は少なからずショックではあったが、今となってはそんなことよりも、だったら婚約を持ちかけてほしくなかった。
婚約の打診は当然王家からなのだから。
婚約破棄も断るごとに「幸せになれ!」と言うのも理解できないのだが、それよりも困った事がある。
貴族同士が婚約するには、王家に申告が必要なのだが、シャリオンは世継ぎのこともあり、申し込まれた相手を一応厳選し相手に選ぶのだが、・・・それが一向に許可されない。
そろそろ10人は越すくらいではなかろうか。
幸いな事に、王家から承認されてから社交の場で告知するものだから、他の貴族には知られていないだが・・・、ちょっと10人強?弱??(というか2人目以降却下は周りに知られていないが恥ずかしいことだと思う・・・)は却下されていて、知られたくない事実だ。
却下するのは殿下のようだが、理由はもちろん不当な理由ではない。
申し込んでくる人物の質が悪いのだ。
そんなのが、集まってきてしまうのはやはり、王族との婚約破棄が大きいだろう。
くるのは一癖あるものや、シャリオンの領地の税収を狙うもの、・・・そしてシャリオンの見かけに惹かれた年配の方々である。
シャリオンは産みの親のシャーリーによく似ていて、美しいと評判である。
体格も線が細く儚げなその姿は、人受けはいい。
社交の場ではちやほやされるのだが、結婚相手には同年代からは避けられがちである。
いまだに本当の婚約破棄理由は知らされていないが、あんなことをした殿下はその件以外は常識人で、国民は勿論他貴族からも評価は高い。
継承権はなくとも、王族として執務をしっかりとこなし、弟である皇太子のサポートにも当たっていて兄弟仲はそれはとてもよく、第一王子が転覆を狙ってるなんて噂は一ミリも立たない程だ。
だから、婚約破棄の大元の原因はシャリオンではないか?と、思う者も当然いるのだが・・・。
殿下は社交の場でシヤリオンの心配ばかりしており、それが他貴族を困惑させている。
そもそも、殿下が社交の場で毎回そんな態度なのは、実はシャリオンと婚約破棄をしたのは間違いで、狙っているのでは?と、他貴族も思い手が出しにくい状態なのである。
だから、問題があるような、人物ばかりから婚約の申し込みが多くくるのだ。
婚約破棄をされて、世継ぎが本当に悩みの種だ。
ならば、いまだに仲がいい両親に弟妹を期待するが、レオンはこの国の宰相で産みの親はハイシア領の領主である。
その為なかなかそろうことがなく、それも難しい。
いや、・・・実のところシャーリーがこの地で領地の仕事をするのは難しくない。
特に、ハイシア領は王都を出てすぐ隣の領地である。
一日あれば行き来は出来るのだが・・・。
貴族で政略結婚にもかかわらず、愛は本物らしく社交の場や他の貴族の目にシャーリーを晒すことを、レオンが嫌がり領地に残らせている状態なのだ。
そんなわけで、自分が頑張らないといけないわけだが。。。
「聞いてるのか?リオ」
「聞いてます。殿下」
「殿下はよせといっているだろう?ここにはリオと2人きりだ」
「そうですね。先程『大切な話がある』と、ガリウスを追い出したのは、殿下ですものね」
元凶であるライガーに棘が含まれるのは仕方がないだろう。
その、ガリウスだって今こうして部屋を出され、仕事を止められているのは腹立たしいだろう。
いつも人好きする笑みを浮かべているの、先ほどは笑顔が固まっていた。
ガリウスとはシャリオンと共にレオンのサポートに当たってる男である。
「リオ・・・。拗ねるな。大事な話だろう?」
本当に心配しているという、声色に小さくため息をつき、シャリオンは殿下に思わず半眼でみた。
これは呼び名を愛称で呼ばないと進まないパターンである。
「はぁ・・・。ライ。
だったらなんで昨日の却下したんだ」
しかし、そんな問いかけにライガーは眉を顰めた。
何故シャリオンが咎められなければならなければならないのか。
・・・と、思いつつもうこのやり取りは何回かしていることで予測はついていた。
「そんなの、アレが本当に良いと思ってるのか?あの家はおまえの領地を狙ってるだけだ」
「まぁあの家はがめついで有名だけど。
でもこちらとしては子供ができればいい」
婚約は全て受け身の形で、こちらから他家に申し込むような事はしてなかった。
普通の親の感覚であれば、王族との婚約破棄をされた人物よりも他の貴族を探すだろう。
だから、シャリオンはこちらから持ちかけるような事はせず、申し込みが来た家とだけ話を進めているのだが、その申し込みも少なくなってきた。
宰相の子息であるにもかかわらず、こういうことになってしまっているのは、自分は存外嫌われているのだろう。
夜会での表面上の話し合いなど、どんなに親しそうに話していても、あてになどならないものだとつくづく思う。
「もう、一層のこと領民から選ぶかな」
貴族同士は婚約には力の均衡もあり、国への申請が必要だが相手が平民の場合はそれもない。
しかし、渋い顔する殿下。
「だが俺達の年頃の奴に、これからマナーを教えるこむのは大変そうだな」
「そうも言ってられないよ。
社交の場には僕1人なら問題だろ」
「しかし、お前は宰相の息子で、この城の目下はお前の領地で守られているのだぞ?
跡取りにはちゃんとした教育をさせないとなのに、お前のパートナーが引篭じゃ示しがつかない」
シャリオンの領地はこの城をでて、城下町を下ると河があり、そこを境界線とし領地となる。
首都に来るには皆私の領地に足を踏み入れるわけだが、王命以外でで通過する場合、税金も掛かる。それが収入の一つでもある。
そのため、どの貴族も小さい領土でもこの地を欲するのだ。
「後継にはちゃんと教育しますよ」
「俺が見ようか」
「そんなことしたら、王家との癒着を疑われるって」
ただでさえ、元婚約者なのだ。
それに、これ以上醜聞を増やしたくない。
「王太子がしたらそうかもしれないが、俺じゃぁな」
「同じだよ。ライは自分のことを卑下しすぎ」
大公なのだから大差ない。
それに、兄弟仲は良いとされている上に、王太子であるルークともシャリオンは幼馴染である。
すると、部屋にノックが響き現れたのはそのルークだ。
「そうだよ?兄上は王の資質がある」
「「ルーク殿下」」
「ちょっと、2人とも。自分たちは砕けてはなしてるのに、ずるくない??」
拗ねたように言うルーク私たちは苦笑した。
「みんな王太子扱い。同級生ですらそうなのに、2人までそんなのやめてよ」
「僕は、ライにだって節度を持って話すようにいってるのに。聞かないのはコイツだよ」
「幼馴染なのに、今更ライガー殿下なんて気持ち悪いだろ」
「そうだね。俺もルーク殿下は嫌だ」
困った王族に眉を潜める。
まぁ、他貴族がいる時は同様に扱ってくれてはいるが、アンオフィシャルになると、それが崩れるのが困る。
一応、そう言うのは決まった相手にしか見せていないが、仲が良いのはしられている。
社交の場で「ハイシア公爵家の次期当主であるシャリオンが心配だ」なんて、2人揃って言ってればそうなるだろう。
あまり仲が良すぎるのも、他貴族からのやっかみもあるから、本当にやめて欲しい。
しかし、そんな心配をよそに王太子が兄殿下にわがままを言い出した。
「ねぇ兄上、王にならない?」
「またそれか。俺には継承権がないと言ってるだろう?」
「それは、兄上のせいじゃないだろう?それに継承権剥奪だって、兄上が子供の頃貧弱だったからじゃないか」
「そうだな。私が悪い」
「なに言ってるの?今じゃ剣で刺しても生きてるじゃない」
補足するが、ルークが刺したわけではなく、大陸の向こうの隣国の祭典に出席するのに、その護衛としてライガーが付いて行き盗賊団に襲われたらしい。
「あれは擦り傷だろう」
「でも、丈夫じゃん。・・・そっか。僕が王になった後、兄上の王位継承権を復活させてすぐ隠居して良いんだ」
「お前はどうしてそんな話をややこしくしたいんだ」
呆れたように言うライガー殿下に王太子は憤慨した。
「兄上には言われたくないなぁ。
ねぇ。リオ。僕を貰ってくれない?」
「「は?」」
「婚約者探してたんだろう?僕なら男爵家の出身の産みの親だし問題ないよ?」
「産まれについては問題ないが、お前は王太子だろう」
「じゃ貰って良い?」
「っ・・・それを俺に聞くな」
ルークはライガーを煽るように見ると、ライガー息を飲んだ。
「・・・。2人とも、僕のこと勝手に決めないでくれる?ルーが嫌いなわけないけど、
第一王子の次に第二王子なんて流れ嫌だよ。
それに君婚約者いるだろう」
「あーまぁ。いるけど浪費激しくてさぁ。
なにより正妃の器じゃないね」
「女って、だけの価値だな」
「兄上もそう思う?」
ルークの問い掛けに頷くライガー。
実は次期宰相候補のシャリオンとしても、困った案件ではある。
だが、第一王子が婚約破棄をして、王太子まで婚約破棄をするという流れは、王家の信用問題にもなるだろう。
なにか良い作は早急に考えた方が良いだろう。
「何か枷でも作っとくしかないかな」
そんなことをシャリオンが呟くと、ルークはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「良い線だね。
けど、シャリオンが宰相になる頃にまで響かせないよ」
「あちらから婚約破棄させるネタでも作るのか?」
「兄上もなかなか怖いね。いやもっと平和的にだよ。
なに。僕の代から後宮は階級制にしようと思ってるんだ。家格とは関係なしにね。後宮に入る者としての資質があるかどうか」
「階級制?」
「そ。ちなみに彼女は1番下だね。
浪費は勿論。一線を超えてないとは言っているが、男遊びも激しいみたいだし。
それを伝えたら婚約について待って欲しいて言われてるよ」
「1番下が嫌なのか。相手は伯爵家だから」
「それもあるけど。単純に階級により使える予算が違うと言ってある。
正妃や側室だからって好きにお金を使えると思ってるようだからね?
伯爵令嬢が1番下なんて屈辱的でしょ?」
ニッコリとルークの冷めた視線に乾いた笑みが出た。あまり平和的な話ではないと思うのだが。
「ま、まぁ。確かにいくら予算が当てられてるとしても後宮で好き勝手されるのも困るよね」
「後宮も潰したいくらいだけど、後継がいるからね。
いくら女が重宝されてるからって一月の半分の国家予算を使い切る勢いで毎月浪費する女こっちから願い下げだよ。それを指摘して今はしおらしくなっても、どうせ正妃・側室になった途端浪費されたらたまったもんじゃない。
だから、予め後宮にはランクを新設して、それによって使える額も違うとね。
1番下の使える金額はちょっと羽振りの良い商人くらいで、普通にしてたら十分だけど不満みたい。
エステやらドレスやら宝石やら好きな時に買えないからみたいなんだけど。
金を持った貴族が金を使わなきゃだけど、もっと考えて使ってもらいたいんだ。
でも、シャリオンはそんなことないよね?」
また、変なボールが飛んできてしまった。
だが、相当鬱憤が溜まっているらしい。
「シャリオンなら問題なく1番良いランクだよ」
「いや。遠慮しておくよ」
「振られちゃったよ。兄上」
「残念だな」
「嬉しそうだね?兄上」
「うるさい、黙れルーク」
肘をつつきあっている仲良さげな兄弟に、笑みを浮かべた。
シャリオンは一人っ子であるため、兄弟に憧れがあるからだ。
そんな彼等をみていたら、ふと乳母兄弟に会いたくになってきた。
その国の中央機関である宰相の執務室で公爵で宰相のレオン・ハイシアの息子であるシャリオンは、次期宰相になるため日々執務をこなしているところだった。
この国の第一王子が、なにやら真剣な面持ちで、部屋にいた他のメンパーを追い出した挙句、シャリオンに詰め寄ってきた。
「リオは幸せにならないとダメだ」
場所と内容がそぐわないことを言ってきているのは数年前に、「婚約破棄をする!」と訴えて来た男でつまり元婚約者で、名はライガー・ベルジェ。
王族は『アルアディア』を名乗るが、彼は王より大公を賜れ『ベルジェ』を名乗っている。
元婚約者で幼馴染ではあるがもう婚約破棄をしたのだから、他人の目もあるし愛称じゃなくシャリオンと呼んで欲しいと言ったが、幼馴染なのは周知の事実だと聞いてくれない。
・・・もしかして、気にして皆を追い出したのか・・・?
だとしたらそれは間違った気の使い方である。
何故なら今は宰相室で2人きりという状況なのだから。
婚約破棄の理由はシャリオンに一切非がない。
この第一王子が「真実の愛に目覚めた!」と、王子の誕生パーティ時に言い放ち、ほとんど自分と話すこともなく勝手に破談に進められてしまったのである。
なお、王家から慰謝料は貰っているが、この件とは別に、彼は第一王子だが王太子ではない。
予め言っておくとシャリオンも殿下も男なわけだが、この世界では男でもの子を成すことができる。
魔術で作られた核に互いの魔力と組織(なんでも可)を組み込ませ、魔力を与え続けると人体組織が形成されていく。
一般的には核を入れた状態で体を重ねて互いの組織(体液)を交わらせ、一方の体の中で育て産み落とすが、
核に互いの魔力と組織、そして一日中魔力を与えられる環境があれば人体組織を生み出す事は可能である。
ただ、この世界にも女性がいないこともなく、同様にどちらか一方の胎内で育てるのがセオリーだ。
まぁ、貴族の場合は血を残すために後者を取られることもあるが、それでも確率は下がるため後者は少ない。
そんなわけで、子供のことをクリアーしているため、男が男に嫁ぐ(?)のは、まぁ普通なのである。
公爵家で他に兄弟がいないシャリオンは大公家に嫁いだとしても、授かった子供は公爵家の子として育てられる予定だったため、正直組織だけでもくれと言いたいところではあったが、この世界では合意なく子供をなすのは犯罪である。
強姦するのはもちろん、体外でも禁止。
それに殿下の意思を無視する事はできない。
もう気持ちがないのであれば、それは致し方ないとシャリオンは身を引いた。
しかしである。
婚約破棄をしたらすぐにでも、お相手と婚約すると思っていた殿下は、未だに婚約していない。
それどころか、風の噂ではすでに破局してしまったらしい。
つまり、そこから考えられるのは、それ程自分との婚約が嫌だった。・・・のだろう。
シャリオンとしては殿下を慕っていた。
だから婚約破棄は少なからずショックではあったが、今となってはそんなことよりも、だったら婚約を持ちかけてほしくなかった。
婚約の打診は当然王家からなのだから。
婚約破棄も断るごとに「幸せになれ!」と言うのも理解できないのだが、それよりも困った事がある。
貴族同士が婚約するには、王家に申告が必要なのだが、シャリオンは世継ぎのこともあり、申し込まれた相手を一応厳選し相手に選ぶのだが、・・・それが一向に許可されない。
そろそろ10人は越すくらいではなかろうか。
幸いな事に、王家から承認されてから社交の場で告知するものだから、他の貴族には知られていないだが・・・、ちょっと10人強?弱??(というか2人目以降却下は周りに知られていないが恥ずかしいことだと思う・・・)は却下されていて、知られたくない事実だ。
却下するのは殿下のようだが、理由はもちろん不当な理由ではない。
申し込んでくる人物の質が悪いのだ。
そんなのが、集まってきてしまうのはやはり、王族との婚約破棄が大きいだろう。
くるのは一癖あるものや、シャリオンの領地の税収を狙うもの、・・・そしてシャリオンの見かけに惹かれた年配の方々である。
シャリオンは産みの親のシャーリーによく似ていて、美しいと評判である。
体格も線が細く儚げなその姿は、人受けはいい。
社交の場ではちやほやされるのだが、結婚相手には同年代からは避けられがちである。
いまだに本当の婚約破棄理由は知らされていないが、あんなことをした殿下はその件以外は常識人で、国民は勿論他貴族からも評価は高い。
継承権はなくとも、王族として執務をしっかりとこなし、弟である皇太子のサポートにも当たっていて兄弟仲はそれはとてもよく、第一王子が転覆を狙ってるなんて噂は一ミリも立たない程だ。
だから、婚約破棄の大元の原因はシャリオンではないか?と、思う者も当然いるのだが・・・。
殿下は社交の場でシヤリオンの心配ばかりしており、それが他貴族を困惑させている。
そもそも、殿下が社交の場で毎回そんな態度なのは、実はシャリオンと婚約破棄をしたのは間違いで、狙っているのでは?と、他貴族も思い手が出しにくい状態なのである。
だから、問題があるような、人物ばかりから婚約の申し込みが多くくるのだ。
婚約破棄をされて、世継ぎが本当に悩みの種だ。
ならば、いまだに仲がいい両親に弟妹を期待するが、レオンはこの国の宰相で産みの親はハイシア領の領主である。
その為なかなかそろうことがなく、それも難しい。
いや、・・・実のところシャーリーがこの地で領地の仕事をするのは難しくない。
特に、ハイシア領は王都を出てすぐ隣の領地である。
一日あれば行き来は出来るのだが・・・。
貴族で政略結婚にもかかわらず、愛は本物らしく社交の場や他の貴族の目にシャーリーを晒すことを、レオンが嫌がり領地に残らせている状態なのだ。
そんなわけで、自分が頑張らないといけないわけだが。。。
「聞いてるのか?リオ」
「聞いてます。殿下」
「殿下はよせといっているだろう?ここにはリオと2人きりだ」
「そうですね。先程『大切な話がある』と、ガリウスを追い出したのは、殿下ですものね」
元凶であるライガーに棘が含まれるのは仕方がないだろう。
その、ガリウスだって今こうして部屋を出され、仕事を止められているのは腹立たしいだろう。
いつも人好きする笑みを浮かべているの、先ほどは笑顔が固まっていた。
ガリウスとはシャリオンと共にレオンのサポートに当たってる男である。
「リオ・・・。拗ねるな。大事な話だろう?」
本当に心配しているという、声色に小さくため息をつき、シャリオンは殿下に思わず半眼でみた。
これは呼び名を愛称で呼ばないと進まないパターンである。
「はぁ・・・。ライ。
だったらなんで昨日の却下したんだ」
しかし、そんな問いかけにライガーは眉を顰めた。
何故シャリオンが咎められなければならなければならないのか。
・・・と、思いつつもうこのやり取りは何回かしていることで予測はついていた。
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「まぁあの家はがめついで有名だけど。
でもこちらとしては子供ができればいい」
婚約は全て受け身の形で、こちらから他家に申し込むような事はしてなかった。
普通の親の感覚であれば、王族との婚約破棄をされた人物よりも他の貴族を探すだろう。
だから、シャリオンはこちらから持ちかけるような事はせず、申し込みが来た家とだけ話を進めているのだが、その申し込みも少なくなってきた。
宰相の子息であるにもかかわらず、こういうことになってしまっているのは、自分は存外嫌われているのだろう。
夜会での表面上の話し合いなど、どんなに親しそうに話していても、あてになどならないものだとつくづく思う。
「もう、一層のこと領民から選ぶかな」
貴族同士は婚約には力の均衡もあり、国への申請が必要だが相手が平民の場合はそれもない。
しかし、渋い顔する殿下。
「だが俺達の年頃の奴に、これからマナーを教えるこむのは大変そうだな」
「そうも言ってられないよ。
社交の場には僕1人なら問題だろ」
「しかし、お前は宰相の息子で、この城の目下はお前の領地で守られているのだぞ?
跡取りにはちゃんとした教育をさせないとなのに、お前のパートナーが引篭じゃ示しがつかない」
シャリオンの領地はこの城をでて、城下町を下ると河があり、そこを境界線とし領地となる。
首都に来るには皆私の領地に足を踏み入れるわけだが、王命以外でで通過する場合、税金も掛かる。それが収入の一つでもある。
そのため、どの貴族も小さい領土でもこの地を欲するのだ。
「後継にはちゃんと教育しますよ」
「俺が見ようか」
「そんなことしたら、王家との癒着を疑われるって」
ただでさえ、元婚約者なのだ。
それに、これ以上醜聞を増やしたくない。
「王太子がしたらそうかもしれないが、俺じゃぁな」
「同じだよ。ライは自分のことを卑下しすぎ」
大公なのだから大差ない。
それに、兄弟仲は良いとされている上に、王太子であるルークともシャリオンは幼馴染である。
すると、部屋にノックが響き現れたのはそのルークだ。
「そうだよ?兄上は王の資質がある」
「「ルーク殿下」」
「ちょっと、2人とも。自分たちは砕けてはなしてるのに、ずるくない??」
拗ねたように言うルーク私たちは苦笑した。
「みんな王太子扱い。同級生ですらそうなのに、2人までそんなのやめてよ」
「僕は、ライにだって節度を持って話すようにいってるのに。聞かないのはコイツだよ」
「幼馴染なのに、今更ライガー殿下なんて気持ち悪いだろ」
「そうだね。俺もルーク殿下は嫌だ」
困った王族に眉を潜める。
まぁ、他貴族がいる時は同様に扱ってくれてはいるが、アンオフィシャルになると、それが崩れるのが困る。
一応、そう言うのは決まった相手にしか見せていないが、仲が良いのはしられている。
社交の場で「ハイシア公爵家の次期当主であるシャリオンが心配だ」なんて、2人揃って言ってればそうなるだろう。
あまり仲が良すぎるのも、他貴族からのやっかみもあるから、本当にやめて欲しい。
しかし、そんな心配をよそに王太子が兄殿下にわがままを言い出した。
「ねぇ兄上、王にならない?」
「またそれか。俺には継承権がないと言ってるだろう?」
「それは、兄上のせいじゃないだろう?それに継承権剥奪だって、兄上が子供の頃貧弱だったからじゃないか」
「そうだな。私が悪い」
「なに言ってるの?今じゃ剣で刺しても生きてるじゃない」
補足するが、ルークが刺したわけではなく、大陸の向こうの隣国の祭典に出席するのに、その護衛としてライガーが付いて行き盗賊団に襲われたらしい。
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「お前はどうしてそんな話をややこしくしたいんだ」
呆れたように言うライガー殿下に王太子は憤慨した。
「兄上には言われたくないなぁ。
ねぇ。リオ。僕を貰ってくれない?」
「「は?」」
「婚約者探してたんだろう?僕なら男爵家の出身の産みの親だし問題ないよ?」
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「っ・・・それを俺に聞くな」
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それに君婚約者いるだろう」
「あーまぁ。いるけど浪費激しくてさぁ。
なにより正妃の器じゃないね」
「女って、だけの価値だな」
「兄上もそう思う?」
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実は次期宰相候補のシャリオンとしても、困った案件ではある。
だが、第一王子が婚約破棄をして、王太子まで婚約破棄をするという流れは、王家の信用問題にもなるだろう。
なにか良い作は早急に考えた方が良いだろう。
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けど、シャリオンが宰相になる頃にまで響かせないよ」
「あちらから婚約破棄させるネタでも作るのか?」
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なに。僕の代から後宮は階級制にしようと思ってるんだ。家格とは関係なしにね。後宮に入る者としての資質があるかどうか」
「階級制?」
「そ。ちなみに彼女は1番下だね。
浪費は勿論。一線を超えてないとは言っているが、男遊びも激しいみたいだし。
それを伝えたら婚約について待って欲しいて言われてるよ」
「1番下が嫌なのか。相手は伯爵家だから」
「それもあるけど。単純に階級により使える予算が違うと言ってある。
正妃や側室だからって好きにお金を使えると思ってるようだからね?
伯爵令嬢が1番下なんて屈辱的でしょ?」
ニッコリとルークの冷めた視線に乾いた笑みが出た。あまり平和的な話ではないと思うのだが。
「ま、まぁ。確かにいくら予算が当てられてるとしても後宮で好き勝手されるのも困るよね」
「後宮も潰したいくらいだけど、後継がいるからね。
いくら女が重宝されてるからって一月の半分の国家予算を使い切る勢いで毎月浪費する女こっちから願い下げだよ。それを指摘して今はしおらしくなっても、どうせ正妃・側室になった途端浪費されたらたまったもんじゃない。
だから、予め後宮にはランクを新設して、それによって使える額も違うとね。
1番下の使える金額はちょっと羽振りの良い商人くらいで、普通にしてたら十分だけど不満みたい。
エステやらドレスやら宝石やら好きな時に買えないからみたいなんだけど。
金を持った貴族が金を使わなきゃだけど、もっと考えて使ってもらいたいんだ。
でも、シャリオンはそんなことないよね?」
また、変なボールが飛んできてしまった。
だが、相当鬱憤が溜まっているらしい。
「シャリオンなら問題なく1番良いランクだよ」
「いや。遠慮しておくよ」
「振られちゃったよ。兄上」
「残念だな」
「嬉しそうだね?兄上」
「うるさい、黙れルーク」
肘をつつきあっている仲良さげな兄弟に、笑みを浮かべた。
シャリオンは一人っ子であるため、兄弟に憧れがあるからだ。
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