22 / 56
本文
なだめるはずだったのに、なだめられた。
しおりを挟む
港を管理している者からルボミールが来航したことを報告を聞いたときには驚いた。
ラージャで京がいるところに突然現れることはあるのだが、トシマ区に来たことは初めてだったからである。
ピアスに向かって話しかけてはいるが、本気で怒らせてしまっているのか一切返答がなかった。
おまけに距離が近くなるほどに、ルボミールの怒気を感じる。
「キョウ様、あまり動かないほうが」
Ω歴の長いニコの言葉は正しいのかもしれない。
それでもそわそわする。
「っ・・・でも、ルルがなんか荒れてる」
連絡が来てから30分は立っている。
もうこちらに向かっていることとはおもうのだが・・・。
気配を追いながら、ようやく姿を見るとルボミールからブワッとオーラが飛ばされガクリと腰から崩れ落ちた。
しかし、京が床に膝をつくことはなくルボミールに抱きあげられていた。
周りを見れば全員床に倒れこみ、如月やニコは顔面蒼白で動けなくなっている。
そんな中で動けるのルボミールだけで、思わずその顔を見上げる。
「・・・、ルル・・・?」
その表情は能面のようで息を飲む。
力が入らない体できるのは、ただ身を任せる事とこの部屋から離れることが一番だ。
「部屋に連れててくれ。ルル」
☆☆☆
ラージャにある恐らく城の中にある、ルボミールの部屋にたどり着く。
見慣れた部屋で半日前にも居た部屋だ。
連れて行かれたのはベッドの上で、その上に転がされて体を覆い被された。
見上げるとガーネットが燃えるよう揺らめいている。
なんで怒らせているのかは分からないし、聞いてみようとは思うのだが。
「少し、弱めてくれないか?これじゃ触ることも出来ない」
しかし、その言葉に反応してくれないルボミールに苦笑した。
「・・・トイレ行くまでには機嫌直してくれよ」
その言葉にルボミールはただ京の体をきつく抱きしめるだけだった。
☆☆☆
窓から入ってくる光が無くなり、夜になりかかっている頃。
いまだにルボミールの機嫌は直らなかった。
人の怒りの継続時間は2時間程度と言われているが、こんなに時間がかかるとは思わなかった。
あれから見下ろしていたルボミールは抱きしめたり、撫でたり、口づけたりと止まらなかった。
体に匂いをこすりつけるように、すり寄らせてくる。
なんだか、猫や犬が毛づくろいをしているようなことを連想しながらも甘受していた。
一日仕事が出来なかったわけで、進めなきゃいけなかったことが頭に浮かんだが、怒りよりも肌に触れる熱になぜか安心してしまう。
それなのに仏頂面で無言のままである。
いまだにピアスを介した返事もしてくれないのは困ってしまうが。
そんなことを繰り返し、もう半日はたっているのではないだろうか。
「ルル」
「・・・トイレか」
「やっと返事をした」
「・・・、・・・キョウ」
そういうと苦虫を潰したような表情をするルボミール。
京の胸にすり寄り再び顔をうずめてしまった。
「漏らしてもいい」
「・・・本気?・・・俺はそのベッドで寝たくない」
京が心底嫌そうな声を出すと、クスクスと笑う声が漏れてきた。
その拍子にルボミールのオーラの支配がぬける。
自由になった腕を動かし胸の上のルボミールを撫でると、自分よりも体格のいい大きい男がビクッと動く。
でも嫌ではないようだ。
「聞いてもいい?」
「なんだ?」
「何か怒らせることをした?」
「・・・」
「なぜそんなに怒っているんだ」
のそりと顔をあげたルボミールの表情はとても辛そうな面持ちだった。
「・・・キョウにはわからないのか」
「わからない。ルルが言ってくれなきゃ」
「っ・・・」
京には感じていない何かを、ルボミールは感じているのは分かった。
それが分からないのは異世界から来たイレギュラーな自分だからだろうか。
何もわからないのに、ルボミールにこんな顔をさせているのはつらかった。
「教えてくれ。ルル。何が不満なんだ」
上半身を起こして額に口づける。
「俺が・・・昨日何かしてしまった・・・?」
その問いかけに何も答えてくれないのが、肯定されているようだ。
昨日、ルボミールに嫌悪している様子はなかったがそれくらいしか、いつもと違うことがないのだ。
この世界の人間にはあれはふしだらで良くないとされている行為なのかもしれない。
嫌そうに見えなかったのは京のフェロモンに充てられてしまったからなのかもしれない。
「・・・っ・・・ごめん」
そう思ったら後悔が止まらなくなってしまう。
この世界でαはΩのフェロモンに耐えられないということを教えられていたというのに。
薬が切れかかっていたのは感じていた。
けど、名前を呼べることに喜ぶルボミールは可愛くて・・・そう。愛しさに似た何かがこみ上げていた。
だから、自分も止められなくなってしまったのだが。
「今度からちゃんとくすり」
「違うっ」
「・・・ルル?っ・・・?」
ぎゅっと抱きしめられる、頭だけ動かして見上げる。
その時の事を思い出していてうれしそうにしているルボミールと視線が混じる。
「昨日のことは最高に嬉しかった。良かった。
普段清楚で清廉潔白のようなキョウが淫らに可愛く誘ってきてくれたのは幸せだった」
「みっ!?・・・淫らって・・・」
否定されるよりはいいのだが恥ずかしくて視線を逸らす。
しかし、両頬を抑えられて覗き込まれた。
「欲情が掻き立てられてたまらなかった」
「っ・・・」
なぜそんなに恥ずかしいことを言うのだろうか。
「俺が薬を飲んでほしい理由を忘れたのか?」
「・・・俺がやりたいことをするため」
「そうだ。俺としては早く番になって俺以外のαを振りまいてほしくないんだ。
フェロモンに関係なく、・・・あんな風に誘ってくれて嬉しかった」
「・・・ちょっとフェロモンに煽られてたよ」
「俺がキョウのフェロモンに煽られてたら止まらない。
キョウの意識を無視して噛み跡を作って子が孕むまで抱いてる」
「っ~・・・嫌じゃないのは分かったよ。・・・でもなんで怒ってるんだ」
そういと不機嫌そうにするルボミールに困ってしまう。
しかし、小さくため息をついたのちに耳元をピアスごとに撫でられる。
「キョウには怒っていない。・・・だが、俺に余裕がないだけだ」
「本当に怒っていないのか?」
「あぁ」
「・・・でも、ならなんで応えてくれないんだ」
「どういうことだ」
「ピアスに・・・問いかけても・・・」
「!」
「・・・っ・・・それが、だんだん不安になってくるし」
「キョウも感じていたのか・・・」
「・・・怒っていた理由はそれだったの?」
その言葉にコクリと頷くルボミール。
理由が分かったのは良かったのだが・・・。
「俺が・・・普通のΩじゃないから・・・?」
「そういう言い方は止めろ。俺はキョウのことを」
「でも、『運命の番』じゃなかったら、ルルは俺のことを歯牙にも留めなかっ」
「!!」
京が発した途端ブワっと溢れたオーラに息を止めた。
その瞳は怒りに満ちている。
だが、それに怖気づくような質ではない。
「・・・俺はこの世界に来てルルの『運命の番』でよかったと思ってるよ。
ルルじゃなかったらきっと俺達は滅んでた。
・・・ただのΩには興味を示さないだろう?」
「っ・・・そんなことは、ない」
苦しそうに顔をゆがめて言うルボミールに、胸が痛む。
だが『運命の番』だから愛されるというのは、思いこまされているようなそんな風に感じてしまう。
こんなに愛しいと思っている感情は偽物なんじゃないかと怖くなる。
この気持ちがいつか溶けてしまうのじゃないかと、・・・それも自分だけ残されるのじゃないかと思ってしまうのだ。
でも・・・今ならまだ会って一年も経っていない。
それも番っていないからダメージは少なくないのかもしれない。・・・などと思ってしまう。
外したくないが、外したい。
「なら『運命の番』を外してみるか?」
「!・・・、そんなこと、できるのか」
「わからない。・・・けど、研究」
そう言った途端冷えた空気に地に這うような声でルボミールはこちらを見てくる。
「そんなに外したいのか」
研究を始めたのはハカセの独断であり、少なくとも話を聞いた時は反対だった。
しかし、このままでいることも怖かった。
「っ・・・怖いんだ。『運命の番』が」
「・・・」
「『運命の番』だから愛されているというのが」
「俺はそれだけで愛しているわけではない」
「でも、俺が異世界に来たのだってイレギュラーだ。
だったら、ルルの気持ちが俺から気持ちが離れてしまう可能性だってあるじゃないか!」
ルボミールはそう以前もそう言ってくれていた。でもその言葉は信じるのは難しかった。
恋人同士の感情が次第に離れていくのとはわけが違う。
ある日突然興味を失せられたらと思うと恐怖を感じてしまうのは仕方がなかった。
「・・・。『運命の番』が外せたならキョウのその不安はなくなるのか」
「・・・、」
「俺は『運命の番』でなくなったとしても、キョウを愛すことを止めないし、番にしたい気持ちは変わらない」
そう言い切ってくれるのは嬉しい。
だが、不安はぬぐいされない。
その表情から京の考えを読み取ったのか、ルボミールはしばらく無言だったが頷いた。
「わかった。その研究に俺も協力しよう。金額面も必要な物資もすべてそろえよう」
「・・・ルル」
「それで、『運命の番』じゃなくなったら、俺と番ってもらう。
キョウがバースすらも怖いというなら番わなくてもいい。
薬を飲んだままフェロモンを抑えて結婚しよう」
「!」
そう言いながらルボミールに抱きしめられ強く抱きしめられる腕の中で、京はしがみつくように抱き着き返した。
『運命の番』だけで愛されるのが怖い。
けど、『運命の番』を取るのも不安で。
・・・そんな風に考えが矛盾することに、自己嫌悪してしまうのだった。
ラージャで京がいるところに突然現れることはあるのだが、トシマ区に来たことは初めてだったからである。
ピアスに向かって話しかけてはいるが、本気で怒らせてしまっているのか一切返答がなかった。
おまけに距離が近くなるほどに、ルボミールの怒気を感じる。
「キョウ様、あまり動かないほうが」
Ω歴の長いニコの言葉は正しいのかもしれない。
それでもそわそわする。
「っ・・・でも、ルルがなんか荒れてる」
連絡が来てから30分は立っている。
もうこちらに向かっていることとはおもうのだが・・・。
気配を追いながら、ようやく姿を見るとルボミールからブワッとオーラが飛ばされガクリと腰から崩れ落ちた。
しかし、京が床に膝をつくことはなくルボミールに抱きあげられていた。
周りを見れば全員床に倒れこみ、如月やニコは顔面蒼白で動けなくなっている。
そんな中で動けるのルボミールだけで、思わずその顔を見上げる。
「・・・、ルル・・・?」
その表情は能面のようで息を飲む。
力が入らない体できるのは、ただ身を任せる事とこの部屋から離れることが一番だ。
「部屋に連れててくれ。ルル」
☆☆☆
ラージャにある恐らく城の中にある、ルボミールの部屋にたどり着く。
見慣れた部屋で半日前にも居た部屋だ。
連れて行かれたのはベッドの上で、その上に転がされて体を覆い被された。
見上げるとガーネットが燃えるよう揺らめいている。
なんで怒らせているのかは分からないし、聞いてみようとは思うのだが。
「少し、弱めてくれないか?これじゃ触ることも出来ない」
しかし、その言葉に反応してくれないルボミールに苦笑した。
「・・・トイレ行くまでには機嫌直してくれよ」
その言葉にルボミールはただ京の体をきつく抱きしめるだけだった。
☆☆☆
窓から入ってくる光が無くなり、夜になりかかっている頃。
いまだにルボミールの機嫌は直らなかった。
人の怒りの継続時間は2時間程度と言われているが、こんなに時間がかかるとは思わなかった。
あれから見下ろしていたルボミールは抱きしめたり、撫でたり、口づけたりと止まらなかった。
体に匂いをこすりつけるように、すり寄らせてくる。
なんだか、猫や犬が毛づくろいをしているようなことを連想しながらも甘受していた。
一日仕事が出来なかったわけで、進めなきゃいけなかったことが頭に浮かんだが、怒りよりも肌に触れる熱になぜか安心してしまう。
それなのに仏頂面で無言のままである。
いまだにピアスを介した返事もしてくれないのは困ってしまうが。
そんなことを繰り返し、もう半日はたっているのではないだろうか。
「ルル」
「・・・トイレか」
「やっと返事をした」
「・・・、・・・キョウ」
そういうと苦虫を潰したような表情をするルボミール。
京の胸にすり寄り再び顔をうずめてしまった。
「漏らしてもいい」
「・・・本気?・・・俺はそのベッドで寝たくない」
京が心底嫌そうな声を出すと、クスクスと笑う声が漏れてきた。
その拍子にルボミールのオーラの支配がぬける。
自由になった腕を動かし胸の上のルボミールを撫でると、自分よりも体格のいい大きい男がビクッと動く。
でも嫌ではないようだ。
「聞いてもいい?」
「なんだ?」
「何か怒らせることをした?」
「・・・」
「なぜそんなに怒っているんだ」
のそりと顔をあげたルボミールの表情はとても辛そうな面持ちだった。
「・・・キョウにはわからないのか」
「わからない。ルルが言ってくれなきゃ」
「っ・・・」
京には感じていない何かを、ルボミールは感じているのは分かった。
それが分からないのは異世界から来たイレギュラーな自分だからだろうか。
何もわからないのに、ルボミールにこんな顔をさせているのはつらかった。
「教えてくれ。ルル。何が不満なんだ」
上半身を起こして額に口づける。
「俺が・・・昨日何かしてしまった・・・?」
その問いかけに何も答えてくれないのが、肯定されているようだ。
昨日、ルボミールに嫌悪している様子はなかったがそれくらいしか、いつもと違うことがないのだ。
この世界の人間にはあれはふしだらで良くないとされている行為なのかもしれない。
嫌そうに見えなかったのは京のフェロモンに充てられてしまったからなのかもしれない。
「・・・っ・・・ごめん」
そう思ったら後悔が止まらなくなってしまう。
この世界でαはΩのフェロモンに耐えられないということを教えられていたというのに。
薬が切れかかっていたのは感じていた。
けど、名前を呼べることに喜ぶルボミールは可愛くて・・・そう。愛しさに似た何かがこみ上げていた。
だから、自分も止められなくなってしまったのだが。
「今度からちゃんとくすり」
「違うっ」
「・・・ルル?っ・・・?」
ぎゅっと抱きしめられる、頭だけ動かして見上げる。
その時の事を思い出していてうれしそうにしているルボミールと視線が混じる。
「昨日のことは最高に嬉しかった。良かった。
普段清楚で清廉潔白のようなキョウが淫らに可愛く誘ってきてくれたのは幸せだった」
「みっ!?・・・淫らって・・・」
否定されるよりはいいのだが恥ずかしくて視線を逸らす。
しかし、両頬を抑えられて覗き込まれた。
「欲情が掻き立てられてたまらなかった」
「っ・・・」
なぜそんなに恥ずかしいことを言うのだろうか。
「俺が薬を飲んでほしい理由を忘れたのか?」
「・・・俺がやりたいことをするため」
「そうだ。俺としては早く番になって俺以外のαを振りまいてほしくないんだ。
フェロモンに関係なく、・・・あんな風に誘ってくれて嬉しかった」
「・・・ちょっとフェロモンに煽られてたよ」
「俺がキョウのフェロモンに煽られてたら止まらない。
キョウの意識を無視して噛み跡を作って子が孕むまで抱いてる」
「っ~・・・嫌じゃないのは分かったよ。・・・でもなんで怒ってるんだ」
そういと不機嫌そうにするルボミールに困ってしまう。
しかし、小さくため息をついたのちに耳元をピアスごとに撫でられる。
「キョウには怒っていない。・・・だが、俺に余裕がないだけだ」
「本当に怒っていないのか?」
「あぁ」
「・・・でも、ならなんで応えてくれないんだ」
「どういうことだ」
「ピアスに・・・問いかけても・・・」
「!」
「・・・っ・・・それが、だんだん不安になってくるし」
「キョウも感じていたのか・・・」
「・・・怒っていた理由はそれだったの?」
その言葉にコクリと頷くルボミール。
理由が分かったのは良かったのだが・・・。
「俺が・・・普通のΩじゃないから・・・?」
「そういう言い方は止めろ。俺はキョウのことを」
「でも、『運命の番』じゃなかったら、ルルは俺のことを歯牙にも留めなかっ」
「!!」
京が発した途端ブワっと溢れたオーラに息を止めた。
その瞳は怒りに満ちている。
だが、それに怖気づくような質ではない。
「・・・俺はこの世界に来てルルの『運命の番』でよかったと思ってるよ。
ルルじゃなかったらきっと俺達は滅んでた。
・・・ただのΩには興味を示さないだろう?」
「っ・・・そんなことは、ない」
苦しそうに顔をゆがめて言うルボミールに、胸が痛む。
だが『運命の番』だから愛されるというのは、思いこまされているようなそんな風に感じてしまう。
こんなに愛しいと思っている感情は偽物なんじゃないかと怖くなる。
この気持ちがいつか溶けてしまうのじゃないかと、・・・それも自分だけ残されるのじゃないかと思ってしまうのだ。
でも・・・今ならまだ会って一年も経っていない。
それも番っていないからダメージは少なくないのかもしれない。・・・などと思ってしまう。
外したくないが、外したい。
「なら『運命の番』を外してみるか?」
「!・・・、そんなこと、できるのか」
「わからない。・・・けど、研究」
そう言った途端冷えた空気に地に這うような声でルボミールはこちらを見てくる。
「そんなに外したいのか」
研究を始めたのはハカセの独断であり、少なくとも話を聞いた時は反対だった。
しかし、このままでいることも怖かった。
「っ・・・怖いんだ。『運命の番』が」
「・・・」
「『運命の番』だから愛されているというのが」
「俺はそれだけで愛しているわけではない」
「でも、俺が異世界に来たのだってイレギュラーだ。
だったら、ルルの気持ちが俺から気持ちが離れてしまう可能性だってあるじゃないか!」
ルボミールはそう以前もそう言ってくれていた。でもその言葉は信じるのは難しかった。
恋人同士の感情が次第に離れていくのとはわけが違う。
ある日突然興味を失せられたらと思うと恐怖を感じてしまうのは仕方がなかった。
「・・・。『運命の番』が外せたならキョウのその不安はなくなるのか」
「・・・、」
「俺は『運命の番』でなくなったとしても、キョウを愛すことを止めないし、番にしたい気持ちは変わらない」
そう言い切ってくれるのは嬉しい。
だが、不安はぬぐいされない。
その表情から京の考えを読み取ったのか、ルボミールはしばらく無言だったが頷いた。
「わかった。その研究に俺も協力しよう。金額面も必要な物資もすべてそろえよう」
「・・・ルル」
「それで、『運命の番』じゃなくなったら、俺と番ってもらう。
キョウがバースすらも怖いというなら番わなくてもいい。
薬を飲んだままフェロモンを抑えて結婚しよう」
「!」
そう言いながらルボミールに抱きしめられ強く抱きしめられる腕の中で、京はしがみつくように抱き着き返した。
『運命の番』だけで愛されるのが怖い。
けど、『運命の番』を取るのも不安で。
・・・そんな風に考えが矛盾することに、自己嫌悪してしまうのだった。
0
お気に入りに追加
189
あなたにおすすめの小説
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
【第1章完結】悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼第2章2025年1月18日より投稿予定
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
戸森鈴子 tomori rinco
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。
ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?
【完結】かなしい蝶と煌炎の獅子 〜不幸体質少年が史上最高の王に守られる話〜
倉橋 玲
BL
**完結!**
スパダリ国王陛下×訳あり不幸体質少年。剣と魔法の世界で繰り広げられる、一風変わった厨二全開王道ファンタジーBL。
金の国の若き刺青師、天ヶ谷鏡哉は、ある事件をきっかけに、グランデル王国の国王陛下に見初められてしまう。愛情に臆病な少年が国王陛下に溺愛される様子と、様々な国家を巻き込んだ世界の存亡に関わる陰謀とをミックスした、本格ファンタジー×BL。
従来のBL小説の枠を越え、ストーリーに重きを置いた新しいBLです。がっつりとしたBLが読みたい方には不向きですが、緻密に練られた(※当社比)ストーリーの中に垣間見えるBL要素がお好きな方には、自信を持ってオススメできます。
宣伝動画を制作いたしました。なかなかの出来ですので、よろしければご覧ください!
https://www.youtube.com/watch?v=IYNZQmQJ0bE&feature=youtu.be
※この作品は他サイトでも公開されています。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~
松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。
ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。
恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。
伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる