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【別視点:ルボミール】運命の番。
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ラージャにある国立中央図書館。
ここには国内外共のあらゆる書物が格納されている。
また過去の重要機密など各部署ごとに存在する。
その中には当然『落ち人』の情報も含まれている
ルボミールはその情報が欲しかった。
『ルミールの谷にから見る月が3つ揃う時、ルミールの鏡・・・すなわち水面に姿を映したとき姿を消す』
京達に事実を少し変えて話したのは、安全性に担保がないこと。そして。
帰さないためだ。
はたから見たら表情金が死んでしまったのかと思うくらい冷たい雰囲気のルボミール。
それが本来の彼である。
そんな彼が今日一日で、京に笑いかけた回数は今まで生きてきた分を大きく抜いたであろう。
京が港に現れた時、すぐに知らされた。
ここら辺では見ない異国の服を着たΩのグループが来たと。
報告にきて指示を仰ぐ兵に『牢に入れて置け』と、言ってしまおうとしたのだが、なぜか気になって街に設置されている水晶を覗き込んだ時。
まるで目が覚めたような感覚に陥る。
体中の血液が沸き起こり一瞬魔力が暴走し、水晶は割れ書類が舞い散った。
アレは・・・俺のだ
まだ会ってもいない、それも水晶越しにそう思った。
そして、瞬時に理解する。
運命の番。・・・もしくは魂の番なのだと。
ルミボールはその話を信じていなかったのだが、水晶越しに見ただけで分かる。
それからの行動は早く、すぐさま京を止めている場所に急いだ。
姿を見て愛しさが一気に吹き上がる。
・・・だが、それはルボミールだけだった。
伝説の様に出会った瞬間に魂が共鳴し惹かれるなんてことはなかった。
その代わりに京は良い香りを振りまき、周りのαを誘うようなフェロモンを垂れ流している。
なのに、その表情は知的な面を持っていて、この国のΩの雰囲気はかけらも感じなかった。
その相反した状況は、あの部屋にいるαを困惑させただろう。
αにおびえたり、かと思えば媚を売ることもない。
乳母を務めたΩでさえルボミールを怯えているというのに、京はそれが一切なかった。
それは好ましくもあり、他人のように振舞うそれに、『自分が運命だ』と言ってしまおうかと思ったが、・・・彼が落ち人だと知る。
おまけに帰る手段を探しているというではないか。
よくあの時咄嗟に捕まえて閉じ込めなかったものだ
今思い返しても冷笑を浮かべる。
自分で自分をほめてやりたい気分だ。
少し話しただけだが、おそらくそんなことをしたら、京は壊れるだろう。
欲しくて手に入れたいのは、入れ物じゃなく心だ。
自分にだけ縛り付けて、自分だけを見ていてほしい。
だが、何故京が気づかないのか不思議だった。
出会った時に、ルボミールは京をフェロモンで包むように誘ったのに、全く反応しなかった。
「・・・必ず手に入れる」
自分に気付かないことに苛立ちも感じるが高揚感も感じていた。
あの細くて綺麗な首筋はどんな味がするのだろうか。
それを思い浮かべるだけで高ぶりそうだ。
早く番ってしまいたい気もするが、Ωは本能的に首筋を触られることにびくつく。
それだけそこが敏感なのだが・・・舐めてあまがみして、優しくてで施しながら逝かせたい。
恐怖と快楽の中で啼く京を思い描くのは酷く興奮する。
この興奮が長引けば長引くだけ、お前が辛くなるだけだぞ?
フッと口元に笑みを浮かべながら、まだ見たこともない肌を溶かすその日を夢に見た。
┬┬┬
早く受けに京に絡みたい。
ここには国内外共のあらゆる書物が格納されている。
また過去の重要機密など各部署ごとに存在する。
その中には当然『落ち人』の情報も含まれている
ルボミールはその情報が欲しかった。
『ルミールの谷にから見る月が3つ揃う時、ルミールの鏡・・・すなわち水面に姿を映したとき姿を消す』
京達に事実を少し変えて話したのは、安全性に担保がないこと。そして。
帰さないためだ。
はたから見たら表情金が死んでしまったのかと思うくらい冷たい雰囲気のルボミール。
それが本来の彼である。
そんな彼が今日一日で、京に笑いかけた回数は今まで生きてきた分を大きく抜いたであろう。
京が港に現れた時、すぐに知らされた。
ここら辺では見ない異国の服を着たΩのグループが来たと。
報告にきて指示を仰ぐ兵に『牢に入れて置け』と、言ってしまおうとしたのだが、なぜか気になって街に設置されている水晶を覗き込んだ時。
まるで目が覚めたような感覚に陥る。
体中の血液が沸き起こり一瞬魔力が暴走し、水晶は割れ書類が舞い散った。
アレは・・・俺のだ
まだ会ってもいない、それも水晶越しにそう思った。
そして、瞬時に理解する。
運命の番。・・・もしくは魂の番なのだと。
ルミボールはその話を信じていなかったのだが、水晶越しに見ただけで分かる。
それからの行動は早く、すぐさま京を止めている場所に急いだ。
姿を見て愛しさが一気に吹き上がる。
・・・だが、それはルボミールだけだった。
伝説の様に出会った瞬間に魂が共鳴し惹かれるなんてことはなかった。
その代わりに京は良い香りを振りまき、周りのαを誘うようなフェロモンを垂れ流している。
なのに、その表情は知的な面を持っていて、この国のΩの雰囲気はかけらも感じなかった。
その相反した状況は、あの部屋にいるαを困惑させただろう。
αにおびえたり、かと思えば媚を売ることもない。
乳母を務めたΩでさえルボミールを怯えているというのに、京はそれが一切なかった。
それは好ましくもあり、他人のように振舞うそれに、『自分が運命だ』と言ってしまおうかと思ったが、・・・彼が落ち人だと知る。
おまけに帰る手段を探しているというではないか。
よくあの時咄嗟に捕まえて閉じ込めなかったものだ
今思い返しても冷笑を浮かべる。
自分で自分をほめてやりたい気分だ。
少し話しただけだが、おそらくそんなことをしたら、京は壊れるだろう。
欲しくて手に入れたいのは、入れ物じゃなく心だ。
自分にだけ縛り付けて、自分だけを見ていてほしい。
だが、何故京が気づかないのか不思議だった。
出会った時に、ルボミールは京をフェロモンで包むように誘ったのに、全く反応しなかった。
「・・・必ず手に入れる」
自分に気付かないことに苛立ちも感じるが高揚感も感じていた。
あの細くて綺麗な首筋はどんな味がするのだろうか。
それを思い浮かべるだけで高ぶりそうだ。
早く番ってしまいたい気もするが、Ωは本能的に首筋を触られることにびくつく。
それだけそこが敏感なのだが・・・舐めてあまがみして、優しくてで施しながら逝かせたい。
恐怖と快楽の中で啼く京を思い描くのは酷く興奮する。
この興奮が長引けば長引くだけ、お前が辛くなるだけだぞ?
フッと口元に笑みを浮かべながら、まだ見たこともない肌を溶かすその日を夢に見た。
┬┬┬
早く受けに京に絡みたい。
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